2 / 67
天界の掃除人 ~ギルドを追放された直後神様に拾われて天界の掃除人に。あれぇ? 古巣の皆さま、お前要らないクビだって言ってたよね?~
第1話 追放からの天界就職
しおりを挟む
「!? ク、クビだって!?」
いつもの出勤時刻よりだいぶ早い時間。先日、ギルド『ドラゴンズテイル』のギルド長が「明日の朝話したいことがある」と呼ばれた彼は行ってみると部屋の中で解雇を告げられた。
「そんな! 俺ちゃんと真面目に働いていましたよ!? なんでまた……!」
「お前は言われたことをただ黙々とこなすだけで、さらに仕事がしたい、もっとできることは無いか? と申し出ることは無かった。
それに仕事に創意工夫をしてさらにギルドに貢献できないか、考えている様子も無かった。これでは成長性が無いと思われても仕方のない事だ」
「そんなこと言われても毎日の仕事をこなすだけで精いっぱいで……そもそも与えられた仕事は掃除メインの雑用ばっかりじゃないですか!」
彼は反論するが……。
「だからこそ3年の猶予を与えた! 私は3年待ったんだぞ! だがお前は現状維持をするだけで1歩を踏み出すことは無かった! だからクビだ!」
「だったらそうだと教えてくれなきゃ分からないでしょう!? 俺が雇われた時はまだ12のガキだったんだぜ!?」
「人として最低限それくらいは誰だって備えているはずだ! お前は「友達の作り方なんて誰も教えてくれなかったじゃねーか!」と親に怒るのか!?
そういうものだぞ! 出ていけ! これ以上ゴネるなら人を呼ぶぞ!!」
「呼べるものなら呼んでみろ!」
「そうかわかった」
ギルド長がそう言うと、待ってました! と言わんばかりのタイミングで副ギルド長と受付嬢、どちらも元冒険者の2人が彼の腕をつかんで拘束する。
「やめろ! 放せ!」
「分かった分かった落ち着け。お前が暴れなければそれで済むことなんだ!」
彼は無理やりギルド長の部屋から追い出されてしまった。
入口まで連行される間、彼は副ギルド長と受付嬢の2人と酷い内容の話をしていた。
「まぁお前は『出来ない』側の人間だとはうすうす気づいてたよ。3年間もそんな態度で働いていたらクビになってもおかしくねえな。ま、自分の不出来さを呪いな」
「アンタもギルド長側につくんだな」
「もちろんさ。俺は最初から気づいてて積極的に働いていたからこうして支部長になれたんだ。そんなの当たり前の事じゃないか」
「そうよ。君は現状維持しようと1歩を踏み出さなかった……それも3年間ずーっとよ? そんなんじゃ誰だって見捨てるに決まってるじゃない。君が悪いに決まってるわ」
2人とも情けも容赦も無い。入口まで連れてこられようやく解放された。
「さぁ出て行って。出ないと衛兵を呼ぶわよ?」
2人とも冷酷無比でこれっぽちの情も無い。この様子じゃゴネると本当に衛兵を呼ばれそうだ。彼は仕方なくギルドを去ることにした。
だがギルドの建物から1歩足を踏み出した瞬間、突如身体が光に包まれ、跡形もなく消えた。
気が付いた時、彼は神殿らしき場所にいた。
「ふう、ようやく見つけたわ。ずいぶんと手間がかかっちゃったわね。私はイリアス。名前くらいは聞いたことがあるでしょ?」
「イリアス……まさかあの女神イリアス?」
「そうよ。あなたのような人間からしたら神様って事になるわね」
彼はあまり信心深いわけではないので神の名前は大ざっぱにしか覚えていないが、それでもイリアスと言ったらそれなりに格の高い神として祭られていることは知っていた。
ただ急に神様だ。なんて言われてもいまいち信用できない。普通の人間は普段着ないような実用性に欠ける薄手の衣をまとっているとはいえ。
「で、その女神様とやらが俺みたいなただの人間相手に何のご用で?」
「ん~……あなたはただの人間じゃないわよ。証拠も見せてあげる」
そう言って彼女は彼のステータスを表示させ、見せてくれた。そこには「掃除スキルLV999」という見慣れないものがあった。
「!? な、なんだこれ!? こんなスキル知らないぞ!?」
「人間が作った計測装置はまだまだ精度が悪いから見逃すことも多いのよね……そのスキルも見逃されていたみたいね。今回あなたを呼んだのはそのスキルの高さを買ったってわけ」
ようやく本題。という表情で自称女神イリアス様とやらは話を続ける。
「勘が鋭いなら話す内容は分かるかもしれないけど、あなたには『天界の掃除人』をやってもらいたいのよ。身の回りの整理整頓が出来ない神様ってのも意外と多いのよね。
報酬はきちんと払うし、休みの時や仕事が終わったらいつでも自由に人間界に帰れるようにしてあげるから心配しないでね」
「は、はぁそうですか。ちなみに報酬はいくらぐらいになります?」
「そうね……ざっと月に6万ゴールドといったところかしら。働き具合に応じてさらに割増しにすることも考えてるわ」
「!? ろ、6万ゴールド!? 何で掃除人ごときにそんな破格の報酬を!?」
6万ゴールドと言ったら庶民1人の生活費にしたら2ヶ月分は楽々と超える程の高報酬だ。今までもらってた彼の給料の軽く3倍以上……あまりにも破格すぎる。
「あなたにはそれだけの価値があると私たちが判断したまでよ。で、どうする?」
「わ、分かりました。その仕事、引き受けます」
「そう、ありがとうね。後で正式な契約書を渡すからそれにサインしてちょうだい。名前くらいは書けるでしょ?」
そんなやり取りを経て1週間後、正式に天界の掃除人として雇用されることになった。
【次回予告】
女神に雇われてから1週間、仕事にもすっかり慣れた様子。彼が見るには神様は意外と人間臭いようで……?
第2話 「戦神に酒の神。掃除の日々は続く」
いつもの出勤時刻よりだいぶ早い時間。先日、ギルド『ドラゴンズテイル』のギルド長が「明日の朝話したいことがある」と呼ばれた彼は行ってみると部屋の中で解雇を告げられた。
「そんな! 俺ちゃんと真面目に働いていましたよ!? なんでまた……!」
「お前は言われたことをただ黙々とこなすだけで、さらに仕事がしたい、もっとできることは無いか? と申し出ることは無かった。
それに仕事に創意工夫をしてさらにギルドに貢献できないか、考えている様子も無かった。これでは成長性が無いと思われても仕方のない事だ」
「そんなこと言われても毎日の仕事をこなすだけで精いっぱいで……そもそも与えられた仕事は掃除メインの雑用ばっかりじゃないですか!」
彼は反論するが……。
「だからこそ3年の猶予を与えた! 私は3年待ったんだぞ! だがお前は現状維持をするだけで1歩を踏み出すことは無かった! だからクビだ!」
「だったらそうだと教えてくれなきゃ分からないでしょう!? 俺が雇われた時はまだ12のガキだったんだぜ!?」
「人として最低限それくらいは誰だって備えているはずだ! お前は「友達の作り方なんて誰も教えてくれなかったじゃねーか!」と親に怒るのか!?
そういうものだぞ! 出ていけ! これ以上ゴネるなら人を呼ぶぞ!!」
「呼べるものなら呼んでみろ!」
「そうかわかった」
ギルド長がそう言うと、待ってました! と言わんばかりのタイミングで副ギルド長と受付嬢、どちらも元冒険者の2人が彼の腕をつかんで拘束する。
「やめろ! 放せ!」
「分かった分かった落ち着け。お前が暴れなければそれで済むことなんだ!」
彼は無理やりギルド長の部屋から追い出されてしまった。
入口まで連行される間、彼は副ギルド長と受付嬢の2人と酷い内容の話をしていた。
「まぁお前は『出来ない』側の人間だとはうすうす気づいてたよ。3年間もそんな態度で働いていたらクビになってもおかしくねえな。ま、自分の不出来さを呪いな」
「アンタもギルド長側につくんだな」
「もちろんさ。俺は最初から気づいてて積極的に働いていたからこうして支部長になれたんだ。そんなの当たり前の事じゃないか」
「そうよ。君は現状維持しようと1歩を踏み出さなかった……それも3年間ずーっとよ? そんなんじゃ誰だって見捨てるに決まってるじゃない。君が悪いに決まってるわ」
2人とも情けも容赦も無い。入口まで連れてこられようやく解放された。
「さぁ出て行って。出ないと衛兵を呼ぶわよ?」
2人とも冷酷無比でこれっぽちの情も無い。この様子じゃゴネると本当に衛兵を呼ばれそうだ。彼は仕方なくギルドを去ることにした。
だがギルドの建物から1歩足を踏み出した瞬間、突如身体が光に包まれ、跡形もなく消えた。
気が付いた時、彼は神殿らしき場所にいた。
「ふう、ようやく見つけたわ。ずいぶんと手間がかかっちゃったわね。私はイリアス。名前くらいは聞いたことがあるでしょ?」
「イリアス……まさかあの女神イリアス?」
「そうよ。あなたのような人間からしたら神様って事になるわね」
彼はあまり信心深いわけではないので神の名前は大ざっぱにしか覚えていないが、それでもイリアスと言ったらそれなりに格の高い神として祭られていることは知っていた。
ただ急に神様だ。なんて言われてもいまいち信用できない。普通の人間は普段着ないような実用性に欠ける薄手の衣をまとっているとはいえ。
「で、その女神様とやらが俺みたいなただの人間相手に何のご用で?」
「ん~……あなたはただの人間じゃないわよ。証拠も見せてあげる」
そう言って彼女は彼のステータスを表示させ、見せてくれた。そこには「掃除スキルLV999」という見慣れないものがあった。
「!? な、なんだこれ!? こんなスキル知らないぞ!?」
「人間が作った計測装置はまだまだ精度が悪いから見逃すことも多いのよね……そのスキルも見逃されていたみたいね。今回あなたを呼んだのはそのスキルの高さを買ったってわけ」
ようやく本題。という表情で自称女神イリアス様とやらは話を続ける。
「勘が鋭いなら話す内容は分かるかもしれないけど、あなたには『天界の掃除人』をやってもらいたいのよ。身の回りの整理整頓が出来ない神様ってのも意外と多いのよね。
報酬はきちんと払うし、休みの時や仕事が終わったらいつでも自由に人間界に帰れるようにしてあげるから心配しないでね」
「は、はぁそうですか。ちなみに報酬はいくらぐらいになります?」
「そうね……ざっと月に6万ゴールドといったところかしら。働き具合に応じてさらに割増しにすることも考えてるわ」
「!? ろ、6万ゴールド!? 何で掃除人ごときにそんな破格の報酬を!?」
6万ゴールドと言ったら庶民1人の生活費にしたら2ヶ月分は楽々と超える程の高報酬だ。今までもらってた彼の給料の軽く3倍以上……あまりにも破格すぎる。
「あなたにはそれだけの価値があると私たちが判断したまでよ。で、どうする?」
「わ、分かりました。その仕事、引き受けます」
「そう、ありがとうね。後で正式な契約書を渡すからそれにサインしてちょうだい。名前くらいは書けるでしょ?」
そんなやり取りを経て1週間後、正式に天界の掃除人として雇用されることになった。
【次回予告】
女神に雇われてから1週間、仕事にもすっかり慣れた様子。彼が見るには神様は意外と人間臭いようで……?
第2話 「戦神に酒の神。掃除の日々は続く」
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
暗算参謀は王国を追放される――戦わずして勝ち続けた男の失脚譚――
まさき
ファンタジー
現代日本から異世界へ転生した主人公。
彼に与えられた唯一の能力は、瞬時にあらゆる数値を弾き出す「暗算」だった。
剣も魔法も使えない。
だが確率と戦略を読み解くことで、王国の戦を幾度も勝利へ導いていく。
やがて王国の戦略顧問として絶大な信頼を得るが、
完璧すぎる功績は貴族の嫉妬を招き、巧妙な罠により不正の罪を着せられてしまう。
証明できぬ潔白。
国の安定を優先した王の裁定。
そして彼は、王国を追放される。
それでも彼は怒らない。
数字は嘘をつかないと知っているからだ。
戦わずして勝ち続けた参謀が、国を去るその日までを描く、
知略と静かな誇りの異世界戦略譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる