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貴族令嬢。
それは、現代日本に生きるサブカル好き男子の憧れのひとつなのだ。
……だよね?
それが例え悪役令嬢であろうと、高飛車な性格だろうが、お姫様の取り巻き令嬢たちであろうが、みんな違ってみんないい。
だけどそれでも。
正統派美少女令嬢が目の前でかわいらしく微笑んでいれば、他の全ては視界から消え失せて……痛い!
ふと横を見ると、サエちゃんがジト目で手の甲をツネっているではありませんか。
「浮気者」
解せぬ。
「かき氷やの店長のタケシです。それから、副店長のポーシャと、接客主任のサエ」
「は、はじめましゅてポーシャと申しましゅ」
「サエです。お会いできて光栄ですエリシャ様」
カミカミのポーシャに比べて、サエちゃんはさすがに人生経験の差か、落ち着いたもの。と思っていたら、ラノベやアニメでこういうこともあるかもと予習済みなのよと耳打ちしてくれました。なるほどね。
「それで、エリシャ様がなぜわざわざ?」
「エリシャで大丈夫ですよ。気楽に接していただけると嬉しいです」
「それでは、エリシャさんで?」
ちらりとロロンさんを横目で確認してみたけど、頷いていたので、まあ大丈夫だろう。
「はい、それでお願いしますね。わたしもタケシさん、ポーシャさん、サエさんとお呼びさせていただきますね。それで、実は誕生日のかき氷のことでお願いがありまして」
「お願いですか?」
メイドさんが淹れてくれた紅茶を飲みながらこういった話をしてると、できる社長にでもなった気がするな。サエちゃんとポーシャが秘書さんで。まあ、気のせいなんだけどさ。
「タケシさんの売られているかき氷、わたしも食べさせていただきました。甘くて冷たくて、とてもおいしかったですわ」
「「「ありがとうございます」」」
3人揃って礼を言う。
「それで、これは間違いなく招待客の方々にも喜んでいただけると思って強引に父に頼んでかき氷を出していただけるようにお願いしたのですがひとつだけ問題がありまして……」
「問題ですか?」
「実はわたしの父、アルフォンス伯は甘い物が苦手なのです。なので、そんな父のために甘くないかき氷がないものかとタケシさんにお伺いしたかったのです」
「なるほど。エリシャさんはお父様想いなんですね」
「そんな……わたしがお願いしたことですし当たり前のことですわ」
当然のこと、とエリシャは言っているがその表情は嬉しそう。うん、かわいい。
それで、甘くないかき氷か。
といえば、やっぱりあれだよなあ。
サエちゃんも、頷いているし、問題はなさそう。
「甘くないものというより、甘さ控えめなものならご用意できますが、それでよろしいでしょうか?」
「まあ、やはりあるのですね。ぜひ、よろしくお願いします」
「分かりました。それと、ロロンさん」
「はい、なんでしょうか?」
「失礼かと思いますが、招待客の数とご予算的にはどのくらいですか?」
「お客様と当家の者を合わせて、約150名になります。予算は金貨3枚までは用意しています」
ということは、300万円か。凄いな、さすが貴族令嬢の成人記念誕生日パーティーだ。
かき氷1杯銅貨10枚、1000円で売っているから150名が仮に2杯ずつ食べたとしても30万、銀貨30枚。つまり予算的にはまだまだ全然余裕があるわけか。
「あの、食べ物ではないのですが氷を使ったある物をパーティー会場に用意したいのですが、構いませんか?」
「ある物……ですか? それはいったい?」
「あえていえば美術品になると思います。ただし、あくまで氷なので長期保存はできないのでパーティー後は溶けて消えてしまいますが」
「そうですな。美術品は構わないと思いますが、残らないのでは……」
ロロンさんが難色を示していると
「構わないではないか。儚い氷の美術品を用意するというのは他の貴族たちに我が領の力を見せつけることになる。娘のためでもある。ぜひ、用意してくれたまえ」
「旦那様!」
「お父様!」
入室してきた渋い男性……この人が、アルフォンス・フォン・オルシャー伯爵か。
それは、現代日本に生きるサブカル好き男子の憧れのひとつなのだ。
……だよね?
それが例え悪役令嬢であろうと、高飛車な性格だろうが、お姫様の取り巻き令嬢たちであろうが、みんな違ってみんないい。
だけどそれでも。
正統派美少女令嬢が目の前でかわいらしく微笑んでいれば、他の全ては視界から消え失せて……痛い!
ふと横を見ると、サエちゃんがジト目で手の甲をツネっているではありませんか。
「浮気者」
解せぬ。
「かき氷やの店長のタケシです。それから、副店長のポーシャと、接客主任のサエ」
「は、はじめましゅてポーシャと申しましゅ」
「サエです。お会いできて光栄ですエリシャ様」
カミカミのポーシャに比べて、サエちゃんはさすがに人生経験の差か、落ち着いたもの。と思っていたら、ラノベやアニメでこういうこともあるかもと予習済みなのよと耳打ちしてくれました。なるほどね。
「それで、エリシャ様がなぜわざわざ?」
「エリシャで大丈夫ですよ。気楽に接していただけると嬉しいです」
「それでは、エリシャさんで?」
ちらりとロロンさんを横目で確認してみたけど、頷いていたので、まあ大丈夫だろう。
「はい、それでお願いしますね。わたしもタケシさん、ポーシャさん、サエさんとお呼びさせていただきますね。それで、実は誕生日のかき氷のことでお願いがありまして」
「お願いですか?」
メイドさんが淹れてくれた紅茶を飲みながらこういった話をしてると、できる社長にでもなった気がするな。サエちゃんとポーシャが秘書さんで。まあ、気のせいなんだけどさ。
「タケシさんの売られているかき氷、わたしも食べさせていただきました。甘くて冷たくて、とてもおいしかったですわ」
「「「ありがとうございます」」」
3人揃って礼を言う。
「それで、これは間違いなく招待客の方々にも喜んでいただけると思って強引に父に頼んでかき氷を出していただけるようにお願いしたのですがひとつだけ問題がありまして……」
「問題ですか?」
「実はわたしの父、アルフォンス伯は甘い物が苦手なのです。なので、そんな父のために甘くないかき氷がないものかとタケシさんにお伺いしたかったのです」
「なるほど。エリシャさんはお父様想いなんですね」
「そんな……わたしがお願いしたことですし当たり前のことですわ」
当然のこと、とエリシャは言っているがその表情は嬉しそう。うん、かわいい。
それで、甘くないかき氷か。
といえば、やっぱりあれだよなあ。
サエちゃんも、頷いているし、問題はなさそう。
「甘くないものというより、甘さ控えめなものならご用意できますが、それでよろしいでしょうか?」
「まあ、やはりあるのですね。ぜひ、よろしくお願いします」
「分かりました。それと、ロロンさん」
「はい、なんでしょうか?」
「失礼かと思いますが、招待客の数とご予算的にはどのくらいですか?」
「お客様と当家の者を合わせて、約150名になります。予算は金貨3枚までは用意しています」
ということは、300万円か。凄いな、さすが貴族令嬢の成人記念誕生日パーティーだ。
かき氷1杯銅貨10枚、1000円で売っているから150名が仮に2杯ずつ食べたとしても30万、銀貨30枚。つまり予算的にはまだまだ全然余裕があるわけか。
「あの、食べ物ではないのですが氷を使ったある物をパーティー会場に用意したいのですが、構いませんか?」
「ある物……ですか? それはいったい?」
「あえていえば美術品になると思います。ただし、あくまで氷なので長期保存はできないのでパーティー後は溶けて消えてしまいますが」
「そうですな。美術品は構わないと思いますが、残らないのでは……」
ロロンさんが難色を示していると
「構わないではないか。儚い氷の美術品を用意するというのは他の貴族たちに我が領の力を見せつけることになる。娘のためでもある。ぜひ、用意してくれたまえ」
「旦那様!」
「お父様!」
入室してきた渋い男性……この人が、アルフォンス・フォン・オルシャー伯爵か。
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