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学園ロワイヤル編 4~6日目
1-5-6 金髪娘?ダブルベッド?
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穂香のエロい声でおっきしたのは無視してほしい。裸の時点でヤバいのに、これは穂香のせいであって俺は悪くない。この娘とのお泊り、ちょっとまずいかもな~。
「どう? 完治したよ。 さっきまでとは違うはずだよ?」
「うわ、本当だ! 魔法って凄いですね!」
「日暮れまでまだ少し時間があるから、1番近い熊を狩っておきたいのだけど、行けそう?」
「うん、これだと余裕で行けそうです」
「ここからだと、3kmないぐらいだね。穂香ちゃんは一切手出しするんじゃないよ。単体ではこの森最強に位置してるやつだからね」
「分かりました。寄生して経験値だけもらいますね」
「あはは、MMO経験者とのやりとりはゲームの狩り感覚に近くてちょっと楽しいね」
「そうですね。自分で倒せたらもっと楽しいのでしょうけど」
「まぁ、リアルなんでミスると死ぬけどね」
「そんな身も蓋もない事を……」
「あはは、大丈夫だ。任せてくれ」
現場に到着し、熊を魔法で瞬殺する。
流石この辺最強の熊は経験値があるのか、今回俺もレベルアップして白黒世界になる。
「あれ? 先輩、さっきの部屋じゃないのですか?」
「あの部屋は最初に行くときに初回だけって言ったでしょ? 以降はこんな感じで30分間という制限時間付きなんだ。目視上の右上あたりに、時間が減っていくカウンターが出ているはずだよ。さっさとステータスを割り振って出よう」
「はーい。でもさっきの先輩の魔法いいな~!」
「あはは、絶対何人かに1人は言うんだよね。やっぱり見た目派手だし、強そうに見えるからね」
「でも、あの熊瞬殺だったじゃないですか」
「さっき使ったあれ上級呪文だからね。種族レベル20以上からだし獲得にAPめっちゃ使ってるからね」
「先輩のスキル構成見せてください! なんか凄そうです」
「悪い、皆に秘密にしている」
「どうしてですか? 仲間なのに信じてないとかですか?」
「今、俺には殺し合いになるかもしれないPTがいるんだ。知ってるだろうけど、対人戦っていうのはスキル構成がバレると対策も可能だろ? 誰が外部に教えたんだってなった時に、仲間を疑いたくないんだよ。それならいっそ片が付くまで俺の構成は誰にも教えなければ問題ないからね」
「ああ、確かにそうですね。火特化の人には水属性の人は天敵ですしね。了解しました。詮索しないようにします」
こういう話も、MMO経験者同士だとみなまで言わなくても理解してくれるので凄くいい。
「ああ、悪いね。あ、それと今回【亜空間倉庫】を取っておいてくれ。各自個人の大事な私物は個人持ちにしてあるんだ。寝具や服なんかもそうだね。ああそういえば穂香ちゃんって寮の部屋番号何番だ?」
「私の部屋ですか? Dー12-Aです」
「D棟12号室の左側か。お! あった。穂香ちゃんの所持品は俺が殆ど持っているから後で渡すね」
「なんで先輩が私の物を持っているのですか!?」
「他のグループには内緒だけど、初期の段階で寮の資産回収をさせたんだ。学園内で個別の生存者が居なくなった時点で、死亡とみなして同部屋の娘の下着やシャンプーなどの消耗品、服や布団、紙やペンなど、この世界にはおそらく無いだろう物は殆ど回収してある。ちょっと卑猥な話だけど、生理がきてからナプキンを探しても、もうそこには無いと思え! というのが俺の持論だ」
「そんなの可哀想じゃないですか。皆で分配するべきじゃないのですか? 男の人には解らないかもですが、あれ結構大変なんですよ?」
「日本人的な甘い考えだね。別にそれが悪いとは言わないけど、自分の身の回りの世話すらできない奴が、他人の心配してる場合じゃないってのが俺の判断だ。弱肉強食のこの世界では、バカとお人好しは真っ先に死ぬのがルールなんだよ」
「う~ん、納得できませんね」
「そうだろうね。でも納得はできなくても理解してもらう必要があるので、簡単に説明するね。1番分かりやすいから食料で例えて話すよ。この学園は生産性がないので、いつまでもここに居たらいずれは皆、飢えて死ぬ。この学園には災害時用に5日分の携帯食糧が確保されていた―――」
