竪琴の乙女

ライヒェル

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七章

荒れ狂う運命の波

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「これは……吹き矢……」
「調べたところ、矢に致死量の毒が塗布されております。これはサーシャ様の侍女、レイラです。そこの茂みに潜んでいました」
兵士がそう言って、すでに失神している侍女を床に転がした。
「サーシャ様の指示で、隙を見てセイラ様を狙う手筈だったと申しました」
数秒、カスピアンは動かなかった。
やがて、吹き矢を黒い布に巻き戻し、兵に渡すと、ゆらりと剣を持ち上げた。
真っ青になって抱き合っているサーシャとアンジェ王女の目の前に立つカスピアン。
じろりとサーシャを睨みつけた後、抱き合う二人を引き離し、アンジェ王女の肩を掴むと激しく怒鳴りつけた。
「まずはおまえからだ、アンジェ!このたわけものが!」
「ご……ごめんなさいっ……!竪琴のことは、協力したけど、でも、吹き矢のことは知らないわっ!冗談のつもりだったのに!こんなことになるなんて……ごめんなさいっ!お兄様!セイラ様!お許しください!」
アンジェが泣きじゃくりながら悲痛な叫びをあげ許しを乞うと、カスピアンはアンジェを床に付き転がし、吐き捨てるように叫んだ。
「おまえが妹でなければ、この場で切り捨てた。たとえ妹でも、ただでは許しはせんぞ!おまえの処罰を決めるまで、謹慎を命ずる!たった今より、すべての公務からおまえを外す!衛兵!さっさとこやつを連れて行け!部屋から一歩も出す事は許さん!」
兵士に両腕を抱えられ、号泣するアンジェ王女は連れて行かれた。
カスピアンはアンジェの後ろ姿を鋭く睨みつけた後、ゆっくりとサーシャを振り返った。
彼女は、死人のように土色の顔で、絶望の色を浮かべた青い目から、止めどなく大粒の涙をこぼしている。
彼女の口から、消え入るような声が漏れる。
「カスピアン。私は、すべてをかけて、貴方を愛してきたわ。貴方に一生を捧げるつもりで、ずっと側にいたのに。どうして、分かってくれないの?私は貴方に全てを差し出したわ。私の過去も、未来も。なのに、この私を、捨てるつもりなの?なぜ、私を妃にしてくれないの?」
「貴様、私を愚弄しおって!おまえの一方的な望みを、この私に押し付けるつもりか!おまえを妃にはせぬと何度言えばわかる!」
「貴方の一番近くにいたのも、貴方の事を全て知っているのも、この私でしょう?あぁ、私たちは幸せだったのに……この人が現れたばかりに、貴方は……」
「だまれ!この期に及んで虚言を吐くとは、貴様、気が触れたか!」
カスピアンは怒りにまかせ乱暴にサーシャの肩を掴むと、彼女の目の前に剣を構えた。冷徹な目でサーシャを見据えると、首の頸動脈の位置を確かめるように、ピタリと剣の腹を首にあてる。悪夢としか呼べないこの状況を目の当たりにして、もはやこれが現実かどうかもわからない。
「サーシャ。おまえはセイラの命を狙った首謀者だ……竪琴の破壊を企むに留まらず、意図的にテーブルを倒し、セイラを危険に合わせ、吹き矢での暗殺まで計画したとは、言語道断。情状酌量の余地など微塵もない」
押し殺すような低い怒声があたりに響いた。
「この重罪を償うにはおまえの命でもっても到底足りん!たった今、成敗してくれる。覚悟しろっ!」
カスピアンの絶叫にまさかと思って目を見開くと、きらりと光る剣を高く振り上げるのが見え、私は思わず叫んだ。
「ダメッ……!」
「あっ、セイラ様っ」
アデロスが立ち上がる私を止めようとしたが、私はずぶ濡れのドレスを引きずりながらカスピアンのほうへ歩いた。今にも剣を振り下ろしそうなカスピアンが、真っ赤な顔で私を振り返った。怒りで今にも爆発しそうな形相に私も恐怖で震えあがり、足がすくむ。
「……っ、やめて!ダメ!」
「何を言う!こやつの企みで、おまえは死んでいたかもしれないのだ!生かす理由などなにもない!」
カスピアンが怒りに震えながら、再度、剣をサーシャに突きつけた。
「待ってっっ!」
私は思うように動かない腕を伸ばして、カスピアンの背に触れた。
「私は死んでない!それに、サーシャを殺したら、貴方は幸せになれない!」
「何を馬鹿げた事を言う!おまえは何故、この重罪人を庇うのだ!」
「それでも、貴方の楽しかった思い出や時間を共有している、特別な人なんでしょう?誰でも過ちを犯すのよ」
「黙れっ!たとえおまえの望みであっても、こやつはもはや一瞬たりとも生かしてはおけぬわ!確実に、息の根を止めておかねばならん!」
カスピアンは再度、剣を振り上げた。
「私は、見たくない!カスピアン!」
彼が人を殺すところなんて見たくない!
