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一病目「感染」
一病目「感染」
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ある小さなアトリエに黒いサングラスを掛けて顔を含む全身を装飾品で飾り笑顔で話す小柄な男性がいた。
「ーでさぁ、僕そっから逃げて来ちゃったんだよー」
その小柄な男性、鑑廊凛々也が何か発する度に周囲から笑いが起こる。
「でさぁ...」
「そんな話どうでもいいだろー!」
凜々也が言いかけた時急に若い男性が話に割って入る。
ーーーーー
またか
コイツはいつも僕が話してると勝手にツッコミを入れてくる男だ。正直ウザイし僕コイツの名前すら知らないしなんなら仲良くもないし。
「あはは」
愛想笑いをしてやる。まぁ、僕と仲良くなりたいのかな?
......
「はぁ...」
自宅のアパートへ帰るとやっと一息つける。
「疲れた、精神的に。」
そう言い終わると僕はウィッグとサングラスを取り全ての装飾品を外す。ウィッグの下は乱雑に伸ばした黒いセミロングヘアをポニーテールにしており、笑顔を貼り付けていた顔はただただ疲れているんだなとしか言いようがない表情に変わる。
「ホント毎日あのバカ男のせいでストレス溜まるわ、クソが」
身長154cmの小柄な体格と中性的な顔立ちに伸び放題の長髪のせいか若く見られるが僕はもう31歳のおっさんだ。おっさんでも子供の頃からの夢だった絵の仕事に就きたいというのは叶えたいところだ。年齢を理由に夢を諦めたくはない。だが最近入ったあの男が頻繁に僕に絡んだ来てものすごくストレスだ。普通に話しかけてくれたら自分もそれなりの対応はするつもりだ。だがヤツは距離感がバグってて僕のことをまるで昔からの大親友で無礼講とでもいうように接して来るから困っている。
「でも、絵の仕事は楽しいから少しは我慢しないとな」
そう自分に言い聞かせて今日も眠る。この『僕』が大好きなアニメグッズに囲まれた部屋で。
またいつものように自分に装飾をしてアトリエの中に入る。
「鑑廊さんおはよー」
若い女性が話し掛けてくる。たまにアニメの話を一緒にする野坂さんだ。
そうだ今日は野坂さんにいつものようにアニメの話でもしようかな。
「ねぇ野坂さん聞いてよー」
僕がいつものように貼り付けた笑顔で話し掛けると野坂さんは鞄から機材を取り出しながら興味を示してくれる。僕達アシスタントはアトリエで先生について絵を学びながらお手伝いをしてそれで何とかやっていけるくらいのお金を得ている。絵描きと聞くと絵の具をぺたぺたして描くイメージの方が強いかも知れないが僕はデジタルイラストや立ち絵を主に描いている。本当はアニメ関連に関わるようなことをしているだけなのだが流石に有名でもないのに『デジタルアーティスト』は名乗りたくないから絵描きとだけ言っているんだよ。
「ほら、最近放送終わったアニメでブラックハザイドってあるじゃん?」
「あーあのグロいアニメねー」
別にこのアニメのグッズ等を集めたりはしていないが続きが毎週気になるくらいには楽しみにしていた。だから楽しみのひとつがなくなって残念だなくらいの話だった。後に僕は人と好きなアニメの話すらしないで必要最低限関わらず生きていればと後悔することになる。
「あー、ブラックハザイドね!」
聞き慣れた耳障りな男の声が僕達の間に割って入ってくる。
また来たよ
そう例の名前すら知らないあのウザイ男だ。
僕はいつものように仕方なく笑顔で名前すら知らないゼロ距離男を会話に混ぜてやった。彼も2次元系のコンテンツにいつか携わりたいと思っているくらいには好きなんだろうから
「いや、ブラックハザイドが終わって悲しいなーって話しててさ。僕あのアニメ好きだったんだよね」
僕が笑顔で会話の内容を説明すると彼がそのアニメのキャラクターのセリフの真似をしたりしているのを見てああ、彼もあのアニメが好きだったんだなと思った。そして彼はひとしきり話した後無邪気とも取れる表情で
「でもあんなアニメ終わって当然じゃん笑」
は?
僕は彼が、いやこの非常識なバカ男が何を言っているのか言いたいのかすら分からなかった。僕が困惑していると彼はまた口を開いた。
「たまたま飯食ってる時にあのグロいアニメ観ちゃってさ、あんなの飯時に観るもんじゃないし終わってせいせいしたよ笑」
多分今の僕からは完全に作り笑顔が消えて困惑と少しの怒りが混じった表情をしていたと思う。
なにコイツ...
彼は僕達と楽しくアニメの話がしたくて会話に混ざってきた訳ではなかったのか?この男が何をしたいのかが分からなかった。それでも何とか平静を装いこの場の何とも言えない雰囲気をどうにかしないとと思い僕も何とか口を開く。
「ぼ、僕はあのアニメ好きだったからさ...」
「あー、ハイハイ笑 そんなに観たかったら一人で家で観てればってカンジ笑」
彼は何故か僕が我儘でも言って困らせているような図にして楽しそうにこの場をさっさと離れていった。
もうあの男に気を使ってやってるのに振り回されるのはゴメンだ。僕は別に好きなアニメを悪く言われただけで憤りを感じているのではなく彼の積み重なった今までの同様の行動や言動に流石に許容出来なくなった。彼は見た目は地味で普通にどこにでもいるような男だ。僕が微妙な年齢なので彼の見た目からは自分より年上なのか年下なのかすら判断つかない。若い方なのは確かなのだが。
自分はあの男と仲良い訳でも、はたまた何でも許して甘やかしてやる保護者でもない。
「まぁ、グロいのは確かだから...」
何とも言えない表情をしている僕に野坂さんが慰めてくれてるのか分からないフォローを入れてくれる。だが僕の頭の中にはこれからもあの男のちょっとした非常識を無条件で我慢して甘やかしてやらないといけない『ちょっとした苦痛の積み重ね』のことだけが占められていた。
「もう我慢出来ません!!」
僕は休憩中に先生に彼のことを訴えた。ただ僕に話しかけたいだけならもっと節度を持って接して欲しいのと自分がいかに非常識なことをしているか分かってもらいたかった。これ以上あの男のお守りはゴメンだ。先生と呼ばれた中年女性は困ったような表情を見せた。
「彼は悪気があるわけじゃないし話に入りたかっただけだから悪くないよ」
...この人まで何を言ってるんだ?ここは学校かなんかか?先生の考えが理解出来なかったがここは冷静にあの男の非常識さを再び訴える。
「だって一般常識的におかしいじゃないですか、なんで僕が彼の為に我慢しなくちゃいけないんですか?」
僕はなるべく感情的にならないように先生に常識を説いた。話を聞いていた彼女は小さくため息をついた。そして重々しく口を開いた。
「あのね鑑廊さん。これはあなたに伝えるべきだと思うの」
そう言う彼女を観察してみると彼女からは申し訳なさ等ではなく呆れやまるで悪に対して諭すようなこちらからしたら嫌なものが見え隠れしていた。
「...なんでしょうか?」
警戒しつつ少し敵意を見せ聞いてみることにした。そんな僕に彼女は面倒そうに信じられないことを告げた。
「他のアシスタントさん達からあなたに苦情が入ってるのよ。みんなあなたが怖いし真面目過ぎるし、あなたのせいで精神を病んでる人も出てきてるの」
......?
彼女からの突然の告白に一瞬、いや少し考えても理解が追いつかなかった。僕が真面目?怖い?精神病んだ?は?
「そういうことだから私もクレーマーのあなたのせいで傷付いてるから」
彼女はそう言い放ちその場を後にした。一人取り残された僕は必死に彼女から言われた言葉達を頭の中で噛み砕いていた。じわりと目に熱いものが溢れてくる。
僕は訳あって特定の友達や深く関わる人間を作りたくなかったからその場その場で人と浅い会話しかしないようにしていた。確かに野坂さんとは僕の人間関係の中ではよく話す方だったが別にプライベートで遊ぶようなことはなかったし連絡先すら知らないし聞くつもりもなかった。たまたま初めに座った席の隣に彼女がいて彼女の方から僕に話しかけてきたただそれだけの関係。他には先生や先生の担当の人とは下らない話をしていたりもした。先生は普段は僕に対して自分達の仲だからと無遠慮に悪口等を言ってくる人だった。でもそれも軽口が大半で僕的には本気で怒るようなものではなかった。なので先生があんな冷たい態度を取るのも理解出来なかった。先生が言ってた他のアシスタント達から僕が『怖い』という苦情。怖いって何がだ?僕はアシスタント達とは野坂さん以外必要最低限しか話さないし興味もないから怒ったこともないしウザ絡みしに自ら赴いたこともない。それどころか先生達と楽しげに話す僕につられて1部のアシスタント達の方から僕に絡んでこられたくらいだ。覚える気もないから名前すら知らない人達にも僕は笑顔で相手をしていたのに僕の何が怖かったんだ?
僕はみんなから嫌われていたのか...?
「...そっか」
自分の口から勝手にポツリと言葉が出る
...もう笑顔なんか作れない。身体から一気に力が抜けこの状況が意味不明過ぎてその場に立ち尽くすしか出来なかった。僕が真面目過ぎる?仲良い訳でもないヤツにウザ絡みして人の好きなものを貶して来ることを非常識ということが真面目過ぎるということだろうか。僕のせいで精神病んだ?知るかよ僕の方こそ勝手に僕に興味持って話しかけて来るヤツらに愛想良く会話に混ぜてやってたのを当たり前のように振舞ってたお前らに辟易してたんだよ。
僕が悪かったのか、職場(ここ)がおかしいのか
別に何か大きな事件があった訳ではなく小さな嫌なことの積み重ねで今回のことが起きたことなのだけは理解出来た。
もう笑えない。自分なりに笑うように努力してきたつもりだったけど、もう何も信じたくなかった。
今回の件も僕にとっては『小さな嫌なことの積み重ね』のひとつだったけどなんか張ってた糸が切れたように力が抜け落ちた気がした。
「はい、はいリモートワークに切り替えさせて下さい。雑用は出来なくても作品に対しての手伝いならPC上で出来るので。はい、そういうことなんで。」
通話を切って普通のアパートの一室の自室で僕は抜け殻のように身体を投げ出していた。虚ろな目でアニメグッズに囲まれた自室を眺める。ついこの間まで夢の為に自分なりに頑張ってたし毎日それなりに楽しかった気がしたのに。
なんかもうどうでもいいや...
なんでこんなことになったんだろう。
あの後担当の人から聞かされたけど先生があんなことを言ったのはいつもの軽口の延長線で僕が何とかして欲しいって言ってきたのが面倒だったからついことを誇張して僕にケンカふっかけてしまっただけらしい。担当の人が一応先生をたしなめてくれたらしい。あとみんなが僕を怖がってるという話も嘘ではないがみんなではなく一部の人が多分アクセサリーをジャラジャラつけた僕の見た目が怖いって話じゃないかって曖昧なことを聞かされた。僕のせいで精神病んだって話は先生の妄言なのかどうかすら分からないということを言われただけで一体この件で誰が得をして何か大きく動くものはあったのだろうか。
「あー」
気怠げにケータイを手に取り画面を眺める。誰かに愚痴りたかった話を聞いて欲しかった。自ら人との深い交流を絶っていた癖にこういう時にだけ都合のいい人間だと自分でも思う。でも涙も出ないし何かしたかった。
「SNS...」
開こうとしてすぐに断念した。リアルでも浅い付き合いしかないのにネットのフォロワーに話しても迷惑がられて離れられるだけだろう。暫く考えた後検索をかけて適当な愚痴り先を探すことにした。
「普段使わないけどなんか適当なオンラインチャットみたいなのがあるだろ」
ふと検索して上の方に出てきた適当なオンラインチャットアプリが目に止まった。上の方に出てきたということは人気だったり有名なのだろうと何気なしにインストールする。アプリを開くとすぐに登録画面が表示された。
「あ?...チッ、登録必要なのかよ、めんどくせぇな。いいけどさ、えーと顔写真か...」
写真の設定をするのに偽物のチャラく作り笑顔を浮かべた自分の写真を選んだ。この作られた自分じゃないと怖いんだ。あからさまに近寄り難い見た目の自分でいないと誰かに取って食われそうで独りで立ってられなかった。本当の自分は疲れきっていて見た目も伸ばし放題の黒髪で地味だし自信がなかった。
「登録っと」
登録ボタンをタップするとすぐに画面が切り替わった。チャット相手の選択画面だ。老若男女選べて何故か皆個性的な人ばかりだった。
「こ、この中からチャット相手を選ぶのか...みんな個性強すぎだろ...」
チャット相手の条件はある程度決めていた。自分と年齢の近い男なら誰でもよかった。男同士の方が話しやすいかなという安直な理由だったからだ。画面をスクロールして自分と年齢が近そうな男を探す。
(この人でいいかな)
気怠げな雰囲気の若めの男を選ぼうとして少し考える。もう少しだけ見てみよう。もう少しスクロールしてみる。
(......)
スクロールする指が止まる。ある男が映し出された画面で。黒髪でメガネを掛けた男。目を完全に閉じてにっこりと笑顔で写った写真。自分には衝撃的だった、何故なら自分にはその男の笑顔が胡散臭く見えたからだ。上品にきっちりと着物を着て『嗤っている』
(...うわ...なんだコイツ...性格悪そう...なんか僕より若そうだな、二十代半ばってトコか?)
名前を見てみると『螺燈(らとう)』と表示されていた。
「螺燈か...」
この人でいいか。なんか面白そうだし。
彼の写真をタップしチャット画面に移る。
「...勝手が分からないけどログインしてるから表示されてたんだよな?なら今リアルタイムでチャット出来るんだよな?」
恐る恐る文章を送ってみる。
『初めまして、僕凜々也っていいます。宜しくお願いします』
自分はネット弁慶ならぬリアル弁慶な方でリアルではいつもなら強気でいられるのだがネットだとどうも萎縮してしまう。画面を見つめていると1分もしないうちに返信が返ってきた。
『初めまして、私は螺燈と申します。よろしくね』
至って普通の返信が返ってきたことに少し驚く。
つい勢いでチャットしちゃったけど愚痴なんて言っていいのかなとここで弱気になって引けてしまう。
(......)
『あの、失礼を承知で言うのですが僕のお話しを聞いて欲しくて...ちょっとショックなことがあって...』
こんな一方的なことを言って聞いて貰えるのだろうか、自分が可愛い女の子とかだったらみんな優しくしてくれたのかなと考えてしまう。するとまた返信が返ってきた。
『ええ、構いませんよ。私は人の悩みを聞いてあげるのが好きなんです。』
『何があったんですか?聞きますよ。』
ネットの人間を信用する気はないけど聞いて貰えることになって安心した。
『僕、自分なりに親切にしてたつもりの職場の人達から裏切られたみたいになってて...』
「胡散臭いけど結構話せば分かる奴...?」
そう呟いた瞬間返信が返ってくる。
『お前は悪くない』
......
この言葉に対する自分の真っ先に出てきた感情が腹立つ奴だななのが自分の性格の悪さが出てて嫌になるがなんか嫌だ。
「こ、こいつ...初対面?の人に向かってお前って...いやネットでは普通か?」
まぁ、自分もこの男のことを胡散臭いと心の中とはいえ思ったのだからお互い様だろう。それに自分を擁護してくれているのは素直にありがたかった。
画面を見つめていると螺燈から次々とメッセージが送られてきた。
『なぁ、お前他に俺に話したいことないか?』
『楽しいこともっと話そうぜ』
「あ?」
急に豹変した螺燈の態度より彼から漂う危うい香りに惹き付けられる。
「もっと話そうって...僕...」
あのことを話してみようかと思ってしまう彼の謎の魅力に任せることにする。
(どうせ叩かれるだろうけど...)
『僕は僕を捨てた家族に復讐したいと思ってる』
きっと嫌なことを言われるだろうと思う気持ちと縋りたくなる気持ちに圧迫されて息が苦しくなる。
『ふむ、だが復讐以外のことに目を向けた方がいいんじゃないか?』
螺燈からの返信に心底落胆した。自分が勝手に期待して勝手に落胆してるだけなのは分かってはいるが縋ってしまった自分を殴ってやりたい思いだった。それでも震える指が勝手に文字を打つ。
『僕は本気だ。もう復讐の計画も立ててある』
暫しの沈黙の後螺燈からの返信が返ってくる。
『へぇ、面白そうだ。俺にも一枚かませてくれよ』
え......
信じられないものを見たようだった。
それからの僕は警戒なんてものはかなぐり捨てて螺燈と色々話した。
彼は僕を肯定してくれた
僕は彼に惹き込まれていった
自然と口元が緩む。
『お前は間違ってない』
『お前の職場の奴らはバカばっかりだよな』
『俺たちで面白いことをしよう』
『俺たちの敵は消えてもいい』
何時間チャットしただろうか。つい興奮してメッセージを送る。
『僕たち悪友だな』
『僕たちは人生の共犯者みたいだな』
少し調子に乗り過ぎただろうか。ふと考えているとまた螺燈から返信が返ってきた。
『それって人生のパートナーってこと?』
「はあ!?」
画面を見て素っ頓狂な声をあげてしまう。
『なに言ってんだよ』
『俺お前のこと気に入ったんだよ』
『一生逃がさない』
...コイツは変だ......
『僕は...』
『今度の日曜日に会おうよ。お前のこと待ってるよ』
(こ、こいつ変な奴だな...)
ここで引き返さないといけない気がしたがそんなことがどうでも良くなるくらい彼に興味が出てしまった。螺燈が悪い奴でも何でもよかった。どうせ誰にも話さなかったら自分は廃人のようになっていただけだろうから。
それに嘘でも嬉しかった。あんな言葉を自分なんかに掛けてくれる人は今までいなかったから。
彼のおかげで心が救われた。
螺燈は僕の命の恩人だと思った。
日曜日が待ち遠しいと思う自分がいるのに気付いて変な居心地の悪さを覚える。
一病目 オワリ
「ーでさぁ、僕そっから逃げて来ちゃったんだよー」
その小柄な男性、鑑廊凛々也が何か発する度に周囲から笑いが起こる。
「でさぁ...」
「そんな話どうでもいいだろー!」
凜々也が言いかけた時急に若い男性が話に割って入る。
ーーーーー
またか
コイツはいつも僕が話してると勝手にツッコミを入れてくる男だ。正直ウザイし僕コイツの名前すら知らないしなんなら仲良くもないし。
「あはは」
愛想笑いをしてやる。まぁ、僕と仲良くなりたいのかな?
......
「はぁ...」
自宅のアパートへ帰るとやっと一息つける。
「疲れた、精神的に。」
そう言い終わると僕はウィッグとサングラスを取り全ての装飾品を外す。ウィッグの下は乱雑に伸ばした黒いセミロングヘアをポニーテールにしており、笑顔を貼り付けていた顔はただただ疲れているんだなとしか言いようがない表情に変わる。
「ホント毎日あのバカ男のせいでストレス溜まるわ、クソが」
身長154cmの小柄な体格と中性的な顔立ちに伸び放題の長髪のせいか若く見られるが僕はもう31歳のおっさんだ。おっさんでも子供の頃からの夢だった絵の仕事に就きたいというのは叶えたいところだ。年齢を理由に夢を諦めたくはない。だが最近入ったあの男が頻繁に僕に絡んだ来てものすごくストレスだ。普通に話しかけてくれたら自分もそれなりの対応はするつもりだ。だがヤツは距離感がバグってて僕のことをまるで昔からの大親友で無礼講とでもいうように接して来るから困っている。
「でも、絵の仕事は楽しいから少しは我慢しないとな」
そう自分に言い聞かせて今日も眠る。この『僕』が大好きなアニメグッズに囲まれた部屋で。
またいつものように自分に装飾をしてアトリエの中に入る。
「鑑廊さんおはよー」
若い女性が話し掛けてくる。たまにアニメの話を一緒にする野坂さんだ。
そうだ今日は野坂さんにいつものようにアニメの話でもしようかな。
「ねぇ野坂さん聞いてよー」
僕がいつものように貼り付けた笑顔で話し掛けると野坂さんは鞄から機材を取り出しながら興味を示してくれる。僕達アシスタントはアトリエで先生について絵を学びながらお手伝いをしてそれで何とかやっていけるくらいのお金を得ている。絵描きと聞くと絵の具をぺたぺたして描くイメージの方が強いかも知れないが僕はデジタルイラストや立ち絵を主に描いている。本当はアニメ関連に関わるようなことをしているだけなのだが流石に有名でもないのに『デジタルアーティスト』は名乗りたくないから絵描きとだけ言っているんだよ。
「ほら、最近放送終わったアニメでブラックハザイドってあるじゃん?」
「あーあのグロいアニメねー」
別にこのアニメのグッズ等を集めたりはしていないが続きが毎週気になるくらいには楽しみにしていた。だから楽しみのひとつがなくなって残念だなくらいの話だった。後に僕は人と好きなアニメの話すらしないで必要最低限関わらず生きていればと後悔することになる。
「あー、ブラックハザイドね!」
聞き慣れた耳障りな男の声が僕達の間に割って入ってくる。
また来たよ
そう例の名前すら知らないあのウザイ男だ。
僕はいつものように仕方なく笑顔で名前すら知らないゼロ距離男を会話に混ぜてやった。彼も2次元系のコンテンツにいつか携わりたいと思っているくらいには好きなんだろうから
「いや、ブラックハザイドが終わって悲しいなーって話しててさ。僕あのアニメ好きだったんだよね」
僕が笑顔で会話の内容を説明すると彼がそのアニメのキャラクターのセリフの真似をしたりしているのを見てああ、彼もあのアニメが好きだったんだなと思った。そして彼はひとしきり話した後無邪気とも取れる表情で
「でもあんなアニメ終わって当然じゃん笑」
は?
僕は彼が、いやこの非常識なバカ男が何を言っているのか言いたいのかすら分からなかった。僕が困惑していると彼はまた口を開いた。
「たまたま飯食ってる時にあのグロいアニメ観ちゃってさ、あんなの飯時に観るもんじゃないし終わってせいせいしたよ笑」
多分今の僕からは完全に作り笑顔が消えて困惑と少しの怒りが混じった表情をしていたと思う。
なにコイツ...
