赤い糸(20年の時を越えて)

平尾龍之介

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プロローグ

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 じめっとした暑さで肌がべたつく・・そんな夏の夜、賑やかな音楽が流れ、多くの人々が集う・・そう今日は年に一度の花火大会の日だ。

俺の横には少女がいる。手をつなぎ、恥じらう俺を少しからかいながら、年に一度の花火大会の日を楽しんでいる。



「あそこの射的で勝負しようよ」

「いいよ」



二人は夜店の射的に夢中になった。



「俺の勝ちだね」



俺は自慢げに答え、射的で手に入れた安物のおもちゃを手に繰り返し自慢をした。



「ハイハイ!私の負けです!」



お互いの負けず嫌いがぶつかり合う他愛のない時間・・すると今度は



「フランクフルト食べようよ?」

「好きなの?」



そう聞く俺の腕を引っ張り



「二本くださ~い」



積極的で人見知りをしない、活発的な少女なのだ。

フランクフルトを頬張る俺を嬉しそうに見つめている。純粋さがその瞳から溢れていた。



「付いてるよ!」

「えっマジで!!」



フランクフルトのケチャップが口の回りに付き、まるで3歳児のような俺・・その口元に手を伸ばし、そのケチャップを指で拭うと少女はその指を自分の口元に持っていき、ペロッと舐めて見せた。

その仕草に息をのみ、そして息が止まる・・生まれて初めて女性を意識した瞬間だった。



次の瞬間・・



『ヒューー』



『バン』『バン』



二人の後ろから、鮮やかで眩いばかりの光の閃光が弾けた・・。

その花火を見つめる少女の横顔を、俺はいつまでもいつまでも見つめ続けていたいそう思った。時間の流れを止められるのならば、そんな力があるならば、このまま・・ずっとこのままいさせてくれ!    強く願った次の瞬間・・少女は俺の中をすり抜け、遠くへ遠くへ・・



「行くな!」

「おい! どこ行くの?」



追いかける・・でも少女の背中は遠ざかる・・そこで目が覚めた!



「また同じ夢を見るようになってしまった」



流れる涙を拭う、ここは冷たい病院のベットの上。息苦しさを補うための酸素吸入の音だけが虚しく響いていた・・。
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