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王都街道編 4・5日目
2-4-2 A5牛?日本刀?
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着実に黒狼たちが迫ってきている。匂いを辿りながらなので、少し予想より時間をくっているようだ。
この分だと夕刻あたりかな。
午前の休憩時に再度情報公開する。
「黒狼たちなんだけど、匂いでの追尾なので少し時間が掛かってるみたいです。おそらく夕刻ぐらいかと思います。後、牛なんですが……800頭ほどの群れから少しはぐれてしまった36頭ほどが近くにいるので、これを狼に出くわす前に先に狩ろうと思います」
「その群れって、ひょっとして子供がいる群れ? 狼に食べられちゃう前に狩るって事?」
桜が子供の居る群れだと気付いたようだ。
「子供の居る群れだと何で分かった? 確かに今年生まれた子牛が多く居る。ほぼ若いメスの群れだ。数匹のオスが護衛なのか知らないが付いている程度だ。でも、言っておくけど狼より遥かにこの牛たちの方が強いぞ」
「え!? そうなの?」
「基本草食魔獣なので自分たちから襲うような事はしないけど、襲われた時はどちらかが根絶やしになるまで追い回してくるそうだ。持久力がハンパなくあって、1日300kmとか集団で平気で追ってくるから、大概体力負けして襲った方が全滅するらしい」
子牛や若いメスの群れを狩るのはどうなのか? とズレた事を言う体育館の女子たちを料理部女子が一蹴した。
「何バカな事を言ってるの? オスより若いメスが美味しいのは常識でしょ! その若いメスより更に子牛の方が肉が柔らかくて美味しいのよ? 鶏肉もそう、スーパーで売っている鶏肉は殆どが若鶏よ。親鳥なんか硬くて食べれたモノじゃないのよ。中には料理の仕方で親鳥の方が適する例外もあるけどね」
桜だけかと思いきや、茜までヤジを飛ばした女子に食って掛かった。
「スーパーで売ってるお肉がどんなものかも知らない人たちが、子牛だから可哀想とか……そういう人は食べなくて結構です! そんな人に料理なんか作ってあげません! 町に着くまで保存食を齧ってればいいわ!」
「おーい! 桜、茜、ちょっと怖いんですけど……」
「龍馬君、私はこういう人たちが嫌いなの。昨日はウナギやカニを食べておいて、子牛は可哀想とか、どの口がいうのかな?」
茜の食に対する考えは俺も十分理解できる。
「いや、気持ちは分かるし、同じ意見なんだけど……子牛を殺すのが可哀想ってのも解るんだ。茜も少しは可哀想だとは思ってるんだよね?」
「少しだけね……それより早く食べてみたいわ。A5和牛並みに美味しいんでしょ?」
「そうらしいけど、実際食べてみない事には俺も絶対とは言えないよ?」
「でも子牛は食べなくてもいいモノでしょ。どちらかというと嗜好品、贅沢品の部類じゃないの? 可哀想に……殺してまで食べる必要あるの?」
どうしても納得がいかないという女子が、まだ食い下がって茜に言ってくる。
「ええ、贅沢品だし嗜好品で間違いないわね。でも私は美味しいモノが食べたいので、狩って食べるわ。これまでも、これからもそう。どうせ口に入れるなら普通の牛より美味しい牛が食べたい。あなたは、只、食べるだけで良いなら保存食を食べていればいいわ。携帯食はそれだけで生きていけるようにカロリーバランスは考えて作られていますしね。でも言っておきますが、その携帯食も、使った材料の中には何らかの生き物が殺されて使われている事を頭に入れておいてほしいわね」
茜は可哀想とかより、子牛も立派な食材として見ているようだ。食べるためには殺さなければならない。ゲームハントと違い糧とする狩猟だ。俺も反対する理由はない。嫌なら食べなければいいのだ。オークを食べた人から文句を言われる筋合いはない。
その場に皆を待機させて、主戦力だけで牛狩りに行く事になった。経験値欲しさに行きたいという者も多かったが、却下した。
