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第二章ーー招かれざる客
尋問
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「ちっ。早かったな」
王太子は素早い動きで陽向のいる牢から出ると、入口手前の牢から聞こえてくる鞭の音が一層強まった。
――「言え!カルネオール殿下の家で何をしていた!」
王太子の手下と思われる男の詰問の声が入口の方から聞こえてくる。
「ティール! ヒナタは何処だ!!」
ドタドタと降りてきたネオの足音と声が、陽向の耳に届いた。
「お前がヒナタを連れ出したのか!」
――「これはこれは兄上。丁度よいところに来ました。今兄上の屋敷で捕まえた不審者を尋問していたところです」
白々しい返答に、二人の仲がよくないことが伺い知れる。
ネオがティールの視線の先を辿ると、そこには吊るされた小柄な人影が鞭を受けている。
「ヒナタ!」
と叫びながらネオが駆け寄ると、そこにいたのは全く違う男だった。
地下牢の暗さで解らなかったが、似ているのは体格と暗めの髪色だけで、覗き込んだ目は青かった。
「違う! これはヒナタではない。ヒナタはどこだ!」
――「兄上。落ち着いてください。私が兄上の屋敷から連れ帰った不審者はこの者だけです。もしこの者がヒナタでないのならば、この者の仲間が既にそのヒナタとやらを連れ去った後なのでは?」
王太子は、ちゃっかり陽向の身代わりを用意してきていた。やはり、陽向の存在を知ってて攫ってきたようだ。
「そんなことが。おい、お前! ヒナタをどこにやった!」
ネオが激高している声が地下牢中に響き渡る。
陽向は、心の中で『ネオ、僕はここだ! 頼むから気づいてくれ!』と叫んだが、口枷をされていて声が出ない。
「んんっ!んんんんーーーー!!」
それでも力の限り叫んだが、尋問をする鞭の音、何事かと押し寄せる衛兵の足音が邪魔をして、頭に血が上ったネオの耳には届かなかった。
――「ヒナタ? なにそれ! 知らない! 知らない! 僕は何もしらないよ!」
「早く言えっ! 言わんとこうだ!」
「ギャーーー!!」
光が瞬いたのは、ネオが雷魔法を使用したからだろうか。
大きく響き渡った悲鳴に、雷撃を受けたのは陽向の方ではと錯覚するほど、陽向の心は縮み上がった。
ネオが、他人に容赦なく暴力をふるっている。しかも、それは自分の為で。
『ネオ! その人は無実だ! これ以上傷つけないで!』
今すぐ止めたいのに。わずかでも痛みから逃れようとして鎖をガチャガチャとさせている音の方が大きく、陽向の声は届かない。
その余りのネオの激高ぶりに、何事かとわらわらと見に来ていた衛兵たちが、少しずつ後退したかと思うと巻き添えを避けて我先にと地下牢から飛び出して行った。
――「して、兄上が探している、そのヒナタとやらは誰なのです? 兄上は侍従もつけず、一人暮らしだったと聞いておりましたが」
――「ヒナタは……。俺が保護していた人だ」
――「保護? 王室の承認を得ていない部外者ということですか?
なぜ肉食恐竜が闊歩するようなところに保護を?」
――「いや……それは」
ネオの方も、対外的にどう陽向のことを説明しようか決めあぐねている様で、改めて聞かれてしまうと歯切れは悪い。
――「では、そのヒナタとやらの捜索に、この砦の兵をお貸ししましょう。人数は多い方が良いでしょう?
兄上の怒気に当てられて、兵たちがおびえています。尋問は我々にお任せになって、砦で捜索隊の指揮に当たられては?
この男も、あまり虐めすぎると物言わぬ屍となりますよ。今の兄上は冷静さを欠いているようです」
ネオは、叫びすぎてぐったりとしてしまっている男を一目見て、確かにやり過ぎてしまったと思った。このままでは怒りに任せて殺しかねない。
「わかった。あとは頼む」
と言い残し、地下牢から出て行った。
ネオの気が動転しているからなのか。空気がよどんでいる地下では風魔法が使えないのか。
最後まで陽向の存在には気が付かずに。
王太子は素早い動きで陽向のいる牢から出ると、入口手前の牢から聞こえてくる鞭の音が一層強まった。
――「言え!カルネオール殿下の家で何をしていた!」
王太子の手下と思われる男の詰問の声が入口の方から聞こえてくる。
「ティール! ヒナタは何処だ!!」
ドタドタと降りてきたネオの足音と声が、陽向の耳に届いた。
「お前がヒナタを連れ出したのか!」
――「これはこれは兄上。丁度よいところに来ました。今兄上の屋敷で捕まえた不審者を尋問していたところです」
白々しい返答に、二人の仲がよくないことが伺い知れる。
ネオがティールの視線の先を辿ると、そこには吊るされた小柄な人影が鞭を受けている。
「ヒナタ!」
と叫びながらネオが駆け寄ると、そこにいたのは全く違う男だった。
地下牢の暗さで解らなかったが、似ているのは体格と暗めの髪色だけで、覗き込んだ目は青かった。
「違う! これはヒナタではない。ヒナタはどこだ!」
――「兄上。落ち着いてください。私が兄上の屋敷から連れ帰った不審者はこの者だけです。もしこの者がヒナタでないのならば、この者の仲間が既にそのヒナタとやらを連れ去った後なのでは?」
王太子は、ちゃっかり陽向の身代わりを用意してきていた。やはり、陽向の存在を知ってて攫ってきたようだ。
「そんなことが。おい、お前! ヒナタをどこにやった!」
ネオが激高している声が地下牢中に響き渡る。
陽向は、心の中で『ネオ、僕はここだ! 頼むから気づいてくれ!』と叫んだが、口枷をされていて声が出ない。
「んんっ!んんんんーーーー!!」
それでも力の限り叫んだが、尋問をする鞭の音、何事かと押し寄せる衛兵の足音が邪魔をして、頭に血が上ったネオの耳には届かなかった。
――「ヒナタ? なにそれ! 知らない! 知らない! 僕は何もしらないよ!」
「早く言えっ! 言わんとこうだ!」
「ギャーーー!!」
光が瞬いたのは、ネオが雷魔法を使用したからだろうか。
大きく響き渡った悲鳴に、雷撃を受けたのは陽向の方ではと錯覚するほど、陽向の心は縮み上がった。
ネオが、他人に容赦なく暴力をふるっている。しかも、それは自分の為で。
『ネオ! その人は無実だ! これ以上傷つけないで!』
今すぐ止めたいのに。わずかでも痛みから逃れようとして鎖をガチャガチャとさせている音の方が大きく、陽向の声は届かない。
その余りのネオの激高ぶりに、何事かとわらわらと見に来ていた衛兵たちが、少しずつ後退したかと思うと巻き添えを避けて我先にと地下牢から飛び出して行った。
――「して、兄上が探している、そのヒナタとやらは誰なのです? 兄上は侍従もつけず、一人暮らしだったと聞いておりましたが」
――「ヒナタは……。俺が保護していた人だ」
――「保護? 王室の承認を得ていない部外者ということですか?
なぜ肉食恐竜が闊歩するようなところに保護を?」
――「いや……それは」
ネオの方も、対外的にどう陽向のことを説明しようか決めあぐねている様で、改めて聞かれてしまうと歯切れは悪い。
――「では、そのヒナタとやらの捜索に、この砦の兵をお貸ししましょう。人数は多い方が良いでしょう?
兄上の怒気に当てられて、兵たちがおびえています。尋問は我々にお任せになって、砦で捜索隊の指揮に当たられては?
この男も、あまり虐めすぎると物言わぬ屍となりますよ。今の兄上は冷静さを欠いているようです」
ネオは、叫びすぎてぐったりとしてしまっている男を一目見て、確かにやり過ぎてしまったと思った。このままでは怒りに任せて殺しかねない。
「わかった。あとは頼む」
と言い残し、地下牢から出て行った。
ネオの気が動転しているからなのか。空気がよどんでいる地下では風魔法が使えないのか。
最後まで陽向の存在には気が付かずに。
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