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第十八章 九十五回記念。少しばかりファンタジー風なお話。
第九十八回 ミッドナイトシャワー。
しおりを挟む……耳をすませば、風鈴よりも涼しき調べ。
雨音が奏でる調べ。
午前はまだ、穏やかなプラネタリウムのような刻の流れだけど、午後になると……特に三時のおやつ以降、またはあの国民的アニメを見終わった時の『現実に戻る感』……今はもう、それも軽く、『学校いやいや病』や『月曜きらい病』と、いうところまではなく、
あくまで『自由』
少しはあっても、心躍り待ち遠しい、その思いの方が勝っている。
それが証拠にね、四畳半のお部屋で、同じお布団、梨花の顔が近く息がかかるほど、健やかな寝顔がそこにある。……と、いうことは、僕はパチクリ起きているのだ。
ずっとではない、今さっき。
僅かばかりの尿意を催し、目覚めたというわけだ。――なら、起き上がらなければなるまい。朧気ながらに近いかもしれないけど、その様な目覚めの中で、僕はまず上半身を起こして、それからゆっくりと……梨花の寝顔を後にして、僅かばかり床の軋む音を日中に現る影のように道連れに、歩く、なるべく静かに歩くの。……そう、何もない。
追って来るものは何も、何者もないはずだった。
見えたものは針の音を奏でる古時計、その近く……いや、その付近というべきか飾られている額縁、その写真、その写真はモノクロではなくカラーだけれど、現在のものとは異色なもので、デジタルとは程遠い銀塩の、一昔前の写真……少年が映っている。
お坊ちゃん刈りの少年。カッターシャツに身を包み、つまりは夏バージョンの制服。
僕の語彙力では難しいほど普通の子で、例えば……某アニメの未来から訪れたまん丸い猫型ロボットの、その訪問先の少年の眼鏡なしバージョン&リアル化……例えるなら。
それが飛び出し? 模写されたのか? ……そのね、僕のね、
今、背後に……いるの。背筋が凍るような気配とともに振り返るとね、その少年が。
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