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第六章 学園編 ──白銀の婚約者──
第245話 "統覇戦"予選会、開幕!
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予選会当日。
ルセリア中央大学の敷地奥にそびえ立つ巨大な競技場を前にして、俺は思わず息をのんだ。
でかい。でかすぐる。
石造りの外壁は古代遺跡のように重厚で、そこかしこに刻まれた魔法陣が淡く発光している。
上空を見上げれば、半球状の天蓋が空を覆い、魔力の膜が陽光を受けてきらきらと揺れていた。
大学の施設だと聞いてはいたけど、どう見ても国立競技場とか、古代王国の闘技場とか、そういう類のスケールだ。
「……学内イベントの規模じゃなくない?」
思わず漏れた俺の呟きは、周囲のざわめきにすぐかき消された。
競技場の中には、すでにとんでもない人数が集まっている。
見渡す限り、若者、若者、若者。種族も格好もバラバラで、人間だけじゃない。
獣人、亜人、明らかに魔族っぽい角持ちまで混じっている。ざっと見ただけでも、数百人はいる。
「参加者、600人近く……だっけ」
隣でブリジットちゃんが、小さく息を呑みながら呟いた。
今日はいつもの柔らかい服装じゃなく、動きやすそうな軽装だ。髪もきっちりまとめていて、普段の可愛らしさに、凛とした闘士の雰囲気が混じっている。
「4人1チームだから……150チーム前後、ってところか」
俺がそう言うと、ブリジットちゃんは
「改めて聞くとすごい人数だね……」
と苦笑した。
鬼塚くんはというと、競技場の中央を見回しながら口笛を吹く。
「これ、予選ってレベルじゃないっスよね。普通にオリンピックみたいじゃないっスか?」
「フフッ、この中に、ギャタシを満足させてくれる男子は果たしているのかしら……?ちょっとワクワクしてきちゃったわぁ」
ジュラ姉は腕を組み、余裕たっぷりの笑みを浮かべている。
ティラノサウルスの時と違って、その姿でそういうこと言うと、なんかエロいのでやめてほしい。気になっちゃうから。
俺たちは入場口で、係員から小さなプレートを手渡された。
胸元に装着するタイプのネームプレートで、金属製……に見えるけど、よく見ると内部に微細な魔法陣が走っている。
「名前と……チーム番号、か」
プレートを手に取った瞬間、微かに魔力が反応したのが分かった。
「これ、ただの名札じゃないな……」
俺がそう呟くと、ブリジットちゃんも自分のプレートをじっと見つめる。
「うん。たぶん、位置把握とか、生死判定とか……色々組み込まれてるんだと思う」
なるほどね。
ダンジョンに放り込む前提なら、こういう管理用の仕掛けは必須か。
胸元にプレートを装着すると、妙な感覚が走った。
軽くて邪魔にならないのに、確かに“見られている”感じがする。
監視されている、というより──管理されている、みたいな。
「まあ、悪さする気もないし、いいんだけどね。」
そう自分に言い聞かせて、周囲を見渡す。
観客席の方から、ひときわ大きな声援が飛んできた。
「兄さーん!」
「アルドさーん!!」
聞き覚えありすぎる声だ。
目を向けると、案の定──
「おーい!兄さーん!今日もバッチリ決めちゃってくださいっすー!」
リュナちゃんが、両手をぶんぶん振り回しながら叫んでいる。
隣には蒼龍さんがいて、苦笑しながらも上品に手を振ってくれていた。
足元では、フレキくんが小さな体でぴょんぴょん跳ねているし、その後ろにはグェルくんの覆面姿も見える。もうそれ被るのやめたら?
