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第20話 毒竜討伐戦
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イスターナ国郊外の毒竜が住まう場所……草木も枯れ、むき出しの土すら毒で紫色に変色してしまっている土地。
そこにエクムント、エリン、そして銀色の髪の少女がやってきた。
誰も片付ける者がいないのか、以前毒竜に戦いを挑んだ兵士たちの亡骸がそのまま転がっている。
エクムント一行が歩いているとその反対方向から濃い紫と濃い緑が混じったような色のローブを着た男が1人、歩いてきた。毒竜カシャフ、その人間の姿だ。
「この国の姫君、確かエリンと言ったか? そいつを連れてきたようだな。期限まであと1日あるがまぁ早いにこしたことは無いからな」
毒竜は上機嫌にそう語る。そこへ女の子が割って入った。
「あなたが毒竜カシャフね。人間を悲しませるような真似をするのなら……オシオキダヨ!」
彼女の背中から巨大な白い竜の翼が出たと思ったらそれで全身を隠す。直後急激に身体が変化していき、以前毒竜討伐戦で見た毒竜と同じくらいの背丈をした純白色の竜となった。
「!? な、何ぃ!?」
毒竜もうろたえながらも同じような方法でその身体を人間のそれからドラゴンのそれへと変える。2匹の竜が相まみえた。
「グルル……ウォオオオン!!」
毒竜は合図を送るかのように声を上げる。すると毒竜によく似た、それでいて体長が1回り小さいドラゴンが2匹飛んでくる……かつてのエリンの両親だった。
3匹の毒竜は一斉に毒液を白い竜目がけて飛ばす。が、白竜の前でまるで熱したフライパンに水滴を垂らしたかのように途中で蒸発してしまう。
「グウォオオオン!」
白い竜が吠えると目の前に12個の魔法陣が生成される。その中心から太い光線が発射され、毒竜たちの身体に浴びせかける。
光は小さい毒竜の内1匹の頭部に1発、胸部に3発、腹部に6発、もう片方の小さい毒竜に2発命中した。10本の光線を食らった毒竜はその場に倒れ込み、2度と動くことは無かった。
「キシャアアアア!」
白い竜は攻めの手を緩めない。今度は小さい毒竜に近づき爪を立てて腹を切り裂く。鮮血があふれ出るほどの深々とした傷をつける。
「ギャウッ!?」
ひるんだその隙をついて白い竜は小さい毒竜の首に噛みつき、肉を引きちぎる。鮮血で紅い花が咲くのを見るに、致命傷であるのは明らかだ。
「グルルルル……」
毒竜カシャフにとって仲間にして僕である2匹がたやすく殺されるのを見て不利だと判断すると、翼を広げて地を発ちその場を去ろうとする。
だが白い竜は逃がすつもりはなかった。『彼女』も翼を広げて空を飛び追いかける。
白い竜から逃げようとする毒竜、だが白い竜の方が速度は速かった。射程距離内に入ると白い竜は口から極太の光線を発射する。
毒竜の尻から腹にかけて身体を貫通し、鮮血がドバッ! と吹き出し、飛行姿勢がふらつき更に速度が落ちる。
白い竜はさらにもう一発光線を浴びせる。今度は毒竜の胸を貫通し、心臓に穴が開いた。無論、致命傷である。毒竜は墜落し、死んだ。
すべてが終わった後、白い竜はエクムントやエリンの元へと戻ってくる。そして竜の姿から人間の少女の姿へと戻った。
「終わったんですな」
「はい。毒竜討伐は無事に終わりましたよ」
「貴女、一体何者なの!?」
エリンが疑問9割と少しだけ恐怖でひきつった顔をすると少女はチラシを見せた。
「私は『白き神の教え』という宗教団体で、あなたたち人間で言う神様をやっています。
確か聞いた話ではここは土着の精霊を信仰しているでそうですが、私の教えに改宗すれば様々な加護を与えますので検討してみてはいかがでしょうか?