「単体で武器持ちオーク10頭を蹴散らすほど獰猛な牛です。地球のライオンに襲われてほぼ無抵抗で食われてる草食のバッファローやヌーなんかをイメージしたのなら大間違いです! 特に子持ちの母牛は子を守るために必死で突進してくるそうです。上級冒険者が30人のレイドPTを組んで狩るほど危険なヤツなので、大して強くもない者を連れて行っても足手まといになるだけですので、ここで待機していてもらいます」
オーク10頭を蹴散らすという言葉が効いたのか、流石にそれでも行きたいという者はいなかった。
食事中のバファローの群れを発見したのだが……でかい。
「龍馬君! 牛って言ったよね? あれじゃ象じゃない! あんなの無理よ!」
桜の言い分も分からないでもない。
「いや、俺も大きさまでは分からないからさ……確かに象とかのサイズだね。子牛でやっと通常サイズくらい? 怖いなら止めようか?」
「龍馬! 俺は行くぞ! A5牛とかテレビで見た事はあるけど実際食べた事ないんだ! ぜひ食べてみたい!」
「私も行くわよ! 狩らないで帰ったら絶対茜に怒られちゃうし……」
他のメンバーも恐怖より食欲の方が強いようだ。皆さんたくまし過ぎでしょ。
正直俺はかなり怖い。
「ハティ、お前の中級魔法はあの皮膚には掠り傷程度しかつけられないみたいだ。【ホーミング】を使って【サンダラスピア】をピンポイントで目か鼻に撃ち込むんだ。できるか?」
「ミャン!」
「そか、じゃあなるべく俺の側から離れないようにしてろ。絶対無理するなよ? もう少しでレベルが20を超えるから、そうしたら上級魔法も使えるようになる」
嬉しそうに尻尾を振って俺の側でお座り待機している。
「後、穂香は当たり負けするから、蟻の時のように耐えようとしちゃダメだぞ。闘牛士のようにヒラリと上手く躱すんだ。盾に仕込んであるナイフは有効だから、それで切るか、もしくは投げてダメージを与えるといいだろう」
「はい! 足とかを攻撃して戦力を削ぐのに専念しますね」
「穂香は自分の役割をちゃんと解ってるね。攻撃は魔法職とアタッカーに任せればいい。そうやってタゲ取りして、注意を惹きつけて戦力を少しずつ削いでくれたらいい」
「料理部員は分かってるから良いとして、先輩たちはくれぐれも肉を傷めないように狩って下さいね。ぐちゃぐちゃにしちゃったら、料理部の女子からの食事提供がなくなっちゃいますよ」
これはマジなので、先に注意しておいた。
実際の戦闘なのだが、俺1人いれば余裕で倒せるんだけど、皆の戦闘訓練と刀の試し切りがしたいとの事だったので、A班と格技場組を連れてきているのだ。勿論剣道部女子も同行している。
「じゃあ、あと50m近付いたら、俺の魔法を合図に戦闘開始とします」
戦闘が始まったのだが、美咲先輩と雅が競うように無双している。
雅なんか牛の膝位しかないのに、すれ違いざまに足か首を確実に切り落としている。
桜もだいぶ様になってきていて、見ていて危なげがない。魔法組も首元に上級魔法を放って確実に仕留めている。格技場の男子なのだが……うん、それなりだね。正直あの装備でよく立ち向かえると思う。
今回シールドはハティ以外は掛けていないのだ。
なのに誰も怯むことなく果敢に攻撃している……俺は象のような牛に正直ビビっている。
空手部員はローキックで牛の足をバキバキ折りまくるし、柔道部員も剣道部と連携して前足を出足払いのように払って転がしたり、行動を抑えて剣道部に止めを刺させている。
ハティは俺の指示通り側で待機しつつ、目に雷のスピアを撃ち込んで脳を直接焼いて殺している。
半数ほど倒したあたりで、ハティのレベルが20を超えた。
なので、即座に上級魔法をコピーして熟練レベルをMAXに【カスタマイズ】してやった。
『……マスター、後は個体数を得れば王種になるのですが、レイドPTではハティが直接狩った分しか加算されません』
『そうなんだ……黒狼が来るまでに王種にしてやりたかったけど、ちょっと厳しいかな』
『……黒狼の王種が相手でも、マスターがサポートしてあげれば、ハティの方が有利です』
『【マジックシールド】とかのパッシブ効果だろ?』
『……そうです。敢えてハティにやらせてみても面白いかもですね』
『同族で殺し合わせるのは感心しないな……』
『……向こうからすれば、ハティは同族ではなく忌むべき天敵、白狼の一族です。問答無用で優先して襲ってきますよ』
『その時はハティに任せるよ』
大体倒したのだが、子牛が逃げもせずに死んだ母親の元に残っている。
こういうのを見るとやはり可哀想だよな……女子にこれを狩らせるのは忍びない。
「皆下がって! 後は俺が魔法で一気に仕留めます!」
【ウィンダガカッター】の【多重詠唱】で、残っている子牛の首を一瞬で落とす。
「なぁ龍馬……俺たち要らなくね? お前1人いれば一瞬で狩れたんじゃないか?」
「ええ、そうですよ。刀の切れ味の確認と皆の戦闘技術の向上の為に皆で狩っているのです。後、先輩たちを連れてきたのは経験値を与えるためです。蟻と違ってランクの高い魔獣ですので、現に数レベルは上がったんじゃないですか?」
「あ、本当だ。2レベル上がってる。あの白黒世界の空間にはいかない設定にしていたのか?」
「ええ、レイドPTだと何度も行っちゃうので面倒なんですよ。ステ振りは次回にお願いします」
「龍馬君、血抜きは本当にしなくていいの?」
「ああ、俺の方でやっておくよ。それと熟成室があるので、昼食までには熟成も終えてるから、美味しい肉食いたいね」
「皆に提供してもいいのよね?」
「塩と胡椒はかなりまだ余裕あるんだよね?」
「ええ、良いモノではないけど、学食で業務用が大量にあったからね」
狩った牛を【インベントリ】に放り込んで、ナビーに血抜きと解体や熟成を任せる。
『……マスター、焼くのもやっておきますか?』
『いや、それは料理部に任せよう……多分俺が焼いてしまってたら、どんなに美味しくできていても白い目で見られそうだ。彼女たちは美食倶楽部じゃなくて、あくまで料理部なんだよね。美味しく調理して食べるのが楽しいんだよ』
本当は夕飯時に提供したいけど、黒狼が来たら夕飯どころじゃなくなるしな。やっぱお昼に出すのが賢明かな。
「龍馬? 彼女たちの武器って日本刀だよな? それにあの切れ味……」
げっ! 剣道部員たちが雅や桜たちの武器に群がっている。普段料理部の娘たちには、携帯させないで【亜空間倉庫】に保管させているのだ。移動時は帯刀するより手ぶらの方が良いからだ。俺も帯刀しないで、【インベントリ】からコンマ数秒で出し入れできるように練習している。
剣道部員に見られないようにしていたのを失念してしまった。
どうも面倒な事になりそうだ……。
この分だと夕刻あたりかな。
午前の休憩時に再度情報公開する。
「黒狼たちなんだけど、匂いでの追尾なので少し時間が掛かってるみたいです。おそらく夕刻ぐらいかと思います。後、牛なんですが……800頭ほどの群れから少しはぐれてしまった36頭ほどが近くにいるので、これを狼に出くわす前に先に狩ろうと思います」
「その群れって、ひょっとして子供がいる群れ? 狼に食べられちゃう前に狩るって事?」
桜が子供の居る群れだと気付いたようだ。
「子供の居る群れだと何で分かった? 確かに今年生まれた子牛が多く居る。ほぼ若いメスの群れだ。数匹のオスが護衛なのか知らないが付いている程度だ。でも、言っておくけど狼より遥かにこの牛たちの方が強いぞ」
「え!? そうなの?」
「基本草食魔獣なので自分たちから襲うような事はしないけど、襲われた時はどちらかが根絶やしになるまで追い回してくるそうだ。持久力がハンパなくあって、1日300kmとか集団で平気で追ってくるから、大概体力負けして襲った方が全滅するらしい」
子牛や若いメスの群れを狩るのはどうなのか? とズレた事を言う体育館の女子たちを料理部女子が一蹴した。
「何バカな事を言ってるの? オスより若いメスが美味しいのは常識でしょ! その若いメスより更に子牛の方が肉が柔らかくて美味しいのよ? 鶏肉もそう、スーパーで売っている鶏肉は殆どが若鶏よ。親鳥なんか硬くて食べれたモノじゃないのよ。中には料理の仕方で親鳥の方が適する例外もあるけどね」
桜だけかと思いきや、茜までヤジを飛ばした女子に食って掛かった。
「スーパーで売ってるお肉がどんなものかも知らない人たちが、子牛だから可哀想とか……そういう人は食べなくて結構です! そんな人に料理なんか作ってあげません! 町に着くまで保存食を齧ってればいいわ!」
「おーい! 桜、茜、ちょっと怖いんですけど……」
「龍馬君、私はこういう人たちが嫌いなの。昨日はウナギやカニを食べておいて、子牛は可哀想とか、どの口がいうのかな?」
茜の食に対する考えは俺も十分理解できる。
「いや、気持ちは分かるし、同じ意見なんだけど……子牛を殺すのが可哀想ってのも解るんだ。茜も少しは可哀想だとは思ってるんだよね?」
「少しだけね……それより早く食べてみたいわ。A5和牛並みに美味しいんでしょ?」
「そうらしいけど、実際食べてみない事には俺も絶対とは言えないよ?」
「でも子牛は食べなくてもいいモノでしょ。どちらかというと嗜好品、贅沢品の部類じゃないの? 可哀想に……殺してまで食べる必要あるの?」
どうしても納得がいかないという女子が、まだ食い下がって茜に言ってくる。
「ええ、贅沢品だし嗜好品で間違いないわね。でも私は美味しいモノが食べたいので、狩って食べるわ。これまでも、これからもそう。どうせ口に入れるなら普通の牛より美味しい牛が食べたい。あなたは、只、食べるだけで良いなら保存食を食べていればいいわ。携帯食はそれだけで生きていけるようにカロリーバランスは考えて作られていますしね。でも言っておきますが、その携帯食も、使った材料の中には何らかの生き物が殺されて使われている事を頭に入れておいてほしいわね」
茜は可哀想とかより、子牛も立派な食材として見ているようだ。食べるためには殺さなければならない。ゲームハントと違い糧とする狩猟だ。俺も反対する理由はない。嫌なら食べなければいいのだ。オークを食べた人から文句を言われる筋合いはない。
その場に皆を待機させて、主戦力だけで牛狩りに行く事になった。経験値欲しさに行きたいという者も多かったが、却下した。
「単体で武器持ちオーク10頭を蹴散らすほど獰猛な牛です。地球のライオンに襲われてほぼ無抵抗で食われてる草食のバッファローやヌーなんかをイメージしたのなら大間違いです! 特に子持ちの母牛は子を守るために必死で突進してくるそうです。上級冒険者が30人のレイドPTを組んで狩るほど危険なヤツなので、大して強くもない者を連れて行っても足手まといになるだけですので、ここで待機していてもらいます」
オーク10頭を蹴散らすという言葉が効いたのか、流石にそれでも行きたいという者はいなかった。
食事中のバファローの群れを発見したのだが……でかい。
「龍馬君! 牛って言ったよね? あれじゃ象じゃない! あんなの無理よ!」
桜の言い分も分からないでもない。
「いや、俺も大きさまでは分からないからさ……確かに象とかのサイズだね。子牛でやっと通常サイズくらい? 怖いなら止めようか?」
「龍馬! 俺は行くぞ! A5牛とかテレビで見た事はあるけど実際食べた事ないんだ! ぜひ食べてみたい!」
「私も行くわよ! 狩らないで帰ったら絶対茜に怒られちゃうし……」
他のメンバーも恐怖より食欲の方が強いようだ。皆さんたくまし過ぎでしょ。
正直俺はかなり怖い。
「ハティ、お前の中級魔法はあの皮膚には掠り傷程度しかつけられないみたいだ。【ホーミング】を使って【サンダラスピア】をピンポイントで目か鼻に撃ち込むんだ。できるか?」
「ミャン!」
「そか、じゃあなるべく俺の側から離れないようにしてろ。絶対無理するなよ? もう少しでレベルが20を超えるから、そうしたら上級魔法も使えるようになる」
嬉しそうに尻尾を振って俺の側でお座り待機している。
「後、穂香は当たり負けするから、蟻の時のように耐えようとしちゃダメだぞ。闘牛士のようにヒラリと上手く躱すんだ。盾に仕込んであるナイフは有効だから、それで切るか、もしくは投げてダメージを与えるといいだろう」
「はい! 足とかを攻撃して戦力を削ぐのに専念しますね」
「穂香は自分の役割をちゃんと解ってるね。攻撃は魔法職とアタッカーに任せればいい。そうやってタゲ取りして、注意を惹きつけて戦力を少しずつ削いでくれたらいい」
「料理部員は分かってるから良いとして、先輩たちはくれぐれも肉を傷めないように狩って下さいね。ぐちゃぐちゃにしちゃったら、料理部の女子からの食事提供がなくなっちゃいますよ」
これはマジなので、先に注意しておいた。
