政略カップルと切ない王子様

まび

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集団宿泊

集団宿泊 3日目 午後 和樹

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「……侑梨川」

侑梨川の髪からいい香りが漂ってくる。






何で今侑梨川と抱き合ってんだっけ?





どうでもいいや


気持ちさえ伝えれば









「………好き…だ」








あぁ、伝えてしまった。



























午後

昼頃からパラパラと降り出した雨は、勢いを増していた。

電気を消してしまったら、真っ暗な屋内。
それを利用してか、暗い屋内で室内ハイクをすることになった。

まぁ、2人1組のお化け屋敷のようなもの。
保健室にある札をとって戻ってくるやつ

つまんな

どうせ侑梨川は望と組むしな






そう思っていたのに…

















「私、多部くんと組む!!」


え?

室内ハイクの時間…
いきなり、侑梨川は俺と組むと言い出した。

お前、望と組むんじゃないの?

チラッと望を見ると。


珍しく望も少し怒っているように見えた。





…喧嘩か……


なんだ

侑梨川が俺と本当に組みたがってるなぁ

なんて思ったりしたのに







望と組みたくないだけじゃん




そんなこんなで俺は侑梨川と組むことになってしまった。







屋内は本当に暗かった。
カーテンは締め切られてるし、外からも雨で光はささない。

雨音が意外と不気味な音楽のよう。

隣を歩く侑梨川は、怖いのが苦手なのか怯えている。




そんな顔すんじゃねぇよ…



守ってやりたくなっちまう。

「手……繋ぐか?」


ここまで……
ここまでで終わり
これ以上はいかないこと

侑梨川は驚いていて。

申し訳なさそうに手を重ねてきた

侑梨川の手はサラサラしていて
俺より冷えていた。


俺が少し先を歩く…








「きゃあ!」






先生たちの低レベルな脅かしにも侑梨川は声を上げて



ギュ


軽く抱きついてきた

なんだよ


俺はそのまま侑梨川を手で包んでしまいそうなのを必死にこらえた

ダメだ

侑梨川は望のものだから

しばらくしてやっと離れた侑梨川



「ご…ごめん」

恥ずかしくなったような侑梨川は頬を染める。

正直あのままでもよかったなぁなんて思いながら

また歩き出した。



ちょうど、札がある保健室まで来た時。





カチャ





え?
どうやら外の方から扉を閉められたっぽい





密室で侑梨川と2人きりの状態




先生もやりすぎだと思う



「……どうしよ…」

そんな困った顔すんな


侑梨川のせいだぞ
止まんなくなんの____________









ギュ






俺は侑梨川を抱きしめた

「侑梨川…」

「……たっ、多部…くん?」


侑梨川の髪からいい香りが漂ってくる


伝えないと…
今…
この思いを閉じ込めることはできないから…





「…好き…だ」



ああ…伝えてしまった…
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