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第一幕 壱
目に見えぬ悪戯……?
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翌朝。
私はもともとここには一泊のつもりでいたけれど今からでも連泊が出来ないか交渉をしに、フロントへ来ていた。
急な申し出に初めは面食らっていた女将さんだったけれどすぐににこやかに微笑んで頷いてくれた。
「そら、部屋は空いてますきに泊まって下さるんは構いませんけど……」
「ほんとですか!? じゃあすいません。お願いできますか?」
物凄い勢いで、しかも嬉しそうに私が頼み込んだものだから女将さんは一瞬ビックリしたような顔を見せたけれど、おかしそうにクスクスと笑いだした。
「そがに嬉しそうにしてくれるなんて、ひょっとしてここが気に入ってくれたがです?」
「え、あ、えっと……そう、ですね」
「ほうですか。そりゃあ嬉しいことです。この辺は何も無いですきに、若い人は皆市内や都会に行ってしもうて、あるんはおじいとおばあばかりでつまらんかと思うたんですけどねぇ」
ニコニコとそれはそれは嬉しそうにしている女将さんを前に、「神社で会った猫又が気になるから」とは言えず、私はそう答えるしかなかった。
連泊を取りつけた私はその後民宿を出てすぐ近くの坂道を下り川岸に降りてみた。
昨日は時間が無くて降りられなかったからね。
サラサラと流れる川の音を聞きながら周りを見回す。
四方を山に囲まれていて、あちらこちらから沢山の蝉の声が響き渡る。
川は話に聞いていた通りとても澄み切っていて、透明度が高い。泳いでいる魚も川底もハッキリと見て取れるぐらいだ。
私はその川岸にしゃがみこんで、じりじりと照り付ける太陽の下で川に手を浸けてみるととてもひんやりとして気持ちがいい。
何となく視線を上げると、山肌に沿うようにして視界いっぱいに広がるお茶畑が見えた。
お茶と言えば静岡と勝手に思い込んでいたから、こんな山奥の村の、しかも高知でこんなに広大なお茶畑が広がっている事に驚いた。
そのお茶畑の側にぽつぽつと家が並んでいる。それも、都会に見るような鉄筋コンクリートの高い建物はなくて、学校と公民館と、それから昔ながらの古民家ばかり。
時折鳥がさえずりながら飛んで行って、余計な音がまるでない。
「……凄く長閑」
余計な物が何もないと言う事が、こんなにも心地よいと感じたのは生まれて初めてかもしれない。
深く息を吸えば、自然界の香りが胸いっぱいに広がる。
都会にいた時の下水臭さなんて全くなくて、強いて言うならこの川の水の匂いがするような気がした。
すると、すぐ傍で子供の笑い声が聞こえて来た。
私が驚いてそちらに目を向けると、少し離れた場所に小さな男の子と女の子が寄相神社の方に視線を向けて立っているのが見える。今時珍しく、着物を着た二人だった。
「あれ……? あんな子いたっけ?」
私がここに降りて来た時、周りには誰もいなかったと思ったんだけど……。
気付かなかっただけかな?
首を傾げていると男の子と女の子はお互いに顔を見合わせ、寄相神社を指さした。
「鈴の音が聞こえるよ」
女の子がそう言うと、続けて男の子が口を開いた。
「猫神が泣いている」
「寂しいって泣いてる」
「ずっとずっと我慢してる」
「悲しいね」
「悲しいね」
二人が交互にそう言うと、突然私の方を振り返った。
「え……っ」
突然の事に驚いて目を見張った。
男の子と女の子は私の顔を見るとくすくすっと笑い、かと思うとまるで飛び跳ねるようにその場から去って行ってしまった。
な、何なの……? さっきの子たちは……。
いや、それよりも、凄く意味深な事言ってなかった?
猫神が泣いてるとか、鈴の音が聞こえるとか……。それってつまり、狸奴のこと、だよね?
やっぱり寂しいの? 悲しいの? 人知れず一人で泣いているの……?
