2 / 56
6月26日以前と当日
Scene.2 かつての日常
しおりを挟む
刈リ取ル者がねぐらであるアパートの前にやってくる。鍵を開けて中に入ると怪物の身体が見る見るうちに崩れていく。
そして着ぐるみの中身が出てきたように中から吹き出物だらけの顔をした青年が現れた。この青年こそ世間をにぎわせている正義のヒーロー、刈リ取ル者の正体だった。その名は、天使 乃亜。
とは言え、彼が能力を手に入れたのは20日ほど前、正義のヒーローを名乗るようになったのはほんの1週間ほど前の話だ。それまでは何の力も持たないごく普通の人間だった。
今となっては昔の話をしよう。彼はあの時は永遠に続くと思っていた、そしてその思いとは裏腹にある日をきっかけに彼の世界から消えた過去の話だ。
その日も、彼は自宅で鏡を見て身支度をしていた。幼稚園に入ったころから出来始め、小学校に上がるころには顔中に広がった吹き出物だらけの「不細工」な、というよりは「醜い」と自分でもはっきりと言える顔が映っていた。
一階に下りてくると茶碗の飯に味噌汁がぶっかけられ、墓や仏壇に供えられる飯のように箸が突き刺さった、料理と言うよりはエサといった表現が正しい朝食が置かれていた。
自分以外の朝食、具体的には脂がのった焼き鮭と、砂糖を入れて甘く仕上げた卵焼きとはえらい違いだが気にしない。
それが当然であるかのようにかき込む。ずっと昔に文句言ったら「メシを出してやるだけでもありがたく思え」と怒鳴り散らされ20発ほどぶん殴られたのであきらめているのだ。彼は親から日常的に暴行を受けていたのだ。
学校に通う生徒たちの顔はみな晴れやかだが乃亜の表情は今にも雨が降ってきそうな鉛色の空のように曇っていた。彼にとって学校とは「処刑場」に等しい場所なのだ。
学校につくとバッグから上履きを取出し、履き替える。
下駄箱に入れないのは何故か? 下駄箱を使わないのはもしも使うと靴を隠されてそのまま行方不明になるか、机の上にカッターナイフでズタズタに切り刻まれて犬の糞を中に入れられた状態で置かれるかのどちらかになるからだ。
教室につくとラクガキだらけの自分の机の上に写真と花の入った花瓶が飾られていた。それを慣れた手つきで片づける。
座ろうとイスを引くとその上には画びょうが撒かれていた。しかもご丁寧にセロテープで針の部分が上を向くように固定されていた。それも慣れた手つきで片づける。
よく見ると背もたれの部分にも画びょうが張り付けてあった。それも慣れた手つきで片づけた。
これらは全ていじめという犯罪行為そのものだが、彼にとっては「日常」なのだ。
授業中、1つ後ろの席の男がシャープペンの先で乃亜の頭を刺してきた。
乃亜は後ろの生徒の胸ぐらに掴み掛る。
「テメェ! なにすんだ!」
「乃亜! お前何やってんだ!」
「コイツがシャープペンの先で頭を思いっきり突いたんです」
乃亜はありのままの真実を伝える。が、
「僕はみてません。乃亜が勝手に言い出したんだと思います」
「私も見てません」
「俺も」
「ほらみろ。みんな見てないって言ってるじゃないか!」
真実はかき消される。
担任の教師はクラスメート全員がグルになっているのをあえて見過ごしている。下手に波風を立てると自分の教師生命に悪影響が出る。我が身かわいさゆえの事だ。
昼休みになって食事をしていたところ生徒の一人がわざと牛乳を床にこぼした。
「いいんちょ~。牛乳こぼしちまったから拭いてくれ~」
牛乳をこぼした学年1のイケメンが乃亜に声をかける。
乃亜は表向きにはクラスメートの全会一致で選ばれた学級委員長という事になっているが実際は面倒な雑用や無理難題を押し付けられる役だ。
スクールカースト下位グループにとっては「ああよかった。オレは一番下じゃない」と安心させるための鎮痛剤。
中位グループにとっては司会者や大物タレントにいじられるお笑い芸人。
上位グループにとっては自分の帝国を維持するために使うガス抜き用の駒。
そんなスクールカーストに入ることすら許されず、底辺ですらない存在。それが乃亜の学校での地位だった。
