僕が”僕”じゃなかったら＿完結編

―――――第1部―――――

1話「この関係って、何？」⑮

ハッとして、振り向くと。


良太は、



目を伏せ



さっきまでの
嬉しそうな表情を



なくしていて。








「……課題。


　課題、…一緒に…やろう…。」




咄嗟に



俺、は、言葉を、口にして。







そうすると。


良太は、こちらに目を向け。





「…うん。」



口角を上げて笑い。


表情を
穏やかなものに、変えた。






それに、
自分の、身体にかかった緊張が、
抜けながら。



なんだか、


その表情を、見ていられなくなって。


目をそらした。
















「…あっくん、
　今日バイト入れてないんだね。」



　そして。

良太は、また、
穏やかな調子で、話し始める。





「…入れてない。」



「部活ない日に、ラッキーだな。」




その声に、目をやると。


良太の、
嬉しそうに笑う顔が、映り。




「……火曜は…
　…基本、入れないから……。」



そっと、つぶやいた。





「あ、人手が足りてるんだっけ。」



何の気なしに言う、良太から
目を外し。



「……ああ。」



ぼそりと、答えた。