そう思うとギュウッと胸が痛み、私は拳を握り締めた。
「……狸奴に会いに行こう」
私はそのままの足で神社に向かい歩いていく。
今行って狸奴がいるかどうか分からないけど、行かなくちゃ。
ここを守る気持ちまでないがしろにするつもりはないけれど、寂しくないなんて絶対嘘。寂しくなかったらあんな顔しないもの。それに、ご主人の事が大好きだから、ご主人との約束を守ることで繋がっているって思っているならなおの事、誰かと一緒にいたいってどこかで思ってておかしくない。私だってきっと狸奴と同じ立場だったらそう思うもの。何より……。
「ご主人様は、きっとそんな風に狸奴をここに縛り付けたいだなんて思ってないはずだわ」
誰に言うでもなく、私は一人そう呟いた。
◆◇◆◇◆
暑い日差しの中、神社に辿り着いた私は狸奴がいるかどうか探し回った。
昨日の舞台の周り、軒下、茂みの中、神社の裏手……。
だけどどこを探しても狸奴の姿は見つからなかった。
額から流れる汗を拭い、私は長い溜息を一つ吐く。
「狸奴……いないのかしら」
そう言えば昨日言っていたっけ。人間には狸奴の姿を見る事が出来ないって。でも、私は猫の時の狸奴にも、人の形をした時の狸奴にも会ってるから、見ることが出来ないってことはないはず。
そう思って彼がいそうな場所を探し回ったけどじりじりと照り付ける太陽の日差しがきつい。吹き出る汗でせっかく塗ってきた日焼け止めも全部流れちゃったんじゃないかって言うくらい。
そんなに長い時間いるわけじゃないのに、服は汗でびっしょりになっていた。
「ダメだ。ちょっと休憩しよ」
私は日陰になっている場所まで移動して木にもたれ掛かると、カバンの中から持ってきたペットボトルを取り出し、お茶を一口口に含み周りを見回した。
地面が熱すぎて、参道からは陽炎が見える。
他の神社みたいに玉砂利が敷いてあるわけじゃないから、剥き出しの地面な分地熱の温度は他より低いのかもしれない。
だからと言ってこんなに暑いんじゃ、幾ら妖怪だとは言え日中うろうろするのは考えにくいよね……。人間だってこんなギラギラした暑さの中動くのは嫌だと思うもの。
「夜、また出直そうかな……」
そう呟いて、手に持っていたお茶を鞄に仕舞おうとして手が滑り足元に取り落としてしまう。
「うわっ!」
地面に落ちて染みを作ったお茶を見て、はぁっとため息を吐く。
神聖な場所を汚しちゃったよ……。こういう時はどうしたらいいんだろう? 神主さんとかがいるようにも見えないから、聞くことも出来ないし……。とりあえずペットボトルは拾っておかなきゃ。
そう思って落ちたペットボトルに手を伸ばすと、逃げるようにコロコロと転がった。
「……?」
一瞬風のせいかと思って追いかけてまた手を伸ばすと、またコロコロ……。
……変だ。今風吹いてないし、風を起こすような大きな動きなんてしてない。
「……」
私がまた一歩足を踏み出してペットボトルに近づくと、今度はまるで自分の意志があるかのようにコロコロコロコローっと中に残ってたお茶を振り撒きながら勢いよく転がっていく。
「えっ!? ちょっ、嘘でしょ?!」
あまりに勢いよく神社の参道を跨いで、私のいる場所から真逆の方向へ転がって行ってしまった事に驚きを隠せない。
さ……さすがにちょっと怖いと思ってしまった。
さっきまで何の変哲もないただのペットボトルが、急に自分の意志を持ったみたいに私から逃げるように転がっていくなんて。
どうしよう……。でも、あのまま放置するわけにもいかないし……。
私は躊躇いながらも転がったペットボトルを追いかけると、茂みの手前で止まっていたのに、近づくと同時にガサッと音を立てて茂みの中に入っていった。
まさかの茂み……。小さい虫とか蜘蛛の巣とか沢山あるんですけどぉっ!?
