【完結】もう一度君に蒼空を見せたい〜奴隷オークションで高額な処女地下オメガを買ってしまったので借金返済に追われています〜

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71.ファーストキス2(オメガ視点)

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「はい。してください!僕も…したいです…。」


「こんな日が来るなんて。嬉しいな。」


 正吾さんはものすごく嬉しそうな顔をそのままに、ちゅっとついばむようなキスをしてくれた。
 とうとう唇にキスをしてしまった。キャー。

 僕のファーストキスだ!やったぁ!好きな人と、僕、ファーストキスしちゃった!!幸せ♡



 でも、ちゃんと言わなきゃ。僕が最初に言っておかなきゃ。
 正吾さんにこの行為をしていいかいと一つ一つ全部聞かれるのは恥ずかし過ぎる。


「正吾さんになら、僕、何をされてもいいです。
 僕、正吾さんと最後までしたいです。だから、一つ一つ聞いて頂かなくても大丈夫です。」


「!! それは…。

 はぁ~理性のタガが外れてしまうようなことを言わないでくれ。」

 
 片手は僕の腰を抱きしめたまま、正吾さんは右手だけで顔を覆っている。


「でも、僕、実は発情期が来る前から正吾さんの事を好きになっていました。

 本当は発情期に正吾さんに抱かれたかったんです。
 ただ、正吾さんのお仕事の邪魔はしたくなかったから、どうしていいのか解らなくて。
 引き出しのは発情抑制剤も入れてあったし、それを飲んでやり過ごせって意味なのかなと思って。

 もし、もうすぐ発情期が来るっていう状況じゃなかったら僕、2階の寝室にもついて行きたかったです。」


「そうだったのか。ありがとう。嬉しいよ。

 本当に今日でいいの?

 今は朝だし、今日の夜も休もうと思っているから、夜にもうちょっとムードがある感じで進めようか?」


「いえ!僕もう待てません!」


 言ってしまった後にカァッと顔が赤くなった。ちょっと緊張しすぎて、直球で言いすぎちゃったかなぁ~恥ずかしい!

 なんだか、今正吾さんの雰囲気が変わった気がする。


「そうか。私が臆病だったせいで、大分待たせてしまってすまなかったね。

 じゃあ、もう遠慮はしないよ。」


「はい!遠慮しないでください!がぶっとどうぞ!」


「ふふふ。それは男前だね。

 愛してるよ。蒼空くん。
 君を初めて見た時から好きだった。

 置かれた状況に屈しない立ち姿に強い心を感じたよ。

 顔もすごく好みだし、可愛いくて綺麗だ。
 いつも俺の身体を心配してくれて、いつも俺を支えてくれてありがとう。

 本当に俺でいいの?もし蒼空くんが一生俺に身体を許さなかったとしても、俺は蒼空くんを大事にしていくと誓うよ?」


「正吾さんが僕を好きになってくれて凄く嬉しいです。
 安心して下さい。僕は別に生存本能でご主人様に媚びようとしているわけじゃないんです。

 僕は、僕の意思で正吾さんの事が好きで、正吾さんと繋がりたいんです。

 これだけ僕の為に一生懸命に働いてくれて、それなのに見返りを要求しない優しさと強さ。僕には無い立派な体躯と精悍な横顔、真っすぐで誠実な瞳。

 僕を変態達から助けてくれた恩人じゃなくても、誰でも正吾さんを好きになるはずです。
 僕はこういう出会い方じゃなかったとしても、絶対に正吾さんを好きになっていたと言い切れます。」


 これは、ストックホルム症候群じゃないとハッキリ言える。
 こんなに真っすぐで誠実で自分だけに優しいアルファを、好きにならないオメガなんていない。


「それは照れるね。
 でも、もしかしたら何かしらの方法で君を逃してあげられる日が来るかもしれない。
 もしかしたら君は今は初めて会った大人のアルファに憧れているだけで、ちゃんと平穏な生活を取り戻したら、もっと歳も吊り合う様な、素敵な人が他に現れるかもしれないよ。
 俺は、そんな時に君に後悔してほしくないんだ。」


「そんな日は永遠に来ません。
 だって僕が正吾さんの傍から離れたく無いんです。
 逃げる時は正吾さんも一緒です。僕はもう、正吾さん以外考えられません。」


「それを聞いて安心したよ。
 じゃあ、遠慮なく。」


 そう言うと、正吾さんはニヤリと少し悪い顔をして、僕をベッドに押し倒した。首元の鎖がじゃらんと音を立てた。
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