さらにその周囲には、召喚高校生のみんなの姿もあった。
「アルドさーん!」
「鬼塚ぁーー!気合い入れてけよぉ!!」
「ブリジットさーん!ジュラ姉ー!」
「頑張ってくださいー!」
あちこちから飛んでくる声援に、胸の奥がじんわり熱くなる。
「……応援、意外と多いね。」
俺が苦笑すると、ブリジットちゃんは少し誇らしげに微笑んだ。
「うん。アルドくん、人気者だもん」
いや、高校生達の半分くらいは物見遊山だと思うけど。それでも、応援されるのは素直に嬉しい。
競技場の中央に視線を戻すと、すでに参加者たちは思い思いに4人ずつ集まり始めていた。
装備を確認する者、作戦会議をしている者、黙って瞑想している者。
緊張、興奮、不安──それぞれの感情が、巨大な空間の中で渦を巻いている。
この中から、たった8チームしか決勝に進めない。
「……予選、ね」
俺は胸元のネームプレートに、そっと指を置いた。
ここから先は、ただの学内イベントじゃない。
実力も、判断も、運も試される──本物の戦いだ。
それでも。
ブリジットちゃんが隣にいて、仲間がいて、観客席には大切な人たちがいる。
その事実が、俺の背中を静かに支えてくれていた。
「──よし」
小さく息を吐き、俺は競技場の中心を見据える。
予選会は、もうすぐ始まる。
◇◆◇
競技場の喧騒に少し慣れてきた頃だった。
ふと、背中に針を刺されたみたいな感覚が走る。
視線だ。──しかも、かなり強いやつ。
「……来てるな」
俺がそう呟くと、ブリジットちゃんも気づいたらしく、わずかに肩を強張らせた。
「……うん。ラグナ殿下のチーム、だね」
視線の先。
少し離れた場所に、ひときわ“整った”空気をまとった一団がいた。
ラグナ・ゼタ・エルディナス。
金と青を基調とした正装に近い戦装束を纏い、背筋を伸ばして立つその姿は、相変わらず絵になる。
いや、正直に言おう。
ムカつくくらい格好いい。
見た目は、ね!
観客席からは、すでに黄色い声援が飛んでいた。
「ラグナ殿下ー!!」
「きゃーっ!今日も素敵ー!!」
その声に、ラグナは一瞬だけ驚いたように目を瞬かせ、それからいつもの“王子スマイル”を作って手を振り返した。
その近くの客席には、佐川くんと天野さんの姿がある。
佐川くんは嬉しそうにラグナに向かって両手を振り天野さんは少し照れた様子で手を振っていた。
佐川くん達、ラグナと友達になったって話は聞いてたけど、本当に仲良くなったんだな。すげぇな!
ラグナもラグナで、佐川くん達を見つけた途端、パァッと表情が明るくなり、笑顔で手を振りかえしていた。いつもの王子スマイルじゃない、人混みの中に友達を見つけた少年の様な、本物の笑顔だ。
……ああ。
ラグナ、そんな顔もするんだな。
俺がそう思った、その瞬間だった。
ラグナの視線が、こちらを捉えた。
さっきまでの柔らかい表情は消え失せ、鋭く研がれた刃のような目つきになる。
真正面から、真っ直ぐに。
迷いなく、俺とブリジットちゃんを射抜いてくる。
「睨まれてるねぇ」
俺が苦笑交じりに言うと、ブリジットちゃんは小さく息を吸った。
「うん……でも、負けないよ!あたし達!」
ラグナの隣に立つ男が、ちらりとブリジットちゃんを見る。
セドリック・ノエリア。
ブリジットちゃんのお兄さん。
セドリックさんは一瞬だけ視線を向けたあと、何も言わず、ゆっくりと目を閉じた。
拒絶でも敵意でもない。
ただ、距離を取るような──そんな仕草。
「……お兄ちゃん……」
ブリジットちゃんの小さな呟きが、俺の耳に届く。
胸の奥が、きゅっと締め付けられた。
この場に立っているだけで、彼女は色んなものを背負わされている。
その隣では、リゼリアさんが俺に気づき、わざとらしいくらい軽くウインクを送ってきた。
やめてほしい。
何か怖いのよ、あの人。
以前、「今度、個人的にお話ししましょ♡ “ラグナ殿下を殴り倒した男”、アルド・ラクシズさん♡」なんてハート付きで言われてから、俺は彼女を見かけるたびに寿命が縮んでいる。
にもかかわらず、彼女はそれ以上何もしてこない。
構内ですれ違う時も、たまたま授業が被った時も、ただこちらを見つめ、意味深な笑顔で手を振るだけ。
逆に怖い。何なのよ、本当……
そして、もう一人。
ルシアさんは相変わらず、ぼーっと宙を見つめていた。
この人はこの人で、何考えてるのか分からなすぎる。
「……いやー、なかなか濃いメンツだねぇ」
思わずそう零すと、鬼塚くんが肩をすくめる。
「っスね。でも、アルドさんならここにいる全員まとめて、秒でボコれるんじゃないっスか?」
「いや、しないよ!?そんな事!?これ以上、不必要に目立ちたくないよ!」
そんな軽口を叩いていると、今度は別の方向から、柔らかい視線が向けられていることに気づいた。
「あ」
俺が顔を上げると、そこにはザキさんの姿があった。
メッシュのウルフカットに、ピアスだらけの顔面。
でも、いつものように、穏やかな笑顔。
目が合うと、彼は軽く手を振ってくれる。
「ザキさん……」
俺も手を振り返す。
彼の周囲には、見慣れない三人の姿があった。
たぶん、チームメイトだろう。
まず目に入ったのは、異様な存在感の大男だった。
ボサボサの長髪、2メートルは軽く超える体格。
その手には──
「えっ……缶ビール?」
しかも500ミリ缶だ。いや、量はどうでもいいか。
大男はそれを二本指でつまみ、顔の斜め上に掲げると、プルタブを少し開いてから左手の人差し指で缶の底をトン、と叩いた。
次の瞬間、穴が空き、そこから勢いよく中身が噴き出す。
「え、えぇー……」
彼はそのまま口をつけ、豪快にガブガブと飲み始めた。
しょ、ショットガン飲み……?
