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番外編
#33. ★回帰<凛空視点>
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哲也は胡散臭い笑顔で切り出す。
「ですから、友人として何か手助けをしたいと思いましてね。これ、ご存じでしょうか?」
哲也は注射器と薬瓶を取り出した。
「海外の薬なんですがね。強制的にツガイの解除が出来るんですよ。」
「待ってください!それは…それは嫌です!お願いです!
俺、運命のツガイがどこに逃げたか探して、絶対に見つけだして、ツガイを解除して貰いますから!
とにかく櫂はもう家に戻っているんですね!
じゃあ、今から運命のツガイを探しに行きますから!今日はもう失礼します!」
俺は話しながらも出口の方向に後ずさり、今すぐこの部屋から逃げ出そうとした。
だってその薬の怖さは嫌という程知っている。
俺はこの二年間、毎日毎晩運命のツガイとやりまくってたんだ。第二子の妊娠を恐れていた櫂との時とは違って、もう歳だから大丈夫だと避妊も一切せずに。
無理だ。その薬で強制的にツガイ契約を解除をしようとするなんて、絶対に無理だ。
またあと何人のアルファの精を受け入れないといけないんだ。どれくらい時間がかかるんだ。絶対に無理だ!!!
「そんなに遠慮しないでください。必要なものは全てこちらで揃えましたから。」
そう言った哲也が、俺を追ってドアの付近まで来て俺の腕を掴んだかと思うと、俺をベッドルームの方に引きずって行った。
まさかまさかまさか。その閉ざされた扉の向こうには…。
哲也が扉を開けると、案の定部屋の中には若いアルファが沢山居た。皆準備万端なのか、既に半裸にパンツ姿である。
確かにアルファが欲しいと思った。でも、それは寂しさを紛らわす為に一週間に一人位つまみ食いして食えればいいと思っていただけで。
沢山は嫌だ!そんなことは望んでいない。
哲也が扉を開けるのが合図だったのか、手が一斉に俺に伸びて来る。そんな!!
「嫌だ!やめて!!哲也さん!
嫌です!!やめて下さい!!」
「何を言っているんだい?櫂の事が好きなんだろう?また櫂に会いたいんだろう?
そしたら、他のアルファのツガイのままじゃダメに決まってるじゃないか。」
俺はあっという間にアルファ達にベッドの上に取り押さえられた。
俺の傍からあぶれた内の一人が、ソファーテーブルに置きっぱなしだった薬と注射器を持ってきて、俺のうなじに打った。
「いやぁ~~~~~~~~~。」
高級ホテルのスイートルームには、俺の絶叫が響き渡った。
驚くことに、先陣を切ったのは哲也だった。
なんで。どうして?
哲也と櫂は親友だろ?親友の妻にどうしてこんなに酷い事が出来る?
どうして他のアルファに羽交い絞めにさせて、親友の妻を犯せるんだ?
最初の方こそ「嫌だ!やめて!」と言っていた俺だが、今回は前回と違って、ツガイ契約の効果を薄くする薬を既に三ヶ月以上も服用している。
ツガイ以外のアルファに対する拒絶反応はもちろん出た。だが、それはただの吐き気程度で、身を焦がす様だった前回程は酷くなかった。
哲也が終わると、
「そろそろアルファが欲しい時期だったんでしょう?風俗の面接にまで行こうとしてたんですから。
これからはお金は必要が無い生活を送って貰いますから、代わりにアルファを手配しておきました。
この部屋は一週間は抑えていますから、どうぞ思う存分楽しんでくださいね。
その後に、お約束通り櫂の元に連れて行きますよ。」
と言い残して、哲也は去って行った。
残された俺に待っていたのは、二年前の強制ツガイ解除の時の再現だった。
一週間後、複数のアルファによる昼夜問わない輪姦でボロボロになった俺を、哲也が迎えに来た。
でも、俺はもう既に哲也が識別できる精神状況ではない。
やっと責め苦が終わる…。それだけを把握できて、意識を手放した。
「う~ん。ちょっと見た目が酷すぎるな。
服着せれないからとりあえず精液流してこい。反応も見たいから起こしとけ。」
という哲也の鶴の一言でアルファ達に浴室に連行されたらしい俺は、性液を掻き出す事を口実に最後の凌辱を受けた事で、また目を覚ましてしまった。
陰茎のくびれが前の雄の精子を掻き出す為にあるというのは、女性の場合だろう。行き止まりが無い男オメガには逆効果だろうに。
俺は一応服を着せられ、エレベーター直通の駐車場から車に乗せられた。
着いたのは、俺たちの家だった。櫂と結婚する時に新築で建ててくれた、俺たちの愛の巣だ。
ここで俺は蒼空を産んで、一生懸命二人で育ててきた。俺たち家族の想い出の家だ。
ドアを開けたら櫂に、蒼空にまた会えるんじゃないかと錯覚させるほど、以前と変わりのない外観。
櫂!本当に櫂に会えるのか?俺の胸は期待で昂まった。
家の扉を開けてリビングに入った。
俺の片眼に飛び込んできたのは、出会った当初の櫂だった。まるで時間が巻き戻ったみたいだ。
俺がまだ純真無垢で、櫂と相思相愛だった時に。
俺の弱い精神は、途端にこの三年間の辛い記憶を封印した。
そして俺は、二十六歳のこの家を建てたばかりの頃の自分に、戻ってしまった。
「ですから、友人として何か手助けをしたいと思いましてね。これ、ご存じでしょうか?」
哲也は注射器と薬瓶を取り出した。
「海外の薬なんですがね。強制的にツガイの解除が出来るんですよ。」
「待ってください!それは…それは嫌です!お願いです!
俺、運命のツガイがどこに逃げたか探して、絶対に見つけだして、ツガイを解除して貰いますから!
とにかく櫂はもう家に戻っているんですね!
じゃあ、今から運命のツガイを探しに行きますから!今日はもう失礼します!」
俺は話しながらも出口の方向に後ずさり、今すぐこの部屋から逃げ出そうとした。
だってその薬の怖さは嫌という程知っている。
俺はこの二年間、毎日毎晩運命のツガイとやりまくってたんだ。第二子の妊娠を恐れていた櫂との時とは違って、もう歳だから大丈夫だと避妊も一切せずに。
無理だ。その薬で強制的にツガイ契約を解除をしようとするなんて、絶対に無理だ。
またあと何人のアルファの精を受け入れないといけないんだ。どれくらい時間がかかるんだ。絶対に無理だ!!!
「そんなに遠慮しないでください。必要なものは全てこちらで揃えましたから。」
そう言った哲也が、俺を追ってドアの付近まで来て俺の腕を掴んだかと思うと、俺をベッドルームの方に引きずって行った。
まさかまさかまさか。その閉ざされた扉の向こうには…。
哲也が扉を開けると、案の定部屋の中には若いアルファが沢山居た。皆準備万端なのか、既に半裸にパンツ姿である。
確かにアルファが欲しいと思った。でも、それは寂しさを紛らわす為に一週間に一人位つまみ食いして食えればいいと思っていただけで。
沢山は嫌だ!そんなことは望んでいない。
哲也が扉を開けるのが合図だったのか、手が一斉に俺に伸びて来る。そんな!!
「嫌だ!やめて!!哲也さん!
嫌です!!やめて下さい!!」
「何を言っているんだい?櫂の事が好きなんだろう?また櫂に会いたいんだろう?
そしたら、他のアルファのツガイのままじゃダメに決まってるじゃないか。」
俺はあっという間にアルファ達にベッドの上に取り押さえられた。
俺の傍からあぶれた内の一人が、ソファーテーブルに置きっぱなしだった薬と注射器を持ってきて、俺のうなじに打った。
「いやぁ~~~~~~~~~。」
高級ホテルのスイートルームには、俺の絶叫が響き渡った。
驚くことに、先陣を切ったのは哲也だった。
なんで。どうして?
哲也と櫂は親友だろ?親友の妻にどうしてこんなに酷い事が出来る?
どうして他のアルファに羽交い絞めにさせて、親友の妻を犯せるんだ?
最初の方こそ「嫌だ!やめて!」と言っていた俺だが、今回は前回と違って、ツガイ契約の効果を薄くする薬を既に三ヶ月以上も服用している。
ツガイ以外のアルファに対する拒絶反応はもちろん出た。だが、それはただの吐き気程度で、身を焦がす様だった前回程は酷くなかった。
哲也が終わると、
「そろそろアルファが欲しい時期だったんでしょう?風俗の面接にまで行こうとしてたんですから。
これからはお金は必要が無い生活を送って貰いますから、代わりにアルファを手配しておきました。
この部屋は一週間は抑えていますから、どうぞ思う存分楽しんでくださいね。
その後に、お約束通り櫂の元に連れて行きますよ。」
と言い残して、哲也は去って行った。
残された俺に待っていたのは、二年前の強制ツガイ解除の時の再現だった。
一週間後、複数のアルファによる昼夜問わない輪姦でボロボロになった俺を、哲也が迎えに来た。
でも、俺はもう既に哲也が識別できる精神状況ではない。
やっと責め苦が終わる…。それだけを把握できて、意識を手放した。
「う~ん。ちょっと見た目が酷すぎるな。
服着せれないからとりあえず精液流してこい。反応も見たいから起こしとけ。」
という哲也の鶴の一言でアルファ達に浴室に連行されたらしい俺は、性液を掻き出す事を口実に最後の凌辱を受けた事で、また目を覚ましてしまった。
陰茎のくびれが前の雄の精子を掻き出す為にあるというのは、女性の場合だろう。行き止まりが無い男オメガには逆効果だろうに。
俺は一応服を着せられ、エレベーター直通の駐車場から車に乗せられた。
着いたのは、俺たちの家だった。櫂と結婚する時に新築で建ててくれた、俺たちの愛の巣だ。
ここで俺は蒼空を産んで、一生懸命二人で育ててきた。俺たち家族の想い出の家だ。
ドアを開けたら櫂に、蒼空にまた会えるんじゃないかと錯覚させるほど、以前と変わりのない外観。
櫂!本当に櫂に会えるのか?俺の胸は期待で昂まった。
家の扉を開けてリビングに入った。
俺の片眼に飛び込んできたのは、出会った当初の櫂だった。まるで時間が巻き戻ったみたいだ。
俺がまだ純真無垢で、櫂と相思相愛だった時に。
俺の弱い精神は、途端にこの三年間の辛い記憶を封印した。
そして俺は、二十六歳のこの家を建てたばかりの頃の自分に、戻ってしまった。
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