太陽を喰らう月

白木 月

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基本四術

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灼熱しゃくねつの陽射しが、私の身体を容赦なく照らし続ける。

遮るものなく照りつける太陽は、その熱で私の体を煮えたぎらせる。対して、風はほとんど吹かず、空気は重く、息苦しさを感じた。

『はぁ⋯っきっつ、』

私は足が止まらぬように、手を振りアスファルトの上を夢中で駆ける。

「あと2キロ~」

『あと、2キロもある⋯まじ死にそう、もう無理』

「あと、2キロしかないよ。いけるいける♪」

なぜ、こうなったかというと時を少しさかのぼる。



朝陽が空高く昇り、照りつける陽射しが眩しい。
空は雲ひとつなく冴え渡っている

6月19日。現在の時刻8時45分。今日は気温が33.8℃まで上がるらしい。

(あれ、昨日8時って言われたよね、時間もしかして聞き間違えた?)

私は昨日水流園さんに言われた通り、玄関の前に立っていた。


「おはよ~♪」

『あ、おはようございます』

「ごめん、ちょい遅れたよね」

45分ってちょっとなのか?時間にルーズな人なのかな?

『いえ、大丈夫です。今日はよろしくお願いします』

「んじゃ、さっそく始めようか」

「上位クラスに入るには、霊力をしっかりコントロールして霊術を使えるようにならないといけない」

「そこで、今日から2ヶ月間!」

「ある修行をしてもらいます!」

『修行?滝行でもするんですか?』

水流園さんは口を横に引いて、陰険いんけんな笑みを浮かべた。まるで悪魔が浮かべるような笑みだった。


「ひたすら走って筋トレをして体力をつけてもらいます」

『え?』




─────そして現在に至る

「はい、4キロ走り終わったよ~」

『はぁ⋯はぁっ⋯』


走り終わった後、私は手を膝について肩で荒く息をした。

心臓がバクバク鳴っている。体が熱い、拭っても拭っても汗がしたたり落ちてくる。

私は昔から運動が嫌いで、普段あまり運動をしていなかった。その代償が今、私の体を襲う。

「お疲れ~水分補給した後は筋トレね」

『しぬ⋯⋯』

「まずは、しっかり体づくりをして体力をつけないと霊力のコントロールなんて出来ないよ」
「あと、ちゃんと体づくりしとかないと霊術使った瞬間筋繊維きんせんい切れるよ」

いや、脅し方こっわ。めっちゃやる気出たよ今。

「走る長さと筋トレの回数これから増やしていくからね」

Oh my gosh⋯なんてことだ

「この世の終わりみたいな顔してないで、筋トレするよ」

(スパルタ!鬼畜!!)



──────そして、毎日地獄のトレーニングを続けること2ヶ月

私はかなり体力がつき。今では初めの頃死にそうなぐらいキツかった4キロを少し楽に走れるようになった。

今は毎日7~8km走っている


「はい、今日でとりあえず体づくりは終わり。でも時間がある時とかにランニングはしておいてね」

私は無言でガッツポーズを決めた。

「これからは霊力のコントロールをして、霊術を上手く使いこなせるようになってもらいます」

「まずは外に漏れ出てた霊力を漏れ出ないようにさせようと思ってたんだけど、この2ヶ月で無意識の内にできるようになったみたいだね」

『漏れ出てると何か悪いことでもあるんですか?』

「妖怪ってさ霊力を持ってる人間を食べると強くなるから人間のことを食べるんだよね」

「だから霊力を漏れ出るぐらい沢山持ってる人は妖怪が寄り集まってきて悲惨な目に遭うんだよ」

「今までそうならないように湊がこはくの霊力を抑えてた」

『そうだったんですね⋯』

ほんと私湊くんの世話になりっぱなしだな。いくら感謝してもしきれないくらいだ。

「まっ、本当は大人になるまで抑えるって話だったんだけど無理だったみたいだね」


「まぁ、この話は一旦置いといて」

「まずは、基本四術しじゅつをある程度できるようになろうか」

『基本四術?』

「基本四術とは」

・結界
・身体強化
・霊力付与
・治癒          の4つの術のことです

これは、ある程度の霊力があれば訓練次第で誰でも使うことができます。霊力の多さや潜在能力によって術の精度が変わります。

「ってことで、まずは霊力付与からやっていこうか」

「はい、これ持って」

水流園さんは私に短刀を渡してきた。

(わっ、この短刀絶対いいやつだ)