「早く拭いてくれ~」
のんきなことを言うカースト最上位に君臨する神に彼はギロリと睨みつける。テメェが拭け。そう言いたげな委員長の顔面に牛乳臭い雑巾が投げつけられた。
「拭けって言ってんだろ。早くしろ」
クラス1、いや学年1の人気者である神の命令には逆らえない。乃亜は拳を固く握りしめながら牛乳を拭き始めた。
「あ~。ごめ~ん。私も牛乳こぼしちゃった~」
神の彼女がそう言いながらわざと乃亜の背中に牛乳をこぼす。クラスメートたちはクスクスと笑いながら哀れんだ、あるいは蔑んだ目で彼を見てていた。
それを偶然廊下を歩いていた担任の教師が見かけていたが、すぐに目を逸らして平然と去って行った。仕方ない。彼は乃亜にとっての敵だからだ。特に1ヵ月前に起こったあの事件からは。
教師と乃亜の面談でソレはいきなり怒声を上げた。
「我が校にいじめはない!」
「実際にいじめられたんですけど?」
「オレが無いって言ったら無いんだ! ありもしないことを警察なんかに言うんじゃない!」
「オメーらがいじめを黙殺するから警察に頼み込んだんだろうが!」
「……テメェ大学行きたくねぇのか!? ええ!? 大学に行きたかったら大人しくオレのいう事を聞け! 今時大学に入れない奴なんてゴミクズ、いやウジ虫以下だぞ!」
文句を言って食い下がる乃亜に教師が罵声を浴びせる。それはもう完全に犯罪行為である脅迫だ。
「いい加減にしろてめえ!」
結局その日は教師をぶん殴って3日間の停学となった。そのことを正直に話したら親からもぶん殴られ飯抜きになった。そんなこともあってか教師も親も自分を見捨てるものだと思っている。
牛乳臭い制服を着たまま、乃亜は帰宅した。
「ただいま。学校で牛乳かけられたから制服クリーニングに出してくれないか?」
「うるせぇ! 小遣いくれてやってんだからそこから出せボケ!」
お帰りとも言わずに乃亜に怒りの声をぶつけた。その直後、愛らしい声と見た目の少女が帰ってきた。
「ただいま!」
「おかえり~! 美歌! 学校はどうだった? 仕事はどうだった? 何か変わったことは無い?」
乃亜に対しては汚物を相手にしているかのような態度のくせに妹の美歌に対しては別の人格に切り替わったかのように豹変し、あざといくらいの猫なで声。露骨という言葉ですら生ぬるいほどの態度の変えぶりだが乃亜は気にしない。これが当たり前だからだ。
夕食という名のエサをかき込んで宿題をやっていると美歌がノックもせずに乃亜の部屋に入ってきた。その手には木製のバットが握られ、兄を見る目は血走っている。
「マジキモいんだよあの野郎! エロい目で見やがって!」
ドスを利かせた怒鳴り声をあげながらロリコンの気がある専属カメラマンへの怒りを兄にぶつける。バットで顔面や腹を力の限りぶっ叩いた。乃亜は反射的にガードするが、
「何ガードしてんだよテメェは! オレが許可してねーことしてんじゃねーよボケ!」
更に逆上して頭や顔面をぶん殴る。兄は嵐が過ぎ去るまでただひたすらじっと耐えるしかなかった。
ボロボロになった乃亜は湿布を張るために下へと降りてきた。
「いい加減美歌の奴を止めろよ。テメーは美歌の奴を何とも思わねえのか?」
「うるせーな! テメーはお兄ちゃんなんだからそれくらい我慢しろ! っていうか美歌の『奴』って何だ! 美歌に向かってそんな事言うな!」
まるでバットで叩かれた自分の方が悪者のような言われ方をしてまたぶん殴られる。だが仕方ない。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。おまけに14歳にしてプロのモデルと動画サイトでも人気絶頂という絵に描いた様な才女と吹き出物だらけの醜い見た目に成績も平凡な普通以下の人間と比べればどちらをひいきするかは目に見えている。
応急手当てをした後、鈍痛をこらえながら乃亜はベッドで眠りについた。
これが16歳の高校2年生、天使 乃亜のかつての日常だった。そしてこの日常はある「出会い」で乃亜自身の手で激しい音と共に粉微塵になるまで砕かれ、彼は自由という大海原に旅立つことになるのを、この時はまだ知らなかった。
