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結
34. 哲也の行動原理
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※番外編に置いてある30~33話からこの34話に繋がっておりますので、もしお急ぎで無ければそちらをお先にどうぞ。
ーーーーーーーーーー
「ここまでは俺がアイツから聞いた話です。
僕が知っているのは、この後の凛空さんです。
凛空さんは僕を櫂さんだと思い込む事で、自分を保っているみたいです。
今発作が出ていなくて落ち着いている時の凛空さんは二十六歳の時に戻ってしまっているみたいです。」
「二十六…。」
俺たちが結婚してすぐ位の時期だ。
「はい。この家を建てた時の年齢…で合ってますか?
だから、お二人にお子さんが居ることも忘れてしまっているみたいです。」
「蒼空の事を忘れてしまっているのか…。」
「そうですね。だから、還暦のあなたの事も解らないんですよ。
凛空さんの中では、あなたはまだ三十代ですからね。」
30代。であるならば、今の俺よりもこのベータの男の方が、外見は似ているのだろう。
「なるほど…彼にとっては、俺は三十以上も年上の見知らぬアルファなのか…。」
「そうですね。でも、この薬を使ってツガイを強制解除して、あなたがまた凛空さんの項を噛めば、少なくとも再度あなたの事をツガイとして認識してくれるんじゃないでしょうか。
アルファにもフェロモンとやらがあるんでしょう?
そうすればきっと、あなたのフェロモンが凛空さんに届いて、凛空さんはあなたの事を思い出すんじゃないでしょうか。
まぁ思い出さないにしても、少なくとも拒絶反応は出なくなるし。ツガイのフェロモンはオメガを安心させる効果があるんでしょう?精神的にも安定するのではないでしょうか。」
失った記憶を取り戻してよいのか。今のまま、辛い事をなにもかも忘れたままでいる方が実は幸せなのではないだろうか。
「そう…だと、いいな…。」
「はい。ですから、睡眠薬を飲ませて凛空さんの意識が無い時に、薬を打ってあなたの精を注いでみるのはどうでしょうか?
起きている凛空さんに拒絶されながらするよりは良いのではと思います。」
凛空に拒絶される……。それは辛いな。
「いや。待ってくれ。凛空の運命のツガイの行方を捜すという事は出来ないのか?
そんな騙し討ちみたいなことをしなくても、普通に運命のツガイに解除して貰えばいい。
一度は自首したんなら、凛空に対する罪悪感があるって事だろう?頼めば解除してくれるんじゃないか?」
「う~ん。これは僕の予想ですけど、多分彼は自分から逃げ出したんじゃなくて、アイツが隠したんじゃないかと思うんです。」
櫂は、一瞬電気が走ったかのように、ビクッっとなった。
「アイツって、哲也か?」
「はい。」
「どうして?」
「??アイツの行動原理の理由は全部一つですよね?
あなたに…『自分の存在を刻み付けたいから。』」
「俺に『自分の存在を刻み付けたいから。』」
二人の声はシンクロしていた。
「そうです。運命のツガイが見つからない以上、柏木さんはこの薬を使ってツガイの解除をするしかない。
でも、この薬を打つたびに、アイツの事を思い出さずにはいられない。違いますか?」
「くそっ!!!!くそっ!このくそがぁ!!!!」
俺は我慢できずにソファーを殴りつけた。
ーーーーーーーーーーーーー
本編に関係がなかったので君蒼空では触れられませんでしたが、凛空の運命のツガイは哲也の奥様が別荘の地下に囲っています。
何故ならば、結婚式当日の初夜『私にはずっと好きな人がいて、君を愛するつもりはない』というNL政略結婚ものの典型の様な事を哲也に言われてしまった名家の女性オメガである哲也の奥様。
最初はどのオメガだといきり立っていたものの、櫂に子供が出来てから哲也が荒れだした事で、哲也がずっと恋焦がれている相手が櫂だということに気が付き、櫂の事を憎んでいました。
