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第二章ーー招かれざる客
ガラスの破片
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『ガシャンッ!!!』
窓ガラスが吹き飛び、尋常ではない風が室内を吹き荒れる。
かまいたちの様に襲い掛かってくるガラスの破片に、陽向と王太子が身を守ろうと防御姿勢をとっていると。バルコニーから入ってきたネオが、王太子を寝台の下に蹴り落とした。
すぐに、陽向にふわりとマントをかけてからキツく抱きしめる。あの森で出会った時の懐かしいマントだ。
『ネオが! 来てくれた!! でも……』
「恐竜は!?」
陽向の口から出たのは恐竜という言葉だけ。
感動の再会から一転。こんな時でも恐竜一筋なのかと、ネオは少し呆れた目で陽向を見ている。
『もしかしたら、俺のことより恐竜が大事なのか。やはり、俺ではなく恐竜に釣られて恐竜保護区に住んでいるのでは』
それを考えだすと悲しくなってしまう。ネオはひとまず今は考えるのをやめた。
「恐竜の方は問題ない。砦に闇魔術師が何人かいたから託してきた。
ヒナタ、怪我は?」
マントで他の人には見られない様に隠しながら陽向の身体を観察するが、陽向には傷一つなかった。ネオの守護結界のおかげだ。
ガラスの雨はいわば恐竜の爪に該当するのだろう。ネオは陽向には害が及ばないと知っていて、ガラスを吹き飛ばしたのだから当然だ。
「ないよ。僕は大丈夫だよ」
裸に剥かれてベッドに押し倒されていたのだ。大丈夫ということは無かろうとネオは思った。
「怖い想いをさせてしまい、すまない」
陽向を強い力で抱きしめながら、ネオは間に合わなかったと深い後悔の念に駆られた。
陽向が攫われた時、ネオは密猟者に足止めされていたのだ。命までは取るまいと手加減せずに、問答無用で殺していれば。陽向がこんな目に遭わなかったのではないかと思うと、悔やんでも悔やみきれない。
「殿下! どうしたんですかい!」
と言いながら入ってきた傭兵は、ネオと共に突入してきた老将にすぐさま拘束されていた。
あの砦で、陽向を地下牢に運ぶように指示した老将だったので、陽向は意外に思った。
「ブルエ! ガラスでけがをした! すぐに手当てを」
王太子は自分の一番大事なところに刺さったガラス片を抜きながら、年相応の泣きそうな声を出していた。
泣きべそをかいているところをみると、強がっていても、やはりまだ十代の子供なのだなと思う。
ガラスの破片がいくつか刺さるくらい。彼が今までの“おもちゃ”達にしたことと比べると、大したことはないだろうに。
「これはこれは王太子殿下。なぜ殿下がこのようなところに。我々はヒナタ殿を誘拐した犯人の根城をつぶしに参ったのですが。
あぁ、もしや殿下が先に見つけられて、既に潜入捜査をされていらっしゃるところでしたかな。
王太子殿下に一肌脱いで頂けるとは、このヒナタ殿もさぞお喜びでしょう」
その皮肉たっぷりな言い方に、陽向は老将がネオの敵ではないことを悟った。もしかしたら最初から、王太子の悪だくみを知っていて、警戒してくれていたのかもしれない。
王太子は、いとも簡単に傭兵の男を売った。
「そっそうなんだ! 捜索中に偶然ヒナタを見つけてな!
