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閃きと見切りで異世界を征服する ~ロ〇サガステータスでほぼ最強だけど魔族のステータスなので人間だけど魔族の味方をします~
第2話 ようこそ魔都へ
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ワタル一行から離れた場所に、彼女らはいた。
「シェラハ様、見つかりましたか?」
「待って……!! いた! 見つけた! 本当にステータスが……って襲われてる! 助けに行かなきゃ!」
10匹近く放った索敵型の人工使い魔からの視覚や聴覚を受け取る「シェラハ様」と呼ばれた少女はその中の1匹の視覚から「予言の子」を探し当てた。
「こっちよ! ガイ、ロク、ついてきて!」
少女と一緒に、ガイ、あるいはロクと呼ばれた2人の男は「予言の子」を救うべく森を駆けた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
森の中をただひたすらに逃げ回っているワタルだがさすがに逃げっぱなしでは息が切れてくる。
「どうする? 各個撃破するか? いや集団で来られちゃ……」
「いたぞ! あそこだ! 行け! 行け!」
「ひ、ひぃい!」
追手が迫って来る。打開策を考える暇すら与えてくれない。そんな中……。
「あ! いたいた! あそこよ!」
自分と同じくらいの年齢の少女と、彼女に連れられた鎧を身に着け片方は大剣、もう片方は弓を携えた貫禄のある男が2人現れた。
彼らの肌の色は紫ががった肌色で、耳が横にピン、ととがっていた。明らかに人間ではない少女がワタルを見つけて近寄ってくる。
「な、なんだお前は!?」
「大丈夫、私たちはあなたの味方よ。ここから逃がしてあげるから一緒に手をつないでちょうだい。そうすれば安全な場所に行けるわ。詳しい説明は後でするから今は言う事を聞いて!」
クラスメートやさっきの人間の兵士たちとは違い、ピリピリするような殺気を全く発していない。少しだが穏やかな表情で語りかけてくる彼女にワタルは警戒心を解いた。
一行は手をつなぎ、端の方にいた少女が青いガラスのような小石を地面にたたきつけて割る。その瞬間、その場にいた全員が空を飛ぶような感覚を味わう。
次の瞬間に視界に入ってきたのは随分と発展している大都市で、ファンタジーRPGの人間の町と大して変わりのない風景だ。
ただ違うのは住んでいるのが大人から子供まで彼女らのような「人間に似ているけど違う」と言える魔族……であろう生き物ばかりだという事。
「ようこそ、魔都アーティエリへ。歓迎しようか、予言の子よ」
「……予言の子?」
ワタルは不思議そうに自分の事を「予言の子」と呼んだ男につぶやくように言う。
「詳しい話は私の家でしましょう。ガイ、ロク、行きましょう」
「「ハッ!」」
ワタルと彼女を護衛する2人のなめらかな動きは非常に洗練されている。ワタルのような戦いにおいてはド素人が見ても一朝一夕では決して身につかない事が分かる動きだ。
明らかに「兵士」というよりは「将軍」と言った方が良い豪勢な格好と、にじみ出る貫禄の高さから2人は並の人物ではない事は子供でも分かる位明らかだ。
それをこうもあっさり従える彼女は何者かとワタルは疑問に思うが、それはすぐに解けた。
「着いたわ。ここが私の家よ」
「!? ここ、お城じゃないか!」
「そうよ。ここが私の家よ。家って言うにはだいぶ豪勢なんだろうけど」
「……」
ワタルはぽかんと口を開けてその話を聞いていた。
これだけでかい城下町のある豪勢な城の姫君ってことは相当ハイクラスに所属しているのだろう。どおりでガイ、もしくはロクと言ったか? 将軍クラスの軍人を従えられるわけだ。
一行は城内に入ると王の間へと向かう。玉座には筋肉質で王にふさわしい貫禄のある中年の男が豪華な装飾が施された衣装を身にまとい座っていた。
「お父様! 予言の子を連れてまいりました!」
「ご苦労だった、シェラハ。よくやってくれたな」
「ところで、『予言の子』っていったい何なんですか?」
ワタルが彼らに問いかけるとシェラハ、と呼ばれた魔族の少女が語りだす。
「『30の人間の勇者が異界より降臨せし時、そこに1の同胞が紛れている。その者が討たれし時、我らの世は終わる。その者が長じて魔王となりし時、我らの繁栄は約束される』
魔族領の各地に残る言い伝えよ……まさか本当に人間なのにステータスが私たち魔族の物だなんて、最初は信じられなかったけど」
「我ら魔族は人間とかれこれ50年ほど戦争を繰り返している。その中でお前は予言に出てきた魔王になる子なのだ。我々と共にこの戦乱の世を終わらせてくれないか?」
「そんな事言われても俺まだ……あなたたちの言う平民の学生でしてそれだけの力があるかどうか……」
ただの高校生であるワタルに世界を救え、だなんてRPGではお約束だが実際にやるとなると荷が重すぎる。そこから本心である弱音がもれる。
「なに安心しろ、それは今決める。あれを持ってきてくれ」
王らしき人物がそう言うとさっき人間の兵士が持っていたのと少しだけ似た、それでいて格段に小型軽量化がされたものを部下に持ってこさせて計測を行う。
さっきと同じ数値が出てきた。
「……素晴らしい。まさに予言の子にふさわしい値だな。特にLPが群を抜いて高いな。これだけの能力があるなら技さえ身に付ければすぐに最前線で戦えそうだな」
その結果にほれぼれしていた。
「シェラハ。技道場に案内してやってくれ」
「承知しました。えっと……今更だけどあなたなんて言うの? 私はシェラハよ」
「橋沢ワタルって言うんだ。ワタルと呼んでくれ。ところで技道場って?」
「そうがっつかないの。教えてあげるからついてきて」
シェラハははやるワタルをなだめながら城内にある技道場と呼ばれる場所へと向かった。
2人が去って王の間に残ったのはガイとロク、そして王の3人。その時ガイが自らの主君に意見する。
「閣下、予言の子に関して意見があるのですがよろしいでしょうか?」
「ほぉ珍しいな、ガイ。お前が私に意見とはな。聞かせてくれ」
「既に人間達との戦いは我ら魔族が世界の領土の9割を押さえて完全勝利が間近だというのはご存じですよね?
