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大地のための旅
第61話 疑惑
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「……やはり魔王はいるな。具体的な場所の特定はできないが、この辺りにいるのは確かだ」
この地に来てから3日。ソルはダンジョンを構え、その中で大地のマナエネルギーの状態を「診察」して確信した。魔王はいる、と。
「先生、やっぱり大地のエネルギーが減っているからですか?」
彼と一緒に「診察」をしていたレナも気づいたらしく、声をかけてくる。
ここ数日の体調は安定して良くなっており、本人は魔王相手でも戦えると言っているが、しばらくは休ませることにしている。
「ああ。通常のエネルギーの減り方ではない。何者かが意図的にエネルギーを吸い取っているようだ。おそらく魔王の仕業だろう。
久しぶりに魔王と戦うことになるだろうな」
応急処置として大地のエネルギーを増幅させる部屋、通称「生産部屋」を設置し、大地のエネルギーが枯れるのを遅らせる措置をとる。
もちろん本格的に枯れるまでに魔王を倒すつもりだが。
生産部屋を設置した後で、3匹のラタトスク達が報告書をもってやってきた。
「ソル様、命じられていた情報を集めてきました。まず魔王のダンジョンの位置がわかりました。郊外に隠れるようにありますが特に罠やまじないもかかっていません。
内部の構造はわかってないところが多いのですが出来て日が浅いのでそれほど開発はされていないもようです」
まずは最も大事な魔王のダンジョンに関する情報。できれば内部構造も把握したかったが場所が分かっただけでも収穫だろう。
「あと、勇者モルダなのですが1度魔王のダンジョンに向かったそうなんですよね。でも大した成果も出せずに撤退してます」
「そうか、わかった」
中年になったとはいえかつて魔王を倒したほどの実力者が何の成果もなしに撤退か……ちょっと考えられんな。
「それと、モルダの父親が2日前に亡くなったそうです。60を超えていていつ死んでもおかしくない年齢で、亡くなったことが判明した時にはすでに埋葬が済んでいたとのことです」
「そうか、わかった。毎度のことだけど詳しい調査ありがとう。とても役に立ってるよ」
「ありがとうございます。我々は戦えないのでこういう事でしか貢献できません。お気になさらずに」
「いつものお礼に酒でもおごるよ。今日は仕事を休んでゆっくりしてくれ」
彼らの労をねぎらうために、ソルは酒場へと繰り出すことになった。
日も沈んだ時刻に店を訪れる。相変わらず仕事を終えた旦那たちが思い思いに酒を飲んで過ごしていた。
一行はテーブル席に座って店員が来るのを待った。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
「こいつらにエールを1杯ずつ。あと俺にウイスキーのダブルをくれ」
「かしこまりました。少々お待ちいただけますか?」
酒場のウェイトレスに注文を入れ、酒が来るのを待っていた、その時だ。
「いらっしゃいま……!! あなた、もしかしてモルダ様ですか!?」
ウェイトレスが声を上げる。勇者モルダ様のご来店だ。
ソルがモルダの姿を見るのは2回目だが、そこには強烈な違和感があった。カウンターに座った彼の隣に席を移し、話しかける。
「モルダ殿、なんか随分と若々しくなった気がするのですが、気のせいでしょうか?」
前に自分は38歳だと言っていたが、その若々しい姿からは想像できない。どう見ても10代半ばの人生で最も盛りの姿だ。
「そうか? 俺は普段からこうだぜ?」
彼は笑いながらそう言うが、怪しい。一昨日に父親が死んだという話を聞いていたから、コイツまさか……。
ソルの頭に最悪な予想が頭をよぎった。
翌日、ソルはドラとゴンを連れて朝から魔王のダンジョンへと向かう、その道中の事だ。彼の手には握りこぶし大の黒い何かが握られていた。
「ドラ、ゴン。俺が『谷!』って言ったら耳をふさげ。そうしないと鼓膜が破れて治療しない限りレナの声が聞けなくなるぞ」
「グルルルル……」
ソルはレナが呼び出した召喚獣であるドラゴンのドラとゴンに言って聞かせる。
一応今までお守りとして持ってた物。いざという時の切り札みたいなものだが、今回は使う機会が出てきてしまうかもしれない。それだけ強い相手が出てくるかもと思っていたのだ。
ソル一行は昼前に魔王のダンジョンにたどり着いた。
ここに来てから日が浅いのか大して開発もされておらず、ミノタウロス1匹しかいなかった護衛の召喚獣もドラとゴンのコンビが軽く蹴散らして最深部へとたどり着いた。
「こうも早くかぎつけてくるとはな。鼻が鋭いな」