映画でアメリカの不良とかがよくやってる飲み方じゃん。
ここ、"統覇戦"予選会場なんだけど。
「あ……あの人も学生なのかな……?」
俺が呆然と呟くと、ジュラ姉がくすっと笑う。
「この場にいるって事は、そうなんじゃないかしら?」
さらにその隣には、黒い肌に鱗が混じった爬虫類系の亜人らしき戦士がいた。
無骨な装備に、鋭い眼光。
……その視線が。
「……あれ、ジュラ姉のこと見てない?」
俺が言うと、ジュラ姉は気づいたらしく、ゆっくりとそちらを見返した。
二人の目が合う。
亜人戦士は一瞬だけ動きを止め、それからフッと視線を逸らした。
「……ふふ」
ジュラ姉は、意味ありげに微笑む。
「な、何?」
「分からない?アルドきゅん……ギャタシの魅力にやられちゃった男子がまた一人……って事ねッ!」
ティラノサウルス姿の時なら(何言ってんの……?)って感じで流せたんだけど、今の姿だと無きにしも非ずだから、リアクションに困る。
ザキさんのチームの最後の一人は、他の三人の陰に隠れていて、こちらからはよく見えなかった。
それでも、四人で並んで立っている。
「……ちゃんと、チーム組めてたんだ」
それが分かっただけで、なぜか少し安心した。
この予選は、個人戦じゃない。
誰か一人が強くても、勝てるとは限らない。
俺はもう一度、競技場全体を見渡した。
ラグナ。
ザキさん。
知らない強者たち。
そして──俺たち。
視線と視線が交錯するこの場所で、すでに戦いは始まっている。
「まぁ……負ける気はしないけどね。」
俺が笑顔でそう呟くと、ブリジットちゃんは小さく笑った。
「うん。だって……私たち、ちゃんと前を向いてるもんね」
その言葉に、胸の奥が静かに熱を帯びる。
因縁も、視線も、全部背負って。
俺たちは、この予選会に立っている。
──さあ、来い。
どんな展開でも、受けて立つ。
◇◆◇
ざわついていた競技場の空気が、不意に一段低く沈んだ。
──魔力の気配だ。
「……来るな」
俺がそう呟いた直後、競技場全体に、鈴を転がしたような、それでいてやけに通る女の子の声が響き渡った。
『──静粛にせい』
その一言だけで、あれだけ騒がしかった会場が嘘のように静まり返る。
歓声も、私語も、衣擦れの音すら消え、数百人分の視線が一斉に正面へ向いた。
競技場中央の高台。
そこに、例の魔女っ子幼女──マリーダ・フォン教授が立っていた。
巨大な魔女帽子。
フリル過多な魔法少女風の衣装。
どう見ても場違い……なのに。
「……圧、すげぇな……」
鬼塚くんが思わず呟く。
見た目とは裏腹に、放たれている魔力は本物だった。
濃く、重く、空気そのものを圧し曲げるような感覚。
これが、ルセ大魔導学部の統括教授の力か。
『改めて名乗ろう。ワシが本予選会の責任者──“迷宮の主”、マリーダ・フォンじゃ』
フン、と鼻を鳴らしながら、彼女は参加者たちを見下ろす。
『若き猛者が集ったのう。……が、勘違いするでないぞ?ここはお遊戯会ではない』
その瞬間、ピリッと空気が張り詰める。
『今から始まるのは、“統覇戦”予選会──その名も、“ダンジョン・サバイバル”じゃ』
ざわ……と、小さな波が観客席と参加者の間に走った。
俺はブリジットちゃんを見る。
彼女は小さく頷いた。
「……マリーダ教授が言ってた通りだね」
『ルールは単純明快じゃ。耳かっぽじってよく聞け、小僧ども。』
マリーダ教授は、小さな身体に不釣り合いなほど堂々と胸を張り、一本ずつ指を立てていく。
『第一。今から、チームごとにワシの作った“迷宮”へと潜ってもらう』
……作った、って言ったな。
やっぱりこの人、ダンジョンそのものを生成するタイプか。
