僕が”僕”じゃなかったら

パれっと

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 ―――――承【2】―――――

7話「王子の隣は、普通は“女”なんだね。」㉜

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 腰に触れていた
良太の手が、離れ。

互いに後ろに下がり、
口元を覆っていた手を
外す。


そして、照明が点いて、幕が上がり。

舞台を観ていた、大原や
他のクラスメイト達の姿が
目に入った。


「うん、いい感じだったよ。
 チューしてるようにしか見えんかった。」

大原が、にこやかに言った。


「もう何度も見てるのに、まだ
 きゃーって言っちゃう。」
「俺も俺も。」

劇に出ないクラスメイト達も、
興奮気味に感想を言い合う。


「…どうも…」

 そのとき、
カクンと、足のバランスが崩れ。

「わ。」

良太が慌てて、
俺の手を、引いて。

なんとか倒れずに済んだ。

「……悪い…。」

「ううん。
 やっぱヒールって大変だね。」

良太の手が
そっと、離れる。

「…ああ。
 こんなグラグラする物を、
 女子はよく履けるよなと思う。
 つま先は痛いし、
 足もつりそうになる…。」

「…本当に辛そうだね、あっくん…。」


いそいそと
ヒールを脱いでいると。

体育館の出入り口から、

滝が
段ボール箱を抱えて、
こちらに歩いてくるのが、見えた。


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