魔王が来訪者に対し褒めるようにそう言う。こんなにも早く自分のダンジョンを見つけることが出来たのは評価してやってもいい、という尊大な態度を隠さなかった。
「誉め言葉として受け取ってやるよ。それと、勇者モルダ! いるんだろ!? 隠れてないで出てこい!」
ソルは声を上げた。
この地に来てから3日。ソルはダンジョンを構え、その中で大地のマナエネルギーの状態を「診察」して確信した。魔王はいる、と。
「先生、やっぱり大地のエネルギーが減っているからですか?」
彼と一緒に「診察」をしていたレナも気づいたらしく、声をかけてくる。
ここ数日の体調は安定して良くなっており、本人は魔王相手でも戦えると言っているが、しばらくは休ませることにしている。
「ああ。通常のエネルギーの減り方ではない。何者かが意図的にエネルギーを吸い取っているようだ。おそらく魔王の仕業だろう。
久しぶりに魔王と戦うことになるだろうな」
応急処置として大地のエネルギーを増幅させる部屋、通称「生産部屋」を設置し、大地のエネルギーが枯れるのを遅らせる措置をとる。
もちろん本格的に枯れるまでに魔王を倒すつもりだが。
生産部屋を設置した後で、3匹のラタトスク達が報告書をもってやってきた。
「ソル様、命じられていた情報を集めてきました。まず魔王のダンジョンの位置がわかりました。郊外に隠れるようにありますが特に罠やまじないもかかっていません。
内部の構造はわかってないところが多いのですが出来て日が浅いのでそれほど開発はされていないもようです」
まずは最も大事な魔王のダンジョンに関する情報。できれば内部構造も把握したかったが場所が分かっただけでも収穫だろう。
「あと、勇者モルダなのですが1度魔王のダンジョンに向かったそうなんですよね。でも大した成果も出せずに撤退してます」
「そうか、わかった」
中年になったとはいえかつて魔王を倒したほどの実力者が何の成果もなしに撤退か……ちょっと考えられんな。
「それと、モルダの父親が2日前に亡くなったそうです。60を超えていていつ死んでもおかしくない年齢で、亡くなったことが判明した時にはすでに埋葬が済んでいたとのことです」
「そうか、わかった。毎度のことだけど詳しい調査ありがとう。とても役に立ってるよ」
「ありがとうございます。我々は戦えないのでこういう事でしか貢献できません。お気になさらずに」
「いつものお礼に酒でもおごるよ。今日は仕事を休んでゆっくりしてくれ」
彼らの労をねぎらうために、ソルは酒場へと繰り出すことになった。
日も沈んだ時刻に店を訪れる。相変わらず仕事を終えた旦那たちが思い思いに酒を飲んで過ごしていた。
一行はテーブル席に座って店員が来るのを待った。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
「こいつらにエールを1杯ずつ。あと俺にウイスキーのダブルをくれ」
「かしこまりました。少々お待ちいただけますか?」
酒場のウェイトレスに注文を入れ、酒が来るのを待っていた、その時だ。
「いらっしゃいま……!! あなた、もしかしてモルダ様ですか!?」
ウェイトレスが声を上げる。勇者モルダ様のご来店だ。
ソルがモルダの姿を見るのは2回目だが、そこには強烈な違和感があった。カウンターに座った彼の隣に席を移し、話しかける。
「モルダ殿、なんか随分と若々しくなった気がするのですが、気のせいでしょうか?」
前に自分は38歳だと言っていたが、その若々しい姿からは想像できない。どう見ても10代半ばの人生で最も盛りの姿だ。
「そうか? 俺は普段からこうだぜ?」
彼は笑いながらそう言うが、怪しい。一昨日に父親が死んだという話を聞いていたから、コイツまさか……。
ソルの頭に最悪な予想が頭をよぎった。
翌日、ソルはドラとゴンを連れて朝から魔王のダンジョンへと向かう、その道中の事だ。彼の手には握りこぶし大の黒い何かが握られていた。
「ドラ、ゴン。俺が『谷!』って言ったら耳をふさげ。そうしないと鼓膜が破れて治療しない限りレナの声が聞けなくなるぞ」
「グルルルル……」
ソルはレナが呼び出した召喚獣であるドラゴンのドラとゴンに言って聞かせる。
一応今までお守りとして持ってた物。いざという時の切り札みたいなものだが、今回は使う機会が出てきてしまうかもしれない。それだけ強い相手が出てくるかもと思っていたのだ。
ソル一行は昼前に魔王のダンジョンにたどり着いた。
ここに来てから日が浅いのか大して開発もされておらず、ミノタウロス1匹しかいなかった護衛の召喚獣もドラとゴンのコンビが軽く蹴散らして最深部へとたどり着いた。
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