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ダンジョンマスターと魔王
第29話 勇者対ダンジョンマスター
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魔物たちを前に出させて、ソルは能力を発動させる。
『虚無の構え』
ソルが構えを取ると、彼の気配が消えた。
「ぐえっ!」
ミノタウロスの大斧の一撃がディラスと共にダンジョンに潜った戦士にクリーンヒットする。脳天をカチ割られて即死だ。
「ぐあっ!」
次いで別の戦士が人虎の攻撃で断末魔を上げた。のどをカギ爪でかき切られての死だ。
「くっ、うおおおお!」
残った1人は逃げ出したかったが、ディラスを置いて逃げ帰るわけにはいかない。
弱虫をかき消すように叫んで突撃したが、勇気と無謀をはき違えるようでは先は無い……人狼2匹にあっさりと倒される。
残りはディラス1人。1対6ではさすがに一方的な試合になる……はずだった。
(!? こ、これは!)
ウルフェンはディラスと対峙して即座に強さの源泉を見抜く。
攻撃を「繰り出そうとするその瞬間」に、まるで「それを予知したカウンター」を繰り出すかのように斬撃が入る。
相手の攻撃を妨害する、と同時に自分の攻撃を通す。という一振りで二役を兼ねた斬撃が届く。これ以上に無い程やりにくい相手だ。
(くっ!)
ソルの父親の代から長い事仕えてきたが、ここまで強くそして才能ある者はいなかった。防戦一方になり、ついにのどにミスリルの刃が突き刺さってしまう!
ウルフェンが倒れた、次の瞬間!
(来る!)
ディラスは直感で何かが来るのを悟って、あえて1歩前へと踏み出る。その刹那!
背後に回ったソルの斬撃が彼の背中をかすめた!
結果としてかすり傷程度で済んだが、もし1歩踏み出していなければ斬撃をまともに食らい、致命傷になっただろう。
(読める、か)
ソルは『虚無の構え』で「認識できない自分の攻撃を読める」事に驚いていた。今までこれが出来た奴は「片手で数えられる程」しかいなかった。
(さすが勇者。こうでなくちゃな)
ソルは振り下ろした刃を上に向け「返す刀」で斬り上げる! が、ディラスは横に跳んで斬撃を回避した。
彼は身体の向きを変え、ソルの方を見る。
……見えているのか? 『虚無の構え』で見えないはずなのに。まぁ勇者様なら出来るだろう。
ソルは会話するためにあえて『虚無の構え』を解除する。
「さすがは勇者様だけあるな。1対5じゃしんどいと思うんだが大丈夫か?」
「フン、この程度はハンデだよ。まだ足りない位さ」
勇者の顔からはまだまだ余裕の表情を浮かべている。これだけの数の差を前に、さばき切れる自信があるらしい。
再び勇者とダンジョンマスターがぶつかろうとした、次の瞬間!
「アイスボール!」
レナがアイスボールを2発放つ。1発はソルを、もう1発はディラスを直撃した。彼女の愛らしい瞳からはとめどなく雫があふれて止まらない。
「お父さんのバカ!! 先生のバカ!! 何で2人とも争うの!? 何で仲良くできないの!? 辞めてよこんな事! どっちも私には大切な人なんだから!」
彼女は可愛らしい顔が台無しになるようなグシャグシャな顔でボロボロと大粒の涙を流し続けていた。
周りの者は全員戦意を喪失し、ただ少女の嗚咽の声だけが辺りに響いた。
「ディラス、今回は引き分けって事でいいか? 女を泣かしちゃ戦いどころじゃ無くなっちまう」
「……いいだろう。レナ、分かった。もうここのダンジョンに来なければいいんだろ? それは守る」
「……本当に? ウソ、言わないよね?」
「ああ、本当だとも。ウソはつかない」
「分かった。お父さんの言う事、信じる」
娘は父親の言う事を聞くことにした。彼は普段自分の子供相手だろうとも滅多にウソをつくことはしなかったため、その信頼が活きた。
「ディラス、これを」
ソルは何かを勇者に向けて投げた。受け取った彼はよく見てみると、緑マナ結晶だった。
「それで『手打ち』って事にしてくれないか?」
「わかった。そういう事にしておく。じゃあな」
ディラスはダンジョンを去っていった。
『虚無の構え』
ソルが構えを取ると、彼の気配が消えた。
「ぐえっ!」
ミノタウロスの大斧の一撃がディラスと共にダンジョンに潜った戦士にクリーンヒットする。脳天をカチ割られて即死だ。
「ぐあっ!」
次いで別の戦士が人虎の攻撃で断末魔を上げた。のどをカギ爪でかき切られての死だ。
「くっ、うおおおお!」
残った1人は逃げ出したかったが、ディラスを置いて逃げ帰るわけにはいかない。
弱虫をかき消すように叫んで突撃したが、勇気と無謀をはき違えるようでは先は無い……人狼2匹にあっさりと倒される。
残りはディラス1人。1対6ではさすがに一方的な試合になる……はずだった。
(!? こ、これは!)
