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十 文明と影
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髪でできた鎖が巻きついた青年が、僕に声をかけてくる。
「やっぱりそうだ。体大丈夫なのかなって気になってたんですけど、元気そうですね。よかった」
そう言って青年はにこやかに笑った。
(これ、なのか?)
ニャン太が僕のところに現れ、そして僕をここまで連れてきた理由は、この青年なのだろうか?
既にニャン太の姿は視界の中になかった。答えは得られない。だが、ここで何もしないのか、それとも可能性に手を伸ばすのか――選ぶのは、後者だ。
「……僕の頼みを、聞いてもらえないでしょうか?」
「頼み? 頼みってなんです? まぁ、俺にできることならやりますけど」
青年の何気ない、けれど温かな言葉に泣いてしまいそうになるが、そんなことをしている余裕はない。
「――僕と一緒に来てもらいたいんです。もう、あなた以外に誰を頼ったらいいのかも、わからなくて」
青年は僕の言葉を聞いて、困ったように頭を掻いた後、ポンと僕の肩に手を置いた。
「……俺も別に大したことできないですけど、まぁ、とりあえずやってみましょうよ」
再びの笑顔。それと一緒にまた周囲の風景が目まぐるしく変化していく。一呼吸の間に、僕は花屋の青年と共に法山から逃げ出した空き地へと戻ってきていた。
「え、ちょっと、ここどこ? 何が起きたの?」
青年は見知らぬ場所に一瞬で連れてこられたことで混乱していた。当然のことだ。未だに僕の姿のままの法山は僕達のことを見て呆けたような顔をした後、怪物と対峙した人間のように、大きく目を見開いた。
「やっぱりそうだ。体大丈夫なのかなって気になってたんですけど、元気そうですね。よかった」
そう言って青年はにこやかに笑った。
(これ、なのか?)
ニャン太が僕のところに現れ、そして僕をここまで連れてきた理由は、この青年なのだろうか?
既にニャン太の姿は視界の中になかった。答えは得られない。だが、ここで何もしないのか、それとも可能性に手を伸ばすのか――選ぶのは、後者だ。
「……僕の頼みを、聞いてもらえないでしょうか?」
「頼み? 頼みってなんです? まぁ、俺にできることならやりますけど」
青年の何気ない、けれど温かな言葉に泣いてしまいそうになるが、そんなことをしている余裕はない。
「――僕と一緒に来てもらいたいんです。もう、あなた以外に誰を頼ったらいいのかも、わからなくて」
青年は僕の言葉を聞いて、困ったように頭を掻いた後、ポンと僕の肩に手を置いた。
「……俺も別に大したことできないですけど、まぁ、とりあえずやってみましょうよ」
再びの笑顔。それと一緒にまた周囲の風景が目まぐるしく変化していく。一呼吸の間に、僕は花屋の青年と共に法山から逃げ出した空き地へと戻ってきていた。
「え、ちょっと、ここどこ? 何が起きたの?」
青年は見知らぬ場所に一瞬で連れてこられたことで混乱していた。当然のことだ。未だに僕の姿のままの法山は僕達のことを見て呆けたような顔をした後、怪物と対峙した人間のように、大きく目を見開いた。
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