「たった5日分ですか!?」
「うん。だけど生存者が1割を切ったので50日は持つと思う。その間に近くの村や町に避難しなきゃならない。この森は熊が1番強いけど、村に行くには草原に出て街道を目指す必要があるのだけど、そこの魔獣が更に強いらしい。倒せるようになるまで、この辺でレベルを上げる必要がある。さて、ここで聞くけど、自分たちのPTのレベルが死なない程度に上がるまでに結構な日数がかかるのだけど、今手持ちの食糧を他の所に回してやるのか? 自分たちが飢える可能性があるのに? 俺が今狩っている魔獣もそうだね……早い者勝ちだ。数に限りがあるのに悠長にしてて先に狩りつくされたら、レベルの低い状態で危険な魔獣がいる草原に出なきゃならなくなる。可哀想だからと魔獣も分けてレベルも皆で分配するのか? それで、全員レベル不足で全滅とかになったらアホとしか言いようがないよ?」
「現状が正しく理解できていなかったようです。ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。殆どの者が納得はしてないけど、理解して自分たちの為に何かを見捨てているんだよ。日本人的に考えれば余裕があるうちは手を差し伸べるのが普通だよね。でも自分の本当に守りたいもの、譲れないものを自分の中で一度考えて、いざというその時に慌てたり迷ったりしないようにしないといけない。俺はリーダーになっているけど、皆にこれだけは言ってある。万が一、何かあって誰かを見殺しにするような事態が起きた場合、妹を優先して守らせてもらうと」
「ふぅ、そうですよね。優先順位か~。自分>沙織>茶道部>料理部になるのかな?」
「それを皆の前で言う必要はないけど、自分の中で決めて覚悟だけはしておくといいと思うよ。他者を助けたばっかりに、仲間の食糧が減って町まで辿り着けず餓死で全滅なんて笑えないからね。それと助けるならこの狼の赤ちゃんと一緒で、最後まで面倒を見れないなら拾っちゃダメなんだ。君もそうだけど、今捨てて行けば高確率で死ぬだろう? レベルが上がって、もうオークは倒せるだろうけど、餓死の可能性が高いかな……」
「先輩、見捨てないでくださいね!」
「今見捨てたら、俺も一生心にしこりができるし、何より茶道部の娘たちに嫌われちゃうよ」
お互いにアビリティーポイントをどう振るか思案していたので暫く無言状態だったが、不意に穂香ちゃんが話しかけてきた。
「そういえば【亜空間倉庫】っていくつレベルをあげればいいのですか?」
「レベル1つで1枠分、横5×縦10の50個入れられる。1マス約100kgの物まで入るから、普通は1枠で十分だね。101kgの物を入れたら2マス使用するのでその辺は注意がいるけど、小物は箱や風呂敷内に入れれば100kgの物まで1個として扱われるので、意外と一杯入れられる。それと俺たちのグループはA・B・C班と3つに分けてある。A班は最前線で常に戦うメインPT、B班はA班が狩りに出ている間の拠点防衛とA班のサポートがメインだ。C班は主に戦闘はちょっと怖くてムリって娘たちで、A・B班のサポートを頼んでいる。掃除やら食事やらお風呂の準備だね。それと倉庫のレベルを少し高めにして荷物持ち的な事もしてもらっている」
「私はどの班になるのですか?」
「主にB班の盾かな。俺がB班の時はA班を頼む事も出てくると思うけど。穂香ちゃんの実力次第かな。他の人には希望場所を聞いて、なるべくそれに沿う形にしたけど、穂香ちゃんは魔獣にビビってるふうじゃないから、そんな感じで少し様子をみたい。とりあえず明日オークで初戦闘をしてもらうけどいいかな?」
「はい、レベルが上がってどこまで通用するか早く試してみたいです」
「それから、気付いてないようだから教えるけど、この鏡を見てごらん」
「髪の事なら気付いてますよ。後で聞こうと思っていたのです。なっ! 金髪!」
「気付いていたのじゃないのかよ!」
「目に入る前髪の色が抜けてるな~とは思っていたのですけど、真っキンキンの金髪とは思っていませんでした。めっちゃ校則違反です!」
「そっちの心配かよ! なんか個人属性の影響を受けるらしいよ。その人が元々持ってる主属性ってやつ。金色は土属性だったかな、盾職には当たり属性だね。レベルアップ時に防御力やHP量が増えやすくなる加護や祝福があるようだよ」