例え、私がどんなに彼女に嫉妬していようと、どんなに嫌いであろうと、彼がこれまでの人生を共にした人を殺すのは間違っているとしか思えない。
剣がキラリと光り、思わず目を閉じた時、ザッとなにかが一瞬で切れる音がした。
「……ク……クソッ!」
カスピアンが叫ぶ声と同時に、ガンッ、と剣を大理石の床に打ち付ける鈍い音がし、ハッと目を開く。
目の前に泣き崩れるサーシャが居た。結い上げられていたブロンドの髪が無惨に切られ、床に落ちている。
カスピアンが、足下で泣き崩れるサーシャに向かって、忌々し気に絶叫した。
「よく聞くがよい!おまえの一族から爵位を剥奪し、追放処分とする!おまえが暗殺しようとした、セイラの願いに免じての減刑だ!せいぜいありがたく思うが良い!二度とその顔を見せるな!」
怒りの矛先をどこに向けたらいいのか分からない様子のカスピアンが、剣を振り上げて座椅子をまっぷたつに切り裂き、空に蹴り上げた。
「クソッ、さっさとこやつと侍女をつまみ出せ!さもなくばその首を跳ねてやるわ!」
怒り狂うカスピアンの怒声に、衛兵が一斉に動いて、サーシャと侍女達をその場から連行していった。
広場のものをことごとく破壊し、全く手がつけられない錯乱状態のカスピアンを落ち着かせようと、エイドリアンや側近が彼の周りを囲う。その間に、アデロスに抱えられ私は王宮に運び込まれた。
部屋に戻るとすぐにやってきた医師の診察を受ける。
アデロスの応急手当が的確であったのが幸いして、右肩の熱湯による火傷は皮膚が赤く腫れてはいるものの水膨れにはならずに綺麗に治るとのこと。左腕の裂傷も陶器やガラスの破片は全て洗い流され十分に消毒がされていたので、このまま傷口が開かないように包帯を巻いておけば塞がるが、傷跡は若干残ってしまうだろうと言われた。
私は怪我の痛みや、吹き矢の暗殺未遂のことよりも、サーシャの告白からくるショックで平常心を失っていた。私とサーシャの会話は、他の誰の耳にも入らないほど静かなものだったため、当然、サリー達も聞いていない。
でも、彼女とカスピアンの言い合いは皆にも聞こえていたはずだ。
サーシャは、彼女の全てを彼に差し出したと言った。
なのに、どうして妃にしてくれないのかと責めた。
カスピアンがただ、頑なに彼女の言葉を遮り、威嚇していたのを目の当たりにした。
私はあんな場面をこの目で見て、この耳で聞いてしまったのだ。
とてもじゃないが、理性を保てる状況ではない。
サーシャの胸元に見た、いくつもの赤らみが脳裏に浮かぶ度に、激しい動揺と悲しみで気が狂いそうだった。
「エリサ……」
奥で、怪我の手当について説明を聞いているサリーとアリアンナに目をやりながら、私はエリサを呼んだ。心配そうに顔を曇らせたエリサが私のもとに来ると、カウチの側で跪いた。
「セイラ様……どうして、陛下をお止めになられたのです?国王や王妃様の暗殺を企てた者は、必ず死刑と決まっておりますのに」
サリー達もアデロスも、皆、私がカスピアンを止めた事にショックを受けていた。私の世界と違って、ここでは死刑など珍しいことではないのだ。国王であれば、その場で罪人を切り捨てても当然の罪状だったということくらい、私も頭では理解している。
きっと誰も、何故、私が止めたかなんて、理解出来ないのだろう。
「命を奪うことで解決出来るようなことじゃない。そんな、単純な問題ではないの。それに、サーシャがあんな行動を取ったのは、それなりの要因があるから。だから、彼女ひとりを責めるのは、間違ってる……ねぇ、エリサ。ひとつだけお願いがあるの」
「はい。なんでしょうか」
「私が頼んだって誰にも言わないで。ひとつ、確認してほしいことがあるの」
私はエリサの顔を見て、静かに言った。
神妙な面持ちで頷くエリサ。私は、ゆっくりと深呼吸し、口を開いた。
「上階の階段で警護している衛兵に聞いて来てほしいの」
「はい」
「……サーシャは、時折、奥宮に来ているのかって」
私の質問に、エリサは首を傾げたが、小さく頷くとすぐに立ち上がる。小走りに扉の向こうに消えて行くエリサと入れ替わりで、エリオットが姿を現した。
私の姿を見て青ざめたエリオットが駆け寄って来た。
「セイラ様!お怪我をされたと聞いて……」
「大丈夫。それより、久しぶりね」
努めて普通に答えると、エリオットが困ったように眉をしかめた。
「実は、お別れの挨拶に伺ったのです」
「えっ?」
予期しなかった言葉に驚いて聞き返した。
「先日森の離宮への道中、私の失態で、セイラ様を危険な目に合わせてしまうことになり、乗馬の講師からはずされておりました。陛下より処分が下りまして、しばらくお暇をいただき、実家へ戻ることになったのです。これから王都を離れるため、ご挨拶に参りました」
「えっ……でも、あの奇襲のことは、貴方には何も非は無いはずよ!問題行動をしたのは、私だけなのに!」
だから、このところの乗馬の講師はアデロスだったのかと、大きなショックを受けているところに、エリサが戻って来た。
「セイラ様。確認しましたところ、週に2、3回ほどいらしているとのことでした」
頭を鈍器で殴られたような衝撃。
心が凍り付くような気がした。
「……そう。ありがとう……」
やっとの思いでお礼を述べる。
一人に、なりたい。
私は今にもわっと泣き出したい気持ちを必死で抑え、サリーに声をかけた。
「少し休みたいから、一人にしてくれる?」
サリーが大きく頷き、心配そうに私の顔を眺めたが、すぐに医者と助手、アリアンナとエリサ、エリオットに退室するよう指示を出す。
「陛下はサーシャ殿のご家族、ハントリー侯爵を呼ばれ、爵位剥奪、王都からの追放の処分を通告されていらっしゃいます。かなりの時間がかかる見込みですが、終わり次第、こちらへお越しになると思います。私どももその頃、またご様子を伺いに参ります」
全員が扉のほうへ向かうのを見て、私は声を挙げた。
「まって。エリオットは残って。お別れに来てくれたのでしょう?少し、話しましょう」
「仰せのままに」
エリオットが淡い笑みを浮かべて頷き、こちらへと戻って来る。サリーが、またしばらくしたら様子を見に来ると言って残りの皆と退室した。
エリオットと二人になると、急に気が緩み、堰を切ったように涙がこぼれ落ちた。
「セイラ様……何か、お辛い事があったんですね。このような酷い怪我までされて、一体何が……」
エリオットが私の手を取り、静かに慰めの言葉をかけようとしてくれる。今はもう、頭が混乱していて、どういった慰めも効き目はなさそうだった。
「私、ここで生きて行く自信がないの。私が居ることで、サーシャをあそこまで苦しめることになって……カスピアンは、あの場でサーシャを殺そうと……彼を、あんなに残酷にしてしまうのは、この私……私さえ居なければ、カスピアンも、サーシャも幸せだったのかもしれない……一体、どうしたら……」
支離滅裂な言葉を吐き出す私に、エリオットが眉をひそめ、黙って私を見つめていた。
きっと彼も、私が何を言いたいのか、全然わからないだろう。この私自身さえ、答えなんか見えないのだから。
こんな状況にあっても、自分の世界には戻らず、まだこの世界に居たいと思う、自分自身もよくわからない。
竪琴を壊してしまえば、恐らくもとの世界に戻れるはずだと分かっているけれど、どうしても、それだけはやりたくないのだ。
「まもなく婚儀ですから、精神的に不安定になっているのかもしれませんよ。それに、いろいろとお疲れが溜まっているのも確かでしょう」
エリオットの励ますような言葉に、ハッとなる。
「婚儀……」
サーシャの告白を聞いてしまった今、婚儀と聞いて胸がときめく筈も無かった。例え本当に、彼が私を愛してくれているとしても、その傍ら、サーシャと深い関係にあったという事実は、あまりにも残酷だった。それに、それほどの仲であったサーシャを殺そうとしたカスピアンに、底知れぬ恐怖を感じていた。例え彼を愛していたとしても、目の前で彼が人を殺める瞬間を見ていたかもしれないという恐ろしい経験は、決してこの記憶から消す事は出来ない。あれほど彼が残忍に見えた事がなく、あの鬼のような顔を思い出すだけで心臓が止まりそうだ。
