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【第2章】集うものたち
闇手のキールィク②
しおりを挟む「へー、イケメンさんに……こっちは綺麗な顔したオニーサン。そんなに凶悪そーには見えねーけど」
魔導板を片手に持ち、飲み物を軽く口に付けながら画面に映っているリーブルとブラッドを見てつぶやいている。
頬杖をつき飄々とした態度のキールィクとは対照的に、テーブルを挟んで目の前に座っているイディオは眉間に皺を寄せて睨んでいる。
「俺がこうなったのも……全部コイツ……いや、コイツらのせいだ!俺直々に粛清しなきゃ気がすまねえ!!!」
ダンッ、とテーブルに拳を打ち付けて怒りを露わにする。静かな店内に急に大きな音がしたせいか、周りの客がちらちらと目線をこちらに向けている。
それに気づいたキールィクは「あーっと……」と口ごもりながら魔導板に映るリーブルとブラッドの顔を指でトントンタップした。
「俺の居る裏ギルドはともかく……表の冒険者ギルドだとそーいういざこざのキル行為はご法度じゃなかったっけ?俺そういうのダメっていったよね?」
苦笑するキールィクに、イディオは口許を真一文字に結び、より一層険しくなった顔で声を荒らげる
「殺しはしない!……ただ、」
「あーはいはい。……んで?アンタのとこまでこの2人を見つけて連れ出せばいーってことね?」
イディオが言い出す前に言葉を遮る。
キールィクは、(嫌に興奮してんなぁ)と若干呆れ気味になりながらも普段している『営業スマイル』で対応する。
「抵抗するなら、多少手荒にしてもいい。…特にこのリーブルが俺にかけた呪いを解除してもらうまではな!」
「呪い?見る限りなんか呪いとかされたよーには見えないけど…」
顎に手をやりながら、じい……とキールィクはイディオを見つめる。イディオは機嫌が悪いのか、話をする事にどんどん口調に苛立ちが募っているかのようだった。
「ここまでの話を聞いて分からなかったのか…!?俺がなぜFランクまで堕ちたか!それは『ルーン魔導士』とかいう怪しげな職業についてるからだ!奴は…俺の目を欺いて、密かに呪いをかけた!だから今まで最強だった俺の剣技が思った力を出せずにいるんだ!!」
はあ、はあ……とここ幾日かの酒浸りのせいで呼吸が荒さを増しているイディオは、拳と頭を机に押し付け、ギリギリと歯軋りをしている。
キールィクは、そんなイディオの姿に目を細めた。
「ふーん…。まあでも、アンタの身体の表面に残留する魔力があるのは分かるよ。多分そのオニーサンのだろうから、それを辿って追跡してやるから。」
キィン、と陶器が一瞬擦れるような音をさせる。
するとキールィクのアッシュグレー色の瞳が、深めのエメラルド色に変化する。
『心眼』 これこそ、キールィクのお得意のスキルだ。
相手の心の内側…そして僅かな魔力…それらを目で視認することが出来るスキルで、相手が隠し事をしているのを見抜き、また残留する魔力を辿り、追跡ができる。
ー特級ギルドに属する者でも数人しか持っていないとされるスキルである。
そのお陰もあってか、キールィクは裏ギルドでも腕利きのフリーランスとなり、有名になっている
(裏ギルドに属してる奴が……なんでこんないいスキル持ってんだ……。くそっ!)
キールィクの持つスキルを妬みながらも、イディオは金を渡す。
(早く、この呪いを解いて俺はS級クランのリーダー『グラン・イーデン』のイディオに戻る!!)
イディオの頭は、その事でいっぱいになっていた。
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