私が助け出さなくてはと思っていたら、ソイツに捕まって、全裸にされて一緒に監禁されてしまったのだ」
皮肉が通じていないだと!? もしかしたらこの王太子、相当なバカなのかもしれない。
さすがに寒い言い訳だとは思わないのだろうか。全裸だけに。
「さようでございましたか。それはそれは立派なお心がけ。このブルエ、感激至極でございます」
老将は、主に売られた哀れな傭兵を慣れた手つきで縄で縛り上げ終わると、王太子の身体に刺さっていたガラス片をわざと痛くなるように引き抜いた。
「痛い痛い! ブルエ、優しくしてくれ!」
「王太子殿下。大変申し訳ございませぬ。老眼で良く見えませんで」
背中側だと本人から見えないことを良いことに、はたから見てもわざとらしい動きでガラス片を押し込んでいる。
「痛いっ! ブルエ! 中に押し込むな! 抜いてくれ!」
「大変申し訳なく。老いゆえに手が震えてしまいまして、上手く取れませぬ」
まだ茶番をしている二人を放って、ネオは陽向を連れて恐竜保護区に戻った。
窓ガラスが吹き飛び、尋常ではない風が室内を吹き荒れる。
かまいたちの様に襲い掛かってくるガラスの破片に、陽向と王太子が身を守ろうと防御姿勢をとっていると。バルコニーから入ってきたネオが、王太子を寝台の下に蹴り落とした。
すぐに、陽向にふわりとマントをかけてからキツく抱きしめる。あの森で出会った時の懐かしいマントだ。
『ネオが! 来てくれた!! でも……』
「恐竜は!?」
陽向の口から出たのは恐竜という言葉だけ。
感動の再会から一転。こんな時でも恐竜一筋なのかと、ネオは少し呆れた目で陽向を見ている。
『もしかしたら、俺のことより恐竜が大事なのか。やはり、俺ではなく恐竜に釣られて恐竜保護区に住んでいるのでは』
それを考えだすと悲しくなってしまう。ネオはひとまず今は考えるのをやめた。
「恐竜の方は問題ない。砦に闇魔術師が何人かいたから託してきた。
ヒナタ、怪我は?」
マントで他の人には見られない様に隠しながら陽向の身体を観察するが、陽向には傷一つなかった。ネオの守護結界のおかげだ。
ガラスの雨はいわば恐竜の爪に該当するのだろう。ネオは陽向には害が及ばないと知っていて、ガラスを吹き飛ばしたのだから当然だ。
「ないよ。僕は大丈夫だよ」
裸に剥かれてベッドに押し倒されていたのだ。大丈夫ということは無かろうとネオは思った。
「怖い想いをさせてしまい、すまない」
陽向を強い力で抱きしめながら、ネオは間に合わなかったと深い後悔の念に駆られた。
陽向が攫われた時、ネオは密猟者に足止めされていたのだ。命までは取るまいと手加減せずに、問答無用で殺していれば。陽向がこんな目に遭わなかったのではないかと思うと、悔やんでも悔やみきれない。
「殿下! どうしたんですかい!」
と言いながら入ってきた傭兵は、ネオと共に突入してきた老将にすぐさま拘束されていた。
あの砦で、陽向を地下牢に運ぶように指示した老将だったので、陽向は意外に思った。
「ブルエ! ガラスでけがをした! すぐに手当てを」
王太子は自分の一番大事なところに刺さったガラス片を抜きながら、年相応の泣きそうな声を出していた。
泣きべそをかいているところをみると、強がっていても、やはりまだ十代の子供なのだなと思う。
ガラスの破片がいくつか刺さるくらい。彼が今までの“おもちゃ”達にしたことと比べると、大したことはないだろうに。
「これはこれは王太子殿下。なぜ殿下がこのようなところに。我々はヒナタ殿を誘拐した犯人の根城をつぶしに参ったのですが。
あぁ、もしや殿下が先に見つけられて、既に潜入捜査をされていらっしゃるところでしたかな。
王太子殿下に一肌脱いで頂けるとは、このヒナタ殿もさぞお喜びでしょう」
その皮肉たっぷりな言い方に、陽向は老将がネオの敵ではないことを悟った。もしかしたら最初から、王太子の悪だくみを知っていて、警戒してくれていたのかもしれない。
王太子は、いとも簡単に傭兵の男を売った。
「そっそうなんだ! 捜索中に偶然ヒナタを見つけてな!
私が助け出さなくてはと思っていたら、ソイツに捕まって、全裸にされて一緒に監禁されてしまったのだ」
皮肉が通じていないだと!? もしかしたらこの王太子、相当なバカなのかもしれない。
さすがに寒い言い訳だとは思わないのだろうか。全裸だけに。
「さようでございましたか。それはそれは立派なお心がけ。このブルエ、感激至極でございます」
老将は、主に売られた哀れな傭兵を慣れた手つきで縄で縛り上げ終わると、王太子の身体に刺さっていたガラス片をわざと痛くなるように引き抜いた。
「痛い痛い! ブルエ、優しくしてくれ!」
「王太子殿下。大変申し訳ございませぬ。老眼で良く見えませんで」
背中側だと本人から見えないことを良いことに、はたから見てもわざとらしい動きでガラス片を押し込んでいる。
「痛いっ! ブルエ! 中に押し込むな! 抜いてくれ!」
「大変申し訳なく。老いゆえに手が震えてしまいまして、上手く取れませぬ」
まだ茶番をしている二人を放って、ネオは陽向を連れて恐竜保護区に戻った。
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