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4章.妹君と辺境伯は揺れ動く
144.お姉様は追い詰められていた④
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地下を進むユリウスとアンゼルムの頭上から、微かな音と砂が落ちる。
「……揺れましたね」
「ああ、上で何かあったのかもしれん……」
ユリウスは立ち止まった。
黙り込んだ彼をアンゼルムは静かに見つめた。
どうすべきか考えているのだろうが、アンゼルムの答えは決まっていた。
「私は戻ります」
「…………アンゼルム」
アンゼルムは廊下の先を見つめた。
あの向こうに姉が──おそらく父に捕われているのだと思うと、揺れなど気にせず先に進みたい。
しかし、地下に響くほどの音と揺れがただ事でないことが起こったと示している。
(……ユリウス様の方が姉上を助けられる確率は高い)
悔しそうに視線を戻すと、ユリウスに頭を下げた。
「……姉上をよろしくお願いします」
「……わかった。そちらも気を付けろ」
彼の無念を受け取るように、ユリウスは重々しく頷いた。
「……揺れましたね」
「ああ、上で何かあったのかもしれん……」
ユリウスは立ち止まった。
黙り込んだ彼をアンゼルムは静かに見つめた。
どうすべきか考えているのだろうが、アンゼルムの答えは決まっていた。
「私は戻ります」
「…………アンゼルム」
アンゼルムは廊下の先を見つめた。
あの向こうに姉が──おそらく父に捕われているのだと思うと、揺れなど気にせず先に進みたい。
しかし、地下に響くほどの音と揺れがただ事でないことが起こったと示している。
(……ユリウス様の方が姉上を助けられる確率は高い)
悔しそうに視線を戻すと、ユリウスに頭を下げた。
「……姉上をよろしくお願いします」
「……わかった。そちらも気を付けろ」
彼の無念を受け取るように、ユリウスは重々しく頷いた。
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