大地のためのダンジョン運営

あがつま ゆい

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ダンジョンマスターと魔王

第31話 次回配信の案

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 ソルが滞在している国の王が隣国の王と対談していた。お互いに重要な貿易相手で、特に鉄鉱石のやり取りで関係は良好だった。
 朝の会食は順調に進み、終始和やかなムードで進んでいったその時だった。

「ところで、あなたの弟君のアルフレッド殿は冒険者として日夜随分と活躍しているそうではありませんか。実を言うと私も上の子も彼のダンジョン配信を楽しんでいるんだよ」
「!! は、はあ。そうなんですか」
「特にあの子は勇者の活躍……最近では『双剣のディラス』の話とアルフレッド殿のダンジョン配信がお気に入りでね。
 まぁ8歳になるとそういうものに興味が持ち出す年頃だろうとは思いますがな」
「そ、そうですか。それは良かった」



 帰国後、王は夕食の時間に末弟のアルフレッドに文句をぶつけだした。いつもの嫌がらせである。

「アル、お前ダンジョン配信するのは良いけどあまりしゃしゃり出るなよ。
 隣国の王が親子ともども見ているそうだ。王や子供に変な物を吹き込むんじゃない。せっかくオレが築いた国家間の友好が台無しになるかもしれないんだぞ?」
「これはこれはお兄様。それだけボクのダンジョン配信が受けている何よりの証拠ですな。
 身内に嫉妬でもしてるのですかな? 身内への嫉妬程、見苦しいものはありませんぞ、お・に・い・さ・ま?」
「ぐぐぐ……貴様ぁ!」

 弟からの言い分に反論できないのを良い事に、普段からいびられている相手に嫌味ったらしく反論する。
 実に痛快で心にさわやかな風が吹くような晴れやかな気分になって非常に清々しくなる、ささやかな反撃だ。



 翌日の夕方、ソルのダンジョンに侵入者がやって来た。

「お、侵入者……じゃないぞ! アルフレッドだ! 召喚獣は待機しろ! 俺が直々に行く!」

 ソルとレナは部屋の中に入ったアルと落ち合った。

「アルフレッドさん? もしかして本物ですか!?」
「ああそうだ。ボクはこの国の王族、本物のアルフレッドだよ」
「凄い! 初めて見ました! サイン大事に持ってますよ!」

 レナは大はしゃぎだ。こんなデブのどこが良いのやら……「たで食う虫も好き好き」って奴だろう。場所をソルの部屋へと移し、話を進める。



「アル、軍使ぐんしを使わずにお前自らダンジョンに来るなんて何かあるのか?」
「いやー、実を言うと今度の配信で新キャラとしてソルのお弟子さんを使いたくて来たんだ」
「?? し、新キャラ? 何の話ですか?」

 ソルは知っている話だがレナはダンジョン配信については何も知らされていなかった。

「レナ、そう言えばお前には言って無かったな。俺とアルは協力して撮影用のダンジョンを作ってそこでの冒険を撮影して配信をやってるんだ。
 国内外の王侯貴族に受けてて結構なファンがいるそうで『ワクワクする冒険を家の中で』っていう売りで視聴用の機械を売って稼いでいるらしいんだ」
「へぇー。そんな事業をやってるんですか」
「機材が高価だから貴族たち相手が主だけど、今じゃ国内だけでなく国外にも視聴者がいる程人気が出てるんだ。隣国の王やその子供も見ているそうなんだ」

 ソルとアルが自分たちのやってる事を教えていた時、レナが召喚して彼女のそばにいたドラゴン2体が吠える。



「シャアッ!」
「ガァアッ!」
「うお! 何だ!?」
「ドラちゃんに、ゴンちゃんって言うの、よろしくね。もう、そうやって威嚇しなくても良いからね」
「グルル……」

 レナがなだめるとドラゴン達の怒りはすぐに収まった。



「フーム……決まりだな。レナちゃん、とか言ったか? テイマーの冒険者として出演する気は無いか?」
「え? 冒険者ですか? ダンジョンマスター側では無くて、ですか?」
「ああ。ボクの配信で新キャラあるいはゲストキャラとして登場してほしいんだ。報酬は出すから良かったら出てくれないか?」
「うーん、アルフレッドさんの頼みですから断るわけにはいきませんね。分かりました、出てみます」
「おおそうか! いやー有難い」

 交渉があっさりと上手く行ったのもあって、アルは心地よい笑顔だった。



 その後、配信の大まかな流れを話し合い方針を決める。
 レナはあくまで「テイマー」という事にして、ドラゴンの活躍を最前線に押し出す流れだ。
 ドラゴンというあまりお目にかかれないレア物の召喚獣となれば視聴者も満足するはずだ。

「よし、じゃあその方向で頼むぞ」
「ハイ分かりました。明日の収録現場で会いましょうね。ちょっとトイレ行ってきますけどいいでしょうか?」
「ああ、構わんぞ」

 ソルとアルの2人だけになった時、アルフレッドが小突く。



「ソル、お弟子さんのレナちゃんってばかなりの美少女じゃないの? もう手を出したか? 先生と一緒に手取り足取りいろんなことを教えたり……」

 アルフレッドがそこまで言うと、彼の脳天にゲンコツの1発が入った。

「アホ。そんなことしたら父親の『双剣のディラス』がブチ切れてカッ飛んで来るぞ」
「『双剣のディラス』!? あの子、まさかあの『双剣のディラス』の娘さんなの!?」
「ああそうだ。俺も最初はビックリしたもんだよ」

『双剣のディラス』に娘がいたとは……アルフレッドにとっては初耳だ。



「はー……父親が美形なら娘も美少女になるんだなぁ。ボクなんて両親は同じなのに兄貴たちの弟とは思えない位ブサイクなのに」
「アル、自虐は辞めとけ。良い事ねえぞ」
「これでも配信始める前よりはだいぶ減ったんだけどなぁ」
「俺からしたらまだまだ抜け切れてねえよ。気を付けな」
「分かった分かった。それと、式には仲人をやらせてくれよな」

 ソルの拳が再びアルフレッドの頭に落ちた。
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