勇者と言えどたかが人間が29人。兵の頭数の差ではまず逆転劇は起こらないと思うのですが……」
「私もガイと同意見です。予言の子を救えという閣下の判断は慎重なモノでしょうが、いささか「過ぎる」ものではありませんか?」
「ガイ、ロク。お前たちもそう思うか、まぁ仕方あるまい。正直私も勇者と言えどたかが29名の人間だ。彼らで戦況が変わるとは思ってはいない。
ただ災いの芽は早めに摘んでおくことに越したことは無い。万が一というのはいつ起こるか分かったものではない。これは計画に支障が出ないための予防策なんだよ」
「!! そ、そうでしたか……つい出しゃばった事、まことに申し訳ありません!」
「なに、構わん。そういう意見は他の者から散々聞いたし、そう思われても仕方のない事だからな。下がっていいぞ」
王はガイ、ロクの2人を下がらせた。
シェラハはワタルを城内に設置された技道場へと招く。中には数人の魔族の男がいた。
「ここが技道場、私たち魔族の英知の結晶よ。今までに先人たちが閃いた技の数々を保存している場所よ。まぁここでは大剣と格闘術しか覚えられないけどね。
他の技は別の場所で習うことができるわ」
「そ、そうか。じゃあ早速……」
ドォリャー!
ドォリャー!
ドォリャー!
【次回予告】
ワタルは地球ではスクールカースト最底辺、家庭にも居場所がない「生きていることが不思議な状態」であった。それをさも当たり前のように話すワタルの話をシェラハは重苦しく聞く。
第3話 「地球での話」
「シェラハ様、見つかりましたか?」
「待って……!! いた! 見つけた! 本当にステータスが……って襲われてる! 助けに行かなきゃ!」
10匹近く放った索敵型の人工使い魔からの視覚や聴覚を受け取る「シェラハ様」と呼ばれた少女はその中の1匹の視覚から「予言の子」を探し当てた。
「こっちよ! ガイ、ロク、ついてきて!」
少女と一緒に、ガイ、あるいはロクと呼ばれた2人の男は「予言の子」を救うべく森を駆けた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
森の中をただひたすらに逃げ回っているワタルだがさすがに逃げっぱなしでは息が切れてくる。
「どうする? 各個撃破するか? いや集団で来られちゃ……」
「いたぞ! あそこだ! 行け! 行け!」
「ひ、ひぃい!」
追手が迫って来る。打開策を考える暇すら与えてくれない。そんな中……。
「あ! いたいた! あそこよ!」
自分と同じくらいの年齢の少女と、彼女に連れられた鎧を身に着け片方は大剣、もう片方は弓を携えた貫禄のある男が2人現れた。
彼らの肌の色は紫ががった肌色で、耳が横にピン、ととがっていた。明らかに人間ではない少女がワタルを見つけて近寄ってくる。
「な、なんだお前は!?」
「大丈夫、私たちはあなたの味方よ。ここから逃がしてあげるから一緒に手をつないでちょうだい。そうすれば安全な場所に行けるわ。詳しい説明は後でするから今は言う事を聞いて!」
クラスメートやさっきの人間の兵士たちとは違い、ピリピリするような殺気を全く発していない。少しだが穏やかな表情で語りかけてくる彼女にワタルは警戒心を解いた。
一行は手をつなぎ、端の方にいた少女が青いガラスのような小石を地面にたたきつけて割る。その瞬間、その場にいた全員が空を飛ぶような感覚を味わう。
次の瞬間に視界に入ってきたのは随分と発展している大都市で、ファンタジーRPGの人間の町と大して変わりのない風景だ。
ただ違うのは住んでいるのが大人から子供まで彼女らのような「人間に似ているけど違う」と言える魔族……であろう生き物ばかりだという事。
「ようこそ、魔都アーティエリへ。歓迎しようか、予言の子よ」
「……予言の子?」
ワタルは不思議そうに自分の事を「予言の子」と呼んだ男につぶやくように言う。
「詳しい話は私の家でしましょう。ガイ、ロク、行きましょう」
「「ハッ!」」
ワタルと彼女を護衛する2人のなめらかな動きは非常に洗練されている。ワタルのような戦いにおいてはド素人が見ても一朝一夕では決して身につかない事が分かる動きだ。
明らかに「兵士」というよりは「将軍」と言った方が良い豪勢な格好と、にじみ出る貫禄の高さから2人は並の人物ではない事は子供でも分かる位明らかだ。
