三姉妹のせいいっぱい

とものりのり

文字の大きさ
1 / 4

キャンプでお手伝い

しおりを挟む
金曜日の夜、家族で夕食を食べている時の事。お父さんが
「よし、明日みんなでキャンプに行こう」
と、言い出しました。

長女のひとみちゃんは
「やったー」
と言いましたが、お母さんと次女のはなちゃんと三女のまゆちゃんは声をそろえて
「え~~」
と言いましたが、お父さんが決めた事はくつがえらないのです。

お父さんは何でもすぐに決めて行動に移す性格です。お母さんと初めて会ったその日にプロポーズしたほどです。

翌朝、暗いうちからお父さんがキャンプの道具を車に積み込んでいました。お父さんの運転で車が発車するとちょうど日の出を見られました。
お母さんと三姉妹は
「わ~きれい」
と言うとお父さんは
「そうだろ、そうだろ」
とご機嫌でした。

キャンプ場に着いたのは10時前。キャンプ場には他にも沢山のお客さんが来ていました。

お父さんははりきっています。
「さあ、これからテントをはってカレーを作るぞ」
と言いました。

お母さんが
「お皿と調理器具はあるけどお米やカレーの材料が見当たらないんだけど」
と言うとお父さんは車の中を探し回り
「ふぅ、無いな。家に忘れた」
みんなは
「え~~!」
と言いました。

お父さんは少し考え込んでからこう言いました。
「じゃあ子供たちでお米やカレーの材料を集めてこい。他のお客さんから分けてもらうんだ」
三姉妹は声をそろえて
「え~!」
と言いました。

お父さんは
「何事も経験だ。ただもらうだけじゃダメだぞ。お手伝いしてそのお礼にもらうんだ。自分なりのせいいっぱいを見せればいいんだ」
と言いました。
三姉妹は声を声をそろえて
「どうしよー」
と言いながら頭を抱えました。

お父さんとお母さんは三姉妹を待っている間にテントを張ったり料理の準備をしています。お母さんは
「あの子達大丈夫かしら」
と心配そうに言うとお父さんは
「心配するな。あの子達はやれる子だ。ダメでも水はあるからお腹は空くけど生きられる」
と笑いながら言いました。
「もう、お父さんったら」

1時間後、ひとみちゃんが戻ってきました。お米や野菜や肉まで持っています。

お父さんが
「どうやって手に入れたんだ?」
とたずねると
「テント張りをお手伝いして回ったの。テントを張れない大人が多くてびっくりしたわ。すごい感謝されて沢山もらっちゃった」
と誇らしげに言いました。

お父さんが
「がんばったな、えらいぞ」
と言って頭を撫でるとひとみちゃんはニコニコしました。

次にはなちゃんが戻ってきました。
はなちゃんも沢山食材を持ってきました。

お父さんが
「どうやって手に入れたんだ?」
とたずねると
「私はお料理の手伝いをして回ったの。野菜の皮をむいたり切ったり料理したり。私が作った料理を食べてみんなおいしいって言ってくれたわ」
と誇らしげに言いました。

お父さんが
「がんばったな、えらいぞ」
と言って頭を撫でるとはなちゃんはニコニコしました。

お母さんが
「もう材料そろったわね。まゆちゃんも沢山持ってきたら食べきれないわ」
「そうだな」
と話しているとまゆちゃんが戻ってきました。

まゆちゃんはアイスキャンディーを食べながら戻ってきました。
「お姉ちゃん達がカレーの材料を沢山持っていってるのが見えたからアイスキャンディー貰ったのよ。みんなの分もあるよ」

ひとみちゃんとはなちゃんは
「やったー。ありがとう」
と言ってアイスキャンディーを食べ始めました。お父さんとお母さんもアイスキャンディーを食べました。
「天気の良い日に外で食べるアイスキャンディーはうまいな」
と言いながらお父さんが頭をなでるとまゆちゃんはニコニコしました。