許嫁である哲也に幼いころから憧れを抱いていた年下の奥様は、ずっと夫の愛を奪った櫂夫婦に復讐する機会を探していました。
食中毒になる様な差し入れをちょくちょくしたり、相手に気付かれるか気づかれないかギリギリのラインで陰湿な画策を色々としていたのですが…もちろん哲也に気が付かれてしまい。
その結果、以前は二家族で表面上仲良く出かけていたりお宅にお邪魔したりして交流していたのですが、それからは哲也と櫂+子供達で出かけるというサイクルにかわっていき…。直接櫂夫婦に会えなくなった事で、更に恨みを募らせていて…。
せっかく櫂も凛空も二人とも地下奴隷に堕ちてざまぁだと思っていたのに、凛空が奴隷オークションの組織が摘発されて自由の身になったと聞いて、我慢できなくなり…。(蒼空は子供なので罪はないときちんと解っている)
ツガイを解除しないままに凛空の運命のツガイを隠してしまえば、櫂夫婦を困らせ復讐できるのではと考えて、それを実行しました。最初は思考力を無くす様な薬を使って、物理的にツガイを解除できない様にしていた哲也の奥様。
しかし、時間が経つにつれて少しずつ傷心中の凛空の運命のツガイに取り入る方向にシフトしていきました。
「ツガイのままになっていた方が、凛空を売った極悪アルファから凛空を守れる」とか「運命を他のアルファに取られないで済む」とかなんとか言って凛空とのツガイ契約を解除させない一方で、自分の色香で経験値が少ないつい最近まで童貞だった凛空の運命のツガイを惑わし、寝取って復讐した気になっている悲しい人です。
哲也が亡くなった事で奥様もツガイ契約が自然解除されているので、運命程激しくはないけれど、数年かけて二人の間に静かな愛が芽生えると良いですね。
しかも33話で夫自身が凛空を凌辱したという事も、ちゃっかり情報を入手しており…。アルファやベータに現を抜かすのは、嫌だけれどまだギリギリ耐えられたのに、オメガ相手に不貞を行ったという事で、とうとう哲也に愛想を尽かして、哲也が飲んでいた薬を偽薬にすり替えて症状を急激に悪化させてたりしたら尚良しですね...。
蛇足、失礼いたしました。m(_ _)m
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「ここまでは俺がアイツから聞いた話です。
僕が知っているのは、この後の凛空さんです。
凛空さんは僕を櫂さんだと思い込む事で、自分を保っているみたいです。
今発作が出ていなくて落ち着いている時の凛空さんは二十六歳の時に戻ってしまっているみたいです。」
「二十六…。」
俺たちが結婚してすぐ位の時期だ。
「はい。この家を建てた時の年齢…で合ってますか?
だから、お二人にお子さんが居ることも忘れてしまっているみたいです。」
「蒼空の事を忘れてしまっているのか…。」
「そうですね。だから、還暦のあなたの事も解らないんですよ。
凛空さんの中では、あなたはまだ三十代ですからね。」
30代。であるならば、今の俺よりもこのベータの男の方が、外見は似ているのだろう。
「なるほど…彼にとっては、俺は三十以上も年上の見知らぬアルファなのか…。」
「そうですね。でも、この薬を使ってツガイを強制解除して、あなたがまた凛空さんの項を噛めば、少なくとも再度あなたの事をツガイとして認識してくれるんじゃないでしょうか。
アルファにもフェロモンとやらがあるんでしょう?
そうすればきっと、あなたのフェロモンが凛空さんに届いて、凛空さんはあなたの事を思い出すんじゃないでしょうか。
まぁ思い出さないにしても、少なくとも拒絶反応は出なくなるし。ツガイのフェロモンはオメガを安心させる効果があるんでしょう?精神的にも安定するのではないでしょうか。」
失った記憶を取り戻してよいのか。今のまま、辛い事をなにもかも忘れたままでいる方が実は幸せなのではないだろうか。
「そう…だと、いいな…。」
「はい。ですから、睡眠薬を飲ませて凛空さんの意識が無い時に、薬を打ってあなたの精を注いでみるのはどうでしょうか?