彼は僕達と楽しくアニメの話がしたくて会話に混ざってきた訳ではなかったのか?この男が何をしたいのかが分からなかった。それでも何とか平静を装いこの場の何とも言えない雰囲気をどうにかしないとと思い僕も何とか口を開く。
「ぼ、僕はあのアニメ好きだったからさ...」
「あー、ハイハイ笑 そんなに観たかったら一人で家で観てればってカンジ笑」
彼は何故か僕が我儘でも言って困らせているような図にして楽しそうにこの場をさっさと離れていった。
もうあの男に気を使ってやってるのに振り回されるのはゴメンだ。僕は別に好きなアニメを悪く言われただけで憤りを感じているのではなく彼の積み重なった今までの同様の行動や言動に流石に許容出来なくなった。彼は見た目は地味で普通にどこにでもいるような男だ。僕が微妙な年齢なので彼の見た目からは自分より年上なのか年下なのかすら判断つかない。若い方なのは確かなのだが。
自分はあの男と仲良い訳でも、はたまた何でも許して甘やかしてやる保護者でもない。
「まぁ、グロいのは確かだから...」
何とも言えない表情をしている僕に野坂さんが慰めてくれてるのか分からないフォローを入れてくれる。だが僕の頭の中にはこれからもあの男のちょっとした非常識を無条件で我慢して甘やかしてやらないといけない『ちょっとした苦痛の積み重ね』のことだけが占められていた。
「もう我慢出来ません!!」
僕は休憩中に先生に彼のことを訴えた。ただ僕に話しかけたいだけならもっと節度を持って接して欲しいのと自分がいかに非常識なことをしているか分かってもらいたかった。これ以上あの男のお守りはゴメンだ。先生と呼ばれた中年女性は困ったような表情を見せた。
「彼は悪気があるわけじゃないし話に入りたかっただけだから悪くないよ」
...この人まで何を言ってるんだ?ここは学校かなんかか?先生の考えが理解出来なかったがここは冷静にあの男の非常識さを再び訴える。
「だって一般常識的におかしいじゃないですか、なんで僕が彼の為に我慢しなくちゃいけないんですか?」
僕はなるべく感情的にならないように先生に常識を説いた。話を聞いていた彼女は小さくため息をついた。そして重々しく口を開いた。
「あのね鑑廊さん。これはあなたに伝えるべきだと思うの」
そう言う彼女を観察してみると彼女からは申し訳なさ等ではなく呆れやまるで悪に対して諭すようなこちらからしたら嫌なものが見え隠れしていた。
「...なんでしょうか?」
警戒しつつ少し敵意を見せ聞いてみることにした。そんな僕に彼女は面倒そうに信じられないことを告げた。
「他のアシスタントさん達からあなたに苦情が入ってるのよ。みんなあなたが怖いし真面目過ぎるし、あなたのせいで精神を病んでる人も出てきてるの」
......?
彼女からの突然の告白に一瞬、いや少し考えても理解が追いつかなかった。僕が真面目?怖い?精神病んだ?は?
「そういうことだから私もクレーマーのあなたのせいで傷付いてるから」
彼女はそう言い放ちその場を後にした。一人取り残された僕は必死に彼女から言われた言葉達を頭の中で噛み砕いていた。じわりと目に熱いものが溢れてくる。
僕は訳あって特定の友達や深く関わる人間を作りたくなかったからその場その場で人と浅い会話しかしないようにしていた。確かに野坂さんとは僕の人間関係の中ではよく話す方だったが別にプライベートで遊ぶようなことはなかったし連絡先すら知らないし聞くつもりもなかった。たまたま初めに座った席の隣に彼女がいて彼女の方から僕に話しかけてきたただそれだけの関係。他には先生や先生の担当の人とは下らない話をしていたりもした。先生は普段は僕に対して自分達の仲だからと無遠慮に悪口等を言ってくる人だった。でもそれも軽口が大半で僕的には本気で怒るようなものではなかった。なので先生があんな冷たい態度を取るのも理解出来なかった。先生が言ってた他のアシスタント達から僕が『怖い』という苦情。怖いって何がだ?僕はアシスタント達とは野坂さん以外必要最低限しか話さないし興味もないから怒ったこともないしウザ絡みしに自ら赴いたこともない。それどころか先生達と楽しげに話す僕につられて1部のアシスタント達の方から僕に絡んでこられたくらいだ。覚える気もないから名前すら知らない人達にも僕は笑顔で相手をしていたのに僕の何が怖かったんだ?
僕はみんなから嫌われていたのか...?
