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 ―――――第1部―――――

1話「この関係って、何?」⑭ー擦ー

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 その放課後。


教室の前のドアを出た脇の、
廊下の壁に、寄りかかっていて。


そうしていると。


何人か知らない男子が、
チラチラとこちらを見てきて。


下に目を向け。


ガッカリしたような顔になり。

彼らは、ここから離れていった。






「ごめん、お待たせ。」


 そのとき、
良太が、早足に歩いてきた。


「…いや。」



そして、隣に並び。


2人で、歩き出す。





「ねえ、あっくん。」


良太が、顔を覗き込んできて。



「あのゼリー、ほんとにありがとね。
 すごいおいしかった。
 おかげで部活、頑張れたよ。」


目を細めて、嬉しそうに話した。



それに、

なんだか、胸が熱くなってきて。

つい、顔を横に向けてしまう。



「…それ、朝も聞いたぞ…。」


「うん。何回でも言いたくなっちゃう。」


「……なんだよそれ…。」




胸の奥が、

キュ…と、締め付けられながら。




「……あのさ。」


「ん?」



「今日、


 …帰ってから、……暇?」



そっと、声を出すと。





「…うん。暇だよ。」



優しい声が、返ってきて。




「………じゃ、

 …じゃあ……さ。」



ぽそぽそ、小さくなり、






「…………俺の……家……


 ……来ない…か…?」




途切れてしまいそうになりつつ。

声を、続けた。







 そうしたら。






 声が、

 返ってこなくなって。

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