文明トカゲ

ペン牛

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十 文明と影

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 両手で口を覆い、息を吐く。呼気の熱が冷えた指先に伝わる。三月ももう半ばを過ぎたが、山形県は未だに最高気温が十度を下回る日が存在する。
「アタシのアドバイス通り厚着してきて正解だったでしょ? 感謝しなさいよ」
「はい。実際助かってます。でも昨日までは確か二十度近かったですよね?」
「まぁアタシ達二人とも運は下から数えた方が早いでしょ。雪が降らなかっただけ感謝しろってことかもしれないわ。しないけど」
 佐治さんと並んで道路を歩く。目的地へと向かう今の心境をどう言い表せばいいのかとずっと考えているけれど、どうしても適当な言葉が見つからない。
「……今向かっているところに、本当に法山がいるんですか?」
「そのはずよ。まぁ確かめるのはこれからだけど」
 ――法山が僕達の前から姿を消して二ヶ月ほどが経った。法山が一体どうなったのか、ずっと調べて続けていたという佐治さんから、
『やっと見つけたわ。今どんな風になってるのか山形まで確かめに行くけど、アンタも一緒に来る?』
 と連絡が来たのがつい一週間前。
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