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麻友の異世界探訪
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朝目が覚めると何時もの朝だった。何時もの家族、何時もの風景。
「おはよう」
教室に入って挨拶すると、
「おはよう、麻友」と、返って来る。
「あれ、麻友それ捨てなかったの」
昨日一緒に帰った親友の梨花が目ざとく麻友の指にはまっている指輪を見つけた。
「アハ、ふざけてつけたら外れなくなっちゃって」
「もう、ドジなんだから」
昨夜見た夢の事を話そうと思ったが、余りにもリアルなので止める事にした。
(獣人に犯される話なんて嫌だよな)
犯されるのが自分なのだから、余計な話しづらい。
(フワァ、暖かいなぁ)
昼休み、睡魔に負けて目を閉じた。日の光に反射して指輪が青く光を放つ。
(あれ?)
目を開けると見知らね天井が見えた。
起き上がろうとして痛みが身体中に走る。
(えー? もしかして!)
「あっ、目が覚めたのね。良かった。三日も寝たきりだから心配しちゃったわ」
優しげな笑顔で話しかけて来たのは、最初に声を掛けて来た女性だった。
「あ、あの、ここは?」
「私の家よ。身元が分からないから私の家で預かる事になったの」
「あ、ありがとうございます」
(また夢の世界に来ちゃった)
「私はミアよ。貴女は」
「わ、私は麻友です」
「マユ。失礼だけど貴女は何処から来たの?」
「え、えーと、北の方から、この森を抜けて、先の国に行くはずが、迷ってしまって・・・」
(嘘も方便)
「北と言う事はスベーズかしら。隣のラトランまでは結構あるわよ」
(スベーズにラトランか。覚えておかなくちゃ)
「は、はい、そうですか」
「一応、うちが身元引受人だから、ゆっくり休んでね」
「は、はい」
優しい人だ。本当にこれは夢なのか?
「おや、目を覚ました様だね」
中年の女性が入ってきた。
「お母さん。マユ、私の母よ。お母さん、こちらはマユ」
「初めして。迷惑をお掛けしています」
「いいのよ。災難だったわね。最近は野盗の獣人が増えて来て、物騒なのよ」
「そうなんですか」
「ゆっくりしてね。王子様からも頼まれて居るから心配はしなくていいのよ」
(王子? 王子って確か・・・)
「この国の王子が人間じゃないから驚いて失神したのよね」
「あ、いいえ・・・」
「この国は魔王が統べる国なのよ」
「魔王!」
「魔王が統治する様になって、獣人も野盗化しだした。悪い連鎖ね」
母娘は二人揃って深いため息を吐いた。
「麻友、麻友、昼休み終わるわよ」
「フエ?」
親友の梨花に揺さぶられて目を覚ました。
(また夢見てた)
「よだれ、よだれ」
言われて、慌てて口元を拭く。
「もう、麻友ったら」
「ハハハ・・・」
笑って誤魔化したが、心の中ではヤバイ事になるかもしれないと感じていた。
家に帰って、麻友は自室で目を閉じた。しかし、何も起こらない。
「何なのよ、全く」
「麻友ー、夕飯の支度手伝いなさい」
母に呼ばれ階下に降り、双子の妹と弟と一者に配膳をする。一家団欒の時間は何事も無く過ぎて行く。
双子の兄妹が父と風呂に入ると、交代で麻友は湯船に浸かった。
「ああ~、気持ち良い」
ユラユラと湯船に浸かりながら手をかざしてみる。(やっぱり綺麗な青だわ)
「今日はミサの日だわ」
(えっ、ミサ?)
あれから一週間が過ぎた。ミア親子に世話になりながら麻友は元気を取り戻していた。
「ミサって?」
ミアは窓から見える小高い丘にそびえ立つ教会らしき建物を指差した。
「ピザン大教皇が月に一度行うミサよ」
「はぁ~」
「ミサとは名ばかり、女を漁る日なの」
「はぁ~・・・ええっーー?」
もしかしてその大教皇とやらも獣人なのか?
「大教皇は人間よ。でも、人間の皮を被ったケダモノやよ。何しろ、魔王を蘇らせて、前の国王を殺した奴だから」
ミアの目が憎々しげに鈍い光を放つ。そんな奴が神に仕える大教皇?
「貴女に知らせが来ない事を祈るわ」
通知、通知って何ですか?