そのチラシはあげますので参考にしてくださいね」
「……」
ぽかん。とした顔でエリンは神様だという少女を見ていた。
「では仕事が終わったので私はもう帰るからね。久しぶりにいい運動になったわ。じゃあね」
少女の身体は半透明になり、やがて消えていった。
「エクムント……あなた神様と知り合いなの!?」
「まぁ分かりやすく言えばそうなりますな」
「……あなた一体何者なの?」
「ただの冒険者ですよ。違うところがあるとすれば世界中に知り合いがいますけどね」
エクムントのひょうひょうとした表情に再びエリンは口をあんぐりと開けた。
「さあ、姫様はお帰りになさったほうがよろしいのでは?」
「! え、ええ。あなたはどうするの?」
「私は冒険者であるがゆえにまた旅をするまでです。では機会があったらまたお会いいたしましょう」
「!? ちょ、ちょっとま……」
彼女が声をかける前に彼は去っていった。
【次回予告】
かつて、人の身でありながら神になることを望んだ欲深き少年がいた。彼の名は……。
第21話 「テッド=ヴラド」
そこにエクムント、エリン、そして銀色の髪の少女がやってきた。
誰も片付ける者がいないのか、以前毒竜に戦いを挑んだ兵士たちの亡骸がそのまま転がっている。
エクムント一行が歩いているとその反対方向から濃い紫と濃い緑が混じったような色のローブを着た男が1人、歩いてきた。毒竜カシャフ、その人間の姿だ。
「この国の姫君、確かエリンと言ったか? そいつを連れてきたようだな。期限まであと1日あるがまぁ早いにこしたことは無いからな」
毒竜は上機嫌にそう語る。そこへ女の子が割って入った。
「あなたが毒竜カシャフね。人間を悲しませるような真似をするのなら……オシオキダヨ!」
彼女の背中から巨大な白い竜の翼が出たと思ったらそれで全身を隠す。直後急激に身体が変化していき、以前毒竜討伐戦で見た毒竜と同じくらいの背丈をした純白色の竜となった。
「!? な、何ぃ!?」
毒竜もうろたえながらも同じような方法でその身体を人間のそれからドラゴンのそれへと変える。2匹の竜が相まみえた。
「グルル……ウォオオオン!!」
毒竜は合図を送るかのように声を上げる。すると毒竜によく似た、それでいて体長が1回り小さいドラゴンが2匹飛んでくる……かつてのエリンの両親だった。
3匹の毒竜は一斉に毒液を白い竜目がけて飛ばす。が、白竜の前でまるで熱したフライパンに水滴を垂らしたかのように途中で蒸発してしまう。
「グウォオオオン!」
白い竜が吠えると目の前に12個の魔法陣が生成される。その中心から太い光線が発射され、毒竜たちの身体に浴びせかける。
光は小さい毒竜の内1匹の頭部に1発、胸部に3発、腹部に6発、もう片方の小さい毒竜に2発命中した。10本の光線を食らった毒竜はその場に倒れ込み、2度と動くことは無かった。
「キシャアアアア!」
白い竜は攻めの手を緩めない。今度は小さい毒竜に近づき爪を立てて腹を切り裂く。鮮血があふれ出るほどの深々とした傷をつける。
「ギャウッ!?」
ひるんだその隙をついて白い竜は小さい毒竜の首に噛みつき、肉を引きちぎる。鮮血で紅い花が咲くのを見るに、致命傷であるのは明らかだ。
「グルルルル……」
毒竜カシャフにとって仲間にして僕である2匹がたやすく殺されるのを見て不利だと判断すると、翼を広げて地を発ちその場を去ろうとする。
だが白い竜は逃がすつもりはなかった。『彼女』も翼を広げて空を飛び追いかける。
白い竜から逃げようとする毒竜、だが白い竜の方が速度は速かった。射程距離内に入ると白い竜は口から極太の光線を発射する。
毒竜の尻から腹にかけて身体を貫通し、鮮血がドバッ! と吹き出し、飛行姿勢がふらつき更に速度が落ちる。
白い竜はさらにもう一発光線を浴びせる。今度は毒竜の胸を貫通し、心臓に穴が開いた。無論、致命傷である。毒竜は墜落し、死んだ。
すべてが終わった後、白い竜はエクムントやエリンの元へと戻ってくる。そして竜の姿から人間の少女の姿へと戻った。
「終わったんですな」
「はい。毒竜討伐は無事に終わりましたよ」
「貴女、一体何者なの!?」
エリンが疑問9割と少しだけ恐怖でひきつった顔をすると少女はチラシを見せた。
「私は『白き神の教え』という宗教団体で、あなたたち人間で言う神様をやっています。
確か聞いた話ではここは土着の精霊を信仰しているでそうですが、私の教えに改宗すれば様々な加護を与えますので検討してみてはいかがでしょうか?
そのチラシはあげますので参考にしてくださいね」
「……」
ぽかん。とした顔でエリンは神様だという少女を見ていた。
「では仕事が終わったので私はもう帰るからね。久しぶりにいい運動になったわ。じゃあね」
少女の身体は半透明になり、やがて消えていった。
「エクムント……あなた神様と知り合いなの!?」
「まぁ分かりやすく言えばそうなりますな」
「……あなた一体何者なの?」
「ただの冒険者ですよ。違うところがあるとすれば世界中に知り合いがいますけどね」
エクムントのひょうひょうとした表情に再びエリンは口をあんぐりと開けた。
「さあ、姫様はお帰りになさったほうがよろしいのでは?」
「! え、ええ。あなたはどうするの?」
「私は冒険者であるがゆえにまた旅をするまでです。では機会があったらまたお会いいたしましょう」
「!? ちょ、ちょっとま……」
彼女が声をかける前に彼は去っていった。
【次回予告】
かつて、人の身でありながら神になることを望んだ欲深き少年がいた。彼の名は……。
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