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お荷物テイマーだけどテンプレ通り最強になってざまぁします

第7話 蛮族王 ゲルドブ

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 その日の夜。老いも若きもみなキセルを片手に「タバコらしき何か」を吹かしていた。

「これ、もしかして……タバコか?」

「違うよ、大麻だ。ズッシリとした大麻だよ。お前もキメるか?」

「オイオイ! 大麻をキメるシーンなんて書いたら世界が滅亡連載打ち切りしちゃうじゃないか! ダメダメ! 今すぐ辞めろ!」

「お前のせいなんだぞ!? お前がとんでもない事をしでかしたせいなんだぞ!?」

 大麻をキメつつ座った眼をしながら長老はナーダに詰め寄る。



「ハァ!? 俺のせい!? どういう事だ!?」

「いいか! ここの領主様は蛮族王ゲルドブ様の息子のアル様なんだ! ここでは彼がルールだ! 彼の言う事に従わなければ、1日たりとも生きていくことなんてできないんだよ!」

「……逃げだしゃ良いじゃねえか」

「関所があるから無理だ! 逃げ道なんてねえんだよ! もうこの村の人間は全員死ぬのが確定してるんだ! 大麻でもキメなきゃやってられんわ」

 集落の長と思われる長老はそう言いながら大麻をキメていた。



「ハァーイ、お次の方どうぞー」

「それにしても今日はやけに多いねぇ? 何かあったの?」

「公衆便所」の魔女と聖女は普段以上に利用する客に対してちょっとした疑問を持っていた。

「ああ。今日よそから来た冒険者がアル様の事を殺しちまったんだ!! もうここは終わりだ。どうせ死ぬ前に1発かまさねえと死に切れん」

「なるほどーそういう事があったんですか大変ですねぇ」

 結局彼女らはこの日、38人の男の相手をすることになった。



 翌朝……兵士のような鎧を着こんだ男たちを連れた、全身が筋肉の塊みたいな大男が集落に殴り込みをかけてきた。蛮族王ゲルドブ……このあたり一帯を暴力で支配する長だ。
 ナーダは緊張感の無いまま彼と対峙する。

「息子のアルを殺したっていう大バカ野郎はテメェか?」

「アル……? ああ思い出した、あの弱ぇ雑魚ザコモブの1匹?」

 問題発言を聞いて長老は泡を噴いて倒れた。

「ほほぉ……出来が悪いとはいえ人様の息子を雑魚ザコ呼ばわりするとは、ずいぶんといい根性してるじゃねえか。その減らず口がどこまで続くか見物だな」

 ゲルドブは右手をげると配下の蛮族が総勢20名、ずらりと彼の前に並んだ。



「どうせテメーらは犬猫を蹴っ飛ばしたりもしない動物に優しい蛮族国家なんだろ? そんなの怖くねーんだよ」

 レーヌとアイは人間の姿から元の魔物の姿へと戻り戦闘態勢に入る。ナーダは今のところ一番安全なアイの肩の上に乗る。

「人様が黙ってりゃ散々コケにしやがって……テメェラ! ブチ殺せ! 血祭りだ!」

 蛮族王がそう叫ぶと配下たちが一斉に襲い掛かってくる!



 レーヌはヘルハウンドの姿に戻り、敵の喉元に噛みつき、肉をちぎる。文字通り人間離れした脚力から成る瞬発力に、強靭なアゴの力。部下たちは次々と噛み殺されていく。
 アイは足やこん棒で群がる蛮族どもを蹴り潰し、あるいは叩き潰す。こちらも数は順調に減っていった。

「なるほど、やるな」

 その戦況をゲルドブは見ていた。そして平均的な強さしかない部下では無理だと悟ると剣を抜いた。

「お前ら! 下がれ! あとは俺がやる!」



 レーヌが口を開け噛みつこうと襲い掛かる! が、ゲルドブは彼女の口の中に突っ込むように剣を突く。のどに突き刺さり血がブシュウ! と吹き出る。

「ギャウン!」

 レーヌはその巨体に似合わない悲鳴を上げる。

「ククク……外側は頑丈でも内側はそうでもなさそうだな」



 アイがこん棒、というよりは巨木を引き抜いて枝葉を落としただけの得物を振り下ろす!
 ズズーンという音が周囲に響くが、ゲルドブはそんなものに当たるほど間抜けではない。直後こん棒の上に乗り、肩の上にいるナーダ目がけて駆けだした!

「!!」

 無論アイも黙っているわけではない。腕に止まった蚊を叩き潰すかのように左手を振り下ろす。
 が、彼はそこから一気に加速して右腕を駆けあがり、左手を避ける。
 そして肩の上にいたナーダに刃を振り下ろそうとした、その時! レーヌが現代地球で言う4メートルはあろうかという高さを跳躍ちょうやくし、ゲルドブの右腕に食らいついた!

「!? 何!?」

 彼らはバランスを崩し、アイの肩から落ちていった。



 落下中、彼は左手用の副武器であるダガーを取り出し、レーヌの鼻を突いた。犬や狼の鼻は身体と比べれば柔らかく出来ており、それはヘルハウンドも一緒だろう。
 鼻を傷つけられ血を噴き出し、その痛みから右腕に噛みついていたアゴの力が抜ける。蛮族王とそれに襲い掛かったヘルハウンドは空中で態勢を整え、両者とも無事着地した。

「……ここまで出来るとはな」

 ゲルドブは全身鎧を着ていたため中身の肉体こそ無事だが鎧の右腕部分が潰れて狼の歯形がくっきりと残っている。

「仕方ない。撤退だ! 退け! 退け!」

 蛮族王はそう指示を出す。蛮族たちは散り散りになって逃げだした。



【次回予告】

蛮国ゲルドブの首都、蛮都へと侵攻する俺たち。ガチンコ勝負の最終決戦だ! アゲアゲで行くよー!

第8話 「決戦」
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