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麻友の異世界探訪
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フォーリの神。
土壁の中に長い間あったせいか、剣は薄汚れている様に見える。しかし、柄や鞘の部分には見事な細工が入っているのが分かる。そして、柄の中央にある青い宝石は麻友の嵌めている指輪と呼応しあっている様に青い光を放っている。
「王子?」
探し求めていた物を見つけたのに、何故か身じろぎしない王子を不思議に思い声をかける。
「アルベール王子?」
「あ、あ、悪い・・・」
それでも何かしら躊躇している様に伺える。
王子は大きく一つ深呼吸をすると、剣に腕を伸ばした。しかし、その腕は震えている様に見える。
「王子!」
「・・・うっ、わああああーーー!」
剣を掴んだ瞬間、炎が上がった。炎は手から手首、腕へと這い上がって行く。
最初は衣服の焦げる匂い、それが一気に肉の焦げる匂いに変わる。
「アルベール王子!!」
「ガハ!」
炎が目の前に迫り、王子は剣を放した。それでも腕は燃え続けている。
麻友はドレスのスカート部分を持ち上げ、王子の腕の炎に覆い被せた。
(えっ、熱くない?)
あんなに激しく燃え上がっていた炎は少しも熱くは無かった。なのに、王子の腕は酷い火傷を負っていた。
麻友はスカート部分を切り裂き、王子の腕に巻いた。
「大丈夫ですか?」
「・・・すまない・・・大丈夫・・とは言えないな」
と、王子は弱々しく笑った。
「私は剣を持てない。マユ、すまないが持ってくれるか」
「えっ!」
持てと言われて、直ぐには持つことは出来ない。持った瞬間自分にも炎が襲われたら・・・と、恐怖が湧き上がって来て中々剣を持てない。躊躇している麻友に王子は声をかけた。
「マユは大丈夫だ。人間だからな」
「え?」
麻友は剣に恐る恐る手を伸ばした。目をつむり思い切って剣を握った。
「?」
ズシリと重かったが、炎は出なかった。
(あ・・れ?)
「すまない。持っていてくれるか」
「は、はい。分かりました」
王子は腕を押さえてヨタヨタと歩き出した。余程腕が痛むのだろう。時々顔をしかめるのが見て取れた。
ようやく馬の所までたどり着き、帰路に着くが来る時とは反対に馬を疾走させる事はない。片手が使えないため、ゆっくりと歩いて進む。
日が傾き始めたころ城の近くまで来た所で、誰かが馬の前に走ってきた。
「あなたは・・・?」
「マユ。貴女はここで降りて下さい」
走って来たのはミアの母親だった。麻友は剣を持って馬から降りた。
「王子様。お気をつけて」
「うん。ありがとう」
傷ついた王子は城内へ消えて行った。
「マユ。貴女はこちらへ」
「は、はい」
ミアの母親の案内で、グルリと城壁を回り、一ヶ所隙間が空いた場所から中へ入る。
「ここは秘密の出入り口よ」
ヒソヒソ声で教えてくれた。
城内に入ると、粗末な小屋に案内された。鬱蒼と茂った伸びた草に覆われて、小屋がある事さえ気づかないかもしれない。
中に入ると王妃が待っていた。
土壁の中に長い間あったせいか、剣は薄汚れている様に見える。しかし、柄や鞘の部分には見事な細工が入っているのが分かる。そして、柄の中央にある青い宝石は麻友の嵌めている指輪と呼応しあっている様に青い光を放っている。
「王子?」
探し求めていた物を見つけたのに、何故か身じろぎしない王子を不思議に思い声をかける。
「アルベール王子?」
「あ、あ、悪い・・・」
それでも何かしら躊躇している様に伺える。
王子は大きく一つ深呼吸をすると、剣に腕を伸ばした。しかし、その腕は震えている様に見える。
「王子!」
「・・・うっ、わああああーーー!」
剣を掴んだ瞬間、炎が上がった。炎は手から手首、腕へと這い上がって行く。
最初は衣服の焦げる匂い、それが一気に肉の焦げる匂いに変わる。
「アルベール王子!!」
「ガハ!」
炎が目の前に迫り、王子は剣を放した。それでも腕は燃え続けている。
麻友はドレスのスカート部分を持ち上げ、王子の腕の炎に覆い被せた。
(えっ、熱くない?)
あんなに激しく燃え上がっていた炎は少しも熱くは無かった。なのに、王子の腕は酷い火傷を負っていた。
麻友はスカート部分を切り裂き、王子の腕に巻いた。
「大丈夫ですか?」
「・・・すまない・・・大丈夫・・とは言えないな」
と、王子は弱々しく笑った。
「私は剣を持てない。マユ、すまないが持ってくれるか」
「えっ!」
持てと言われて、直ぐには持つことは出来ない。持った瞬間自分にも炎が襲われたら・・・と、恐怖が湧き上がって来て中々剣を持てない。躊躇している麻友に王子は声をかけた。
「マユは大丈夫だ。人間だからな」
「え?」
麻友は剣に恐る恐る手を伸ばした。目をつむり思い切って剣を握った。
「?」
ズシリと重かったが、炎は出なかった。
(あ・・れ?)
「すまない。持っていてくれるか」
「は、はい。分かりました」
王子は腕を押さえてヨタヨタと歩き出した。余程腕が痛むのだろう。時々顔をしかめるのが見て取れた。
ようやく馬の所までたどり着き、帰路に着くが来る時とは反対に馬を疾走させる事はない。片手が使えないため、ゆっくりと歩いて進む。
日が傾き始めたころ城の近くまで来た所で、誰かが馬の前に走ってきた。
「あなたは・・・?」
「マユ。貴女はここで降りて下さい」
走って来たのはミアの母親だった。麻友は剣を持って馬から降りた。
「王子様。お気をつけて」
「うん。ありがとう」
傷ついた王子は城内へ消えて行った。
「マユ。貴女はこちらへ」
「は、はい」
ミアの母親の案内で、グルリと城壁を回り、一ヶ所隙間が空いた場所から中へ入る。
「ここは秘密の出入り口よ」
ヒソヒソ声で教えてくれた。
城内に入ると、粗末な小屋に案内された。鬱蒼と茂った伸びた草に覆われて、小屋がある事さえ気づかないかもしれない。
中に入ると王妃が待っていた。
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