『第二。目的は“生き残り”、そして“ポイントを稼ぐ”ことじゃ』
「……ポイント制か」
俺は頭の中で、ざっと計算を始める。
『第三。ポイントの獲得方法は多岐に渡る。
宝箱の発見、魔物の討伐、特殊イベントの達成……などなどじゃな。他にもあるが、残りは自分で探すのじゃな。』
マリーダ教授は、楽しそうに口角を上げた。
『じゃが、最も重要なのは──“深度”じゃ』
その言葉に、会場が静まり返る。
『ダンジョンは階層構造になっておる。チーム内の“誰か一人でも”より深い階層へ到達すれば、その分“深度到達ボーナス”が加算される』
「……一人でも、か」
ブリジットちゃんが小さく呟く。
ワンマン突破も一応は可能。
でも──
『当然じゃが、深く潜るほどフロアは複雑になり、魔物は個々の力は強く、数は少なくなる。単純に魔物や宝箱のポイントを稼ぐだけなら、深層よりも浅い階層の方が稼ぎやすい。リスクとリターンを天秤にかけ、よう考えることじゃな』
なるほど。なかなか考えられてるね。
聞いてる分には、かなりゲーム性が高い気がする。
だからこそ、力だけでごり押そうとすれば、足元を掬われる可能性もあるって事か。
『第四。胸に付けたネームプレートを“失った時点”で、その者は失格。以上、ルールはそれだけじゃ。』
参加者の多くが、反射的に胸元を押さえる。
俺も確認した。
……うん、ちゃんとある。
『ダンジョン内で“死亡”した場合も同様じゃ。
安心せい。命までは取らん。ワシのダンジョン内での死亡であれば、蘇生して外に出してやる』
その言葉に、わずかに安堵の空気が流れる。
『じゃが、一度脱落すれば、二度とダンジョンには戻れん』
なるほど、再挑戦は不可って訳か。
デスペナルティはやっぱ重いのね。
『第五。チーム四名中、“三名が失格”になった時点で、そのチームは即脱落じゃ』
「……つまり、最低二人は生き残らないといけないってことっスね」
鬼塚くんの確認に、マリーダ教授は満足げに頷いた。
『そういうことじゃ』
ワンマンチーム対策ルールだね。
一人だけ強くて、残り三人は頭数合わせ、みたいなチームは、このルールだと生き残りは難しいだろう。そして。
『第六。制限時間は──六時間』
なんとも言えない絶妙な長さだ。
普通の人間相手なら、集中力と判断力を削り取るには、十分すぎる時間だ。
まあ、俺の真祖竜ボディには無縁な心配ではあるんだけども。
『六時間経過時点で、ダンジョン内に残っているチームのうち、ポイント上位“八チーム”が決勝進出じゃ。』
八チーム。
この人数から。狭き門だよね。
マリーダ教授は一通り説明を終えると、杖を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。
『──理解したか?これは“力”だけでは勝てん試験じゃ。判断、連携、そして運も試される』
視線が、俺とブリジットちゃんに一瞬だけ向けられた気がした。
気のせいじゃないだろう。
『それでは──』
マリーダ教授は、杖を高く掲げる。
『“ダンジョン・サバイバル”、これより開始する!』
一瞬、間。
「……え?」
俺がそう思った、その瞬間だった。
ロリババア2号先生の杖が、シャララーン、と可愛らしい音を立てて振られる。
完全に魔法少女の演出だ。
……なのに。
「うわっ……!?」
俺たちの足元、競技場の床が──“歪んだ”。
床が、まるで絵本のページみたいに変形し、
ファンシーな装飾の“扉”へと姿を変える。
『“迷宮組曲”!!』
マリーダ教授のスキル発動の声と同時に。
パカリ、と。
俺たち四人の足元が開き、重力が消えた。
「うわあああっ!?」
視界が反転する。
ブリジットちゃんの手を咄嗟に掴む。
