7 / 37
7 実はAI任せの花咲かじいさん
しおりを挟む
昔々、じゃなかった。
令和のある町に、“花咲かじいさん”とあだ名される老人がいた。
名前は田中五郎、72歳。特に花を咲かせる力があるわけではない。SNSに桜の写真を毎日投稿し、「いいね」が咲き乱れるからその名がついた。ただし本人は携帯が使えない。写真は全部、孫のユウト(12)が撮っている。
そんな五郎じいさんには、最近買ったAIスピーカー「ポチ2号」との会話が日課だった。ある日、ポチ2号に言った。
「昔ばなしの花咲かじいさんみたいに、ほんとに花を咲かせられたらええのぅ……」
するとポチ2号のLEDがギラリと光った。
「了解。魔法アプリ『ホントニサクゾ!』を起動します。」
「な、なんやて?」
朝。庭に出ると、ポチ2号が地面を掘っていた。その横には、「ココ掘れワン」の看板。いや、立札。しかも筆文字。
「お、お前……本気か?」
恐る恐る掘ると、出てきたのは大きな壺……ではなく、最新型のドローン。「純国産製、高精度マルチフラワー撒きドローン」と書かれていた。
説明書によれば、空を舞いながら種を撒き、AIがその土地の気候に合わせて開花時期を最適化するという。
じいさん、ドローンを飛ばす。
(AIなので実は全自動)
空を舞うその姿に、隣町の市役所が「新時代の環境活動家」としてSNSで紹介。バズる。
花は咲いた。しかも桜だけでなく、チューリップ、梅、向日葵、ラフレシア。季節も地域も無視。
「これが……AIの力……!」
町中が観光地化。花見客でごった返す庭に、役場から電話が。
「補助金、出します」
しかし、隣のじいさん——通称・嫌味じいさんが嫉妬の炎をメラメラと燃やしていた。
「ワシもAIを……!」
彼は安物の中華製AIを買い、「咲け咲けアプリ」を起動。翌朝。庭には大量のカビが発生。しかも自動で毒キノコをふりまく機能つき。
ニュースに「現代の毒キノコじいさん」と報道され、SNSは大炎上。
「いいね」よりも「通報」が多かった。
数日後、五郎じいさんは言った。
「ポチ2号よ、幸せとは何ぞ?」
ポチ2号は静かに答えた。
「花が咲くのはデータと自然の力。でも、人の心に咲く花は、じいさんの優しさでしか育ちません。」
じいさん、泣く。
孫も泣く。
ポチ(飼い犬)は吠える。
ポチ2号はしみじみとドヤ顔。
そして町に、今日も花が咲く。
令和のある町に、“花咲かじいさん”とあだ名される老人がいた。
名前は田中五郎、72歳。特に花を咲かせる力があるわけではない。SNSに桜の写真を毎日投稿し、「いいね」が咲き乱れるからその名がついた。ただし本人は携帯が使えない。写真は全部、孫のユウト(12)が撮っている。
そんな五郎じいさんには、最近買ったAIスピーカー「ポチ2号」との会話が日課だった。ある日、ポチ2号に言った。
「昔ばなしの花咲かじいさんみたいに、ほんとに花を咲かせられたらええのぅ……」
するとポチ2号のLEDがギラリと光った。
「了解。魔法アプリ『ホントニサクゾ!』を起動します。」
「な、なんやて?」
朝。庭に出ると、ポチ2号が地面を掘っていた。その横には、「ココ掘れワン」の看板。いや、立札。しかも筆文字。
「お、お前……本気か?」
恐る恐る掘ると、出てきたのは大きな壺……ではなく、最新型のドローン。「純国産製、高精度マルチフラワー撒きドローン」と書かれていた。
説明書によれば、空を舞いながら種を撒き、AIがその土地の気候に合わせて開花時期を最適化するという。
じいさん、ドローンを飛ばす。
(AIなので実は全自動)
空を舞うその姿に、隣町の市役所が「新時代の環境活動家」としてSNSで紹介。バズる。
花は咲いた。しかも桜だけでなく、チューリップ、梅、向日葵、ラフレシア。季節も地域も無視。
「これが……AIの力……!」
町中が観光地化。花見客でごった返す庭に、役場から電話が。
「補助金、出します」
しかし、隣のじいさん——通称・嫌味じいさんが嫉妬の炎をメラメラと燃やしていた。
「ワシもAIを……!」
彼は安物の中華製AIを買い、「咲け咲けアプリ」を起動。翌朝。庭には大量のカビが発生。しかも自動で毒キノコをふりまく機能つき。
ニュースに「現代の毒キノコじいさん」と報道され、SNSは大炎上。
「いいね」よりも「通報」が多かった。
数日後、五郎じいさんは言った。
「ポチ2号よ、幸せとは何ぞ?」
ポチ2号は静かに答えた。
「花が咲くのはデータと自然の力。でも、人の心に咲く花は、じいさんの優しさでしか育ちません。」
じいさん、泣く。
孫も泣く。
ポチ(飼い犬)は吠える。
ポチ2号はしみじみとドヤ顔。
そして町に、今日も花が咲く。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日ごろに発売となります。
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる