sandwich

水市 宇和香

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dinner2

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 シローの声を聞く前に、携帯が手元から消えた。
 横に座ってる社長がこれ見よがしに電源ボタンを押して笑っている。
「用件は伝えたんだからはやくアタシとおしゃべりしましょー」
「おいババアざけんなよ」
 五十過ぎの年増のくせに上目遣いとかしてんじゃねえ。髪の毛指で巻くのもやめろ! っつか、シローとの会話邪魔してんじゃねえよ!
 携帯を奪い返して思いっきり舌打ちすれば、
「ちょっと皐月! あんた何言ってんのよ! 社長すみません、こいつったら礼儀知らずで!」
 運転席から中嶋がわめいた。
 社長とメシに行くよう言い出したのはこいつなのに、「無礼があったら大変だわ!」とわざわざ運転役を買って出て着いてきたのだ。ご苦労なこって。
 中嶋の言葉を諌めたのは社長だ。
「いーのいーの、アイドルにこのくらいの利かん気は必要よ」
(アイドルじゃねえよ)
「あ、皐月。ご飯どこにするかこっちで決めるんでしょう?」
 苛々していたら、社長越しに優士がそう言って話題を変えた。(社長がうるせーから、後部座席にわざわざ三人で座ってる。若い男侍らせて楽しんでんじゃねえっつの)
「かたっくるしーとこはパスな」
 それだけ告げて、窓の外に視線を放る。
 むかつく。
 とはいえ、実際問題売り出しかたはアイドルのそれとたいして変わんねえし、デビューするときにそうなることは了承済みだ。
 社長はそういう戦略じゃなきゃ俺らを雇うつもりはないって言い切ってたし、こっちにもシローの父親にバンド活動を認めてもらいたいっつー思惑があったから、どんな形であれメジャーデビューがしたかった。
 まあ、シローには言ってないことだが、シローの父親の許可なんて、俺も優士も正直どうでも良かった。けれど、利益を求めたのは俺らも同じ――。
 3moon デビューの契約は、双方の利益のために結んだんだ。夢への一歩とは言いがたい現実的なもの。
 だからこそ、こんなくそったれた世界にいられる。
 本当にほしいものがわかってるから、望まないカタチだって受け入れる。
 俺も、優士も、おそらくシローも。
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