真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一

文字の大きさ
233 / 307
第六章 学園編 ──白銀の婚約者──

第231話 消えた『108番』

しおりを挟む
掲示板の前に立ち尽くした俺は、まるで世界の音が全部消えてしまったみたいな感覚に陥っていた。

だって。

だってさ──

無いんだもの。108番が。

張り出された白い紙の上に、黒いインクで並んだ番号の羅列。

76、84、89、96、101──そして最後に107。

その横に、確かに「合格」の文字が並んでいた。

……だけど。

108番だけが、どこにも、存在しない。



「……なんでだよ……」



頭の中で何度数え直しても、現実は変わらない。

落ちた?
俺が?
実技試験、一位だったのに……?

いや、でも……いやいや、待て待て。
理由はいくらでもある。

ラグナ王子の逆鱗に触れた。
筆記が案外悪かった。
数学でのアレが“カンニング扱い”された。
王族の圧力で捻じ曲げられた。

考えれば考えるほど、“落ちる理由”ばっかり思い浮かんでくる。

胸の奥がじわじわ冷えていく。
ブリジットちゃんに……なんて言えばいいんだ。あんなに応援してくれたのに。
落ちたって知ったら、どんな顔するんだろう。

喉がきゅっと詰まる。
情けなさで胃のあたりがしくしく痛む。

そんな俺の背後に──明るい声が飛んできた。



「おお、アルドくん。おったんかいな。」



振り向けば、ザキさんだった。



「……あ、ザキさん……」



声が死にかけてる自覚はある。
でも、今はもう、取り繕う気力すらない。

ザキさんは俺の表情なんてまるで気にしてない様子で、ケラケラ笑いながら言った。



「見たで、号外。なんやアルドくん、あの第六王子にえらいカマした事にされてるやん。」



……はい、それもあったんです。
地獄みたいなデマ記事が街角で配られてたやつね。

『ラグナ第六王子にライバル出現か!?』
とかいう見出しで、俺を完全に“対王子の反逆児”みたいに扱ってた号外。

その尻馬に乗って煽られておいて、実際は落ちてるとか──
死ぬほど恥ずかしい。
もう、お外歩けないよ、俺。



「そんな事よりアルドくん。結果どやった? ま、君ぃの場合、聞くまでもないか」



ザキさんは、当然のように“受かってる前提”で聞いてくる。

俺はもう……どうしていいか分からなくて、項垂れたまま小さく呟いた。



「そ……それは……」



ザキさんは俺の様子に気づくことなく、浮かれた調子で掲示板へ視線を移した。

ごめん、ザキさん……
俺……落ちたんだ……

ザキさんが受かってたら、一緒に大学生活送れるとか言ってたけど、そんな未来はもう──



「お、俺受かっとるわ。」



……ガビーン。

い、いや、それは全然良いんだよ。
むしろ嬉しいよ。嬉しいけど……
精神的ダメージが……追い打ちが……

でも、次の瞬間。



「おお、アルドくんも“受かっとる”やん。ま、そらそうやわな。」



……え?

…………んんんん?

俺、受かってる?



「えっ……俺が……?受かってる……?」



反射的にザキさんの横に駆け寄って、紙を見る。
何度も、何度も数字を追う。

101…………107。

無い。
無いじゃん!
108番、無いじゃん!!!!



「ざ、ザキさん……その冗談は、やっちゃいけないたぐいの冗談でしょ……」



震えながら言うと、ザキさんはキョトンとした。



「は?何言うてんの?あるやん、普通に。」



いやいやいやいやいや!!
どこにあるんだよ!?
この世界のどこに“108”があるんだよ!??



「無いじゃん!!俺の番号!!落ちてるじゃん!!」



俺が叫ぶと、ザキさんは逆に眉をひそめた。



「いやいやアルドくんこそ、どういう種類のジョークなん?それ。あるやん、普通に。」



え?
え、え?



「だ、だって……ホラ、俺って受験番号の一番最後だったでしょ?108番。煩悩と同じ……!」



ザキさんは呆れたように肩をすくめた。



「アルドくん、自分の番号も忘れてもうたん?
──君ぃの番号、108やなくて、107番やろ?」



…………は?

えっ、いやいや待って。
絶対108番だったよ。
自分の胸に手を当てて思い出せ、俺。

“煩悩の数と一緒じゃん”って一人でツッコんでた記憶、何度も何度も反芻したはずなんだ。

それが──“107”?

