4 / 120
水神殿編
1-4 女神たちは初期装備すらくれないようです
しおりを挟む
俺は肩幅ほどに足を開き、拳を握り高々と突き上げカッコいいポーズで転移を待っていた。
そう、例のおっきな黒い馬に乗った暴君の最後の決めポーズだ!
なのに一向に転移されない……女神たちを見ると三人でヒソヒソとなんか話してた。
「あのう? アウラさん?」
「創主様、凄く不安ですので、少し注意事項を言わせて頂きます」
アウラに説明を求めたのに、真剣な顔をしてアリアが注意事項とか言ってきた。
少し不真面目に見えたのかな?
「この世界『セリシール』は、創主様が設定されたものを基礎に、足らない情報は創主様の世界から抽出した世界観をベースにしています。神話や絵本、物語、特に日本のアニメやラノベはこの世界に強い影響を及ぼしています。創主様によってこの世界が誕生し、現在六千年の時が経っています。創主様の初期の設定と少し変わってる部分もあるのです。『確かこうだった』とか、『そうじゃないだろうか?』みたいな安易な考えでの行動は注意してくださいね。それはとても危険なことですので……」
俺のかっこいいポーズは関係ないのか? 普通にただの注意事項?
「アウラ、御主人様のご希望に添えるよう、文明レベルが御主人様の転移時に中世後期ぐらいになるように千年前から頑張って調整してたんだけどね~、ここ二百年ほど停滞しちゃってるんだ~。ごめんね~、少し危険な時代なので気を付けてね~」
「停滞は魔法のせいだな……便利なものがあるとそれに依存して思考が停滞する。地球の発展はいかに楽に、いかに便利にって考えからどんどん進歩してきたからな。火ひとつとってみても雷や自然火災の利用→摩擦を使う火起こし器や火打石→マッチ→ライター、時代とともに開発発展してるのに、こっちじゃ初心者の生活魔法で火が起こせるのだろ? 魔法は便利すぎて発展の邪魔になるかもな。どうせ自動車や飛行機とかも開発されてないのだろう? 転移魔法の方が一瞬で移動できて便利だしな。荷物を運ぶために開発された鉄道も、こっちじゃ【亜空間倉庫】があるし」
「流石は、あるじさまです。解ってらっしゃる。あるじさま、ステータスを開いてもらっていいですか?」
「……あれ? どうやるんだっけ?」
「えーとね、頭の中でステータス画面をイメージするだけだよ。どんなのか解ってないから出せないだけだと思うから、ちょっと見ててね」
ベルルが左手を胸の前に上げたと思ったらA4ぐらいのタブレットPCみたいなのが現れていた。
俺も真似してみたら簡単に出せた。ちょっとワクワクしてきた!
このタブレットPCみたいなやつは、【クリスタルプレート】と言われていて、神が全ての人に公平に与える神器だそうだ。
「あるじさま、ずっと手に持ってなくても一度出した場所に固定して浮かせられるから手を離してみて。移動する時は手に持てばそのまま移動できるよ。手の届く範囲内から離れると自動で消えちゃうから注意してね。時間経過で消えるまでずっとそこに残ると他の人の邪魔になるからね」
「へ~、なかなか便利だな」
「もう一つ【クリスタルプレート】以外でのステース画面の見方があって、実体化すると戦闘中とか邪魔になるから、今リアルタイムで見てる景色に、直接網膜の上にステータス画面を貼り付けて見るような感覚なんだけど、解るかな? ユグドラシルが勝手に判断してくれるけど、ちょっとやってみて? VRのゲームをやってるようなイメージをすればいいかもです」
「あっできた。VRゲームの大画面モニターを見てるような感じだ。うん、網膜上で直接見るって感じだね。でも半透明で色の濃いところは相手に被っちゃうから、俺的には戦闘では使わない方ががいいと思う。ちょっとの見間違いとかでミスして死亡とかしゃれにならない」
ステータス画面を見ながら話してた俺の声がだんだん小さくなる……原因はステータスの一覧に何もなかったからだ。そう、俺のステータス画面には習得魔法が1つもなかった。
俺のステータス画面はこんな感じだ。
《リョウマ・タカナシ》
HP:100
MP:1000
レベル:1
種族:神族
性別:男
年齢:15
職業:創造神
攻撃力:100
防御力:100
敏捷力:100
知力:100
精神力:100
運:100
魅力:1000
《スキル一覧》
空っぽだった
《加護・祝福》
創造神リョーマの加護・創造神リョーマの祝福
女神アリアの加護・女神アリアの祝福
女神ベルルの加護・女神ベルルの祝福
女神アウラの加護・女神アウラの祝福
闇黒神ヴィーネの加護・闇黒神ヴィーネの祝福
《インベントリ一覧》
ここも空っぽ
《装備一覧》
女神ベルルのシーツ
「あの~、知の神・魔神のアウラ様? 魔法が1つもないのですが? どうしてでしょう?」
「御主人様のご希望だったはずですよ~。冒険や探索や修行で、魔法やスキルを段々と習得して強くなるのがRPGの醍醐味だ! とか言ってましたよね~」
「はい、言ってました……その通りです。でも、初期魔法ぐらいほしかったです……」
俺の過去設定が忠実に守られている……でも回復魔法ぐらいは正直ほしかった。
本音を言えば当時はそう思っていたかもしれないが、歳得た今はチートして人より楽したいです。
「あのう、技能神ベルル様? 装備品が女神ベルルのシーツだけとかおかしくないでしょうか? 旅人の服とか?靴はどうしたのでしょう? 裸足で最初移動なのですか? 裸シーツで転移後うろついてても大丈夫なんですよね? いきなり変質者扱いされて、牢獄行きとかでいきなり奴隷にされたりするのとか勘弁ですよ? それになぜ魅力値だけがいきなり飛び抜けて1000なのでしょう? おかしいですよね?……MPが多いのは有難いですが」
「えとね、あるじさま。シーツは今現在身に付けてるから表示されているだけで、魅力に関してはベルルたちが超頑張ったからだよ。えへへー。アリアがいろいろ面倒だった。ミリ単位で言ってくるから、皆が納得するまでに300年かかりました。あ、でもステータスの数値は今は仮なので、あまり参考にならないかな……」
俺の体、作製期間300年かよ! ステータスの数値は仮なのか?
仮とはいえ魅力1000とかいろいろ不安だよな……アリアのあの態度がおかしいし。
「チョイお聞きしますが、私の顔は弄ってませんよね?」
「創主様、完璧です! 何も心配いりません!」
お前のテンション見てたら、安心できるか!
「ベルル? どうなんだ?」
「顔に関しては、ほぼ、あるじさまのベースのままですよ……95%そのままです……」
95%ならほぼ一緒なのか? でもなんで目線を逸らして言い淀む? なんか不安なんだが。
「で、装備は? ここはお約束でベルルが俺に聞くところだろ? 『そんな装備で大丈夫か?』と……俺は勿論こう答える。『一番良いのをクレ!』と……可能なら『予備の装備と、予備が壊れた時の予備もくれ!』って言うぞ」
「あるじさま、ネタはいいです。それに転移の時は何も持ち込めないって言いましたよね? 勿論そのシーツも転移の際はひっぺがしますからね」
「お金も、初期魔法も、初期装備も、初級ポーションとかもくれないんだね。この世界は僕に優しくないんだね。愛の女神アリア様の愛を全く感じないですね」
「ごめんなさい創主様……地上での転移は創主様の初期設定どおり、一度行って地点登録した場所なら【テレポート】の魔法を使えば距離や人数・重量に比例したMP消費で簡単に移動可能なんですが、ここは神域の亜空間。亜空間から地上への転移はいくら神域どうしの移動でもエネルギー消費が激しいのです。装備品や道具類が増えると格段に消費するエネルギーが増えてしまいます。今の私たちは神力を使い果たし、いっぱいいっぱいなのです」
ちょっと拗ねてみただけなのだが、アリアは申し訳なさそうに謝ってきた。
「それに、創主様の事は三日程前にちゃんと水の神殿にいる巫女に神託として伝えてあります。これから行う創主様の転移先が水の神殿となります。向こうでちゃんと準備してくれてるはずです。こっちの世界で一番安全な場所なんです! 愛ありますよ! 一杯愛ありますよ! お金や装備の心配も要りませんよ! ちゃんと地上世界で用意していますよ!」
「あー、ごめんごめん。ちょいからかっただけだ」
そんなに悲しそうな眼をするな……そうだよな……幼女化しないといけないほど、神エネルギー枯渇してるんだった。
「創主様、これから向かう先は三柱の女神と水神の結界が張られた地上で一番安全な特殊な神域なのです。そこへの転移なので、もの凄くエネルギーが使われます。その際に発生する電磁エネルギーが少し危険ですので、創主様にはアウラの魔法で氷の中に入ってもらいます」
「電気か……確か純水は絶縁体だったな……でも氷付けとか大丈夫か? 息とかできないだろ?」
「アウラは超純水がつくれます。それを氷柱にして転移させる予定です。物は持ち込めませんが、空気中の水分を魔法で凝固させたものは対象外です。あと創主様の体は女神監修ベルル謹製仕様ですので、上手く息を止めれば軽く20分は無呼吸でいられます。万が一何かあっても私たちで創主様の事は必ずお守りしますので安心して旅立ってください」
「分かった。じゃあ、今度こそ出発でいいか?」
アリアたちが魔方陣から離れたので、再度シーツを剥ぎ取り、拳を振り上げかっこいいポーズでその時を待つ。
「御主人様、転移先は男子禁制の水の神殿です~。貞操観念の強い巫女たちにいきなり嫌われてもいいのかな~。ちゃんと両手で前を隠してあげてね~。それと、可愛いからって巫女に直ぐ手出ししてはダメですよ~」
はい、嫌われたくないので素直に前を隠しました。
「御主人様~、ベルルが5・4・3・2・1とカウントダウンしてくれるので~。私が0のタイミングで氷魔法を使うね~。タイミングを合わせて大きく息を吸って溜めてね~。氷柱完成と同時にユグちゃんが転移してくれるからね~」
俺はうんと頷く。
「では心の準備はいいかな~? よし、じゃベルルちゃんカウントお願い~。『命、大事に!』ね~」
俺が頷くのを確認したアウラがベルルに指示をだす。
アウラも心配性だな……最後の言葉が命大事にか。身を心配してくれて悪い気はしないけど。
よし、地上へ降臨だ!
ベルルの1のタイミングで大きく息を吸ったら、直ぐにアウラの魔法がきて転移が始まった。
あべし!
これダメだろ! 氷魔法って、人に向けたら普通に攻撃魔法ジャン!
それに電気きてるし! アリアちゃん、めちゃくちゃビリビリきてるんだけど! 事前にちゃんと検証した?
寒いし、痛いし、電気でビリビリなんだけど、死ぬ事はなさそうだなとこの時は思っていた。
そう、例のおっきな黒い馬に乗った暴君の最後の決めポーズだ!
なのに一向に転移されない……女神たちを見ると三人でヒソヒソとなんか話してた。
「あのう? アウラさん?」
「創主様、凄く不安ですので、少し注意事項を言わせて頂きます」
アウラに説明を求めたのに、真剣な顔をしてアリアが注意事項とか言ってきた。
少し不真面目に見えたのかな?
「この世界『セリシール』は、創主様が設定されたものを基礎に、足らない情報は創主様の世界から抽出した世界観をベースにしています。神話や絵本、物語、特に日本のアニメやラノベはこの世界に強い影響を及ぼしています。創主様によってこの世界が誕生し、現在六千年の時が経っています。創主様の初期の設定と少し変わってる部分もあるのです。『確かこうだった』とか、『そうじゃないだろうか?』みたいな安易な考えでの行動は注意してくださいね。それはとても危険なことですので……」
俺のかっこいいポーズは関係ないのか? 普通にただの注意事項?
「アウラ、御主人様のご希望に添えるよう、文明レベルが御主人様の転移時に中世後期ぐらいになるように千年前から頑張って調整してたんだけどね~、ここ二百年ほど停滞しちゃってるんだ~。ごめんね~、少し危険な時代なので気を付けてね~」
「停滞は魔法のせいだな……便利なものがあるとそれに依存して思考が停滞する。地球の発展はいかに楽に、いかに便利にって考えからどんどん進歩してきたからな。火ひとつとってみても雷や自然火災の利用→摩擦を使う火起こし器や火打石→マッチ→ライター、時代とともに開発発展してるのに、こっちじゃ初心者の生活魔法で火が起こせるのだろ? 魔法は便利すぎて発展の邪魔になるかもな。どうせ自動車や飛行機とかも開発されてないのだろう? 転移魔法の方が一瞬で移動できて便利だしな。荷物を運ぶために開発された鉄道も、こっちじゃ【亜空間倉庫】があるし」
「流石は、あるじさまです。解ってらっしゃる。あるじさま、ステータスを開いてもらっていいですか?」
「……あれ? どうやるんだっけ?」
「えーとね、頭の中でステータス画面をイメージするだけだよ。どんなのか解ってないから出せないだけだと思うから、ちょっと見ててね」
ベルルが左手を胸の前に上げたと思ったらA4ぐらいのタブレットPCみたいなのが現れていた。
俺も真似してみたら簡単に出せた。ちょっとワクワクしてきた!
このタブレットPCみたいなやつは、【クリスタルプレート】と言われていて、神が全ての人に公平に与える神器だそうだ。
「あるじさま、ずっと手に持ってなくても一度出した場所に固定して浮かせられるから手を離してみて。移動する時は手に持てばそのまま移動できるよ。手の届く範囲内から離れると自動で消えちゃうから注意してね。時間経過で消えるまでずっとそこに残ると他の人の邪魔になるからね」
「へ~、なかなか便利だな」
「もう一つ【クリスタルプレート】以外でのステース画面の見方があって、実体化すると戦闘中とか邪魔になるから、今リアルタイムで見てる景色に、直接網膜の上にステータス画面を貼り付けて見るような感覚なんだけど、解るかな? ユグドラシルが勝手に判断してくれるけど、ちょっとやってみて? VRのゲームをやってるようなイメージをすればいいかもです」
「あっできた。VRゲームの大画面モニターを見てるような感じだ。うん、網膜上で直接見るって感じだね。でも半透明で色の濃いところは相手に被っちゃうから、俺的には戦闘では使わない方ががいいと思う。ちょっとの見間違いとかでミスして死亡とかしゃれにならない」
ステータス画面を見ながら話してた俺の声がだんだん小さくなる……原因はステータスの一覧に何もなかったからだ。そう、俺のステータス画面には習得魔法が1つもなかった。
俺のステータス画面はこんな感じだ。
《リョウマ・タカナシ》
HP:100
MP:1000
レベル:1
種族:神族
性別:男
年齢:15
職業:創造神
攻撃力:100
防御力:100
敏捷力:100
知力:100
精神力:100
運:100
魅力:1000
《スキル一覧》
空っぽだった
《加護・祝福》
創造神リョーマの加護・創造神リョーマの祝福
女神アリアの加護・女神アリアの祝福
女神ベルルの加護・女神ベルルの祝福
女神アウラの加護・女神アウラの祝福
闇黒神ヴィーネの加護・闇黒神ヴィーネの祝福
《インベントリ一覧》
ここも空っぽ
《装備一覧》
女神ベルルのシーツ
「あの~、知の神・魔神のアウラ様? 魔法が1つもないのですが? どうしてでしょう?」
「御主人様のご希望だったはずですよ~。冒険や探索や修行で、魔法やスキルを段々と習得して強くなるのがRPGの醍醐味だ! とか言ってましたよね~」
「はい、言ってました……その通りです。でも、初期魔法ぐらいほしかったです……」
俺の過去設定が忠実に守られている……でも回復魔法ぐらいは正直ほしかった。
本音を言えば当時はそう思っていたかもしれないが、歳得た今はチートして人より楽したいです。
「あのう、技能神ベルル様? 装備品が女神ベルルのシーツだけとかおかしくないでしょうか? 旅人の服とか?靴はどうしたのでしょう? 裸足で最初移動なのですか? 裸シーツで転移後うろついてても大丈夫なんですよね? いきなり変質者扱いされて、牢獄行きとかでいきなり奴隷にされたりするのとか勘弁ですよ? それになぜ魅力値だけがいきなり飛び抜けて1000なのでしょう? おかしいですよね?……MPが多いのは有難いですが」
「えとね、あるじさま。シーツは今現在身に付けてるから表示されているだけで、魅力に関してはベルルたちが超頑張ったからだよ。えへへー。アリアがいろいろ面倒だった。ミリ単位で言ってくるから、皆が納得するまでに300年かかりました。あ、でもステータスの数値は今は仮なので、あまり参考にならないかな……」
俺の体、作製期間300年かよ! ステータスの数値は仮なのか?
仮とはいえ魅力1000とかいろいろ不安だよな……アリアのあの態度がおかしいし。
「チョイお聞きしますが、私の顔は弄ってませんよね?」
「創主様、完璧です! 何も心配いりません!」
お前のテンション見てたら、安心できるか!
「ベルル? どうなんだ?」
「顔に関しては、ほぼ、あるじさまのベースのままですよ……95%そのままです……」
95%ならほぼ一緒なのか? でもなんで目線を逸らして言い淀む? なんか不安なんだが。
「で、装備は? ここはお約束でベルルが俺に聞くところだろ? 『そんな装備で大丈夫か?』と……俺は勿論こう答える。『一番良いのをクレ!』と……可能なら『予備の装備と、予備が壊れた時の予備もくれ!』って言うぞ」
「あるじさま、ネタはいいです。それに転移の時は何も持ち込めないって言いましたよね? 勿論そのシーツも転移の際はひっぺがしますからね」
「お金も、初期魔法も、初期装備も、初級ポーションとかもくれないんだね。この世界は僕に優しくないんだね。愛の女神アリア様の愛を全く感じないですね」
「ごめんなさい創主様……地上での転移は創主様の初期設定どおり、一度行って地点登録した場所なら【テレポート】の魔法を使えば距離や人数・重量に比例したMP消費で簡単に移動可能なんですが、ここは神域の亜空間。亜空間から地上への転移はいくら神域どうしの移動でもエネルギー消費が激しいのです。装備品や道具類が増えると格段に消費するエネルギーが増えてしまいます。今の私たちは神力を使い果たし、いっぱいいっぱいなのです」
ちょっと拗ねてみただけなのだが、アリアは申し訳なさそうに謝ってきた。
「それに、創主様の事は三日程前にちゃんと水の神殿にいる巫女に神託として伝えてあります。これから行う創主様の転移先が水の神殿となります。向こうでちゃんと準備してくれてるはずです。こっちの世界で一番安全な場所なんです! 愛ありますよ! 一杯愛ありますよ! お金や装備の心配も要りませんよ! ちゃんと地上世界で用意していますよ!」
「あー、ごめんごめん。ちょいからかっただけだ」
そんなに悲しそうな眼をするな……そうだよな……幼女化しないといけないほど、神エネルギー枯渇してるんだった。
「創主様、これから向かう先は三柱の女神と水神の結界が張られた地上で一番安全な特殊な神域なのです。そこへの転移なので、もの凄くエネルギーが使われます。その際に発生する電磁エネルギーが少し危険ですので、創主様にはアウラの魔法で氷の中に入ってもらいます」
「電気か……確か純水は絶縁体だったな……でも氷付けとか大丈夫か? 息とかできないだろ?」
「アウラは超純水がつくれます。それを氷柱にして転移させる予定です。物は持ち込めませんが、空気中の水分を魔法で凝固させたものは対象外です。あと創主様の体は女神監修ベルル謹製仕様ですので、上手く息を止めれば軽く20分は無呼吸でいられます。万が一何かあっても私たちで創主様の事は必ずお守りしますので安心して旅立ってください」
「分かった。じゃあ、今度こそ出発でいいか?」
アリアたちが魔方陣から離れたので、再度シーツを剥ぎ取り、拳を振り上げかっこいいポーズでその時を待つ。
「御主人様、転移先は男子禁制の水の神殿です~。貞操観念の強い巫女たちにいきなり嫌われてもいいのかな~。ちゃんと両手で前を隠してあげてね~。それと、可愛いからって巫女に直ぐ手出ししてはダメですよ~」
はい、嫌われたくないので素直に前を隠しました。
「御主人様~、ベルルが5・4・3・2・1とカウントダウンしてくれるので~。私が0のタイミングで氷魔法を使うね~。タイミングを合わせて大きく息を吸って溜めてね~。氷柱完成と同時にユグちゃんが転移してくれるからね~」
俺はうんと頷く。
「では心の準備はいいかな~? よし、じゃベルルちゃんカウントお願い~。『命、大事に!』ね~」
俺が頷くのを確認したアウラがベルルに指示をだす。
アウラも心配性だな……最後の言葉が命大事にか。身を心配してくれて悪い気はしないけど。
よし、地上へ降臨だ!
ベルルの1のタイミングで大きく息を吸ったら、直ぐにアウラの魔法がきて転移が始まった。
あべし!
これダメだろ! 氷魔法って、人に向けたら普通に攻撃魔法ジャン!
それに電気きてるし! アリアちゃん、めちゃくちゃビリビリきてるんだけど! 事前にちゃんと検証した?
寒いし、痛いし、電気でビリビリなんだけど、死ぬ事はなさそうだなとこの時は思っていた。
10
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった
盛平
ファンタジー
パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。
神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。
パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。
ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる