異世界ドア

プロローグ3〜絶望〜

聖徳高校に入学した俺は、期待に胸を膨らませて新しい生活をスタートさせた。だが、現実は思っていたよりも過酷だった。

全国強豪校であるため、部員数は100名を超える。トップチームにはレギュラーとそのベンチメンバー25名、Bチームには30名、Cチームには40名、さらに雑用係としての者もいた。

最初はCチームに所属していたが、1週間でBチームへ昇格した俺。しかし、このBチームの存在が厄介だった。トップチームに昇格したい者たちの中には、俺と同じくらいの実力を持つ者もいれば、ただのクズもいた。

最初は単なるプレイ中の荒っぽいプレーから始まった。俺は名前ではなく「金髪のヤツ」と呼ばれ、何度も染め直すように言われた。

「おい、金髪のヤツ、髪色くらい黒に戻せよ」
「ウチは全国区のチームだ。見た目も気を使えよ」

俺は彼らの言葉を無視してプレーを続けた。だが、その行動が彼らのプライドを傷つけたのは明白だった。彼らの言葉は徐々に俺の心を傷つけ、自信を奪っていった。

それは練習中の紅白戦の時に頂点に達した。俺は前線でボールを奪って素早いショートカウンターを狙った。前線の選手にパスを出そうとした瞬間、後ろからのスライディングタックルが足元へ時間差で飛んできた。

「おい、相沢！そのプレーは危険だぞ！試合なら即レッドカードだ！」
「チッ。はいはいわかりましたよコーチ」

相沢の言葉には反省の色を見せず、俺のストレスが爆発した。

「ねぇ相沢先輩。俺にも謝罪してよ」

俺は怒りを滲み込めて言い放つと、相沢は...

「おい、金髪野郎！俺に文句あるのか？スカウトされてきて、サッカーがちょっと上手いだけで金髪にしてる奴に謝るわけないだろボケ」

その言葉と反省がない態度に俺の限界を超えさせ、暴力事件が起こった。気がつくとおれは相沢をぶん殴っていた。
俺のことを気に食わないと思う連中も加勢に入り先輩たちとの大乱闘へと発展してしまった。
元々ガタイと鍛え上げられた肉体、昔よく喧嘩に絡まれそこで培われた技で俺は襲いかかる奴らを暴力でねじ伏せた。

その結果、かなりの人数に大怪我を負わせてしまった。理由はどうあれ、俺のやったことは許されない。
退部を余儀なくされた俺は、サッカーを失い、絶望に打ちひしがれた。

退部後、俺は自らの意思で学校を辞めた。
お金を得る術もなく俺にとっては、生活の糧を得るために犯罪紛いのこともにも手を染めた。
住む場所もなく、夜の東京を彷徨うようにして街をさまよい始めた。しかし、生活費を得るためには手段を選ばなければならなかった。