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無能ジョブ「宝石使い」が実は最強ジョブでした ~強くてかわいい宝石娘に囲まれて幸せです~
第8話 戦場を舞う宝石達
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僕が爵位と領地を手に入れてから2日後。ついに国王からの通達が届いた。
「敵軍に動きがあった、相手は明日軍事行動を起こすつもりらしい。人間の意地というのを相手に見せてやれ」というものだ。
「ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド……この戦い、勝てるかな?」
「ご安心を。我々がいる限り少なくともマスターだけは絶対に死なせはしません」
「マスター、ドラゴンを倒したボクらの活躍見てないの? この程度平気だって」
「マスターが不安になるのは分かります。でも私たちは負けません」
「心配しないでマスターちゃん。私たちはドラゴンを倒せたのは知ってるでしょ? だから大丈夫だって、ね?」
宝石娘たちはそう言って僕の不安を取り除く。
「分かった。くれぐれも危なくなったらすぐに帰ってきてほしい。死ぬなよ」
彼女たちはこくり、とうなづいた。
◇◇◇
翌日、奴らが来た。2000にも及ぶ魔物たちの群れ、それを指揮する魔族。統率が取れ、装備も補給も整った軍隊は並の人間の軍に勝るとも劣らない戦力となる。
命を惜しまない忠義者と傭兵をかき集めた300の手勢では一方的に蹂躙される……はずだった。
「オイちょっと待て! 4人で突っ込んでも死ぬだけだぞ!」
「ご安心を。あなた方は見ているだけで構いませんよ」
国王の忠言を無視して宝石娘たちはそう言い残し、敵軍の最前線の中に突っ込んでいった。
ダイヤモンドの持つ剣が振るわれると剣に触れた相手はもちろんの事、5メートルは離れた相手の胴や首が極めつけに鋭利な断面を残して斬れる。
たった1振りで10匹近い魔物たちが身体を斬られ、次々と絶命していった。
「……あっけないわね。ドラゴンには遠く及ばないわね」
ダイヤモンドはそうぼやいて敵兵を斬るという単純作業を再開した。
十字槍、それも刃が紅い結晶で出来たもので敵を突き、ルビーは次々と仕留めていく。その切れ味は信じられないほどすさまじく、革製であろうが金属製であろうが鎧や盾は何の意味もなさなかった。
まるでプリンをナイフで切るかのような柔らかさで鎧や盾が敵兵の肉ごと斬れていった。彼女が身体をくるりと一回転させ、その勢いに乗せて槍を思いっきり薙ぐと魔力の結晶である赤い刃が放たれる。
それは隊列を組んだ敵兵の身体を鎧ごと次々と焼き斬っていった。
先端に蒼い結晶が付いた細いレイピアで突いたにも関わらず、杭でも打ち込まれたかのような大穴が敵兵の身体に開く。
心臓、ノド、頭部に穴が開いた兵士たちはバタバタと倒れていく。
「ハァ~ア、魔物って弱いねぇ。まぁボクらが強すぎなんだろうけど」
余裕綽々の表情でサファイアは相手を見る。調子にこそ乗らないが「自分が圧倒的に強い」戦力差は曲げようがない事実だった。
「マスターちゃんに歯向かう悪い子には……『オシオキ』しないとねぇ」
エメラルドが杖を振るうとその軌跡から緑色の光線が飛び出て魔物の軍勢を襲う。それは戦場の先端から先端までを衰えることなく貫通する死の光だ。
無尽蔵に湧き出る魔力を基に繰り出される光は次々と魔物を打ち滅ぼしていった。
「まだまだ『オシオキ』は終わってはいないわよ?」
彼女ははりついた笑顔のまま魔力を集中させる。彼女の上に緑色の光輝く球体が生成される。それを敵陣向かって投げると地面に着弾すると同時に大爆発を起こし、敵を吹き飛ばしていった。
「ば、ばば……ばばばバケモノだぁ!」
「た、助けてくれぇ!!」
魔物の兵士たちがたった4人の少女を前にしておびえて逃亡を始める。
その報告はすぐに総大将の元へと入ってくる。たった4人の少女相手に逃げ出す、だなんてとてもじゃないが信じられるものではなかったが。
「バカな……こんなバカな! 相手は500にも満たないんだぞ!? 我々は2000もあるんだぞ!? それだけの小物相手に何をそんなに手間取っているんだ!?」
戦闘が開始される前までは、あくびをするほどだれていた総大将の元に飛び込んでくるのは「こちら側が次々と撃破される」という凶報ばかり。
吉報と凶報とが逆になっているのでは? と伝令兵に詰め寄ったがどうやら本当らしい。
「一体……一体、何が起こっているんだ!?」
「クソッ! 誰かあの女達を止めろ!」
「た、助け……ぐえっ!」
本陣にその問題の少女たち4人がなだれ込んできた。
「あなたが敵軍総大将ですね。その首、もらい受けます」
「逃げ場はないわよ。覚悟して下さいね」
「悪いけどボクらには戦果が必要なんだ。このまま引き下がるわけにはいかないんでね」
「マスターちゃんのために犠牲になって頂戴ね。大丈夫、痛くはないと思うから」
「く、くそぉ!」
総大将は半ばヤケになって剣を振るうが無駄な抵抗にしかならず、この日の戦闘は「リンケン国の圧勝」で終わった。