面白い娘だ……ノリが良いから美人なのに初対面でも凄く話しやすい。
「先輩の黒髪は何ですか?」
「黒は闇属性だね。重力魔法とか空間魔法が得意な属性だね。俺はシールドや倉庫が皆より優れている。だから、俺が居る時はシールドを張るので、盾職はオークとかの下位魔獣にはあまり必要ないんだ」
「だから私と違うPTって事なんですか?」
「常に別って訳じゃないよ。盾職が要ると安定するのは間違いないからね。でも種族レベル15はないと、戦略的に組み入れるのは怖いからね」
穂香ちゃんに、魔法属性などの事をざっくり教えてあげた。
「先輩、私の金髪おかしくないですか?」
「もともと奇麗な顔をしていたけど、金髪化してハーフっぽくなったね。華がある? 気品があるってやつかな。俺的には黒髪のちょっとお嬢様っぽい美人さんも良かったけどね」
「そこまで褒めてくれても何もあげませんよ?」
個人香の事もあるけど、今のこの娘に話すのはちょっとまずいな。
「それより、次何取るか選んだの? もうあまり時間ないよ?」
「どうしたらいいと思います? 先輩ならどう振ります?」
「振り直しが利かないんだから、自分で決めた方がいい。人生に係わる選択だ。俺の意見は聞かなくていい」
「アドバイス的に参考にしたいだけですよ」
「そうか。今3レベル上がってAPが54ポイントあるだろ?」
・【亜空間倉庫】Lv2 3P消費 残51P
・【身体強化】Lv6→Lv10 34P消費 残17P
・【剣術】Lv2→Lv5 12P消費 残5P
・【盾術】Lv1→Lv2 2P消費 残3P
・【挑発】Lv1 1P消費 残2P
・【クリーン】 1P消費 残1P
・【アクア】 1P消費 残0P
「こんな感じかな。これに生活魔法の【ファイア】【ライト】を取っておけば、最悪1人ではぐれても最低環境は維持できる」
「成程【身体強化】極振りなんですね。【クリーン】は要るのですか? 支援の組に任せればいいのじゃないですか?」
「これもソロを想定してなんだが、返り血や、剣についた血糊を取る必要があるんだ。切れ味が鈍って直ぐにでも【クリーン】魔法がほしい時に人待ちじゃ危険だからね。1Pの消費で得られるんだ。この魔法は必ず使うぞ。それとソロ時に返り血を浴びたままこの森をうろついてたら、熊や狼の餌にしてくださいと言いながら歩いてるようなものだからね。血を浴びたら、その都度奇麗にする事。水なんだけど、術者によってはまずくて飲めないそうだよ。美味しくイメージして出す必要があるからね」
「了解です。私も先輩のアドバイスどおりが良いと思うので。この構成で取りますね」
「穂香ちゃんがそれでいいなら、そうしたほうが良い。移動も楽になるはずだよ。それと今日の移動は終了にするね。穂香ちゃんはまだ大丈夫と思うだろうけど、魔法での回復も万能じゃないんだ。肉体的損傷はすぐに回復するけど、魔素の残留や気力、体力、精神力までは回復しないからね。死に掛けていたのだから、やはり安静期間が要るんだよ。なので今日はもうゆっくり休む事。明日5時起きだから、そのつもりでね。朝日が出る前に起きて準備をしておくのが基本だからね。荷物は【亜空間倉庫】取ったのなら渡しておく」
「はい、でも5時起きですか? こっちの世界じゃやっぱり早寝早起きが基本なんですね?」
時間一杯までいて、現実世界に戻る。
「この辺一帯、この熊のテリトリーなので、他の魔獣は寄ってこないみたいだから、今日はここで野営をしようか」
テントを取出し、もう1つ組み立てようとしたら、穂香に制止された。
「ちょっと先輩! まさか1人で寝ろって言わないですよね? なにしれっとテントをもう1つ組み立てようとしているんですか!」
「はぁ? いや、それおかしいでしょ! 普通逆じゃない? 何一緒に寝ようとしてるって怒るなら分かるけど……男女7歳にして―――」
「そんなのはどうでもいいのです!」
すごい剣幕で俺の言葉を遮った……理由はなんとなく解っているのだけどね……参ったな。
仕方なく4人用のテントに、寮のシングルベットを2台無理やり並べてみた。4人用テントといってもそれほど広くはないのだ。ベッド2台でもう他は何も置けない。ダブルベッドで一緒に寝ているような感じになってしまう。
ちょっとドキドキな不安な夜が始まるのだった。
「どう? 完治したよ。 さっきまでとは違うはずだよ?」
「うわ、本当だ! 魔法って凄いですね!」
「日暮れまでまだ少し時間があるから、1番近い熊を狩っておきたいのだけど、行けそう?」
「うん、これだと余裕で行けそうです」
「ここからだと、3kmないぐらいだね。穂香ちゃんは一切手出しするんじゃないよ。単体ではこの森最強に位置してるやつだからね」
「分かりました。寄生して経験値だけもらいますね」
「あはは、MMO経験者とのやりとりはゲームの狩り感覚に近くてちょっと楽しいね」
「そうですね。自分で倒せたらもっと楽しいのでしょうけど」
「まぁ、リアルなんでミスると死ぬけどね」
「そんな身も蓋もない事を……」
「あはは、大丈夫だ。任せてくれ」
現場に到着し、熊を魔法で瞬殺する。
流石この辺最強の熊は経験値があるのか、今回俺もレベルアップして白黒世界になる。
「あれ? 先輩、さっきの部屋じゃないのですか?」
「あの部屋は最初に行くときに初回だけって言ったでしょ? 以降はこんな感じで30分間という制限時間付きなんだ。目視上の右上あたりに、時間が減っていくカウンターが出ているはずだよ。さっさとステータスを割り振って出よう」
「はーい。でもさっきの先輩の魔法いいな~!」
「あはは、絶対何人かに1人は言うんだよね。やっぱり見た目派手だし、強そうに見えるからね」
「でも、あの熊瞬殺だったじゃないですか」
「さっき使ったあれ上級呪文だからね。種族レベル20以上からだし獲得にAPめっちゃ使ってるからね」
「先輩のスキル構成見せてください! なんか凄そうです」
「悪い、皆に秘密にしている」
「どうしてですか? 仲間なのに信じてないとかですか?」
「今、俺には殺し合いになるかもしれないPTがいるんだ。知ってるだろうけど、対人戦っていうのはスキル構成がバレると対策も可能だろ? 誰が外部に教えたんだってなった時に、仲間を疑いたくないんだよ。それならいっそ片が付くまで俺の構成は誰にも教えなければ問題ないからね」
「ああ、確かにそうですね。火特化の人には水属性の人は天敵ですしね。了解しました。詮索しないようにします」
こういう話も、MMO経験者同士だとみなまで言わなくても理解してくれるので凄くいい。
「ああ、悪いね。あ、それと今回【亜空間倉庫】を取っておいてくれ。各自個人の大事な私物は個人持ちにしてあるんだ。寝具や服なんかもそうだね。ああそういえば穂香ちゃんって寮の部屋番号何番だ?」
「私の部屋ですか? Dー12-Aです」
「D棟12号室の左側か。お! あった。穂香ちゃんの所持品は俺が殆ど持っているから後で渡すね」
「なんで先輩が私の物を持っているのですか!?」
「他のグループには内緒だけど、初期の段階で寮の資産回収をさせたんだ。学園内で個別の生存者が居なくなった時点で、死亡とみなして同部屋の娘の下着やシャンプーなどの消耗品、服や布団、紙やペンなど、この世界にはおそらく無いだろう物は殆ど回収してある。ちょっと卑猥な話だけど、生理がきてからナプキンを探しても、もうそこには無いと思え! というのが俺の持論だ」
「そんなの可哀想じゃないですか。皆で分配するべきじゃないのですか? 男の人には解らないかもですが、あれ結構大変なんですよ?」
「日本人的な甘い考えだね。別にそれが悪いとは言わないけど、自分の身の回りの世話すらできない奴が、他人の心配してる場合じゃないってのが俺の判断だ。弱肉強食のこの世界では、バカとお人好しは真っ先に死ぬのがルールなんだよ」
「う~ん、納得できませんね」
「そうだろうね。でも納得はできなくても理解してもらう必要があるので、簡単に説明するね。1番分かりやすいから食料で例えて話すよ。この学園は生産性がないので、いつまでもここに居たらいずれは皆、飢えて死ぬ。この学園には災害時用に5日分の携帯食糧が確保されていた―――」
「たった5日分ですか!?」