「も、もう追いかけなくてもいいかな……とか、思ってみたりして」
さすがに虫や蜘蛛の巣が張ってるような場所にまで入り込む勇気なんてない。めちゃくちゃ明るい真昼間なのに茂みの奥は暗がりになっているし……。
手近の葉っぱを摘んで蜘蛛の巣に触らないように動かしてみると、覆い被さるように生えていた葉っぱの隙間にいた、5センチくらいの黒と黄色のまだら模様の蜘蛛が音もなくスッと私の手の甲に落ちてきた。
「ひぎゃぁあああぁぁぁぁぁっ!!」
咄嗟に悲鳴を上げて思い切り手を振り払うと、ポトッと地面に落ちてサササッと茂みの奥に蜘蛛は逃げ込んだ。
や、や、やめてよぉ! 蜘蛛は無理! 絶対無理!
涙目になりながら、自分でも驚くくらいの悲鳴を上げたことに急に恥ずかしさが込み上げてくる。
この寄相神社って、参拝客がほとんどないから私の悲鳴に気付いた人はたぶんいないはず。たぶん……。
思わず周りをキョロキョロしてみたけど、誰かが来る様子は全くなくてホッと胸を撫でおろした。するとその時、くすくすっと小さく誰かが笑う声が聞こえてくる。
「え? 誰?」
誰か来たのかと思ってもう一度周りを見回してみたけれど、人の気配すら感じない。
気のせいかな……。でも、確かに誰かが笑ったような……。
――クスクス……。
「……」
あ。私きっとこの暑さでおかしくなっちゃったんだわ。幻聴が聞こえるなんて危ない。早く宿に帰らなきゃ。
――帰っちゃうの? もっと遊ぼうよ。
「……っ!?」
あまりの事に声が出ない。
あ、あの、これはつまり……そう言うやつだよね?
蜘蛛の次はこれ!? 私霊感なんて全くって言うほどないのに!?
私は怖くなって回れ右をすると急いで神社を後にした。
私はもともとここには一泊のつもりでいたけれど今からでも連泊が出来ないか交渉をしに、フロントへ来ていた。
急な申し出に初めは面食らっていた女将さんだったけれどすぐににこやかに微笑んで頷いてくれた。
「そら、部屋は空いてますきに泊まって下さるんは構いませんけど……」
「ほんとですか!? じゃあすいません。お願いできますか?」
物凄い勢いで、しかも嬉しそうに私が頼み込んだものだから女将さんは一瞬ビックリしたような顔を見せたけれど、おかしそうにクスクスと笑いだした。
「そがに嬉しそうにしてくれるなんて、ひょっとしてここが気に入ってくれたがです?」
「え、あ、えっと……そう、ですね」
「ほうですか。そりゃあ嬉しいことです。この辺は何も無いですきに、若い人は皆市内や都会に行ってしもうて、あるんはおじいとおばあばかりでつまらんかと思うたんですけどねぇ」
ニコニコとそれはそれは嬉しそうにしている女将さんを前に、「神社で会った猫又が気になるから」とは言えず、私はそう答えるしかなかった。
連泊を取りつけた私はその後民宿を出てすぐ近くの坂道を下り川岸に降りてみた。
昨日は時間が無くて降りられなかったからね。
サラサラと流れる川の音を聞きながら周りを見回す。
四方を山に囲まれていて、あちらこちらから沢山の蝉の声が響き渡る。
川は話に聞いていた通りとても澄み切っていて、透明度が高い。泳いでいる魚も川底もハッキリと見て取れるぐらいだ。
私はその川岸にしゃがみこんで、じりじりと照り付ける太陽の下で川に手を浸けてみるととてもひんやりとして気持ちがいい。
何となく視線を上げると、山肌に沿うようにして視界いっぱいに広がるお茶畑が見えた。
お茶と言えば静岡と勝手に思い込んでいたから、こんな山奥の村の、しかも高知でこんなに広大なお茶畑が広がっている事に驚いた。
そのお茶畑の側にぽつぽつと家が並んでいる。それも、都会に見るような鉄筋コンクリートの高い建物はなくて、学校と公民館と、それから昔ながらの古民家ばかり。
時折鳥がさえずりながら飛んで行って、余計な音がまるでない。
「……凄く長閑」
余計な物が何もないと言う事が、こんなにも心地よいと感じたのは生まれて初めてかもしれない。
深く息を吸えば、自然界の香りが胸いっぱいに広がる。
都会にいた時の下水臭さなんて全くなくて、強いて言うならこの川の水の匂いがするような気がした。
すると、すぐ傍で子供の笑い声が聞こえて来た。
私が驚いてそちらに目を向けると、少し離れた場所に小さな男の子と女の子が寄相神社の方に視線を向けて立っているのが見える。今時珍しく、着物を着た二人だった。
「あれ……? あんな子いたっけ?」
私がここに降りて来た時、周りには誰もいなかったと思ったんだけど……。
気付かなかっただけかな?