麻友の胸に新たな不安がよぎる。
「おはよう」
教室に入って挨拶すると、
「おはよう、麻友」と、返って来る。
「あれ、麻友それ捨てなかったの」
昨日一緒に帰った親友の梨花が目ざとく麻友の指にはまっている指輪を見つけた。
「アハ、ふざけてつけたら外れなくなっちゃって」
「もう、ドジなんだから」
昨夜見た夢の事を話そうと思ったが、余りにもリアルなので止める事にした。
(獣人に犯される話なんて嫌だよな)
犯されるのが自分なのだから、余計な話しづらい。
(フワァ、暖かいなぁ)
昼休み、睡魔に負けて目を閉じた。日の光に反射して指輪が青く光を放つ。
(あれ?)
目を開けると見知らね天井が見えた。
起き上がろうとして痛みが身体中に走る。
(えー? もしかして!)
「あっ、目が覚めたのね。良かった。三日も寝たきりだから心配しちゃったわ」
優しげな笑顔で話しかけて来たのは、最初に声を掛けて来た女性だった。
「あ、あの、ここは?」
「私の家よ。身元が分からないから私の家で預かる事になったの」
「あ、ありがとうございます」
(また夢の世界に来ちゃった)
「私はミアよ。貴女は」
「わ、私は麻友です」
「マユ。失礼だけど貴女は何処から来たの?」
「え、えーと、北の方から、この森を抜けて、先の国に行くはずが、迷ってしまって・・・」
(嘘も方便)
「北と言う事はスベーズかしら。隣のラトランまでは結構あるわよ」
(スベーズにラトランか。覚えておかなくちゃ)
「は、はい、そうですか」
「一応、うちが身元引受人だから、ゆっくり休んでね」
「は、はい」
優しい人だ。本当にこれは夢なのか?
「おや、目を覚ました様だね」
中年の女性が入ってきた。
「お母さん。マユ、私の母よ。お母さん、こちらはマユ」
「初めして。迷惑をお掛けしています」
「いいのよ。災難だったわね。最近は野盗の獣人が増えて来て、物騒なのよ」
「そうなんですか」
「ゆっくりしてね。王子様からも頼まれて居るから心配はしなくていいのよ」
(王子? 王子って確か・・・)
「この国の王子が人間じゃないから驚いて失神したのよね」
「あ、いいえ・・・」
「この国は魔王が統べる国なのよ」
「魔王!」
「魔王が統治する様になって、獣人も野盗化しだした。悪い連鎖ね」
母娘は二人揃って深いため息を吐いた。
「麻友、麻友、昼休み終わるわよ」
「フエ?」
親友の梨花に揺さぶられて目を覚ました。
(また夢見てた)
「よだれ、よだれ」
言われて、慌てて口元を拭く。
「もう、麻友ったら」
「ハハハ・・・」
笑って誤魔化したが、心の中ではヤバイ事になるかもしれないと感じていた。
家に帰って、麻友は自室で目を閉じた。しかし、何も起こらない。
「何なのよ、全く」
「麻友ー、夕飯の支度手伝いなさい」
母に呼ばれ階下に降り、双子の妹と弟と一者に配膳をする。一家団欒の時間は何事も無く過ぎて行く。
双子の兄妹が父と風呂に入ると、交代で麻友は湯船に浸かった。
「ああ~、気持ち良い」
ユラユラと湯船に浸かりながら手をかざしてみる。(やっぱり綺麗な青だわ)
「今日はミサの日だわ」
(えっ、ミサ?)
あれから一週間が過ぎた。ミア親子に世話になりながら麻友は元気を取り戻していた。
「ミサって?」
ミアは窓から見える小高い丘にそびえ立つ教会らしき建物を指差した。
「ピザン大教皇が月に一度行うミサよ」
「はぁ~」
「ミサとは名ばかり、女を漁る日なの」
「はぁ~・・・ええっーー?」
もしかしてその大教皇とやらも獣人なのか?
「大教皇は人間よ。でも、人間の皮を被ったケダモノやよ。何しろ、魔王を蘇らせて、前の国王を殺した奴だから」
ミアの目が憎々しげに鈍い光を放つ。そんな奴が神に仕える大教皇?
「貴女に知らせが来ない事を祈るわ」
通知、通知って何ですか?
麻友の胸に新たな不安がよぎる。
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