「うん。だけど生存者が1割を切ったので50日は持つと思う。その間に近くの村や町に避難しなきゃならない。この森は熊が1番強いけど、村に行くには草原に出て街道を目指す必要があるのだけど、そこの魔獣が更に強いらしい。倒せるようになるまで、この辺でレベルを上げる必要がある。さて、ここで聞くけど、自分たちのPTのレベルが死なない程度に上がるまでに結構な日数がかかるのだけど、今手持ちの食糧を他の所に回してやるのか? 自分たちが飢える可能性があるのに? 俺が今狩っている魔獣もそうだね……早い者勝ちだ。数に限りがあるのに悠長にしてて先に狩りつくされたら、レベルの低い状態で危険な魔獣がいる草原に出なきゃならなくなる。可哀想だからと魔獣も分けてレベルも皆で分配するのか? それで、全員レベル不足で全滅とかになったらアホとしか言いようがないよ?」
「現状が正しく理解できていなかったようです。ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。殆どの者が納得はしてないけど、理解して自分たちの為に何かを見捨てているんだよ。日本人的に考えれば余裕があるうちは手を差し伸べるのが普通だよね。でも自分の本当に守りたいもの、譲れないものを自分の中で一度考えて、いざというその時に慌てたり迷ったりしないようにしないといけない。俺はリーダーになっているけど、皆にこれだけは言ってある。万が一、何かあって誰かを見殺しにするような事態が起きた場合、妹を優先して守らせてもらうと」
「ふぅ、そうですよね。優先順位か~。自分>沙織>茶道部>料理部になるのかな?」
「それを皆の前で言う必要はないけど、自分の中で決めて覚悟だけはしておくといいと思うよ。他者を助けたばっかりに、仲間の食糧が減って町まで辿り着けず餓死で全滅なんて笑えないからね。それと助けるならこの狼の赤ちゃんと一緒で、最後まで面倒を見れないなら拾っちゃダメなんだ。君もそうだけど、今捨てて行けば高確率で死ぬだろう? レベルが上がって、もうオークは倒せるだろうけど、餓死の可能性が高いかな……」
「先輩、見捨てないでくださいね!」
「今見捨てたら、俺も一生心にしこりができるし、何より茶道部の娘たちに嫌われちゃうよ」
お互いにアビリティーポイントをどう振るか思案していたので暫く無言状態だったが、不意に穂香ちゃんが話しかけてきた。
「そういえば【亜空間倉庫】っていくつレベルをあげればいいのですか?」
「レベル1つで1枠分、横5×縦10の50個入れられる。1マス約100kgの物まで入るから、普通は1枠で十分だね。101kgの物を入れたら2マス使用するのでその辺は注意がいるけど、小物は箱や風呂敷内に入れれば100kgの物まで1個として扱われるので、意外と一杯入れられる。それと俺たちのグループはA・B・C班と3つに分けてある。A班は最前線で常に戦うメインPT、B班はA班が狩りに出ている間の拠点防衛とA班のサポートがメインだ。C班は主に戦闘はちょっと怖くてムリって娘たちで、A・B班のサポートを頼んでいる。掃除やら食事やらお風呂の準備だね。それと倉庫のレベルを少し高めにして荷物持ち的な事もしてもらっている」
「私はどの班になるのですか?」
「主にB班の盾かな。俺がB班の時はA班を頼む事も出てくると思うけど。穂香ちゃんの実力次第かな。他の人には希望場所を聞いて、なるべくそれに沿う形にしたけど、穂香ちゃんは魔獣にビビってるふうじゃないから、そんな感じで少し様子をみたい。とりあえず明日オークで初戦闘をしてもらうけどいいかな?」
「はい、レベルが上がってどこまで通用するか早く試してみたいです」
「それから、気付いてないようだから教えるけど、この鏡を見てごらん」
「髪の事なら気付いてますよ。後で聞こうと思っていたのです。なっ! 金髪!」
「気付いていたのじゃないのかよ!」
「目に入る前髪の色が抜けてるな~とは思っていたのですけど、真っキンキンの金髪とは思っていませんでした。めっちゃ校則違反です!」
「そっちの心配かよ! なんか個人属性の影響を受けるらしいよ。その人が元々持ってる主属性ってやつ。金色は土属性だったかな、盾職には当たり属性だね。レベルアップ時に防御力やHP量が増えやすくなる加護や祝福があるようだよ」
面白い娘だ……ノリが良いから美人なのに初対面でも凄く話しやすい。
「先輩の黒髪は何ですか?」
「黒は闇属性だね。重力魔法とか空間魔法が得意な属性だね。俺はシールドや倉庫が皆より優れている。だから、俺が居る時はシールドを張るので、盾職はオークとかの下位魔獣にはあまり必要ないんだ」