そんなはずない。



「いやいや!108番だって!間違いないよ!」



俺は必死に言うが、ザキさんは逆に本格的に心配しはじめていた。



「アルドくん……マジで言うてるの?受験ノイローゼいうやつ?少しおかしなってもうてるんやない?」



えぇぇぇぇ!?
いやいや、違うんだって!
絶対俺の記憶は間違ってないんだって!!

……そうだ。
受験票を見れば、一瞬で分かる。

震える手で懐から受験票を取り出す。
そこに印字された番号を確認する。


『受験番号 107番』


──呼吸が止まった。

ザキさんが俺の肩越しに覗き込む。



「ほら、107番やん。合格しとるやん。おめでとうさん!」



背中を叩かれる感触が、逆に遠い。

ど……
どういう事……?

俺の頭の中で、思考が渦巻く。

昨日まで“確かに存在したはずの108番”が
受験票から綺麗に消えて──

“107番だったこと”になっている。

受験票だけじゃない。掲示板も、ザキさんの記憶も。

俺だけが……覚えている?

いや──覚えてるどころか、
俺の記憶と現実が食い違っている。

ゾクリ──と、背骨の奥が冷たいものに触れられたように震えた。

番号自体が……“書き換わった”……?

そう思わざるを得ないほど、
“108番”は綺麗に消されていた。

何も分からない。
でも、確実に一つだけ分かることがある。

──これは、“ただの合格発表”じゃ終わらない。

胸の奥が妙にざわつく。
違和感が、静かに、しかし確実に膨らんでいく。

俺は笑顔を作ろうとしたが、引きつるばかりだった。



「……どうなってんだよ、これ……」



誰にも届かない小さな独り言が、
合格発表のざわめきに吸い込まれて消えていった。



 ◇◆◇



意味が、分からなかった。

いや、本当に。
前世と今世合わせても、ここまで説明がつかない現象を経験したことってなかったと思う。

だって──昨日、試験を受けた時、
俺の受験番号は間違いなく108番だった。

“煩悩の数と一緒じゃん”と、ゼッタイに忘れないくらい強烈に覚えていた。

だけど。

いま俺の手の中にある受験票には、
はっきりと、くっきりと、

『107番』

と書かれている。

書き換えられた──
そうとしか考えられなかった。

なのにザキさんは、その“変化”をまるで感じていない。



「107番やん。受かっとるやん。おめでとうさん!」



なんの違和感もなく、
まるで最初からそうだったかのように振る舞っている。

……なんだこれ。

胸の奥が、じんわり冷たくなってくる。

合格の嬉しさなんて欠片も湧かない。
それより、目の前で起きてる“現実の改変みたいな現象”のほうがよっぽど大問題だ。

ザキさんは貼り紙に目をやり、呑気な声を出した。



「お、あのパチキの姉ちゃんも受かってるやん。」



その瞬間、俺の頭の中で、カチッと何かが繋がった。

……頭突きのお姉さん──
彼女の番号、確か“025番”だった。

そうだ。あの時、ぼんやり考えてた。
「ザキさんの052とお姉さんの025、並び替えたら同じだなー」って。

なのに。



「ザキさん、ね、ね!ザキさんの番号って……何番だったっけ!?」



俺は声が裏返るのも気にせず、ザキさんに詰め寄った。

ザキさんは驚いた様子で、



「なんや急に。俺の番号? “051番” やで。
なんやアルドくん、冷たいな~。俺の番号くらい、覚えといてや~」



……来た。

完全に理解した。

1つズレてる。

昨日は“052”。
今日のザキさんの記憶では“051”。

──俺だけが覚えている番号から、
受験番号全体が“1つ分ずれた記憶”で統一されている。

俺はさらに聞いた。



「じゃ、じゃあさ……あの頭突きのお姉さんの番号って、何番だったか覚えてる?」


「?そりゃ覚えとるで。“024番” やろ?」



……やっぱり。

昨日は絶対025だった。
きれいに、全員が1つずつ“前に”詰まっている。

何だよ、それ……。

数字が間違ってるだけじゃない。
皆の──記憶ごと書き換わってる。

ザキさんの顔は真剣で、嘘をついてる気配なんて欠片もない。



「……やっぱりだ。」



俺の背筋を、薄い氷が這うような感覚が走った。

みんなの記憶がズレてる。
受験票もズレてる。
掲示板もズレてる。

じゃあ……俺の記憶のほうが間違ってるのか?