「アルドくんっ!」
「大丈夫!離れない!」
「──んだぁ!?落とし穴かよッ!?」
「あらッ!!なかなかステキな演出じゃないッ!?」
仲間の声。
風切り音。
光が、遠ざかる。
こうして。
俺たち──ブリジット・チームは、
“ルセリア統覇戦”予選会、
“ダンジョン・サバイバル”へと投げ込まれた。
──さあ。
ここからが、本番だ。
ルセリア中央大学の敷地奥にそびえ立つ巨大な競技場を前にして、俺は思わず息をのんだ。
でかい。でかすぐる。
石造りの外壁は古代遺跡のように重厚で、そこかしこに刻まれた魔法陣が淡く発光している。
上空を見上げれば、半球状の天蓋が空を覆い、魔力の膜が陽光を受けてきらきらと揺れていた。
大学の施設だと聞いてはいたけど、どう見ても国立競技場とか、古代王国の闘技場とか、そういう類のスケールだ。
「……学内イベントの規模じゃなくない?」
思わず漏れた俺の呟きは、周囲のざわめきにすぐかき消された。
競技場の中には、すでにとんでもない人数が集まっている。
見渡す限り、若者、若者、若者。種族も格好もバラバラで、人間だけじゃない。
獣人、亜人、明らかに魔族っぽい角持ちまで混じっている。ざっと見ただけでも、数百人はいる。
「参加者、600人近く……だっけ」
隣でブリジットちゃんが、小さく息を呑みながら呟いた。
今日はいつもの柔らかい服装じゃなく、動きやすそうな軽装だ。髪もきっちりまとめていて、普段の可愛らしさに、凛とした闘士の雰囲気が混じっている。
「4人1チームだから……150チーム前後、ってところか」
俺がそう言うと、ブリジットちゃんは
「改めて聞くとすごい人数だね……」
と苦笑した。
鬼塚くんはというと、競技場の中央を見回しながら口笛を吹く。
「これ、予選ってレベルじゃないっスよね。普通にオリンピックみたいじゃないっスか?」
「フフッ、この中に、ギャタシを満足させてくれる男子は果たしているのかしら……?ちょっとワクワクしてきちゃったわぁ」
ジュラ姉は腕を組み、余裕たっぷりの笑みを浮かべている。
ティラノサウルスの時と違って、その姿でそういうこと言うと、なんかエロいのでやめてほしい。気になっちゃうから。
俺たちは入場口で、係員から小さなプレートを手渡された。
胸元に装着するタイプのネームプレートで、金属製……に見えるけど、よく見ると内部に微細な魔法陣が走っている。
「名前と……チーム番号、か」
プレートを手に取った瞬間、微かに魔力が反応したのが分かった。
「これ、ただの名札じゃないな……」
俺がそう呟くと、ブリジットちゃんも自分のプレートをじっと見つめる。
「うん。たぶん、位置把握とか、生死判定とか……色々組み込まれてるんだと思う」
なるほどね。
ダンジョンに放り込む前提なら、こういう管理用の仕掛けは必須か。
胸元にプレートを装着すると、妙な感覚が走った。
軽くて邪魔にならないのに、確かに“見られている”感じがする。
監視されている、というより──管理されている、みたいな。
「まあ、悪さする気もないし、いいんだけどね。」
そう自分に言い聞かせて、周囲を見渡す。
観客席の方から、ひときわ大きな声援が飛んできた。
「兄さーん!」
「アルドさーん!!」
聞き覚えありすぎる声だ。
目を向けると、案の定──
「おーい!兄さーん!今日もバッチリ決めちゃってくださいっすー!」
リュナちゃんが、両手をぶんぶん振り回しながら叫んでいる。
隣には蒼龍さんがいて、苦笑しながらも上品に手を振ってくれていた。
足元では、フレキくんが小さな体でぴょんぴょん跳ねているし、その後ろにはグェルくんの覆面姿も見える。もうそれ被るのやめたら?