【次回予告】
2000にも及ぶ魔物の軍勢を退けた宝石娘たち。残った問題は彼女らの主であるシュムックの身分だった。
第9話 「シュムック伯爵」
「敵軍に動きがあった、相手は明日軍事行動を起こすつもりらしい。人間の意地というのを相手に見せてやれ」というものだ。
「ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド……この戦い、勝てるかな?」
「ご安心を。我々がいる限り少なくともマスターだけは絶対に死なせはしません」
「マスター、ドラゴンを倒したボクらの活躍見てないの? この程度平気だって」
「マスターが不安になるのは分かります。でも私たちは負けません」
「心配しないでマスターちゃん。私たちはドラゴンを倒せたのは知ってるでしょ? だから大丈夫だって、ね?」
宝石娘たちはそう言って僕の不安を取り除く。
「分かった。くれぐれも危なくなったらすぐに帰ってきてほしい。死ぬなよ」
彼女たちはこくり、とうなづいた。
◇◇◇
翌日、奴らが来た。2000にも及ぶ魔物たちの群れ、それを指揮する魔族。統率が取れ、装備も補給も整った軍隊は並の人間の軍に勝るとも劣らない戦力となる。
命を惜しまない忠義者と傭兵をかき集めた300の手勢では一方的に蹂躙される……はずだった。
「オイちょっと待て! 4人で突っ込んでも死ぬだけだぞ!」
「ご安心を。あなた方は見ているだけで構いませんよ」
国王の忠言を無視して宝石娘たちはそう言い残し、敵軍の最前線の中に突っ込んでいった。
ダイヤモンドの持つ剣が振るわれると剣に触れた相手はもちろんの事、5メートルは離れた相手の胴や首が極めつけに鋭利な断面を残して斬れる。
たった1振りで10匹近い魔物たちが身体を斬られ、次々と絶命していった。
「……あっけないわね。ドラゴンには遠く及ばないわね」
ダイヤモンドはそうぼやいて敵兵を斬るという単純作業を再開した。
十字槍、それも刃が紅い結晶で出来たもので敵を突き、ルビーは次々と仕留めていく。その切れ味は信じられないほどすさまじく、革製であろうが金属製であろうが鎧や盾は何の意味もなさなかった。
まるでプリンをナイフで切るかのような柔らかさで鎧や盾が敵兵の肉ごと斬れていった。彼女が身体をくるりと一回転させ、その勢いに乗せて槍を思いっきり薙ぐと魔力の結晶である赤い刃が放たれる。
それは隊列を組んだ敵兵の身体を鎧ごと次々と焼き斬っていった。
先端に蒼い結晶が付いた細いレイピアで突いたにも関わらず、杭でも打ち込まれたかのような大穴が敵兵の身体に開く。
心臓、ノド、頭部に穴が開いた兵士たちはバタバタと倒れていく。
「ハァ~ア、魔物って弱いねぇ。まぁボクらが強すぎなんだろうけど」
余裕綽々の表情でサファイアは相手を見る。調子にこそ乗らないが「自分が圧倒的に強い」戦力差は曲げようがない事実だった。
「マスターちゃんに歯向かう悪い子には……『オシオキ』しないとねぇ」
エメラルドが杖を振るうとその軌跡から緑色の光線が飛び出て魔物の軍勢を襲う。それは戦場の先端から先端までを衰えることなく貫通する死の光だ。
無尽蔵に湧き出る魔力を基に繰り出される光は次々と魔物を打ち滅ぼしていった。
「まだまだ『オシオキ』は終わってはいないわよ?」
彼女ははりついた笑顔のまま魔力を集中させる。彼女の上に緑色の光輝く球体が生成される。それを敵陣向かって投げると地面に着弾すると同時に大爆発を起こし、敵を吹き飛ばしていった。
「ば、ばば……ばばばバケモノだぁ!」
「た、助けてくれぇ!!」
魔物の兵士たちがたった4人の少女を前にしておびえて逃亡を始める。
その報告はすぐに総大将の元へと入ってくる。たった4人の少女相手に逃げ出す、だなんてとてもじゃないが信じられるものではなかったが。
「バカな……こんなバカな! 相手は500にも満たないんだぞ!? 我々は2000もあるんだぞ!? それだけの小物相手に何をそんなに手間取っているんだ!?」
戦闘が開始される前までは、あくびをするほどだれていた総大将の元に飛び込んでくるのは「こちら側が次々と撃破される」という凶報ばかり。
吉報と凶報とが逆になっているのでは? と伝令兵に詰め寄ったがどうやら本当らしい。
「一体……一体、何が起こっているんだ!?」
「クソッ! 誰かあの女達を止めろ!」
「た、助け……ぐえっ!」
本陣にその問題の少女たち4人がなだれ込んできた。
「あなたが敵軍総大将ですね。その首、もらい受けます」
「逃げ場はないわよ。覚悟して下さいね」
「悪いけどボクらには戦果が必要なんだ。このまま引き下がるわけにはいかないんでね」
「マスターちゃんのために犠牲になって頂戴ね。大丈夫、痛くはないと思うから」
「く、くそぉ!」
総大将は半ばヤケになって剣を振るうが無駄な抵抗にしかならず、この日の戦闘は「リンケン国の圧勝」で終わった。
【次回予告】
2000にも及ぶ魔物の軍勢を退けた宝石娘たち。残った問題は彼女らの主であるシュムックの身分だった。
第9話 「シュムック伯爵」
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