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第十七章 八十八回記念。それは、青く連なる山々のように。
第八十九回 穏やかで地味なお空と、風鈴の音運ぶ涼しい風。
しおりを挟む――耳をすませば、何処からともなく聞こえる美しき調べ。
その音色は……
初夏を迎える前の、ハートフルなイメージ。そんな柔らかな心情の最中、それとは不似合いな緑の軍服……その様な恰好のタフガイキャラを相手に、これから戦うこととなる。
そのアバターの向こう側にいる人、そのキャラを操るリアルは……
来ていたのだ、太郎君の学校に! 鏡で見たとしたら今の僕の表情、きっと薄っすらと笑みが浮かんでいるほどだ。そして脳内で反芻されるワードの数々で、
それはまだ、言葉の原形を留めており……
「ああ、俺のクラスの担任。お前の学校でもあっただろ? 四月に新学期だけ」
という具合に、現実に太郎君の言葉が聞こえる。
……そうなの。前回から、まだ会話は続いているのだ。僕は「うん」と返事。
――僕が今の学校へ転校する前はね、太郎君と同じ学校で、同じクラスだった。
だから、……だからよく知っているの。
休校が解けた後の太郎君のクラス……僕が不登校になる前と、何一つ変わってない。僕の代わりにきっと、また別の誰かが、いじめに遭っていると思えたの。
「そんな心配、もうしなくていいよ、千佳……」
「えっ?」
「俺はあの時、お前を助けられなかったけど……あの先生、俺の担任の平田瑞希先生ならな、俺以上にみんなを、……いいや、俺なんかと比べたら烏滸がましいな。きっと学校から、お前を苦しめた『カースト』とやらを叩き出してくれるから、安心しな」
と、語る太郎君は、……そんなに僕のために、自分を責めていて……僕が許してくれないだろうなと、……勝手に、勝手に悲劇のヒーローなんかしていて……本当はね、
僕は、それが一番怖かったんだ。そんな太郎君を、もう見たくなかったの……
「おいおい、これから楽しい試合が始まるってのに、何泣いてんだよ?」
「だって、女の子だもん、仕方ないじゃない……」と、もう堪えきれなくなっていた。
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