さらにその周囲には、召喚高校生のみんなの姿もあった。
「アルドさーん!」
「鬼塚ぁーー!気合い入れてけよぉ!!」
「ブリジットさーん!ジュラ姉ー!」
「頑張ってくださいー!」
あちこちから飛んでくる声援に、胸の奥がじんわり熱くなる。
「……応援、意外と多いね。」
俺が苦笑すると、ブリジットちゃんは少し誇らしげに微笑んだ。
「うん。アルドくん、人気者だもん」
いや、高校生達の半分くらいは物見遊山だと思うけど。それでも、応援されるのは素直に嬉しい。
競技場の中央に視線を戻すと、すでに参加者たちは思い思いに4人ずつ集まり始めていた。
装備を確認する者、作戦会議をしている者、黙って瞑想している者。
緊張、興奮、不安──それぞれの感情が、巨大な空間の中で渦を巻いている。
この中から、たった8チームしか決勝に進めない。
「……予選、ね」
俺は胸元のネームプレートに、そっと指を置いた。
ここから先は、ただの学内イベントじゃない。
実力も、判断も、運も試される──本物の戦いだ。
それでも。
ブリジットちゃんが隣にいて、仲間がいて、観客席には大切な人たちがいる。
その事実が、俺の背中を静かに支えてくれていた。
「──よし」
小さく息を吐き、俺は競技場の中心を見据える。
予選会は、もうすぐ始まる。
◇◆◇
競技場の喧騒に少し慣れてきた頃だった。
ふと、背中に針を刺されたみたいな感覚が走る。
視線だ。──しかも、かなり強いやつ。
「……来てるな」
俺がそう呟くと、ブリジットちゃんも気づいたらしく、わずかに肩を強張らせた。
「……うん。ラグナ殿下のチーム、だね」
視線の先。
少し離れた場所に、ひときわ“整った”空気をまとった一団がいた。
ラグナ・ゼタ・エルディナス。
金と青を基調とした正装に近い戦装束を纏い、背筋を伸ばして立つその姿は、相変わらず絵になる。
いや、正直に言おう。
ムカつくくらい格好いい。
見た目は、ね!
観客席からは、すでに黄色い声援が飛んでいた。
「ラグナ殿下ー!!」
「きゃーっ!今日も素敵ー!!」
その声に、ラグナは一瞬だけ驚いたように目を瞬かせ、それからいつもの“王子スマイル”を作って手を振り返した。
その近くの客席には、佐川くんと天野さんの姿がある。
佐川くんは嬉しそうにラグナに向かって両手を振り天野さんは少し照れた様子で手を振っていた。
佐川くん達、ラグナと友達になったって話は聞いてたけど、本当に仲良くなったんだな。すげぇな!
ラグナもラグナで、佐川くん達を見つけた途端、パァッと表情が明るくなり、笑顔で手を振りかえしていた。いつもの王子スマイルじゃない、人混みの中に友達を見つけた少年の様な、本物の笑顔だ。
……ああ。
ラグナ、そんな顔もするんだな。
俺がそう思った、その瞬間だった。
ラグナの視線が、こちらを捉えた。
さっきまでの柔らかい表情は消え失せ、鋭く研がれた刃のような目つきになる。
真正面から、真っ直ぐに。
迷いなく、俺とブリジットちゃんを射抜いてくる。
「睨まれてるねぇ」
俺が苦笑交じりに言うと、ブリジットちゃんは小さく息を吸った。
「うん……でも、負けないよ!あたし達!」
ラグナの隣に立つ男が、ちらりとブリジットちゃんを見る。
セドリック・ノエリア。
ブリジットちゃんのお兄さん。
セドリックさんは一瞬だけ視線を向けたあと、何も言わず、ゆっくりと目を閉じた。
拒絶でも敵意でもない。
ただ、距離を取るような──そんな仕草。
「……お兄ちゃん……」
ブリジットちゃんの小さな呟きが、俺の耳に届く。
胸の奥が、きゅっと締め付けられた。
この場に立っているだけで、彼女は色んなものを背負わされている。
その隣では、リゼリアさんが俺に気づき、わざとらしいくらい軽くウインクを送ってきた。
やめてほしい。
何か怖いのよ、あの人。
以前、「今度、個人的にお話ししましょ♡ “ラグナ殿下を殴り倒した男”、アルド・ラクシズさん♡」なんてハート付きで言われてから、俺は彼女を見かけるたびに寿命が縮んでいる。
にもかかわらず、彼女はそれ以上何もしてこない。
構内ですれ違う時も、たまたま授業が被った時も、ただこちらを見つめ、意味深な笑顔で手を振るだけ。
逆に怖い。何なのよ、本当……
そして、もう一人。
ルシアさんは相変わらず、ぼーっと宙を見つめていた。
この人はこの人で、何考えてるのか分からなすぎる。
「……いやー、なかなか濃いメンツだねぇ」
思わずそう零すと、鬼塚くんが肩をすくめる。
「っスね。でも、アルドさんならここにいる全員まとめて、秒でボコれるんじゃないっスか?」
「いや、しないよ!?そんな事!?これ以上、不必要に目立ちたくないよ!」
そんな軽口を叩いていると、今度は別の方向から、柔らかい視線が向けられていることに気づいた。
「あ」
俺が顔を上げると、そこにはザキさんの姿があった。
メッシュのウルフカットに、ピアスだらけの顔面。
でも、いつものように、穏やかな笑顔。
目が合うと、彼は軽く手を振ってくれる。
「ザキさん……」
俺も手を振り返す。
彼の周囲には、見慣れない三人の姿があった。
たぶん、チームメイトだろう。
まず目に入ったのは、異様な存在感の大男だった。
ボサボサの長髪、2メートルは軽く超える体格。
その手には──
「えっ……缶ビール?」
しかも500ミリ缶だ。いや、量はどうでもいいか。
大男はそれを二本指でつまみ、顔の斜め上に掲げると、プルタブを少し開いてから左手の人差し指で缶の底をトン、と叩いた。
次の瞬間、穴が空き、そこから勢いよく中身が噴き出す。
「え、えぇー……」
彼はそのまま口をつけ、豪快にガブガブと飲み始めた。
しょ、ショットガン飲み……?