起きている凛空さんに拒絶されながらするよりは良いのではと思います。」
凛空に拒絶される……。それは辛いな。
「いや。待ってくれ。凛空の運命のツガイの行方を捜すという事は出来ないのか?
そんな騙し討ちみたいなことをしなくても、普通に運命のツガイに解除して貰えばいい。
一度は自首したんなら、凛空に対する罪悪感があるって事だろう?頼めば解除してくれるんじゃないか?」
「う~ん。これは僕の予想ですけど、多分彼は自分から逃げ出したんじゃなくて、アイツが隠したんじゃないかと思うんです。」
櫂は、一瞬電気が走ったかのように、ビクッっとなった。
「アイツって、哲也か?」
「はい。」
「どうして?」
「??アイツの行動原理の理由は全部一つですよね?
あなたに…『自分の存在を刻み付けたいから。』」
「俺に『自分の存在を刻み付けたいから。』」
二人の声はシンクロしていた。
「そうです。運命のツガイが見つからない以上、柏木さんはこの薬を使ってツガイの解除をするしかない。
でも、この薬を打つたびに、アイツの事を思い出さずにはいられない。違いますか?」
「くそっ!!!!くそっ!このくそがぁ!!!!」
俺は我慢できずにソファーを殴りつけた。
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本編に関係がなかったので君蒼空では触れられませんでしたが、凛空の運命のツガイは哲也の奥様が別荘の地下に囲っています。
何故ならば、結婚式当日の初夜『私にはずっと好きな人がいて、君を愛するつもりはない』というNL政略結婚ものの典型の様な事を哲也に言われてしまった名家の女性オメガである哲也の奥様。
最初はどのオメガだといきり立っていたものの、櫂に子供が出来てから哲也が荒れだした事で、哲也がずっと恋焦がれている相手が櫂だということに気が付き、櫂の事を憎んでいました。
許嫁である哲也に幼いころから憧れを抱いていた年下の奥様は、ずっと夫の愛を奪った櫂夫婦に復讐する機会を探していました。
食中毒になる様な差し入れをちょくちょくしたり、相手に気付かれるか気づかれないかギリギリのラインで陰湿な画策を色々としていたのですが…もちろん哲也に気が付かれてしまい。
その結果、以前は二家族で表面上仲良く出かけていたりお宅にお邪魔したりして交流していたのですが、それからは哲也と櫂+子供達で出かけるというサイクルにかわっていき…。直接櫂夫婦に会えなくなった事で、更に恨みを募らせていて…。
せっかく櫂も凛空も二人とも地下奴隷に堕ちてざまぁだと思っていたのに、凛空が奴隷オークションの組織が摘発されて自由の身になったと聞いて、我慢できなくなり…。(蒼空は子供なので罪はないときちんと解っている)
ツガイを解除しないままに凛空の運命のツガイを隠してしまえば、櫂夫婦を困らせ復讐できるのではと考えて、それを実行しました。最初は思考力を無くす様な薬を使って、物理的にツガイを解除できない様にしていた哲也の奥様。
しかし、時間が経つにつれて少しずつ傷心中の凛空の運命のツガイに取り入る方向にシフトしていきました。
「ツガイのままになっていた方が、凛空を売った極悪アルファから凛空を守れる」とか「運命を他のアルファに取られないで済む」とかなんとか言って凛空とのツガイ契約を解除させない一方で、自分の色香で経験値が少ないつい最近まで童貞だった凛空の運命のツガイを惑わし、寝取って復讐した気になっている悲しい人です。
哲也が亡くなった事で奥様もツガイ契約が自然解除されているので、運命程激しくはないけれど、数年かけて二人の間に静かな愛が芽生えると良いですね。
しかも33話で夫自身が凛空を凌辱したという事も、ちゃっかり情報を入手しており…。アルファやベータに現を抜かすのは、嫌だけれどまだギリギリ耐えられたのに、オメガ相手に不貞を行ったという事で、とうとう哲也に愛想を尽かして、哲也が飲んでいた薬を偽薬にすり替えて症状を急激に悪化させてたりしたら尚良しですね...。
蛇足、失礼いたしました。m(_ _)m
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