伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ

文字の大きさ
13 / 60
第一章

防衛戦③

しおりを挟む
------固有..キル...獲得しま..た-----

ふと何かが聴こえた気がした。
人の声でも、また機械のものでもないような、そんな声だった。


「....何だ...これは....!?」

その直後。
俺の身体の奥底で熱い何かが生まれ、
その熱に突き動かされるままに立ち上がった。
そして目の前で仲間にトドメを刺そうと棍棒を大きく振りかぶるトロールを見据え、半ばで折れてしまった剣を手に奴に向かって走り出す。

(怖い...けど、何故だかやれる気がする...!)

そんな、なんの根拠もない自信を持って。


トロールは急接近する俺に気が付き標的をこちらに移し、棍棒を振り下ろす方向を変えた。

目前に迫る巨大な棍棒を、横に転がることで躱し振り下ろした直後の隙だらけなその図体に向かって跳躍し、トロールを斬るために剣を両手で持ち頭上で構える。
戦いの最中に半ばほどで折れていたはずの剣は、根本から眩いほどの金色の光が放出され刀身を象っている。
そしてその剣を迷うことなく奴の頭を狙い全力で振り下ろす。
奴は棍棒を持ち上げ俺に叩きつけようとするが、間に合わない。

ドサッ

なんの抵抗もなく、豆腐を切るような感覚とほぼ同時に、身体が真っ二つになったトロールが左右に分かれ倒れる。

「ハハ...なんとか...なったな.....」

周囲を見渡すと、魔物の数はかなり減っていた。

そしてアル、フランツ、エマを見ると、地に倒れてはいるが僅かに上半身が上下しており、生きていることがわかる。

(あいつらも無事だ...)


仲間の無事を確認し、ふぅっと一息つくと途端に極度の疲労感が全身を襲い、抗うことも出来ずにドサッと崩れ落ちる。

(あの声や、急に湧いてきた力はなんだったんだろう...。金色の光も.....)

そのような疑問が頭に浮かぶが、深く考える間も無く俺の意識はブラックアウトした。

金色に光り輝く刀身はすっかり消えていた。
....まるで元々無かったかのようにーーー




------------------------------
ここまでお読み下さりありがとうございます
諸事情により長らく更新が止まってしまい誠に申し訳ございませんでした。
またこれから更新を再開させていただきます。

また、近いうちに今までの話であった表現や言い回しなどを変更する予定ですが、物語の大筋には影響は全くありませんのでご安心下さい。

長期間に渡り放置していたにもかかわらず、お気に入り登録を外さないでいてくれた方や、ご心配してくださった方々、本当にありがとうございました!

至らぬ点も多いですが、これからもこの作品をよろしくお願い申し上げます。




しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

処理中です...