そして着ぐるみの中身が出てきたように中から吹き出物だらけの顔をした青年が現れた。この青年こそ世間をにぎわせている正義のヒーロー、刈リ取ル者の正体だった。その名は、天使 乃亜。
とは言え、彼が能力を手に入れたのは20日ほど前、正義のヒーローを名乗るようになったのはほんの1週間ほど前の話だ。それまでは何の力も持たないごく普通の人間だった。
今となっては昔の話をしよう。彼はあの時は永遠に続くと思っていた、そしてその思いとは裏腹にある日をきっかけに彼の世界から消えた過去の話だ。
その日も、彼は自宅で鏡を見て身支度をしていた。幼稚園に入ったころから出来始め、小学校に上がるころには顔中に広がった吹き出物だらけの「不細工」な、というよりは「醜い」と自分でもはっきりと言える顔が映っていた。
一階に下りてくると茶碗の飯に味噌汁がぶっかけられ、墓や仏壇に供えられる飯のように箸が突き刺さった、料理と言うよりはエサといった表現が正しい朝食が置かれていた。
自分以外の朝食、具体的には脂がのった焼き鮭と、砂糖を入れて甘く仕上げた卵焼きとはえらい違いだが気にしない。
それが当然であるかのようにかき込む。ずっと昔に文句言ったら「メシを出してやるだけでもありがたく思え」と怒鳴り散らされ20発ほどぶん殴られたのであきらめているのだ。彼は親から日常的に暴行を受けていたのだ。
学校に通う生徒たちの顔はみな晴れやかだが乃亜の表情は今にも雨が降ってきそうな鉛色の空のように曇っていた。彼にとって学校とは「処刑場」に等しい場所なのだ。
学校につくとバッグから上履きを取出し、履き替える。
下駄箱に入れないのは何故か? 下駄箱を使わないのはもしも使うと靴を隠されてそのまま行方不明になるか、机の上にカッターナイフでズタズタに切り刻まれて犬の糞を中に入れられた状態で置かれるかのどちらかになるからだ。
教室につくとラクガキだらけの自分の机の上に写真と花の入った花瓶が飾られていた。それを慣れた手つきで片づける。
座ろうとイスを引くとその上には画びょうが撒かれていた。しかもご丁寧にセロテープで針の部分が上を向くように固定されていた。それも慣れた手つきで片づける。
よく見ると背もたれの部分にも画びょうが張り付けてあった。それも慣れた手つきで片づけた。
これらは全ていじめという犯罪行為そのものだが、彼にとっては「日常」なのだ。
授業中、1つ後ろの席の男がシャープペンの先で乃亜の頭を刺してきた。
乃亜は後ろの生徒の胸ぐらに掴み掛る。
「テメェ! なにすんだ!」
「乃亜! お前何やってんだ!」
「コイツがシャープペンの先で頭を思いっきり突いたんです」
乃亜はありのままの真実を伝える。が、
「僕はみてません。乃亜が勝手に言い出したんだと思います」
「私も見てません」
「俺も」
「ほらみろ。みんな見てないって言ってるじゃないか!」
真実はかき消される。
担任の教師はクラスメート全員がグルになっているのをあえて見過ごしている。下手に波風を立てると自分の教師生命に悪影響が出る。我が身かわいさゆえの事だ。
昼休みになって食事をしていたところ生徒の一人がわざと牛乳を床にこぼした。
「いいんちょ~。牛乳こぼしちまったから拭いてくれ~」
牛乳をこぼした学年1のイケメンが乃亜に声をかける。
乃亜は表向きにはクラスメートの全会一致で選ばれた学級委員長という事になっているが実際は面倒な雑用や無理難題を押し付けられる役だ。
スクールカースト下位グループにとっては「ああよかった。オレは一番下じゃない」と安心させるための鎮痛剤。
中位グループにとっては司会者や大物タレントにいじられるお笑い芸人。
上位グループにとっては自分の帝国を維持するために使うガス抜き用の駒。
そんなスクールカーストに入ることすら許されず、底辺ですらない存在。それが乃亜の学校での地位だった。
「早く拭いてくれ~」
のんきなことを言うカースト最上位に君臨する神に彼はギロリと睨みつける。テメェが拭け。そう言いたげな委員長の顔面に牛乳臭い雑巾が投げつけられた。
