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【R18】afterStory happy honeymoon〜
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しおりを挟む「わぁ……トロントの街並みが、模型みたいに見えますね」
「あそこにナイアガラも見える」
翌日、早起きした私たちはホテル内のオシャレなカフェで朝食を済ませたあと、まずは観光名所として知られているCNタワーにやってきた。
私も千秋さんも訪れるのははじめてだ。
最も高い位置にある展望フロアからは、トロントの街並みがおもちゃのフィギュアみたいに見える。千秋さんの整った指の先には一五〇キロ以上も離れた、ナイアガラの滝まで見える。
日本とはまたスケールの違った景色に心が躍ってしまう。
「留学で二か月もいたのに、ここには来たことがなかったんですね」
彼に尋ねられて頷く。
「私が滞在地したのはバンクーバーのほうだったのだので。それもレノックス家は商業地の外れのほうにあったので、観光地にはたまにレノックスおじさんが、家族と学生たちを連れて、案内してくれた時くらいですね……。勉強に必死で、遊んでる場合じゃなかったっていうのが。一番の理由ですけど」
そこまで言って景色から千秋さんへと視線を上げた。
「千秋さんも、このエリアははじめてなんですよね?」
「俺の大学はヨーロッパ圏内ですし、同行で訪れたのもモントリオールとバンクーバーでしたね。永斗さんと欧州にいたときだから、もう何年も前ですけど」
「モントリオールはヨーロッパみたいな街並みだと聞いてます」
「北米のパリと言われてますね」
「フランス語がもう少し堪能になったら、いきたいです」
意気込む私に千秋さんが「あそこはマルチリンガルなので、さほど困らないと思うけど」と小さく笑った。
壮大なパノラマをバックに微笑む千秋さんは、とても晴れやかで楽しそうで、私まで幸せな気持ちになった。
ひとしきり景色を観覧した後、地下鉄を利用しトロント内で最も大きいと言われる図書館――パブリックライブラリーへと移動した。
駅を降りて徒歩数分。地上五十階建ての天井が吹き抜けになったレンガ調で解放感満点のラグジュアリーな建物は、とても迫力満点で威厳を感じた。
「帝国図書館とは違いますね……。規模が大きい」
一階部分は、沢山の人が出入りする憩いの場になっていて、本の貸し借りは、住所を提示すれば出来るらしい。旅行者の私たちは、読書をするだけに留め広大な館内を自由に散策した。
外観はもちろん、そこに入る棚の数も、本の数も、日本とは比べ物にならない。
「海外ですからね、大きさはもちろん、使ってるものも違うな」
「海外の他の図書館にも行ったことが?」
「時間があるときは、毎回訪れます」
気になって尋ねると、千秋さんはとても楽しそうに教えてくれた。
聞くに、千秋さんはスケジュールに余裕のあるときは、訪れ国や地方で有名な図書館を訪れているんだとか。
なかでもお気に入りなのは、自分が通っていた世界的名門大学の図書機関のひとつ。イギリスのゴシック建築の傑作と言われている、最古の建物からできている図書館だと目を輝かせながら教えてくれた。
貯蔵数はもちろん、建物は映画の撮影に使用されるほど趣があり、読書や勉学に励むのに最適なんだとか?
家でもよく本を読んでいるし、都内の帝国図書館を愛用しているくらい本好きなのは知っていたけれど、まさか、海外に来たときまでそれを発揮しているなんて――。
新たな一面を知って胸の奥が温かくなった。
そうして図書館で軽い読書を重ねながら散策したあと、様々なグルメの終結すると言われるセントローレンスへ向かう。
そこで購入したものをシェアしながらお腹を満たして、北米でとても歴史のあると言われる、緑豊かな庭園や博物館へと足を運ぶ。
博物館内を論議しながら巡り外に出たころには、時計はもう十六時を指していた。
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