「...そっか」
自分の口から勝手にポツリと言葉が出る
...もう笑顔なんか作れない。身体から一気に力が抜けこの状況が意味不明過ぎてその場に立ち尽くすしか出来なかった。僕が真面目過ぎる?仲良い訳でもないヤツにウザ絡みして人の好きなものを貶して来ることを非常識ということが真面目過ぎるということだろうか。僕のせいで精神病んだ?知るかよ僕の方こそ勝手に僕に興味持って話しかけて来るヤツらに愛想良く会話に混ぜてやってたのを当たり前のように振舞ってたお前らに辟易してたんだよ。
僕が悪かったのか、職場(ここ)がおかしいのか
別に何か大きな事件があった訳ではなく小さな嫌なことの積み重ねで今回のことが起きたことなのだけは理解出来た。
もう笑えない。自分なりに笑うように努力してきたつもりだったけど、もう何も信じたくなかった。
今回の件も僕にとっては『小さな嫌なことの積み重ね』のひとつだったけどなんか張ってた糸が切れたように力が抜け落ちた気がした。
「はい、はいリモートワークに切り替えさせて下さい。雑用は出来なくても作品に対しての手伝いならPC上で出来るので。はい、そういうことなんで。」
通話を切って普通のアパートの一室の自室で僕は抜け殻のように身体を投げ出していた。虚ろな目でアニメグッズに囲まれた自室を眺める。ついこの間まで夢の為に自分なりに頑張ってたし毎日それなりに楽しかった気がしたのに。
なんかもうどうでもいいや...
なんでこんなことになったんだろう。
あの後担当の人から聞かされたけど先生があんなことを言ったのはいつもの軽口の延長線で僕が何とかして欲しいって言ってきたのが面倒だったからついことを誇張して僕にケンカふっかけてしまっただけらしい。担当の人が一応先生をたしなめてくれたらしい。あとみんなが僕を怖がってるという話も嘘ではないがみんなではなく一部の人が多分アクセサリーをジャラジャラつけた僕の見た目が怖いって話じゃないかって曖昧なことを聞かされた。僕のせいで精神病んだって話は先生の妄言なのかどうかすら分からないということを言われただけで一体この件で誰が得をして何か大きく動くものはあったのだろうか。
「あー」
気怠げにケータイを手に取り画面を眺める。誰かに愚痴りたかった話を聞いて欲しかった。自ら人との深い交流を絶っていた癖にこういう時にだけ都合のいい人間だと自分でも思う。でも涙も出ないし何かしたかった。
「SNS...」
開こうとしてすぐに断念した。リアルでも浅い付き合いしかないのにネットのフォロワーに話しても迷惑がられて離れられるだけだろう。暫く考えた後検索をかけて適当な愚痴り先を探すことにした。
「普段使わないけどなんか適当なオンラインチャットみたいなのがあるだろ」
ふと検索して上の方に出てきた適当なオンラインチャットアプリが目に止まった。上の方に出てきたということは人気だったり有名なのだろうと何気なしにインストールする。アプリを開くとすぐに登録画面が表示された。
「あ?...チッ、登録必要なのかよ、めんどくせぇな。いいけどさ、えーと顔写真か...」
写真の設定をするのに偽物のチャラく作り笑顔を浮かべた自分の写真を選んだ。この作られた自分じゃないと怖いんだ。あからさまに近寄り難い見た目の自分でいないと誰かに取って食われそうで独りで立ってられなかった。本当の自分は疲れきっていて見た目も伸ばし放題の黒髪で地味だし自信がなかった。
「登録っと」
登録ボタンをタップするとすぐに画面が切り替わった。チャット相手の選択画面だ。老若男女選べて何故か皆個性的な人ばかりだった。
「こ、この中からチャット相手を選ぶのか...みんな個性強すぎだろ...」
チャット相手の条件はある程度決めていた。自分と年齢の近い男なら誰でもよかった。男同士の方が話しやすいかなという安直な理由だったからだ。画面をスクロールして自分と年齢が近そうな男を探す。
(この人でいいかな)
気怠げな雰囲気の若めの男を選ぼうとして少し考える。もう少しだけ見てみよう。もう少しスクロールしてみる。
(......)
スクロールする指が止まる。ある男が映し出された画面で。黒髪でメガネを掛けた男。目を完全に閉じてにっこりと笑顔で写った写真。自分には衝撃的だった、何故なら自分にはその男の笑顔が胡散臭く見えたからだ。上品にきっちりと着物を着て『嗤っている』
(...うわ...なんだコイツ...性格悪そう...なんか僕より若そうだな、二十代半ばってトコか?)