「拭けって言ってんだろ。早くしろ」
クラス1、いや学年1の人気者である神の命令には逆らえない。乃亜は拳を固く握りしめながら牛乳を拭き始めた。
「あ~。ごめ~ん。私も牛乳こぼしちゃった~」
神の彼女がそう言いながらわざと乃亜の背中に牛乳をこぼす。クラスメートたちはクスクスと笑いながら哀れんだ、あるいは蔑んだ目で彼を見てていた。
それを偶然廊下を歩いていた担任の教師が見かけていたが、すぐに目を逸らして平然と去って行った。仕方ない。彼は乃亜にとっての敵だからだ。特に1ヵ月前に起こったあの事件からは。
教師と乃亜の面談でソレはいきなり怒声を上げた。
「我が校にいじめはない!」
「実際にいじめられたんですけど?」
「オレが無いって言ったら無いんだ! ありもしないことを警察なんかに言うんじゃない!」
「オメーらがいじめを黙殺するから警察に頼み込んだんだろうが!」
「……テメェ大学行きたくねぇのか!? ええ!? 大学に行きたかったら大人しくオレのいう事を聞け! 今時大学に入れない奴なんてゴミクズ、いやウジ虫以下だぞ!」
文句を言って食い下がる乃亜に教師が罵声を浴びせる。それはもう完全に犯罪行為である脅迫だ。
「いい加減にしろてめえ!」
結局その日は教師をぶん殴って3日間の停学となった。そのことを正直に話したら親からもぶん殴られ飯抜きになった。そんなこともあってか教師も親も自分を見捨てるものだと思っている。
牛乳臭い制服を着たまま、乃亜は帰宅した。
「ただいま。学校で牛乳かけられたから制服クリーニングに出してくれないか?」
「うるせぇ! 小遣いくれてやってんだからそこから出せボケ!」
お帰りとも言わずに乃亜に怒りの声をぶつけた。その直後、愛らしい声と見た目の少女が帰ってきた。
「ただいま!」
「おかえり~! 美歌! 学校はどうだった? 仕事はどうだった? 何か変わったことは無い?」
乃亜に対しては汚物を相手にしているかのような態度のくせに妹の美歌に対しては別の人格に切り替わったかのように豹変し、あざといくらいの猫なで声。露骨という言葉ですら生ぬるいほどの態度の変えぶりだが乃亜は気にしない。これが当たり前だからだ。
夕食という名のエサをかき込んで宿題をやっていると美歌がノックもせずに乃亜の部屋に入ってきた。その手には木製のバットが握られ、兄を見る目は血走っている。
「マジキモいんだよあの野郎! エロい目で見やがって!」
ドスを利かせた怒鳴り声をあげながらロリコンの気がある専属カメラマンへの怒りを兄にぶつける。バットで顔面や腹を力の限りぶっ叩いた。乃亜は反射的にガードするが、
「何ガードしてんだよテメェは! オレが許可してねーことしてんじゃねーよボケ!」
更に逆上して頭や顔面をぶん殴る。兄は嵐が過ぎ去るまでただひたすらじっと耐えるしかなかった。
ボロボロになった乃亜は湿布を張るために下へと降りてきた。
「いい加減美歌の奴を止めろよ。テメーは美歌の奴を何とも思わねえのか?」
「うるせーな! テメーはお兄ちゃんなんだからそれくらい我慢しろ! っていうか美歌の『奴』って何だ! 美歌に向かってそんな事言うな!」
まるでバットで叩かれた自分の方が悪者のような言われ方をしてまたぶん殴られる。だが仕方ない。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。おまけに14歳にしてプロのモデルと動画サイトでも人気絶頂という絵に描いた様な才女と吹き出物だらけの醜い見た目に成績も平凡な普通以下の人間と比べればどちらをひいきするかは目に見えている。
応急手当てをした後、鈍痛をこらえながら乃亜はベッドで眠りについた。
これが16歳の高校2年生、天使 乃亜のかつての日常だった。そしてこの日常はある「出会い」で乃亜自身の手で激しい音と共に粉微塵になるまで砕かれ、彼は自由という大海原に旅立つことになるのを、この時はまだ知らなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる