文明トカゲ

ペン牛

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三 雷鳴の猫

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『……にゃあ、楓。楓は余みたいなのを、理不尽だと思っているにゃ?』
「……あぁ、思ってるよ」
 圧倒的な力で奪い傷つける。僕にとってトカゲはそういうものだった。
『まぁ、それは間違ってないにゃ。余みたいなのは基本物事の道理とか、そういうことは考えにゃいにゃ。道理を無視できるだけの圧倒的な力を持っているからにゃあ』
 そうだ、そんなことは言われなくてもわかっている。
『――でも、余は理不尽は理不尽でも、よい理不尽ににゃろうと思うにゃ』
「……何を言ってるんだよ、お前。それじゃあお前は僕達のために、はっきりした理由もなく、あいつに殺され続けるとでも言うのか!?」
『うん、そうにゃ』
 ――理由のわからない怒りが、胸の中で炸裂した。
「いい加減にしろ! そんなことで助けられて、納得できるわけが――!!」
『も~、だからよい理不尽ににゃるって言ったのに、楓はもっと余の話を聞くべきにゃ』
 納得できない。納得できるはずない。僕は、
『楓。何度も言うけれども余は人間よりも遥かに偉大な存在にゃ。だから楓達の寿命が尽きるまであいつに殺され続けることくらい、別にどうってことはにゃいのにゃ。だから――』
「――人の話を聞いてないのはお前だ!」
 そうだ、僕は、
「僕のことを、梓のことを助けるって、そう言ってくれたやつがずっと、ずっと殺され続けて、苦しみ続けるなんて、そんなの、認められるわけがないだろ……!!」
『……そうだそうだ、人間相手に言ってみたかった言葉があったのにゃ。言う相手が楓だと思うとにゃんだかにゃ~って感じだけれども』
「――また、ふざけたことを言うのか」
 ニャン太は呆れたように、顔をくしゃりと歪めて、
『――余のことは忘れて、幸せにおにゃり、楓』
 言葉が耳に届いた瞬間、僕はニャン太、と叫ぼうとした。だができなかった。目の前で光が炸裂し、雷鳴のような咆哮が轟いたのだ。
 そして僕は、雷をまとった巨大な獅子のような獣が、黒い影に吠えかかり、そして、跡形もなく消し去られる瞬間を見た。
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