映画でアメリカの不良とかがよくやってる飲み方じゃん。
ここ、"統覇戦"予選会場なんだけど。
「あ……あの人も学生なのかな……?」
俺が呆然と呟くと、ジュラ姉がくすっと笑う。
「この場にいるって事は、そうなんじゃないかしら?」
さらにその隣には、黒い肌に鱗が混じった爬虫類系の亜人らしき戦士がいた。
無骨な装備に、鋭い眼光。
……その視線が。
「……あれ、ジュラ姉のこと見てない?」
俺が言うと、ジュラ姉は気づいたらしく、ゆっくりとそちらを見返した。
二人の目が合う。
亜人戦士は一瞬だけ動きを止め、それからフッと視線を逸らした。
「……ふふ」
ジュラ姉は、意味ありげに微笑む。
「な、何?」
「分からない?アルドきゅん……ギャタシの魅力にやられちゃった男子がまた一人……って事ねッ!」
ティラノサウルス姿の時なら(何言ってんの……?)って感じで流せたんだけど、今の姿だと無きにしも非ずだから、リアクションに困る。
ザキさんのチームの最後の一人は、他の三人の陰に隠れていて、こちらからはよく見えなかった。
それでも、四人で並んで立っている。
「……ちゃんと、チーム組めてたんだ」
それが分かっただけで、なぜか少し安心した。
この予選は、個人戦じゃない。
誰か一人が強くても、勝てるとは限らない。
俺はもう一度、競技場全体を見渡した。
ラグナ。
ザキさん。
知らない強者たち。
そして──俺たち。
視線と視線が交錯するこの場所で、すでに戦いは始まっている。
「まぁ……負ける気はしないけどね。」
俺が笑顔でそう呟くと、ブリジットちゃんは小さく笑った。
「うん。だって……私たち、ちゃんと前を向いてるもんね」
その言葉に、胸の奥が静かに熱を帯びる。
因縁も、視線も、全部背負って。
俺たちは、この予選会に立っている。
──さあ、来い。
どんな展開でも、受けて立つ。
◇◆◇
ざわついていた競技場の空気が、不意に一段低く沈んだ。
──魔力の気配だ。
「……来るな」
俺がそう呟いた直後、競技場全体に、鈴を転がしたような、それでいてやけに通る女の子の声が響き渡った。
『──静粛にせい』
その一言だけで、あれだけ騒がしかった会場が嘘のように静まり返る。
歓声も、私語も、衣擦れの音すら消え、数百人分の視線が一斉に正面へ向いた。
競技場中央の高台。
そこに、例の魔女っ子幼女──マリーダ・フォン教授が立っていた。
巨大な魔女帽子。
フリル過多な魔法少女風の衣装。
どう見ても場違い……なのに。
「……圧、すげぇな……」
鬼塚くんが思わず呟く。
見た目とは裏腹に、放たれている魔力は本物だった。
濃く、重く、空気そのものを圧し曲げるような感覚。
これが、ルセ大魔導学部の統括教授の力か。
『改めて名乗ろう。ワシが本予選会の責任者──“迷宮の主”、マリーダ・フォンじゃ』
フン、と鼻を鳴らしながら、彼女は参加者たちを見下ろす。
『若き猛者が集ったのう。……が、勘違いするでないぞ?ここはお遊戯会ではない』
その瞬間、ピリッと空気が張り詰める。
『今から始まるのは、“統覇戦”予選会──その名も、“ダンジョン・サバイバル”じゃ』
ざわ……と、小さな波が観客席と参加者の間に走った。
俺はブリジットちゃんを見る。
彼女は小さく頷いた。
「……マリーダ教授が言ってた通りだね」
『ルールは単純明快じゃ。耳かっぽじってよく聞け、小僧ども。』
マリーダ教授は、小さな身体に不釣り合いなほど堂々と胸を張り、一本ずつ指を立てていく。
『第一。今から、チームごとにワシの作った“迷宮”へと潜ってもらう』
……作った、って言ったな。
やっぱりこの人、ダンジョンそのものを生成するタイプか。
『第二。目的は“生き残り”、そして“ポイントを稼ぐ”ことじゃ』
「……ポイント制か」
俺は頭の中で、ざっと計算を始める。
『第三。ポイントの獲得方法は多岐に渡る。
宝箱の発見、魔物の討伐、特殊イベントの達成……などなどじゃな。他にもあるが、残りは自分で探すのじゃな。』