いや、違う。
どう考えても、そんなはずはない。

“真祖竜である俺の記憶が書き換えられる”より、
“俺以外の全員の記憶が改変される”ほうがまだあり得る。

あり得るってだけで、十分あり得ないんだけど。

思考を巡らせていると、ザキさんが俺の背中をパンと叩いた。



「とにかく、よかったやん。合格してて。
編入生の入学式は来週やんな?大学でも仲良うしてや。」



その気楽さが、今は逆につらい。
俺は無理に笑顔を作って応えた。



「……うん。大学でもよろしくね。」



でも、表面上の笑顔の裏で、
胸の奥では違和感がますます肥大していく。

この『番号のズレ』……
絶対、何かの“前兆”だ。

普通じゃない。
ただのミスなんかじゃない。

このルセリア中央大学編入試験に、とんでもない異変が静かに足を踏み入れてきている。

そんな気配が、確かにした。



───────────────────



ルセリア中央大学、南校舎5号館の三階──。
生徒会室の大きな窓からは、合格発表の掲示板がよく見えた。

その窓辺に立つ影が、ひとつ。

ラグナ・ゼタ・エルディナス第六王子。

陽光に照らされた金の髪が、感情の揺れを映すように微かに震えている。
彼の眼差しは、掲示板の前に立つ“銀色の少年”に釘付けになっていた。

アルド・ラクシズ──。



「……忌々しい。」



絞り出すような声が、生徒会室の静寂を割った。

ラグナのすぐ後ろ。
メイド服姿の少女──リゼリア・ノワールが、のほほんとした声で言う。



「やっぱり、合格してましたねぇ~。あの 107番 の方。」



ラグナの眉がピクッと跳ねた。
ほんの少しの言葉だけで、火に油を注ぐタイプの部下である。

しかし、少し離れた壁際に立つ青年──
セドリック・ノエリアは、まったく動じず冷静な声を返す。



「当然だろう。筆記試験はトップクラス。
それに実技試験……殿下のデモンストレーションを除けば、歴代でも最高スコアだ。
むしろ落とす方が不自然だ。」



その横顔には、わずかながら微細な感情の揺れがあった。
誰にも悟られないよう隠されているが、



(──アルドくん。
君なら……“今の殿下”を止める事ができる。
……妹を救えるかもしれない。)



そんな微かな希望が、胸の奥に光っている。
もちろん、それを知る者はいない。

生徒会室の奥のソファーには、
アイマスクをつけた少女──ルシア・グレモルドが横になり、スピースピーと静かに寝息を立てている。

この場で唯一、空気を読まなくて済む存在だった。

ラグナは手元の新聞を握りしめ、次の瞬間、ビリビリと音を立てて床に叩きつけた。



「そもそも、何なんだ、この号外は……!?
銀の新星シルバーノヴァ』!? 『第六王子のライバル現る』!?ふざけるなッ!!」



リゼリアは肩をビクッと震わせて小さく悲鳴を漏らす。



「ひぃっ……!」



ラグナの怒りはさらに深まっていた。
その瞳に映るアルドの姿──。
たったそれだけで、胸の奥に燃えるような苛立ちが膨れ上がる。



「僕の……僕の“物語”に……
あんなモブ野郎が紛れ込んでくるなど……あり得ない。」



セドリックが一歩前に出る。



「殿下。少し落ち着きましょう。」



穏やかに、しかし確固たる声音で続ける。



「民衆はセンセーショナルな記事を好むものです。
殿下の圧倒的な力に対抗し得る存在が現れた……
そうした“物語”の方が、“統覇戦”の注目は高まるのでしょう。」



ラグナは鼻を鳴らし、しばらくの沈黙の後――
ふぅ、と大きな息を吐いた。



「……そうだね、セディ。
確かに、僕のワンマンショーより、
虚像でもライバルがいた方が“盛り上がる”。
……ありがとう。少し冷静になれたよ。」



その声にはわずかに落ち着きが戻り、
セドリックもホッと胸を撫で下ろす。

──が。

そこで、空気を読まない少女・リゼリアが、
のんびりと、しかし核心を突くような言葉を放つ。



「でもぉ~……あの107番の方って、
殿下の"核撃魔光砲ニュークリア・ブラスター"、
実際に使ってましたよねぇ~?」

「…………」



ラグナの肩がビクッと跳ね、喉が上下した。



「“殿下専用魔法”を使える魔導士の方なんて、
王国内でも見たことないですけどぉ~?やっぱり、只者じゃないのは間違い無いのではぁ~?」



ラグナの内心が、ざわり、と大きく揺れる。



(……確かに。主人公専用魔法を扱えるキャラなど見た事がない……。)

(あのモブ野郎……何者だ……!?)

