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第一章
雷
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獲物は大きい方が見応えがあるだろうと、ネオは風魔法でできるだけ大きそうな鹿の居場所を探し、そこを目指して一直線に歩いた。
風魔法は、かまいたちで敵を切り刻むことができるだけでなく、音を集めることもできる魔法だ。暗殺・諜報活動に便利な魔法だと一般的に言われている。
ターゲットの居場所や秘密を風魔法で探り、雷魔法で遠隔で一撃で仕留め、格納結界の中に誰にも知られずに葬り去る。これほどまでに暗殺業に適している魔術師は他にいないだろう。
誰もが薄暗い闇を抱えている貴族どもが、ネオを怖がらない理由がない。
自分が世にも珍しい複数属性持ちであることに気が付いた父王が、よく自分を始末しなかったなとネオ自身でも感心してしまうほどである。
何かあれば利用するつもりなのか、それともただの親の恩情か。
ネオはこの辺境の地にある恐竜保護区で管理人をすることで生存することを許されている。
強大な魔力を持つネオであっても、遠隔から結界の維持はできない。保護区を出てすぐに支障が出るものでもないが、ネオがこの地から馬で半日ほどの距離に離れれば、結界の維持は不可能になる。結界の消滅した保護区の外に恐竜達が出ていくことで、即座にネオの不在が解るという仕組みだ。
「そこに鹿がいるのが見えるか?」
ネオは陽向を木の陰に誘導すると、草を食む立派な角を持つ牡鹿を指さした。
「へぇ。普通の動物もいるんだ!」
「あぁ、年老いた草食恐竜だけでは肉食恐竜のえさが不足するからね。
見ててね」
『バーーーーン』
陽向が「なるほど~」と反応するより先に、ネオはその牡鹿の角めがけて雷撃を落とした。
余りに一瞬のこと過ぎて、陽向は何が起こったのか解らない。感知できたのは大きな音と、一瞬の光と、目の前の巨躯がゆっくりと倒れ込んでいく現象だけ。
「えっ今……弓とか銃とか何も……え?」
「雷魔法だ」
陽向はネオの顔と牡鹿とを交互に見ながら、何も話さない。
『あぁ、やはりヒナタも俺を怖がるのか……』
ネオが失望に眉をひそめるのと、陽向がネオの手を握るのは同時だった。
「もしかして……もしかして、あの時アロサウルスから助けてくれた雷も、ネオだったの!?!?」
見ると、喜色満面と言っていいほどの顔をした陽向がいた。
「ネオは本当に僕の命の恩人だったんだね!
ありがとう! ありがとう!!」
なぜかヒナタに抱きつかれている。ネオは今起こっていることが信じられなくて、ただヒナタに抱きすくめられるままになった。
「アロサウルスって群れで行動する恐竜でしょ? 僕あの時死んだと思って……なのにあの雷で助かって。ネオがいなかったら僕、今ここにいなかった!
ありがとう! ネオ!」
なぜ恐竜の名前と習性を知っているのか、そんなことは今はどうでもいい。早くこの可愛い俺の唯一を。俺だけの唯一をむさぼりたい。
ネオは、自分を抱きしめているというより、体格差のせいでしがみついているだけになってしまっている陽向の顎を掬うと、その唇に嚙みついた。
「うわぁ……ぅんっ!んんっ~~!」
突然降ってきたキスに、陽向は反応できずにいた。しがみついていた腕を離し、身体の間に入れ、必死に少し距離をとろうとする。
『今日は外だからお昼の性処理はナシだと思ってたのに。まさか青姦!? このドスケベが!
いくら若いからって、森の中は嫌だよぉ~くそっ離せ!
あぁ……身体の力が抜けていく……』
引きはがそうとする手が、倒れ込まない様にすがる手に変わったころに、やっと陽向の唇は解放された。
「ヒナタ、好きだ。愛してる」
『えぇ!? ここで? このタイミングで? なんで???』
今までネオから可愛いとささやかれたことは無数にあるが、好きだとか愛しているだとかと言われたことは無い。だって、陽向はただの性処理係だと思っていたのだ。
その可愛いも、愛玩動物を愛でる感覚に似たものだと思っていたくらいだ。
『命の恩人と呼ぼう大作戦、効きすぎだろ?』
風魔法は、かまいたちで敵を切り刻むことができるだけでなく、音を集めることもできる魔法だ。暗殺・諜報活動に便利な魔法だと一般的に言われている。
ターゲットの居場所や秘密を風魔法で探り、雷魔法で遠隔で一撃で仕留め、格納結界の中に誰にも知られずに葬り去る。これほどまでに暗殺業に適している魔術師は他にいないだろう。
誰もが薄暗い闇を抱えている貴族どもが、ネオを怖がらない理由がない。
自分が世にも珍しい複数属性持ちであることに気が付いた父王が、よく自分を始末しなかったなとネオ自身でも感心してしまうほどである。
何かあれば利用するつもりなのか、それともただの親の恩情か。
ネオはこの辺境の地にある恐竜保護区で管理人をすることで生存することを許されている。
強大な魔力を持つネオであっても、遠隔から結界の維持はできない。保護区を出てすぐに支障が出るものでもないが、ネオがこの地から馬で半日ほどの距離に離れれば、結界の維持は不可能になる。結界の消滅した保護区の外に恐竜達が出ていくことで、即座にネオの不在が解るという仕組みだ。
「そこに鹿がいるのが見えるか?」
ネオは陽向を木の陰に誘導すると、草を食む立派な角を持つ牡鹿を指さした。
「へぇ。普通の動物もいるんだ!」
「あぁ、年老いた草食恐竜だけでは肉食恐竜のえさが不足するからね。
見ててね」
『バーーーーン』
陽向が「なるほど~」と反応するより先に、ネオはその牡鹿の角めがけて雷撃を落とした。
余りに一瞬のこと過ぎて、陽向は何が起こったのか解らない。感知できたのは大きな音と、一瞬の光と、目の前の巨躯がゆっくりと倒れ込んでいく現象だけ。
「えっ今……弓とか銃とか何も……え?」
「雷魔法だ」
陽向はネオの顔と牡鹿とを交互に見ながら、何も話さない。
『あぁ、やはりヒナタも俺を怖がるのか……』
ネオが失望に眉をひそめるのと、陽向がネオの手を握るのは同時だった。
「もしかして……もしかして、あの時アロサウルスから助けてくれた雷も、ネオだったの!?!?」
見ると、喜色満面と言っていいほどの顔をした陽向がいた。
「ネオは本当に僕の命の恩人だったんだね!
ありがとう! ありがとう!!」
なぜかヒナタに抱きつかれている。ネオは今起こっていることが信じられなくて、ただヒナタに抱きすくめられるままになった。
「アロサウルスって群れで行動する恐竜でしょ? 僕あの時死んだと思って……なのにあの雷で助かって。ネオがいなかったら僕、今ここにいなかった!
ありがとう! ネオ!」
なぜ恐竜の名前と習性を知っているのか、そんなことは今はどうでもいい。早くこの可愛い俺の唯一を。俺だけの唯一をむさぼりたい。
ネオは、自分を抱きしめているというより、体格差のせいでしがみついているだけになってしまっている陽向の顎を掬うと、その唇に嚙みついた。
「うわぁ……ぅんっ!んんっ~~!」
突然降ってきたキスに、陽向は反応できずにいた。しがみついていた腕を離し、身体の間に入れ、必死に少し距離をとろうとする。
『今日は外だからお昼の性処理はナシだと思ってたのに。まさか青姦!? このドスケベが!
いくら若いからって、森の中は嫌だよぉ~くそっ離せ!
あぁ……身体の力が抜けていく……』
引きはがそうとする手が、倒れ込まない様にすがる手に変わったころに、やっと陽向の唇は解放された。
「ヒナタ、好きだ。愛してる」
『えぇ!? ここで? このタイミングで? なんで???』
今までネオから可愛いとささやかれたことは無数にあるが、好きだとか愛しているだとかと言われたことは無い。だって、陽向はただの性処理係だと思っていたのだ。
その可愛いも、愛玩動物を愛でる感覚に似たものだと思っていたくらいだ。
『命の恩人と呼ぼう大作戦、効きすぎだろ?』
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