それをこうもあっさり従える彼女は何者かとワタルは疑問に思うが、それはすぐに解けた。
「着いたわ。ここが私の家よ」
「!? ここ、お城じゃないか!」
「そうよ。ここが私の家よ。家って言うにはだいぶ豪勢なんだろうけど」
「……」
ワタルはぽかんと口を開けてその話を聞いていた。
これだけでかい城下町のある豪勢な城の姫君ってことは相当ハイクラスに所属しているのだろう。どおりでガイ、もしくはロクと言ったか? 将軍クラスの軍人を従えられるわけだ。
一行は城内に入ると王の間へと向かう。玉座には筋肉質で王にふさわしい貫禄のある中年の男が豪華な装飾が施された衣装を身にまとい座っていた。
「お父様! 予言の子を連れてまいりました!」
「ご苦労だった、シェラハ。よくやってくれたな」
「ところで、『予言の子』っていったい何なんですか?」
ワタルが彼らに問いかけるとシェラハ、と呼ばれた魔族の少女が語りだす。
「『30の人間の勇者が異界より降臨せし時、そこに1の同胞が紛れている。その者が討たれし時、我らの世は終わる。その者が長じて魔王となりし時、我らの繁栄は約束される』
魔族領の各地に残る言い伝えよ……まさか本当に人間なのにステータスが私たち魔族の物だなんて、最初は信じられなかったけど」
「我ら魔族は人間とかれこれ50年ほど戦争を繰り返している。その中でお前は予言に出てきた魔王になる子なのだ。我々と共にこの戦乱の世を終わらせてくれないか?」
「そんな事言われても俺まだ……あなたたちの言う平民の学生でしてそれだけの力があるかどうか……」
ただの高校生であるワタルに世界を救え、だなんてRPGではお約束だが実際にやるとなると荷が重すぎる。そこから本心である弱音がもれる。
「なに安心しろ、それは今決める。あれを持ってきてくれ」
王らしき人物がそう言うとさっき人間の兵士が持っていたのと少しだけ似た、それでいて格段に小型軽量化がされたものを部下に持ってこさせて計測を行う。
さっきと同じ数値が出てきた。
「……素晴らしい。まさに予言の子にふさわしい値だな。特にLPが群を抜いて高いな。これだけの能力があるなら技さえ身に付ければすぐに最前線で戦えそうだな」
その結果にほれぼれしていた。
「シェラハ。技道場に案内してやってくれ」
「承知しました。えっと……今更だけどあなたなんて言うの? 私はシェラハよ」
「橋沢ワタルって言うんだ。ワタルと呼んでくれ。ところで技道場って?」
「そうがっつかないの。教えてあげるからついてきて」
シェラハははやるワタルをなだめながら城内にある技道場と呼ばれる場所へと向かった。
2人が去って王の間に残ったのはガイとロク、そして王の3人。その時ガイが自らの主君に意見する。
「閣下、予言の子に関して意見があるのですがよろしいでしょうか?」
「ほぉ珍しいな、ガイ。お前が私に意見とはな。聞かせてくれ」
「既に人間達との戦いは我ら魔族が世界の領土の9割を押さえて完全勝利が間近だというのはご存じですよね?
勇者と言えどたかが人間が29人。兵の頭数の差ではまず逆転劇は起こらないと思うのですが……」
「私もガイと同意見です。予言の子を救えという閣下の判断は慎重なモノでしょうが、いささか「過ぎる」ものではありませんか?」
「ガイ、ロク。お前たちもそう思うか、まぁ仕方あるまい。正直私も勇者と言えどたかが29名の人間だ。彼らで戦況が変わるとは思ってはいない。
ただ災いの芽は早めに摘んでおくことに越したことは無い。万が一というのはいつ起こるか分かったものではない。これは計画に支障が出ないための予防策なんだよ」
「!! そ、そうでしたか……つい出しゃばった事、まことに申し訳ありません!」
「なに、構わん。そういう意見は他の者から散々聞いたし、そう思われても仕方のない事だからな。下がっていいぞ」
王はガイ、ロクの2人を下がらせた。
シェラハはワタルを城内に設置された技道場へと招く。中には数人の魔族の男がいた。
「ここが技道場、私たち魔族の英知の結晶よ。今までに先人たちが閃いた技の数々を保存している場所よ。まぁここでは大剣と格闘術しか覚えられないけどね。
他の技は別の場所で習うことができるわ」
「そ、そうか。じゃあ早速……」
ドォリャー!
ドォリャー!
ドォリャー!
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