名前を見てみると『螺燈(らとう)』と表示されていた。
「螺燈か...」
この人でいいか。なんか面白そうだし。
彼の写真をタップしチャット画面に移る。
「...勝手が分からないけどログインしてるから表示されてたんだよな?なら今リアルタイムでチャット出来るんだよな?」
恐る恐る文章を送ってみる。
『初めまして、僕凜々也っていいます。宜しくお願いします』
自分はネット弁慶ならぬリアル弁慶な方でリアルではいつもなら強気でいられるのだがネットだとどうも萎縮してしまう。画面を見つめていると1分もしないうちに返信が返ってきた。
『初めまして、私は螺燈と申します。よろしくね』
至って普通の返信が返ってきたことに少し驚く。
つい勢いでチャットしちゃったけど愚痴なんて言っていいのかなとここで弱気になって引けてしまう。
(......)
『あの、失礼を承知で言うのですが僕のお話しを聞いて欲しくて...ちょっとショックなことがあって...』
こんな一方的なことを言って聞いて貰えるのだろうか、自分が可愛い女の子とかだったらみんな優しくしてくれたのかなと考えてしまう。するとまた返信が返ってきた。
『ええ、構いませんよ。私は人の悩みを聞いてあげるのが好きなんです。』
『何があったんですか?聞きますよ。』
ネットの人間を信用する気はないけど聞いて貰えることになって安心した。
『僕、自分なりに親切にしてたつもりの職場の人達から裏切られたみたいになってて...』
「胡散臭いけど結構話せば分かる奴...?」
そう呟いた瞬間返信が返ってくる。
『お前は悪くない』
......
この言葉に対する自分の真っ先に出てきた感情が腹立つ奴だななのが自分の性格の悪さが出てて嫌になるがなんか嫌だ。
「こ、こいつ...初対面?の人に向かってお前って...いやネットでは普通か?」
まぁ、自分もこの男のことを胡散臭いと心の中とはいえ思ったのだからお互い様だろう。それに自分を擁護してくれているのは素直にありがたかった。
画面を見つめていると螺燈から次々とメッセージが送られてきた。
『なぁ、お前他に俺に話したいことないか?』
『楽しいこともっと話そうぜ』
「あ?」
急に豹変した螺燈の態度より彼から漂う危うい香りに惹き付けられる。
「もっと話そうって...僕...」
あのことを話してみようかと思ってしまう彼の謎の魅力に任せることにする。
(どうせ叩かれるだろうけど...)
『僕は僕を捨てた家族に復讐したいと思ってる』
きっと嫌なことを言われるだろうと思う気持ちと縋りたくなる気持ちに圧迫されて息が苦しくなる。
『ふむ、だが復讐以外のことに目を向けた方がいいんじゃないか?』
螺燈からの返信に心底落胆した。自分が勝手に期待して勝手に落胆してるだけなのは分かってはいるが縋ってしまった自分を殴ってやりたい思いだった。それでも震える指が勝手に文字を打つ。
『僕は本気だ。もう復讐の計画も立ててある』
暫しの沈黙の後螺燈からの返信が返ってくる。
『へぇ、面白そうだ。俺にも一枚かませてくれよ』
え......
信じられないものを見たようだった。
それからの僕は警戒なんてものはかなぐり捨てて螺燈と色々話した。
彼は僕を肯定してくれた
僕は彼に惹き込まれていった
自然と口元が緩む。
『お前は間違ってない』
『お前の職場の奴らはバカばっかりだよな』
『俺たちで面白いことをしよう』
『俺たちの敵は消えてもいい』
何時間チャットしただろうか。つい興奮してメッセージを送る。
『僕たち悪友だな』
『僕たちは人生の共犯者みたいだな』
少し調子に乗り過ぎただろうか。ふと考えているとまた螺燈から返信が返ってきた。
『それって人生のパートナーってこと?』
「はあ!?」
画面を見て素っ頓狂な声をあげてしまう。
『なに言ってんだよ』
『俺お前のこと気に入ったんだよ』
『一生逃がさない』
...コイツは変だ......
『僕は...』
『今度の日曜日に会おうよ。お前のこと待ってるよ』
(こ、こいつ変な奴だな...)
ここで引き返さないといけない気がしたがそんなことがどうでも良くなるくらい彼に興味が出てしまった。螺燈が悪い奴でも何でもよかった。どうせ誰にも話さなかったら自分は廃人のようになっていただけだろうから。
それに嘘でも嬉しかった。あんな言葉を自分なんかに掛けてくれる人は今までいなかったから。
彼のおかげで心が救われた。
螺燈は僕の命の恩人だと思った。
日曜日が待ち遠しいと思う自分がいるのに気付いて変な居心地の悪さを覚える。
一病目 オワリ
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