マリーダ教授は、楽しそうに口角を上げた。
『じゃが、最も重要なのは──“深度”じゃ』
その言葉に、会場が静まり返る。
『ダンジョンは階層構造になっておる。チーム内の“誰か一人でも”より深い階層へ到達すれば、その分“深度到達ボーナス”が加算される』
「……一人でも、か」
ブリジットちゃんが小さく呟く。
ワンマン突破も一応は可能。
でも──
『当然じゃが、深く潜るほどフロアは複雑になり、魔物は個々の力は強く、数は少なくなる。単純に魔物や宝箱のポイントを稼ぐだけなら、深層よりも浅い階層の方が稼ぎやすい。リスクとリターンを天秤にかけ、よう考えることじゃな』
なるほど。なかなか考えられてるね。
聞いてる分には、かなりゲーム性が高い気がする。
だからこそ、力だけでごり押そうとすれば、足元を掬われる可能性もあるって事か。
『第四。胸に付けたネームプレートを“失った時点”で、その者は失格。以上、ルールはそれだけじゃ。』
参加者の多くが、反射的に胸元を押さえる。
俺も確認した。
……うん、ちゃんとある。
『ダンジョン内で“死亡”した場合も同様じゃ。
安心せい。命までは取らん。ワシのダンジョン内での死亡であれば、蘇生して外に出してやる』
その言葉に、わずかに安堵の空気が流れる。
『じゃが、一度脱落すれば、二度とダンジョンには戻れん』
なるほど、再挑戦は不可って訳か。
デスペナルティはやっぱ重いのね。
『第五。チーム四名中、“三名が失格”になった時点で、そのチームは即脱落じゃ』
「……つまり、最低二人は生き残らないといけないってことっスね」
鬼塚くんの確認に、マリーダ教授は満足げに頷いた。
『そういうことじゃ』
ワンマンチーム対策ルールだね。
一人だけ強くて、残り三人は頭数合わせ、みたいなチームは、このルールだと生き残りは難しいだろう。そして。
『第六。制限時間は──六時間』
なんとも言えない絶妙な長さだ。
普通の人間相手なら、集中力と判断力を削り取るには、十分すぎる時間だ。
まあ、俺の真祖竜ボディには無縁な心配ではあるんだけども。
『六時間経過時点で、ダンジョン内に残っているチームのうち、ポイント上位“八チーム”が決勝進出じゃ。』
八チーム。
この人数から。狭き門だよね。
マリーダ教授は一通り説明を終えると、杖を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。
『──理解したか?これは“力”だけでは勝てん試験じゃ。判断、連携、そして運も試される』
視線が、俺とブリジットちゃんに一瞬だけ向けられた気がした。
気のせいじゃないだろう。
『それでは──』
マリーダ教授は、杖を高く掲げる。
『“ダンジョン・サバイバル”、これより開始する!』
一瞬、間。
「……え?」
俺がそう思った、その瞬間だった。
ロリババア2号先生の杖が、シャララーン、と可愛らしい音を立てて振られる。
完全に魔法少女の演出だ。
……なのに。
「うわっ……!?」
俺たちの足元、競技場の床が──“歪んだ”。
床が、まるで絵本のページみたいに変形し、
ファンシーな装飾の“扉”へと姿を変える。
『“迷宮組曲”!!』
マリーダ教授のスキル発動の声と同時に。
パカリ、と。
俺たち四人の足元が開き、重力が消えた。
「うわあああっ!?」
視界が反転する。
ブリジットちゃんの手を咄嗟に掴む。
「アルドくんっ!」
「大丈夫!離れない!」
「──んだぁ!?落とし穴かよッ!?」
「あらッ!!なかなかステキな演出じゃないッ!?」
仲間の声。
風切り音。
光が、遠ざかる。
こうして。
俺たち──ブリジット・チームは、
“ルセリア統覇戦”予選会、
“ダンジョン・サバイバル”へと投げ込まれた。
──さあ。
ここからが、本番だ。
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