首を傾げていると男の子と女の子はお互いに顔を見合わせ、寄相神社を指さした。
「鈴の音が聞こえるよ」
女の子がそう言うと、続けて男の子が口を開いた。
「猫神が泣いている」
「寂しいって泣いてる」
「ずっとずっと我慢してる」
「悲しいね」
「悲しいね」
二人が交互にそう言うと、突然私の方を振り返った。
「え……っ」
突然の事に驚いて目を見張った。
男の子と女の子は私の顔を見るとくすくすっと笑い、かと思うとまるで飛び跳ねるようにその場から去って行ってしまった。
な、何なの……? さっきの子たちは……。
いや、それよりも、凄く意味深な事言ってなかった?
猫神が泣いてるとか、鈴の音が聞こえるとか……。それってつまり、狸奴のこと、だよね?
やっぱり寂しいの? 悲しいの? 人知れず一人で泣いているの……?
そう思うとギュウッと胸が痛み、私は拳を握り締めた。
「……狸奴に会いに行こう」
私はそのままの足で神社に向かい歩いていく。
今行って狸奴がいるかどうか分からないけど、行かなくちゃ。
ここを守る気持ちまでないがしろにするつもりはないけれど、寂しくないなんて絶対嘘。寂しくなかったらあんな顔しないもの。それに、ご主人の事が大好きだから、ご主人との約束を守ることで繋がっているって思っているならなおの事、誰かと一緒にいたいってどこかで思ってておかしくない。私だってきっと狸奴と同じ立場だったらそう思うもの。何より……。
「ご主人様は、きっとそんな風に狸奴をここに縛り付けたいだなんて思ってないはずだわ」
誰に言うでもなく、私は一人そう呟いた。
◆◇◆◇◆
暑い日差しの中、神社に辿り着いた私は狸奴がいるかどうか探し回った。
昨日の舞台の周り、軒下、茂みの中、神社の裏手……。
だけどどこを探しても狸奴の姿は見つからなかった。
額から流れる汗を拭い、私は長い溜息を一つ吐く。
「狸奴……いないのかしら」
そう言えば昨日言っていたっけ。人間には狸奴の姿を見る事が出来ないって。でも、私は猫の時の狸奴にも、人の形をした時の狸奴にも会ってるから、見ることが出来ないってことはないはず。
そう思って彼がいそうな場所を探し回ったけどじりじりと照り付ける太陽の日差しがきつい。吹き出る汗でせっかく塗ってきた日焼け止めも全部流れちゃったんじゃないかって言うくらい。
そんなに長い時間いるわけじゃないのに、服は汗でびっしょりになっていた。
「ダメだ。ちょっと休憩しよ」
私は日陰になっている場所まで移動して木にもたれ掛かると、カバンの中から持ってきたペットボトルを取り出し、お茶を一口口に含み周りを見回した。
地面が熱すぎて、参道からは陽炎が見える。
他の神社みたいに玉砂利が敷いてあるわけじゃないから、剥き出しの地面な分地熱の温度は他より低いのかもしれない。
だからと言ってこんなに暑いんじゃ、幾ら妖怪だとは言え日中うろうろするのは考えにくいよね……。人間だってこんなギラギラした暑さの中動くのは嫌だと思うもの。
「夜、また出直そうかな……」
そう呟いて、手に持っていたお茶を鞄に仕舞おうとして手が滑り足元に取り落としてしまう。
「うわっ!」
地面に落ちて染みを作ったお茶を見て、はぁっとため息を吐く。
神聖な場所を汚しちゃったよ……。こういう時はどうしたらいいんだろう? 神主さんとかがいるようにも見えないから、聞くことも出来ないし……。とりあえずペットボトルは拾っておかなきゃ。
そう思って落ちたペットボトルに手を伸ばすと、逃げるようにコロコロと転がった。
「……?」
一瞬風のせいかと思って追いかけてまた手を伸ばすと、またコロコロ……。
……変だ。今風吹いてないし、風を起こすような大きな動きなんてしてない。
「……」
私がまた一歩足を踏み出してペットボトルに近づくと、今度はまるで自分の意志があるかのようにコロコロコロコローっと中に残ってたお茶を振り撒きながら勢いよく転がっていく。
「えっ!? ちょっ、嘘でしょ?!」
あまりに勢いよく神社の参道を跨いで、私のいる場所から真逆の方向へ転がって行ってしまった事に驚きを隠せない。
さ……さすがにちょっと怖いと思ってしまった。
さっきまで何の変哲もないただのペットボトルが、急に自分の意志を持ったみたいに私から逃げるように転がっていくなんて。
どうしよう……。でも、あのまま放置するわけにもいかないし……。
私は躊躇いながらも転がったペットボトルを追いかけると、茂みの手前で止まっていたのに、近づくと同時にガサッと音を立てて茂みの中に入っていった。
まさかの茂み……。小さい虫とか蜘蛛の巣とか沢山あるんですけどぉっ!?
「も、もう追いかけなくてもいいかな……とか、思ってみたりして」
さすがに虫や蜘蛛の巣が張ってるような場所にまで入り込む勇気なんてない。めちゃくちゃ明るい真昼間なのに茂みの奥は暗がりになっているし……。
手近の葉っぱを摘んで蜘蛛の巣に触らないように動かしてみると、覆い被さるように生えていた葉っぱの隙間にいた、5センチくらいの黒と黄色のまだら模様の蜘蛛が音もなくスッと私の手の甲に落ちてきた。
「ひぎゃぁあああぁぁぁぁぁっ!!」
咄嗟に悲鳴を上げて思い切り手を振り払うと、ポトッと地面に落ちてサササッと茂みの奥に蜘蛛は逃げ込んだ。
や、や、やめてよぉ! 蜘蛛は無理! 絶対無理!
涙目になりながら、自分でも驚くくらいの悲鳴を上げたことに急に恥ずかしさが込み上げてくる。
この寄相神社って、参拝客がほとんどないから私の悲鳴に気付いた人はたぶんいないはず。たぶん……。
思わず周りをキョロキョロしてみたけど、誰かが来る様子は全くなくてホッと胸を撫でおろした。するとその時、くすくすっと小さく誰かが笑う声が聞こえてくる。
「え? 誰?」
誰か来たのかと思ってもう一度周りを見回してみたけれど、人の気配すら感じない。
気のせいかな……。でも、確かに誰かが笑ったような……。
――クスクス……。
「……」
あ。私きっとこの暑さでおかしくなっちゃったんだわ。幻聴が聞こえるなんて危ない。早く宿に帰らなきゃ。
――帰っちゃうの? もっと遊ぼうよ。
「……っ!?」
あまりの事に声が出ない。
あ、あの、これはつまり……そう言うやつだよね?
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