「それに霊力を流し込んでみて」

『流し込むってどうやってするんですか?』

「んー、こう自分の体の中の霊力の流れを理解して、イメージして」

「ぎゅって力込めればできるよ~」

『えっと、⋯え?』

「イメージしてぎゅって力込める」


ちょっと何言ってるか分からない。
霊力の流れを理解して流し込むってことだよね?とりあえずやるだけやってみよ⋯


私は小刀をしっかり握り、目を瞑った。

(霊力の流れも私なりに解釈すればいいんだよね。)

私は、霊力が血液と一緒に体を循環しているのををイメージした。その循環している霊力の流れを小刀に向かって変えた。

「おっ、できたね」

『やった!』

小刀の周りを白いオーラのような輝きが包み込んでいた。

「妖怪には霊力のあるものでしか攻撃できないから、武器を使って攻撃する時はこうやって霊力を流し込んでね」

「あと、その短刀あげる」

『え?!いいんですか?高そうなのに…』

「いいよ、それ君のために用意したやつだし」

『ありがとうございます!』


「よし、じゃあ次は身体強化やってみようか」

「両足に霊力を集中させてみて」

(両足に霊力を…)


「あ、集中させすぎると体壊れちゃうからそこら辺の加減気をつけて」

『いや、怖。』

両足がジワジワと熱を帯び始める。そこに霊力が集中してきているのが自分でも理解できた

『できた』

「よし、じゃあそのままジャンプ!」

私は軽めにジャンプしたつもりだったが、身体強化をせず本気でジャンプした時よりも飛んだ。

『えっ…』

「初めてにしてはまぁまぁかな。」

「霊力を集中させるのに少し時間がかかり過ぎてるからそこは改善していこうね」

『はい』


「んじゃ、次は結界だね」

「結界は基本四術の中でもかなり難しい方だから無理そうなら無理しなくていいからね」

『分かりました』

「今までの流れで分かってると思うけど霊力を扱う上で大切なのは‪”‬イメージ‪”‬すること」

「こはくが想う結界をイメージしてみて」

私の想う結界か…結界は堅くて攻撃を通さない。結界内にいるものを守ってくれる、形はそうだな…正方形にしよう

『イメージできました』

「それを霊力を使って作ってみて」


私は霊力を体の外に出し、イメージした結界を形作っていった。

「んじゃ、そのまま結界張っててね」


水流園さんは腕に霊力を集中させ、拳を私に向かって振りかざした。

───────ガンッ

張っていた結界によって拳が私に届くことはなかった。

「へぇ、すごいね!」

「強度も高いし、結界ができるのも早かったし才能あるよ!」

嬉しくて思わず口角が上がってしまう。

『疲れた…』

「まぁ、初めてだからね。その内あんまり疲れなくなるよ」

「明日からはさっきやった術と体術を鍛えようか」

『絶対きついやつだ……』

「走るだけの方がまだ楽かもね」

『うへぇ…』

「ww受験勉強は進んでる?」

『まぁ、一応やってはいます』

「上位クラスは偏差値高いからね、勉強頑張れ」

『あの、治癒はしなくていいんですか?』

「治癒は難しいから、まだしないかな」

「というか、みんなどんなに鍛えても擦り傷治すぐらいしかできないし」

「あんまり実用的じゃないんだよね。たまに致命傷でも治せる人いるけど僕が知ってる限りでは2人しかいないかな」

『そうなんですね』

「湊も擦り傷ぐらいなら治せるよ」

『すご、そういえば湊くんって祓い屋の学校に入学するんですか?』

「するよー翠樹に推薦入学」


推薦入学か…やっぱり湊くんは凄いな。私も頑張らないと。
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