お父さんはまゆちゃんに
「アイスキャンディーはどうやって手に入れたんだ?」
とたずねると
「そこの林にカブトムシが沢山いたから捕まえて交換してもらったのおまけに釣った鮎を5匹もらったわ」
と、まゆちゃんが言うとお父さんが
「鮎いいな。塩焼きにしよう」
と言って頭を撫でるとまゆちゃんはニコニコしました。

お父さんは
「じゃあカレーライスはお父さんとお母さんが作るからお前達は遊んできていいぞ」
と言うと三姉妹は
「やったー」
と言って走って出て行きました。

三姉妹が森や川で沢山遊んでから戻るとカレーライスが出来ていました。早速みんなでいただきます。

それは食べた事のないおいしいカレーライスでした。
はなちゃんが
「いろんな人から少しずつルーをわけてもらったから、いろんなメーカーのルーがブレンドされたのね」
とみんなに説明していました。

鮎の塩焼きも食べてみんなお腹いっぱいです。するとお父さんが
「よし食べたら寝るぞ」
と言ってテントに入り寝転がりました。みんなも眠かったのでテントに入り昼寝しました。

起きたら夕方になっていたので、みんなでテントを片付けて車に乗り込みました。

車を運転しながらお父さんが
「今日のキャンプ楽しかった人ー」
と言うとみんな手をあげて
「はーい」
と言いました。

お母さんが
「お父さんが食材忘れたって言った時はどうなるかと思ったけど子供たちががんばってくれたおかげで助かったわ。みんなありがとうね」
と言うと三姉妹はニコニコしました。

お父さんが
「実はなカレーライスの材料忘れたのはわざとなんだ。というか買ってもいない」
と言うと他のみんなは
「えー!」
とおどろきました。

まゆちゃんが
「なんで?なんで?」
と聞くとお父さんは
「そんなの面白いからにに決まってるじゃ無いか。必要な物がそろっていたら家の庭でカレーライス作ってるのと変わらんだろ?」
それを聞いてまゆちゃんは
「もう!お母さん、お父さんになんとか言ってよ」
と言いました。

お母さんは
「あ~実はお母さん知ってた。だってカレーの材料なんて家の冷蔵庫に無かったし、お父さん昨日の夜に買い物に行かなかったもの。それにお母さんも面白いかなって思って黙ってたの」
三姉妹は声をそろえて
「えー!」
と言いました。

お父さんは
「あははは。面白かったからいいじゃないか。食べた事無いカレーライスに鮎の塩焼きにアイスキャンディー美味しかっただろ。お父さんのおかげだな」
と言うと三姉妹は声をそろえて
「私達のおかげでしょ!」
と言いました。
お母さんはそのやりとりを見ながらニコニコしていました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

城下のインフルエンサー永遠姫の日常

ぺきぺき
児童書・童話
永遠(とわ)姫は貴族・九条家に生まれたお姫様。大好きな父上と母上との楽しい日常を守るために小さな体で今日も奮闘中。 全5話。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

25匹の魚と猫と

ねこ沢ふたよ
児童書・童話
コメディです。 短編です。 暴虐無人の猫に一泡吹かせようと、水槽のメダカとグッピーが考えます。 何も考えずに笑って下さい ※クラムボンは笑いません 25周年おめでとうございます。 Copyright©︎

お姫様の願い事

月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。

かつて聖女は悪女と呼ばれていた

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」 この聖女、悪女よりもタチが悪い!? 悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!! 聖女が華麗にざまぁします♪ ※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨ ※ 悪女視点と聖女視点があります。 ※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪

ママのごはんはたべたくない

もちっぱち
絵本
おとこのこが ママのごはん たべたくないきもちを ほんに してみました。 ちょっと、おもしろエピソード よんでみてください。  これをよんだら おやこで   ハッピーに なれるかも? 約3600文字あります。 ゆっくり読んで大体20分以内で 読み終えると思います。 寝かしつけの読み聞かせにぜひどうぞ。 表紙作画:ぽん太郎 様  2023.3.7更新

処理中です...