実際の戦闘なのだが、俺1人いれば余裕で倒せるんだけど、皆の戦闘訓練と刀の試し切りがしたいとの事だったので、A班と格技場組を連れてきているのだ。勿論剣道部女子も同行している。
「じゃあ、あと50m近付いたら、俺の魔法を合図に戦闘開始とします」
戦闘が始まったのだが、美咲先輩と雅が競うように無双している。
雅なんか牛の膝位しかないのに、すれ違いざまに足か首を確実に切り落としている。
桜もだいぶ様になってきていて、見ていて危なげがない。魔法組も首元に上級魔法を放って確実に仕留めている。格技場の男子なのだが……うん、それなりだね。正直あの装備でよく立ち向かえると思う。
今回シールドはハティ以外は掛けていないのだ。
なのに誰も怯むことなく果敢に攻撃している……俺は象のような牛に正直ビビっている。
空手部員はローキックで牛の足をバキバキ折りまくるし、柔道部員も剣道部と連携して前足を出足払いのように払って転がしたり、行動を抑えて剣道部に止めを刺させている。
ハティは俺の指示通り側で待機しつつ、目に雷のスピアを撃ち込んで脳を直接焼いて殺している。
半数ほど倒したあたりで、ハティのレベルが20を超えた。
なので、即座に上級魔法をコピーして熟練レベルをMAXに【カスタマイズ】してやった。
『……マスター、後は個体数を得れば王種になるのですが、レイドPTではハティが直接狩った分しか加算されません』
『そうなんだ……黒狼が来るまでに王種にしてやりたかったけど、ちょっと厳しいかな』
『……黒狼の王種が相手でも、マスターがサポートしてあげれば、ハティの方が有利です』
『【マジックシールド】とかのパッシブ効果だろ?』
『……そうです。敢えてハティにやらせてみても面白いかもですね』
『同族で殺し合わせるのは感心しないな……』
『……向こうからすれば、ハティは同族ではなく忌むべき天敵、白狼の一族です。問答無用で優先して襲ってきますよ』
『その時はハティに任せるよ』
大体倒したのだが、子牛が逃げもせずに死んだ母親の元に残っている。
こういうのを見るとやはり可哀想だよな……女子にこれを狩らせるのは忍びない。
「皆下がって! 後は俺が魔法で一気に仕留めます!」
【ウィンダガカッター】の【多重詠唱】で、残っている子牛の首を一瞬で落とす。
「なぁ龍馬……俺たち要らなくね? お前1人いれば一瞬で狩れたんじゃないか?」
「ええ、そうですよ。刀の切れ味の確認と皆の戦闘技術の向上の為に皆で狩っているのです。後、先輩たちを連れてきたのは経験値を与えるためです。蟻と違ってランクの高い魔獣ですので、現に数レベルは上がったんじゃないですか?」
「あ、本当だ。2レベル上がってる。あの白黒世界の空間にはいかない設定にしていたのか?」
「ええ、レイドPTだと何度も行っちゃうので面倒なんですよ。ステ振りは次回にお願いします」
「龍馬君、血抜きは本当にしなくていいの?」
「ああ、俺の方でやっておくよ。それと熟成室があるので、昼食までには熟成も終えてるから、美味しい肉食いたいね」
「皆に提供してもいいのよね?」
「塩と胡椒はかなりまだ余裕あるんだよね?」
「ええ、良いモノではないけど、学食で業務用が大量にあったからね」
狩った牛を【インベントリ】に放り込んで、ナビーに血抜きと解体や熟成を任せる。
『……マスター、焼くのもやっておきますか?』
『いや、それは料理部に任せよう……多分俺が焼いてしまってたら、どんなに美味しくできていても白い目で見られそうだ。彼女たちは美食倶楽部じゃなくて、あくまで料理部なんだよね。美味しく調理して食べるのが楽しいんだよ』
本当は夕飯時に提供したいけど、黒狼が来たら夕飯どころじゃなくなるしな。やっぱお昼に出すのが賢明かな。
「龍馬? 彼女たちの武器って日本刀だよな? それにあの切れ味……」
げっ! 剣道部員たちが雅や桜たちの武器に群がっている。普段料理部の娘たちには、携帯させないで【亜空間倉庫】に保管させているのだ。移動時は帯刀するより手ぶらの方が良いからだ。俺も帯刀しないで、【インベントリ】からコンマ数秒で出し入れできるように練習している。
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