フードデリバリー配達員をやっていたら異世界に自由に行けるようになったので、日本からいろいろな物をデリバリーして大金持ちを目指します!

クレール・クール

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目覚め

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ロロンさんの依頼にびっくりしたオレたちだけど、とりあえずは並んでるお客さんを捌かないといけないので、詳しい話は営業終了後にオルシャー伯爵邸ですることになった。

 サエちゃんは貴族のお屋敷がかなり楽しみみたいでワクワクが止まらないッ! みたいな感じなんだけど、ポーシャは油を差し忘れた昔のオモチャみたいに動きがぎこちない。

「ポーシャ、笑顔、笑顔。接客中だぞ」

 ギギギと音を立ててなんとか首だけこっちに向けたその表情は、血の気の通わない土気色。だめだこりゃ。

「サエちゃん、ポーシャと交代。ポーシャ、少し休憩しな」

 こうしてなんとか営業を終わらせ、片付けを孤児院組に任せて伯爵邸へ到着したのでした。

「店長、サエさん、さっきはすいませんでした。うう……」

「気にしない気にしない! たーくんも、あんまり怒っちゃだめだよ?」

「いや、だから別に怒っちゃいないから」

 落ち込むポーシャを慰めながら着いた伯爵邸は、圧巻だった。

 門から見える石造りの2階建ての建物も凄いものだけど、なによりも庭がもの凄い。

 きれいに刈られた芝、石造りの置き物や植木が実に上品に来客を歓迎している配置になっているのが素人のオレにもはっきり分かるほどで、なによりすごいのはマジリハ名物の湖の一部に面していて小舟も用意してあること。

「あれで遊んだりするのかな?」

「うーん、それもあるかもしれないけど、非常事態が起きた時にあれを使って避難したりもするんじゃないかしら?」

「秘密の隠し通路の代わりみたいな感じ?」

「そうそう。でも、雨や風が強い日だと大変そうね」

 オレとサエちゃんがそんな話をしていると、本館から少し離れた、いわゆるハナレに案内された。

「こちらは、使用人や出入りの業者の利用する建物になります。ロロンも間もなく参りますので、こちらでお待ちください」

 言い残すと、案内してくれた女性は退出して行ったのだが……

「サエちゃん、オレ、目覚めたかも」

「たーくん、大丈夫。わたしもよ」

「え、サエちゃんもか?」

「あれで目覚めないとか、嘘よね。やっぱり本物は違うわね」

「だよな。アキバのアレはアレでいいけど、オレは断然こっち派かな」

「たーくんの屋台でも、女の子に着てもらう? 日本でなら、手に入るわよ」

「うーん、やめておくかなあ。馬子にも衣装……とは違うのかもしれないけど、服に着られてるって感じになりそうかな」

「あはは、確かに。でも、ポーシャには似合うんじゃないかしら? ね? ポーシャ」

「え! あ、ご、ごめんなさいなんですか?」

「ポーシャ、メイド服似合うんじゃないかってサエちゃんが」

「そんなあ、わたしあんな上品な服は似合いませんよー」

 必死に否定するポーシャだけど……頭の中でポーシャにメイド服を着せてみると……

「サエちゃん、明日の午前中にメイド服を買いに行くの付き合って」

「了解! あとでポーシャのサイズ採寸しておくわね」

 こうしてポーシャの了解を得ないまま、店長権限でポーシャメイド化が決まったのでした。

 セクハラ? いや、ただ従業員の制服を決めただけですからして、うん。

「お待たせいたしました」

 ノックされてから入ってきたのはロロンさんと……

「はじめまして。アルフォンス・フォン・オルシャーが長女、エリシャと申します。本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます」

 見事なカーテシーを決めた美少女でした。
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