政略カップルと切ない王子様

まび

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集団宿泊

集団宿泊1日目 和樹

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サクッサクッ
ジュ~
厨房から上がるいい匂い。
グゥ~
お腹すいたな
俺の班昼ごはんうまいといいな

ただ、

俺の班のキッチンを見る限り

ガンッ

「ギャ~優奈!!指切っちゃうよ?!!!」

ジュ~!!

「ぎゃあ!!!!愛梨焦げた!!」
「比奈!火消して!!!」

大丈夫なのか…
まともにできてるのって
侑梨川だけじゃ……
「よしっ!もうカレーは私が作るから2人は皿洗いとか食器準備して?!」
やっぱこうなるよな
ただ…
6人分のカレーって大変じゃ…
ほら…
あいつもう汗かいてる。

「侑梨川」

「なに?」
なんで大変だって言わないかな?
「おれ手伝おうか?」
なんか恥ずいなこれ
「……」
なんか言えや
やっぱ嫌か?
「あっ…ありがとでも大丈夫だよーカレーって簡単だしさ」
なに笑ってんだ
炒めたりすんのお前の力じゃ無理だろ?
6人分の野菜は

「いいから、お前の力じゃ無理任せろ」

おれは、侑梨川から無理やり木ベラを奪って炒め始めた。
そんなおれに侑梨川は驚いたのか
「…………」
「…おら、なにぼさっとしてんだよ」
「ごっごめん…」

そしてやっと、ルーも入れて
カレーのスパイシーな香りがしてきた頃。
「やっとできた?」
望や桐魏。
部屋にこもってた組が顔をのぞかせた。
「できたよー!」
侑梨川が声を張り上げる
「あーおいしそぉー」
「早く食べよー」
みんな次々とカレーを飯に注いでいく。


「「「「いただきます!!」」」


みんな一斉に食べ始めた。
パクッ
食べた瞬間。
スパイシーな香りが鼻を抜けた
「……うま」
周りのみんなもかなり美味そうに食ってる。
「これ侑梨川さんが作ったの?」
望が侑梨川に質問した。
「私だけじゃないよ?多部君が手伝ってくれたの」
俺の話かよ
侑梨川が、ねっ?
とアイコンタクトしてきた。


ドキっ


そんな澄んだ瞳で見るんじゃねぇよ

俺は無視してカレーを食べ始めた。
「望くんは料理するの?」












カチャ





思わずカレーのスプーンを落としそうになった。

…………望……くん?

なんだよそれ
なんでそいつだけ名前呼び?

それって____________






お前らもしかして付き合ってる?





なんだよ
せっかく好きだって気付いたばかりなのに…

お前は俺を見てなかったってことか?



ズキン



心臓が不穏な音を立てる


「多部くん食わんの?」
______はっ
桐魏の言葉で意識が戻った気がした。

どうやらスプーンが止まっていたようで、

チラッ

侑梨川の方を見ると
まだ
望と楽しそうに喋っている。

あぁ
こっちを向いてくれ……

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