ウルフェンはディラスと対峙して即座に強さの源泉を見抜く。
攻撃を「繰り出そうとするその瞬間」に、まるで「それを予知したカウンター」を繰り出すかのように斬撃が入る。
相手の攻撃を妨害する、と同時に自分の攻撃を通す。という一振りで二役を兼ねた斬撃が届く。これ以上に無い程やりにくい相手だ。
(くっ!)
ソルの父親の代から長い事仕えてきたが、ここまで強くそして才能ある者はいなかった。防戦一方になり、ついにのどにミスリルの刃が突き刺さってしまう!
ウルフェンが倒れた、次の瞬間!
(来る!)
ディラスは直感で何かが来るのを悟って、あえて1歩前へと踏み出る。その刹那!
背後に回ったソルの斬撃が彼の背中をかすめた!
結果としてかすり傷程度で済んだが、もし1歩踏み出していなければ斬撃をまともに食らい、致命傷になっただろう。
(読める、か)
ソルは『虚無の構え』で「認識できない自分の攻撃を読める」事に驚いていた。今までこれが出来た奴は「片手で数えられる程」しかいなかった。
(さすが勇者。こうでなくちゃな)
ソルは振り下ろした刃を上に向け「返す刀」で斬り上げる! が、ディラスは横に跳んで斬撃を回避した。
彼は身体の向きを変え、ソルの方を見る。
……見えているのか? 『虚無の構え』で見えないはずなのに。まぁ勇者様なら出来るだろう。
ソルは会話するためにあえて『虚無の構え』を解除する。
「さすがは勇者様だけあるな。1対5じゃしんどいと思うんだが大丈夫か?」
「フン、この程度はハンデだよ。まだ足りない位さ」
勇者の顔からはまだまだ余裕の表情を浮かべている。これだけの数の差を前に、さばき切れる自信があるらしい。
再び勇者とダンジョンマスターがぶつかろうとした、次の瞬間!
「アイスボール!」
レナがアイスボールを2発放つ。1発はソルを、もう1発はディラスを直撃した。彼女の愛らしい瞳からはとめどなく雫があふれて止まらない。
「お父さんのバカ!! 先生のバカ!! 何で2人とも争うの!? 何で仲良くできないの!? 辞めてよこんな事! どっちも私には大切な人なんだから!」
彼女は可愛らしい顔が台無しになるようなグシャグシャな顔でボロボロと大粒の涙を流し続けていた。
周りの者は全員戦意を喪失し、ただ少女の嗚咽の声だけが辺りに響いた。
「ディラス、今回は引き分けって事でいいか? 女を泣かしちゃ戦いどころじゃ無くなっちまう」
「……いいだろう。レナ、分かった。もうここのダンジョンに来なければいいんだろ? それは守る」
「……本当に? ウソ、言わないよね?」
「ああ、本当だとも。ウソはつかない」
「分かった。お父さんの言う事、信じる」
娘は父親の言う事を聞くことにした。彼は普段自分の子供相手だろうとも滅多にウソをつくことはしなかったため、その信頼が活きた。
「ディラス、これを」
ソルは何かを勇者に向けて投げた。受け取った彼はよく見てみると、緑マナ結晶だった。
「それで『手打ち』って事にしてくれないか?」
「わかった。そういう事にしておく。じゃあな」
ディラスはダンジョンを去っていった。
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