「だから私と違うPTって事なんですか?」
「常に別って訳じゃないよ。盾職が要ると安定するのは間違いないからね。でも種族レベル15はないと、戦略的に組み入れるのは怖いからね」
穂香ちゃんに、魔法属性などの事をざっくり教えてあげた。
「先輩、私の金髪おかしくないですか?」
「もともと奇麗な顔をしていたけど、金髪化してハーフっぽくなったね。華がある? 気品があるってやつかな。俺的には黒髪のちょっとお嬢様っぽい美人さんも良かったけどね」
「そこまで褒めてくれても何もあげませんよ?」
個人香の事もあるけど、今のこの娘に話すのはちょっとまずいな。
「それより、次何取るか選んだの? もうあまり時間ないよ?」
「どうしたらいいと思います? 先輩ならどう振ります?」
「振り直しが利かないんだから、自分で決めた方がいい。人生に係わる選択だ。俺の意見は聞かなくていい」
「アドバイス的に参考にしたいだけですよ」
「そうか。今3レベル上がってAPが54ポイントあるだろ?」
・【亜空間倉庫】Lv2 3P消費 残51P
・【身体強化】Lv6→Lv10 34P消費 残17P
・【剣術】Lv2→Lv5 12P消費 残5P
・【盾術】Lv1→Lv2 2P消費 残3P
・【挑発】Lv1 1P消費 残2P
・【クリーン】 1P消費 残1P
・【アクア】 1P消費 残0P
「こんな感じかな。これに生活魔法の【ファイア】【ライト】を取っておけば、最悪1人ではぐれても最低環境は維持できる」
「成程【身体強化】極振りなんですね。【クリーン】は要るのですか? 支援の組に任せればいいのじゃないですか?」
「これもソロを想定してなんだが、返り血や、剣についた血糊を取る必要があるんだ。切れ味が鈍って直ぐにでも【クリーン】魔法がほしい時に人待ちじゃ危険だからね。1Pの消費で得られるんだ。この魔法は必ず使うぞ。それとソロ時に返り血を浴びたままこの森をうろついてたら、熊や狼の餌にしてくださいと言いながら歩いてるようなものだからね。血を浴びたら、その都度奇麗にする事。水なんだけど、術者によってはまずくて飲めないそうだよ。美味しくイメージして出す必要があるからね」
「了解です。私も先輩のアドバイスどおりが良いと思うので。この構成で取りますね」
「穂香ちゃんがそれでいいなら、そうしたほうが良い。移動も楽になるはずだよ。それと今日の移動は終了にするね。穂香ちゃんはまだ大丈夫と思うだろうけど、魔法での回復も万能じゃないんだ。肉体的損傷はすぐに回復するけど、魔素の残留や気力、体力、精神力までは回復しないからね。死に掛けていたのだから、やはり安静期間が要るんだよ。なので今日はもうゆっくり休む事。明日5時起きだから、そのつもりでね。朝日が出る前に起きて準備をしておくのが基本だからね。荷物は【亜空間倉庫】取ったのなら渡しておく」
「はい、でも5時起きですか? こっちの世界じゃやっぱり早寝早起きが基本なんですね?」
時間一杯までいて、現実世界に戻る。
「この辺一帯、この熊のテリトリーなので、他の魔獣は寄ってこないみたいだから、今日はここで野営をしようか」
テントを取出し、もう1つ組み立てようとしたら、穂香に制止された。
「ちょっと先輩! まさか1人で寝ろって言わないですよね? なにしれっとテントをもう1つ組み立てようとしているんですか!」
「はぁ? いや、それおかしいでしょ! 普通逆じゃない? 何一緒に寝ようとしてるって怒るなら分かるけど……男女7歳にして―――」
「そんなのはどうでもいいのです!」
すごい剣幕で俺の言葉を遮った……理由はなんとなく解っているのだけどね……参ったな。
仕方なく4人用のテントに、寮のシングルベットを2台無理やり並べてみた。4人用テントといってもそれほど広くはないのだ。ベッド2台でもう他は何も置けない。ダブルベッドで一緒に寝ているような感じになってしまう。
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しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
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