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 ―――――第4部―――――

6話「{ 結婚 = “幸せ” }= 共通認識 」㉔

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 しかし。

そのとき、その手を、掴まれ。




「………したら…


 …最後まで…
 したくなっちゃう…から…。」



顔をまた背けて、良太がつぶやいた。




「…もう、寝よう。
 あっくん、いつもなら…
 とっくに寝てる時間でしょ。」


そう、ぼそぼそ繋がれる言葉に、


俺は、
目を、落とし。



良太の胸へ、頬を寄せて。




「…良太って…


 ……1人でするとき、

  何、考えてるの…?」



 ぼそりと、
 その胸へ、言葉を、落とした。






 そうすると。


し…んと、
部屋の中が、静まり。




「……答えろよ…。」


また小さく、言葉を出したら。



「………


 何も……考えてない。」



ぼそっと、
声の振動が、伝わってくる。




俺は、目を伏せたまま。




「………俺は……



 ……良太のこと……考えてるよ…。」




声を、落としていく。






「……いつも…

 …今よりも…
 もっと……遅い時間に……


 …良太のこと…

 ずっと…考えて…


 …………1人えっち……してる……。」







「…昨日も……

 今日のこと…考えて…


 …こんな風に…


 良太と……ベッドに…入って…


 …良太に、…いっぱい…

  …触られて…


 ……良太と…


 ………えっち……すること…


 ずっと……想像して……


 ……1人で…

  気持ち良く…なってた…。」





声を、吐息に小さく混ぜて。


また、
胸に、頬を擦り寄せてから、


良太の鎖骨へ、唇を落とし。


その肌を、柔く吸った。

















  「……なんで。」







 すると。







「……なんで、

  今…

  …そういうこと……するかな…」





良太の横顔が、


低い声を、投げていき。










「………そんなに、

    したいの?」






低い、微かな言葉が、

耳を、突いてきた。







俺は、

良太の顔から、目をそらし。



また、鎖骨へ、唇を落として。











「…………したい。」






ささやかな声を、漏らす。












  その瞬間。




 掴まれていた左手を、


 グッと、握られ。




 その次には、





  身体が
  仰向けに倒され、



  目の前に、

  良太の顔が、広がっていた。









そして


しゅる…と、

頭の下にある良太の腕が、

抜けていき。




ギシリ、音を立てて、


 良太の両手が、


 俺の顔を挟むように、枕に沈む。













   「………いいよ。 」







 そのまま、


 真っすぐに、瞳を、捕らえられ。


















  「…… えっち
     しようか。 」









  「 ちゃんと、


    ……… 最後まで。 」








 小さく開く唇から、


 言葉が、落とされて。





 良太の手が、
 頬に、触れてきた。









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