文明トカゲ

ペン牛

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六 完全の家

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 咄嗟に雪子さんの名前を偽名として名乗ってしまう。
「あっ、そうですよね。あの……もし気に障ったらごめんなさい。最初海野さんのことを見た時、男の人かなって思ったんです。でもこうしてよく見たら女の人で、その、どっちなのかなって」
(――どっち、か)
 本当はその答えはまだ僕自身すら出せていない。だがそれを言ったところで、事態がややこしくなるだけだろう。
「――女ですよ。この格好は好きでやってるんです。あんまり女性らしい服装が好きじゃなくて」
「そうだったんですね。それと、その、これももしかしたら気に障っちゃうかもしれないんですけど……海野さんって、多分私と滅茶苦茶似てません?」
 答えに困る質問が来た。僕の直感が正しければ、目の前の女性は間違いなく笹岩楓だ。そしておぞましいのは、彼女は笹岩楓のはずなのに、僕とは決定的に違うということ。
「……あぁ、確かに言われてみれば、似てるかもしれませんね」
「でしょ!? あの、身長何cmですか?」
「一七〇cmです」
「うわ、ちょうど同じ! 顔の造りとか、あと髪質とかも多分似てるんですよね……よく世界に三人は自分と同じ顔の人がいるって言いますけど、私と海野さんってそれなんですかね?」
 矢継ぎ早に質問されて面食らう。なるべく怪しまれないように慎重に答える。
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