文明トカゲ

ペン牛

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八 懐旧の澱

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「あの、天ぷらうどんのお金」
「いいわよ、そのくらい。あ、そうだ、アンタって長風呂?」
「……いえ、普通だと思います」
「そ。じゃあアタシの方が長いわね。アタシこれから温泉入るけど、アンタも入る?」
「は、はい」
「じゃあ一緒に浴衣取りに行くわよ。部屋出たら鍵はそのままアンタが持ってなさい」
 佐治さんはそう言うと足早に部屋の方へ行ってしまった。温泉に入るのが待ち切れなかったのだろうか。僕も後に続く。
 部屋に入ると佐治さんは手早く浴衣やタオルなど必要なものをまとめ、小脇に抱えるとスタスタと出ていった。
(……僕も温泉に入ろう)
 必要なものを持って部屋を出る。部屋から女湯まで向かい、脱衣所に入ると中には十人を超える程度の女性達がいた。
(まだ一時前だし、多少人は少ないのかもしれない)
 とりあえず空いているロッカーを探す。六二番のロッカーが空いていたのでそこに決めた。服を脱ぎ、浴衣やバスタオルと一緒に入れる。タオルで前を隠して浴室に入る。
(広い――それに落ち着いていて、いい雰囲気だ)
 浴室の中は黒に近い灰色で統一されていた。設備としては普通のお風呂にサウナ、水風呂、ジェットバスに電気風呂、更には室内打たせ湯など色々なものが揃っていた。
 とりあえず髪と体を洗い、普通のお風呂に入った。お風呂の縁に首を預けて、ぼんやりと天井を眺めながら佐治さんのことを考える。
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