(……いや、焦るな。
冷静になれ、ラグナ・ゼタ・エルディナス。
お前はこの世界の“主人公”だ。)

(あんなモブ程度に敗北するなど……あり得ない。)

(僕には、“あの三つのスキル”がある。
僕に勝てる“人間”など存在しない……!)



胸の奥で黒い自尊心が歪んだ光を放つ。

そして、窓の外──
視線の先に立つアルドへ向け、ラグナは唇を吊り上げた。



「……キミを、公衆の面前で……
ブリジットの前で叩き潰すのが、今から楽しみだよ……アルド・ラクシズ。」

「せいぜい、首を洗って待っていたまえ。」



その呟きを聞き、
セドリックはふぅ……と深い溜息をついた。

一方、リゼリアは──
ラグナに気づかれぬよう、こっそり口元を緩める。



(うふふっ……面白くなってきたぁ~♡)



ラグナの暴走を愉しむような、
黒い笑みだった。
しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月
ファンタジー
第6回HJ小説大賞におきまして、こちらの作品が受賞・書籍化決定しました! ありがとうございます! 七歳の少女リーナは突如として前世の記憶を思い出した。 しかし、戸惑う暇もなく『銀髪が不気味』という理由で別邸に軟禁されてしまう。 食事の量も減らされたリーナは生き延びるために別邸を探索し――地下室で、ドラゴンの卵を発見したのだった。 孵化したドラゴンと共に地下ダンジョンに潜るリーナ。すべては、軟禁下でも生き延びるために……。 これは、前を向き続けた少女が聖女となり、邪竜を倒し、いずれは魔王となって平和に暮らす物語……。

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLの白瀬凛は、過労死した翌朝、異世界の侯爵令嬢アリア・ヴェルナーとして目を覚ました。   転生初日。 婚約者であるシュルツ公爵令息から、一方的に告げられる。   「君は無能だ。この婚約は破棄する」   行き場を失ったアリアが選んだのは、王城のメイドに志願すること。 前世でブラック企業に鍛えられた凛には、武器があった。 ——人を動かす技術。業務を改善する知識。そして、折れない心。   雑用メイドからスタートした凛は、現代の知識を武器に王城を変えていく。 サボり魔、問題児、落ちこぼれ——誰もが見捨てたメイドたちが、次々と凛に懐いていく。   そして転生からわずか一年。 凛は王城に仕える500人のメイドを束ねる、史上最年少メイド長となっていた。   「——なぜ、君がここに」   国王主催の晩餐会。 青ざめた顔で立ち尽くす元婚約者の前で、500人のメイドたちが一斉に頭を下げる。   「アリア・ヴェルナー・メイド長。晩餐会の準備が整いました」   私を捨てたあの日、あなたの後悔も始まっていたのです。 ——もう、遅いですけれど。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

公爵家の伝統だと思っていたら、冷徹公爵様の溺愛でした

星乃和花
恋愛
(毎日21:30更新ー全8話) 家族にも周囲にもあまり顧みられず、 「私のことなんて、誰もそんなに気にしない」 と思って生きてきたリリアナ。 ある事情から、冷徹と噂されるヴァレントワ公爵家で働くことになった彼女は、 当主エドガーの細やかな気づかいに驚かされる。 温かいお茶、手袋、外出時のエスコート。 好みの食事までさりげなく用意されて―― けれど自己評価の低いリリアナは、それらすべてを 「これが公爵家の伝統……!」 「さすが名門のお作法……!」 と盛大に勘違い。 一方の冷徹公爵様は、そんな彼女にだけ少しずつ甘さをこぼし始めて……? これは、 “この家の作法”だと思っていたら、 どうやら冷徹公爵様の溺愛だったらしい やさしくて甘い勘違いラブコメです。

処理中です...