果たして、今までのように彼を愛する事ができるかもわからない。
少し、時間が欲しい。
せめて、自分の心と向き合う時間が、欲しい。
でも、今の私に、婚儀を止める力など、ない。
「どうしよう……」
途方に暮れて首を振る。
こんな気持ちで、婚儀なんて無理だ。
それ以前に、これからカスピアンに会い、事の次第について話さねばならないと思うだけで、気がおかしくなりそうだ。彼が例えサーシャの言葉を否定したとして、それを裏付ける証拠はないだろう。つまり、私の彼への疑いを、完全に払拭することが出来ないのだ。
今はもう、彼に触れられるのも、嫌だ。嫉妬と、裏切られたという気持ちで、彼が憎い。そして、そんな醜い気持ちでいっぱいの私を彼に見られたくなかった。
彼の残虐な振る舞いが、怖い。更に恐ろしいのは、彼をあれほど激怒させたその一番の理由が、この私自身という事実。
焦りと不安に駆られて、落ち着き無く目を彷徨わせている私を見ていたエリオットが、注意深く、口を開いた。
「セイラ様。もし……王宮を出られたいのなら、私が、お助けします」
「……えっ」
驚いて彼を見ると、エリオットが目を細め、僅かに笑みを浮かべた。
そして、静かに、慎重に言葉を連ねる。
「詳しい事情は存じませんが……今のセイラ様は、壊れそうなほど危うく見えます。落ち着くまで、しばらく王宮を離れたいのなら、今なら可能です。私はこれから、実家のほうへ帰りますので、よろしければ御連れしましょう」
思わぬ提案に驚き、しばし言葉を失う。
「でも……そんなことバレたら、それこそ大変な事に……」
「大丈夫です。必ず、お守りします」
エリオットがにっこりと微笑み、自信たっぷりに頷いた。
エリオットの手を借りて、しばらく王宮を離れる。
……この途方も無く混乱する私の心が、答えを見つけるまで。
彼から離れたところに行く、と考えただけで、胸に鋭い痛みが走る。
ここから逃げ出すということは、私が彼を信じていない、もう愛していない、と意思表示するのも同然。
取り返しのつかないことになる可能性は高い。
ここを出たら最後、もう、彼とは完全に、永久に別れることになる気がする。
私はただ、彼との未来への希望を残すために、しばらく時間が欲しいだけなのに。
……でも、ここに居たら、今すぐに彼と向き合わなくてはならない。
婚儀も、迫っている。
激しい葛藤に気が遠くなり、呼吸が浅くなってくる。
「セイラ様。申し上げにくいのですが、時間に余裕がございません」
エリオットが私を励ますようにそう言って、まっすぐに私の目を見つめた。
「……今すぐに、ご決断を」
その言葉が、私の心臓に突き刺さる。
どうしたらいいの?
これからの道を選ぶために必要な、決定打が欲しい。
ここに残って彼と向き合うか。
それとも、ここを離れて自分と向き合うか。
その時、扉をノックする音がした。
ドキンとして扉の方を見る。
誰?
カスピアンは、まだしばらくは来ないはずだ。
私に目配せしたエリオットが立ち上がり、扉の方へ行く。
少し開けて外の人と話をしたエリオットが、一度扉を閉めて、また私のところへ戻って来た。
「ロリアン様です。この度の不祥事への謝罪とお見舞いにいらしていますが、どうされますか」
「ロリアン様……?」
ハッとする。
ロリアンは、サーシャの従姉だ。
もしかしたら、彼女は知っているのではないか。あの二人の本当の関係を。
ユリアスに聞いたところで、うまくはぐらかされるのは目に見えているが、ロリアンなら、私の疑問に答えてくれるかもしれない。
こくり、と息を飲む。
覚悟は、出来ている。
このまま、逃げても未来は開けないのだから。
私は、エリオットに目を向けた。
「お通ししてください」
「仰せのままに」
エリオットが静かに答えると、再度、扉の方へと歩いて行く。私はまるで、自身の運命の扉が開くのを見る思いで、入室するロリアンに目を向けた。
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